2024/6/11
糖尿病
糖尿病の処方
白虎加人参湯(口渇喜冷飲・やせない)・白虎加人参湯合加味逍遙散(肝鬱喜冷飲)・大柴胡湯(肝鬱胃熱の心下痞硬・やせない)・柴胡加竜骨牡蠣湯(肝鬱・怠い)・桃核承気湯(紫斑色経期狂状・やせない)・防風通聖散(食滞・やせない)・防風通聖散合加味逍遙散(食滞肝鬱・やせない)・麦門冬湯(胃陰虚やせる)・沙参麦門冬湯(胃陰虚やせる)・一貫煎(胃陰虚やせる)・五苓散(口渇小便不利・自汗多汗)・猪苓湯(無汗・口渇小便不利)・胃苓湯(浮腫・口渇小便不利自汗多汗)・知柏地黄丸(虚労やせる陰虚火旺)・六味丸(虚労やせるのぼせる陰虚)・八味丸(腎虚小便頻数不利・虚労)・真武湯(虚労。腎虚で小便頻数不利)・六君子湯(脾虚虚労)・補中益気湯(脾虚虚労中気下陥)・参苓白朮散(脾虚虚労)。
糖尿病の人はせっかちな人が多く、食事が速く、せっかちで早飯の人は胃腸に負担をかけて糖尿病になりやすい。脾虚や痰飲・肝鬱・肝陽上亢・肝火上炎・胃熱から陰虚・胃陰虚なども生じて糖尿病の原因となる。
したがって、糖尿病の漢方治療には、脾虚や痰飲・肝鬱・肝陽上亢・肝火上炎・胃熱・陰虚・胃陰虚を目標として治療することになる。
知柏地黄丸:滋補肝腎・清熱瀉火:陰虚火旺:知母 黄柏 地黄 山薬 山茱萸 沢瀉 茯苓 牡丹皮:陰虚火旺の虚熱証:口渇(虚熱)喜冷飲・多尿(腎虚)で陰虚のため体重減少が顕著な糖尿病、酒熱を冷ます。
糖尿病患者で、腰や膝が温かく、顴骨がかなり紅色(顴紅)な場合は
六味丸や知柏地黄丸を使う。
(記憶する)陰虚火旺で体重減少の糖尿病に知柏地黄丸。
陰虚火旺:内傷七情で肝鬱化火したり、房室不節で腎陰が消耗し陰虚火旺となる:五心煩熱・夕方に微熱が出る・顴紅・口渇少津・冷飲を好む・舌質紅・脈数など熱証を呈する:知柏地黄丸。
多食善飢の糖尿病では、胃熱による食欲旺盛な場合がある。食欲旺盛でも肥るわけではないが、陰虚になって痩せることがない場合は、食欲旺盛なら防風通聖散や大柴胡湯や桃核承気湯が糖尿病に使える。
(記憶する)食欲旺盛で痩せていない糖尿病に、防風通聖散・大柴胡湯・桃核承気湯。
防風通聖散:疏風解表・瀉熱通便:当帰 芍薬 川芎 山梔子 連翹 薄荷 生姜 荊芥 防風 麻黄各1.2 大黄1.5 芒硝1.5 桔梗 白朮 黄芩 石膏 甘草各2 滑石3:便秘・肥満・食欲旺盛の糖尿病。
(記憶する)食欲旺盛で痩せていない糖尿病に、防風通聖散。
糖尿病に、胃熱があり食欲があり、心下痞硬(胃熱による)・口臭・口渇・便秘なら大柴胡湯だが、糖尿病は陰虚の人が多く長期連用は注意:大柴胡湯は冷やし乾かす作用がある(陰虚は水分不足で、虚熱を生ずる状態)。
大柴胡湯は、胃実熱のため心下痞硬・食欲旺盛・イライラ・のぼせの糖尿病は、食毒熱滞留なので食欲不振の場合もある。長期使用では陰虚を補う四物湯や六味丸を少量加える。大柴胡湯合四物湯、大柴胡湯合六味丸、大柴胡湯合瓊玉膏。
(記憶する)胃熱の心下痞硬・口臭・口渇・便秘で痩せない糖尿病に、大柴胡湯。
(記憶する)心下痞硬・食欲旺盛・イライラ・のぼせ・口臭・口渇・便秘で痩せない糖尿病に大柴胡湯。
食欲がない脾虚の糖尿病の場合、「小便が近くなる」のは腎虚なので脾虚の処方に真武湯を合方する。腎虚であっても、脾虚に八味丸や六味丸では悪化する。六君子湯合真武湯、補中益気湯合真武湯。
食欲不振で脾虚で腎虚で頻尿の糖尿病に、六君子湯合真武湯、補中益気湯合真武湯。
桃核承気湯:清熱瀉下・活血逐瘀:桃仁5 桂枝4 大黄3 甘草2 芒硝2(調胃承気湯+桃仁・桂枝):瘀血と熱状・口渇・多食善飢で狂症を現す時や糖尿病に使用:桃仁・桂枝・大黄が駆瘀血薬。
(記憶する)多食善飢で瘀血の狂症で口渇で痩せない糖尿病に、桃核承気湯。
