打撲・骨節

2023/11/19

打撲・骨節

これらの病態は、気滞や瘀血を伴うので、

気滞には、半夏厚朴湯を使い、

瘀血には、桂枝茯苓丸・桃紅四物湯・血府逐瘀湯・折衝飲を使う。

「瘀血の薬」だけでは打撲・骨節に効かないので、行気薬の半夏厚朴湯を合方する。

気滞は、打撲などでは脹ってくる痛みの脹痛が特徴で、ストレスで生ずる肝の症状である。リウマチなどの痛みで脹痛には、半夏厚朴湯を併用する。下肢痛には牛膝ごしつ、木瓜もっかを加え、関節腫脹には防已・牛膝を加える。

ストレスが強くなると「肝火上炎」となり、大柴胡湯や竜胆瀉肝湯となるが、気滞だけであれば半夏厚朴湯である。

大柴胡湯:肝火上炎・肝気鬱結・胃実熱・心下痞硬が特徴。柴胡6 黄芩3 白芍3 半夏4 生姜4 大棗3 枳実2 大黄1(心下痞硬は上腹部の脹りで胃熱が原因)

竜胆瀉肝湯:肝は目に開竅し、「諸風掉眩は、みな肝木に属す」、肝火上炎すれば、目赤腫痛し、眩暈、頭痛する。

よって、気滞と血瘀には、

半夏厚朴湯合桂枝茯苓丸、

半夏厚朴湯合血府逐瘀湯、

半夏厚朴湯合折衝飲とする。

半夏厚朴湯:理気化痰:半夏6 厚朴3 茯苓5 生姜4 紫蘇葉2:肝鬱痰飲の薬:竄痛ざんつう の薬。

桂枝茯苓丸:活血化瘀:消癥瘕おなかの塊を消す:桂枝4、茯苓4、桃仁4、牡丹皮4、赤芍4:少腹の痛み・子宮筋腫による多量の出血の止血の改善のために瘀血を去る(消癥瘕)

風痰挟瘀の四肢のけいれん・・てんかん:袪瘀・熄風:鎮肝熄風湯合血府逐瘀湯。

当帰が無いので冠心二号方の補血作用は血府逐瘀湯より弱いが、袪瘀血作用は冠心二号方の方が強い。血虚が強ければ血府逐瘀湯を使い、血虚症状が少なければ冠心二号方を使う。

血府逐瘀湯:活血化瘀・通絡・理気止痛・補血:生地黄4 桃仁4 紅花3 当帰3 赤芍3 牛膝3 柴胡2 枳穀2 桔梗2 甘草1:瘀血一般に繁用処方(川芎は入っていないが四物湯がある)心筋梗塞の予防。

川芎せんきゅう:活血行気・袪風止痛・頭痛薬・薬を頭部に運ぶ作用:袪風活血薬:川芎は陰虚火旺には使わない。

折衝飲:活血化瘀・理気止痛:当帰5 桃仁5 牡丹皮3 川芎3 赤芍3 桂枝3 牛膝3 紅花2 延胡索3:心筋梗塞痛・瘀血の腰痛・足痛・夜中の腹痛心臓痛・脇痛の月経痛。

桂枝は血をを行らす行血作用があるので、桂枝茯苓丸は瘀血をとる薬なので甘辛大熱の肉桂ではなく、桂枝が入っている。

薏苡仁湯よくいにんとう(湿痹):関節腫脹つよければ加える:防已4,牛膝3g。

牛膝ごしつ:ヒユ科イノコズチモドキ:平:活血袪瘀止痛・活血通経・舒筋利痹・補益肝腎・強筋骨・薬を下行させる引経薬で下半身の痛みに繁用する。

延胡索エンゴサク:活血・理気・止痛・鎮静・鎮痙:気滞血瘀に対して活血行気で血滞を除き止痛する。折衝飲・金鈴子散に配合。

桃紅四物湯トウコウシモツトウ:活血化瘀・補血涼血:桃仁3 紅花2 当帰3 赤芍2 川芎2 生地黄3(桃仁・紅花+四物湯):血府逐瘀湯の簡略処方。

金鈴子散キンレイシサン:気滞血瘀による諸痛に対する基本方剤:金鈴子(川楝子・苦楝子:苦寒)と延胡索(辛苦温)の粉末1回2gを、湯で服用して胃痛に対処する:止痛に特化した処方:清熱疏肝の方剤。

治打撲一方 ぢだぼくいっぽう(香川家・香川修庵):活血化瘀・補血涼血:川骨3 樸樕3(または桜皮) 川芎3 桂枝3 大黄1 丁香1 甘草1.5。

川骨せんこつ:スイレン科のコウホネの根茎:破血止血の要薬:打撲捻挫の疼痛:日本の経験方。

樸樕ぼくそく:ブナ科のクヌギ・コナラ・ミズナラなどの樹皮:鎮痛・悪瘡あくそうに効果・駆瘀血・解毒・消炎・収斂・止血:痔・下痢・下血:日本の経験則。

大黄は活血化瘀の作用を助け、陳を除いて新を生じ、血熱を清瀉する。

丁香・公丁香・丁子チョウジ:フトモモ科チョウジの花蕾:辛温:肺・胃・脾・腎経:温中降逆・温腎補陽:吃逆に丁香柿蔕湯:歯科材料にチョウジ油を練り込んで嘔逆を防ぐ。降逆は嘔気をおさえる。