2023/12/12
麻杏薏甘湯(外感風湿)
外感風湿に麻杏薏甘湯:袪風湿・解表・止咳平喘:散寒袪湿:
麻黄4 杏仁3 薏苡仁10 炙甘草2:
風湿の表証で浮腫に使用・風湿が化熱して熱をもったものに使用・イボに使用。
麻杏薏甘湯は、雨に濡れてひいた風邪に使う。
風湿とは:金匱要略:「病者 (体が)ことごとく疼み、発熱し、日晡に(症状が)劇しきところのもの、風湿と名づく。この病は汗出でて風に当たるによりて傷れ(発病する)、あるいは久しく冷(冷所や冷たい物)を取るに傷れて致すところなり」。
風水:全身の浮腫をともなう状態:越婢加朮湯(無汗・元気):疏風宣肺・利水・風水に適応:風水で、息切れ・元気がない・自汗などの気虚がみられない時に越婢加朮湯を使う。
気虚の風水の時は防已黄耆湯が適応(息切れ・元気がない・自汗)。
防已黄耆湯:黄耆5~10 木防已5 白朮3 生姜3 炙甘草2 大棗3:補気健脾・利水消腫・袪風止痛・自汗の場合に使用:健脾作用があるので胃薬である。袪風作用は風邪薬でもある。
木防已もくぼうい:ウマノスズクサ科広防已の根:利水消腫(肺水腫・胸水の利水)・袪風止痛(風邪薬・鎮痛剤):袪風利湿・清熱。
木防巳湯:支飲(胸部の痰飲・胸水)・肺水腫の呼吸困難・尿量減少・口渇・発熱 に、利尿・鎮静・消炎・軽度の強心:鬱血性心不全・肺水腫・心臓喘息:利水滲湿・益気・清熱・胸水:
木防已4 桂枝2 党参4。
越婢加朮湯:疏風宣肺・利水・風水の浮腫に適応・急性腎炎・初発は面部浮腫:麻黄6 石膏8 生甘草2 生姜3 大棗3 白朮4:急性腎炎のむくみを去る。息切れ・元気がない・自汗などの気虚には使わない。
痛風や腰痛・神経痛で、立った時や座った時に痛む場合は、
麻杏薏甘湯を使う:湿気(風湿)を袪湿するのは麻杏薏甘湯で、
天気が悪くなると膝痛がひどくなる時に適応する。
お茶や水分・お酒をよくとっている人が、野外で草むしり等をして風湿に外感すると膝痛となる。川を徒渉したり、雨に濡れて風にあたると風湿に外感して膝痛になる:麻杏薏甘湯が適応する。
麻杏薏甘湯に含まれる薏苡仁は胃腸の薬であり、湿気をさばく利水滲湿作用があるので関節の浮腫に効くとされるが、麻黄・杏仁と
一緒に使うことで浮腫に効果が出てくる。
行痹ぎょうひ の治法は、袪風通絡・散寒利湿:
蠲痺湯加減・麻杏薏甘湯
蠲痺湯けんぴとう:行痹:発熱時に加える:知母3,黄芩4。
麻杏薏甘湯:風湿束表の症状に適用。
風湿束表の症状:無汗、頭の緊縛痛、肢体の重だるさ、悪寒、発熱が夕方に強くなる:麻杏薏甘湯・羗活勝湿湯。
羗活勝湿湯:内外傷辨惑論:辛温解表・袪風湿・止痛:風湿の表証に適応:羗活3 独活3 防風3 藁本3 蔓荊子3 川芎2 炙甘草1:麻杏薏甘湯も外感風湿に適用。
羗活きょうかつ:辛苦温:袪風解表・袪風湿・止痛:辛温芳香で上行して発散するので、表にある風寒湿邪を除くのに最適。
独活:袪風湿・通経絡:特に項背部の筋肉や下半身の関節の風湿を去る・臀部の痛み・両足のしびれ:独活寄生湯。
独活寄生湯加減:調補気血・舒筋活絡:気血虚痹:独活3 桑寄生4 秦艽3 当帰3 白芍4 川芎3 生地黄3 杜仲4 牛膝3 党参3 茯苓4 桂枝2 炙甘草1.5。
桑寄生そうきせい:ヤドリギ:補肝腎・袪風湿・強筋骨・安胎(滑胎に寿胎丸):梅寄生もある。
秦艽じんぎょう:リンドウ科秦艽の根:袪風湿・退黄疸・除虚熱。
防風:辛甘微温:袪風解表・袪湿解痙・止瀉止血:上肢痛には、防風・桂枝・威霊仙を加える。
辛温解表の防風・藁本こうほん。
藁本・川藁本:セリ科藁本の根茎:辛温:膀胱経:袪風散寒止痛・鎮痛:風寒・風湿の外感頭痛に:羗活芎藁湯きょうかつきゅうこうとう:はげしい感冒頭痛に:羗活・川芎・藁本・白芷・防風各3g。
蔓荊子まんけいし:疏散風熱・清頭目:鎮静・鎮痛作用:頭痛・風湿による肢体のしびれ・だるさ・運動障害に:よく眼薬・頭痛薬に配合される。