六味丸(六味地黄丸)
六味丸:滋補肝腎・清虚熱・利湿:地黄 山茱萸 山薬 沢瀉 茯苓 牡丹皮。
六味地黄丸:地黄8 山茱萸4サンシュユ 山薬4サンヤク(三補) 沢瀉3タクシャ 茯苓3ブクリョウ 牡丹皮3ボタンピ(三瀉):三補三瀉の構成。
逍遙上逆で朝から何回ものぼせて熱くなる人(冷や汗は出ない乾燥した津液不足の陰虚の人)は、心の症状か虚熱である。
心の症状の心腎陰虚なら天王補心丹てんのうほしんたん であり、
虚熱(腎陰虚)なら六味丸加減方か知柏地黄丸(心の症状が無い場合)。
天王補心丹:心腎陰虚:酸棗仁さんそうにん 生地黄しょうじおう 柏子仁はくしにん 麦門冬 五味子 当帰 遠志おんじ 丹参たんじん 玄参げんじん 桔梗 朱砂:滋陰・安神の効能も兼ねているので補心血に用いる:動悸や不安感・不眠など精神不安の症状がある。
知柏地黄丸ちばくじおうがん:滋補肝腎・清熱瀉火:知母 黄柏 地黄 山薬 山茱萸 さんしゅゆ 沢瀉たくしゃ 茯苓 牡丹皮:陰虚火旺の虚熱証に適用:体重減少の消渇病しょうかちびょう:陰虚では痩せる:知母は潤す作用があり黄柏とともに胃陰虚も潤し虚熱を冷やす作用がある。
耳は肝経が通るので肝と関係があり、もともとが腎とも関係があるので、耳の症状:耳鳴り・難聴や耳だれには小柴胡湯を使う。小柴胡湯合八味丸・小柴胡湯合六味丸・小柴胡湯合竜胆瀉肝湯・大柴胡湯合竜胆瀉肝湯・小柴胡湯合杞菊地黄丸:肝腎陰虚なら杞菊地黄丸。
八仙丸や六味丸が無い場合の腎陰虚の喘息・・・小建中湯を代用する。
八仙丸:六味丸+五味子・麦門冬:麦味地黄丸に同じ。
小建中湯の桂枝・生姜・甘草・大棗は温中補虚であり、
芍薬の倍加と飴糖の配合は益陰柔肝えきいんじゅうかん により
緩急止痛となる。ともに「益木培土えきぼくばいど(肝を養い脾胃を健やかにする)」の方法である:
小建中湯:桂枝4、白芍6、大棗4、生姜4、甘草2、膠飴20g。
痛みが腰から足に走り、ひどいと歩けなくなる原因は血虚で、ひきつるという状態になる。これは経絡にそってずっとひきつりが延びて行くためで四物湯合八味丸・四物湯合六味丸などを使う。胃腸が弱い腎陽虚の人は四物湯合真武湯。
四物湯:血虚の基本方剤:当帰4 白芍4 川芎4 熟地黄4。
真武湯しんぶとう:附子1ぶし 茯苓5 白朮3 白芍3 生姜3:回陽救逆(四逆湯)・温陽利水。
陰陽両虚の処方:八味丸と六味丸を交互に服用。または疲れがひどい時でのぼせる時は八味丸を少量とし、冷えた時は八味丸の量を増やす。食欲にムラがあったり食欲不振には小建中湯で、食欲不振で汗かきは黄耆建中湯とする。
黄耆建中湯(金匱要略):黄耆4 桂枝4 白芍6 大棗4 生姜4(乾姜1) 甘草2 膠飴20。
年寄りに虚熱症状が明らかでなければ六味丸は注意して使う。
冷やしすぎて症状が悪化する。年寄りは概して陽虚・陰陽両虚である。
小建中湯は、食欲不振時に陰虚でも陽虚でも使える(腎虚・肝血虚・脾虚)
八仙長寿丸:肺腎陰虚;小建中湯が代用となる。
肺腎陰虚の八仙丸・八仙長寿丸・麦味地黄丸:六味丸+五味子・麦門冬・代用は小建中湯。
肺気陰両虚を呈する時は、益気養陰するために四君子湯合八仙丸や補中益気湯合八仙丸とする(六君子湯では乾かすので9988陰虚を助長する畏れ)
腎虚の腰痛で、陰虚には六味丸を使うが、食欲がなければ小建中湯である。陽虚でも食欲がなければ八味丸ではなく小建中湯である
六味地黄丸(六味丸):地黄8 山茱萸4 山薬4 沢瀉3 茯苓3 牡丹皮3:三補三瀉の構成。
慢性病の人・高齢者は陰陽両虚が多く、両方の症状を持っているので注意すること:虚熱で手足が火照るので冷え症でないという高齢者に六味丸を通常量を与えて喘息などの慢性の症状を悪化させる恐れがある。
腎水不足し、虚火上炎のものあり、六味湯(六味丸)が適応。
腎陰虚の症状:めまい・耳鳴・難聴(腎は耳に開竅カイキョウしていて、肝の経絡も通っている)・虚熱のため咽乾や口乾・体の熱感・腰重・遺精イセイ・寝汗・脈細数・舌質偏亢へんこう:六味丸の加減
腎虚の蓄膿:鼻水が塩辛くなる・後鼻漏になる・鼻がつまる人は腎虚の薬で治療するが、脾肺気虚を併発しているので
腰以下が冷える人は六君子湯合真武湯で、
腰以下が温かい人は小建中湯合六味丸
六君子湯:補気健脾・理気化痰:構成は六味ではなく八味である(乾生姜・大棗はよく記載が省略される):人参4 白朮4 茯苓4 甘草1 乾姜0.5 大棗2 半夏4 陳皮1:半夏・陳皮は行気・化痰作用で痰飲の薬である。
真武湯しんぶとう:回陽救逆・温陽利水:附子1 茯苓5 白朮3 白芍3 生姜3:白朮+白芍の組合せはお腹の痛みを止める薬であるので、過敏性大腸炎に使える:当帰芍薬散も適用。
当帰芍薬散:肝血虚・脾虚湿滞:当帰3 白芍4 白朮4 茯苓4 沢瀉4タクシャ 川芎3:過敏性大腸炎:真武湯も適用:当帰がもたれ胃痛となる脾虚の人もいる。
沢瀉タクシャ:サジオモダカの塊茎かいけい:甘・寒:利水・滲湿しんしつ・清熱。
糖尿病患者で、腰や膝が温かく、顴骨がかなり紅色(顴紅かんこう)な場合は六味丸や知柏地黄丸を使う。
顴紅かんこう:顴骨かんこつ の部分の赤味。お酒を飲んだときのような頬の赤味。
当帰芍薬散:のぼせの無い人の薄い顔面のシミ。(川芎は頭に薬全体を引っ張り上げる働きで、天麻よりも強く頭の方に薬を引き上げ上部に効くのでのぼせる・頭痛薬に配合される。陰虚火旺には使わない)目の下・顴紅のシミで腎陰虚なら六味丸。
更年期の目の下のシミ・顴紅では、当帰芍薬散では治らない。腎陰虚なので六味丸だが、喘息の腎陰虚は緩解期は八仙長寿丸(八仙丸)。小建中湯が代用となる。
陰虚の便秘には、脾虚なら小建中湯(老人に多い便秘)を使い、それ以外は六味丸・六味丸加減方を使う。強い便秘には効かないので慢性の便秘で便秘薬をつかってもすんなり出ない人に併用させる。
陰虚は、疲労や慢性病などが原因の水気不足による虚熱発生の状態である。
陰虚の症状:顔がのぼせ・目赤・イライラ・顴紅かんこう・口が乾き・陰虚の便秘・手足がほてる・夕方悪化・五心煩熱・寝汗・消渇しょうかち では栄養不足・水分不足で痩せてくる。高齢者が慢性病で亡くなる前は、食事がとれず陰虚がすすみ体形や手足が細く小さく縮む。
六味地黄丸を、補中益気湯と一緒に用いると、さらに脾胃の昇降関係に配伍した方剤となる。
小児の 手顫しゅせん・・補腎養肝:六味丸合青娥丸加枸杞子・菊花・麦門冬・五味子(杞菊地黄丸合生脈散)
八仙丸や六味丸が無い場合の腎陰虚の喘息・・・小建中湯を代用する。
夜ごとに微熱を発し、動作に異常はなく、飲食も普通なら、血虚し陰は陽を済すくわず、朝に加味逍遙散を用い、暮れに六味丸を用い、応ぜざれば当帰補血湯・加減八味丸を用いる。
腎陰虚の腰痛では六味丸を使うが、必ず丸薬を使う。慢性病には丸薬を使い、急性症状には煎剤・エキス剤を使う。たとえば夜間頻尿には八味丸を丸剤で使い、冷えによる急性の膀胱炎にはエキス剤を使う。
朝から何回ものぼせて熱くなる人は、心の症状か虚熱か肝鬱である。心の症状の心腎陰虚なら天王補心丹であり(陰虚は水分不足で汗はでないで火照るだけ)、虚熱(腎陰虚)なら六味丸加減方か知柏地黄丸(心の症状が無い場合)。肝鬱でのぼせ後に冷や汗がでるなら加味逍遙散。
六味丸:滋補肝腎・清虚熱・利湿:三補三瀉:八味丸から六味丸が生まれた。
山茱萸:山萸肉さんゆにく:萸肉ゆにく:ミズキ科サンシュユの乾燥果実で核を去る:補益肝腎・渋精・斂汗:六味丸・八味丸に用いる。
痰飲症状の場合、
上部には苓桂朮甘湯・
中部(胃)には二陳湯や六君子湯・
下半身には八味丸や六味丸を用いる。
二陳湯:燥湿化痰:半夏5、陳皮4、茯苓5、生姜1、甘草1
苓桂朮甘湯:温化寒飲おんかかんいん・通陽化痰つうようかたん・健脾利水けんぴりすい:茯苓6 桂枝4 白朮3 甘草2:心陽虚に用いる:めまい・頭痛(包裹痛ほうかつう)・頭重感・のぼせ・肩こり(気逆)・足冷:もともと心臓の薬である。
包裹痛ほうかつう:圧迫痛(包裹痛):頭によく現れるが、上から押されるような痛みで包裹痛とも呼び、包まれるような痛みでもあり湿邪が原因で平胃散を使う。
平胃散:理気化湿・和胃:蒼朮4 厚朴3 陳皮3 大棗2 生姜 1 甘草1:蒼朮が主薬の平胃散は湿気を去る色々な場所の鎮痛剤でもある:筋肉・関節・胃腸・頭・背中・腰など。
足の一点だけ痛む時は、踵痛しゅつう(腎虚)には六味丸・杞菊地黄丸、ふくらはぎ全体・大腿部の筋肉痛(脾虚)には六君子湯、すねの横が痛む時(筋は肝血虚)は四物湯。三つ同時の症状は小建中湯。足の裏の痛み血虚。
「かかと痛(腎の症状:腎虚の薬)、ふくらはぎ痛や腹痛(胃腸の症状:手足は脾が主どる:胃薬)、すねの筋も痛い足痛(筋は肝の支配:肝血虚かんけっきょ)血虚の薬」という子供は腎虚・肝血虚・脾虚の三つが重なった状態なので小建中湯(成長痛や疲労痛)を使う。
老人の慢性病の陰陽両虚証は六味丸類だけでは症状が悪化しやすい。
腎虚の腰痛で陰虚には六味丸を使うが、食欲がなければ小建中湯である。陽虚でも食欲がなければ八味丸ではなく小建中湯である:食欲がないのに八味丸を使うといずれの症状も悪化する。
腎陽虚には、八味丸だが脾虚の場合は、小建中湯(食欲不振)や真武湯(食欲不振)を使う。
腎虚の耳鳴・耳聾の人は、耳聾左慈丸(耳鳴丸)・八味丸・六味丸。
耳聾左慈丸じろうさじがん:六味丸加磁石じせき・石菖蒲せきしょうぶ・五味子:熱病後期、退熱後、腎虚精脱により耳鳴りと耳聾を治す。
腎虚により何年も耳だれがでる場合は、八味丸や六味丸でないとなおらない。
中耳炎など耳の症状は、肝の経絡なので小柴胡湯加桔梗石膏といっても、腎虚によって長年耳だれが出る人は、八味丸や六味丸でないと治らない。また、脾虚なら参苓白朮散、脾虚痰飲は六君子湯などの合方する。
六味丸:滋補肝腎・清虚熱・利湿:地黄 山茱萸 山薬 沢瀉 茯苓 牡丹皮。