舌に紫暗色の瘀点のある瘀血の人・便秘気味で、生理前はイライラが強くなり狂のごとくなる人の多食善飢の糖尿病には、桃核承気湯。狂人には抵当丸。
(記憶する)多食善飢・口渇・舌瘀斑・便秘気味・経前イライラで痩せない糖尿病に、桃核承気湯。
八味丸:温補腎陽・補陰陽:熟地黄・山薬・山茱萸・沢瀉・茯苓・牡丹皮・桂枝・炮附子:八味丸は陰陽両虚に使うので、陰虚の糖尿病の口渇や小便頻数も治す。下半身だけの浮腫の糖尿病は八味丸。
(記憶する)279.糖尿病からくる腰痛、房事過多による腰痛にも八味丸は良く効く。
(記憶する)脾虚ではなく陰虚の口渇・頻尿・下半身浮腫でだるい糖尿病に、八味丸。
猪苓湯:清熱利水・滋陰止血・滋陰清熱利水止血:無汗・口渇喜冷飲・小便不利・淋証・無汗の口渇喜冷飲・小便不利の糖尿病:
猪苓3 茯苓3 沢瀉3 滑石3 阿膠3:陰虚停水・水熱互結。
(記憶する)陰虚・淋証・無汗の口渇喜冷飲・小便不利の糖尿病に猪苓湯。
(記憶する)口渇・小便不利で浮腫がある糖尿病は胃苓湯(平胃散+五苓散)を使う。
(記憶する)五苓散を糖尿病に用いるなら、口渇・小便不利・自汗・(水逆)がなければならない。
口渇・多汗・小便不利は、小便のかわりに汗がでると考え、糖尿病に五苓散(自汗)の適応を考える。
沙参麦門冬湯:熱邪が消退して「肺胃の陰虚」で津液消耗が残った状態である:「肺燥気逆」による乾咳・少痰。「胃燥気逆」では、乾嘔・食欲不振・糖尿病、陰虚内熱では脈やや数・舌紅:。
沙参麦門冬湯:温病条辨:清養肺胃・生津潤燥:肺胃津傷:沙参3 玉竹2 生甘草1 桑葉1.5 麦門冬3 生扁豆1.5 天花粉1.5:微熱・平熱・口渇・咽燥・乾咳・少痰・舌紅で乾燥・少苔・脈細やや数。
天花粉・花粉・括楼根:シナカラスウリの塊根:甘酸寒:肺胃経:清熱潤燥・排膿消腫・生津止渇・抗腫瘍作用・糖尿病の胃熱による傷陰に対して寒凉で滋潤作用を用いる。
沙参麦門冬湯:肺胃の陰虚:肺燥気逆の乾咳・少痰。胃燥気逆の乾嘔・食欲不振・舌紅・糖尿病。
沙参麦門冬湯:肺胃陰虚:乾咳・少痰・乾嘔・食欲不振・舌紅・糖尿病。
(記憶する)口乾・多食善飢・陰虚で痩せる糖尿病に、麦門冬湯・沙参麦門冬湯。
麦門冬湯:滋陰益気・補益肺胃(胃陰虚に適応)・降気(シャックリ):
麦門冬10 人参2 製半夏5 炙甘草2 粳米5 大棗3:
口乾の吃逆に一服で効く:消渇病で多食善飢だが体重減少がある陰虚の糖尿病に適応する。
(記憶する)多食善飢・痩せる・陰虚の糖尿病に、麦門冬湯。
(記憶する)食欲旺盛で肝鬱で痩せない糖尿病には防風通聖散合加味逍遙散とする。
(記憶する)糖尿病では、疲れをとるために十全大補湯を使うと、気血両虚は補っても、体を潤す陰虚(津液不足と胃熱の清熱)を補っていないので、血糖値は上がってしまう。
五苓散は、乳幼児の嘔吐に用いる場合が多い。風邪時に葛根湯などを用いて汗がでてから(自汗)、五苓散証になることが多い。
五苓散:腎炎、ネフローゼ、膀胱炎、腎盂炎、偏頭痛、急性胃腸炎、糖尿病などに用いるが、脾虚には参苓白朮散・六君子湯、腎虚には真武湯などを合方する。
括楼根・天花粉:清熱潤燥・排膿消腫(切れにくい痰の肺化膿症・肺炎)・生津止渇(痰切れを良くする・糖尿病の口の乾きや陰虚体質を改善する)。
(記憶する)胃熱によって生じた肺熱には天花粉(栝楼仁)が(糖尿病など)。
糖尿病に、胃熱があり食欲があり、心下痞硬(胃熱による)・口臭・口渇・便秘なら大柴胡湯だが、糖尿病は陰虚の人が多く長期連用は注意:大柴胡湯は冷やし乾かす作用がある(陰虚は水分不足で、虚熱を生ずる状態)。
(記憶する)糖尿病で多食善飢で体重減少がない人で、イライラすると大食いになる人は大柴胡湯である。
大柴胡湯合六味丸・大柴胡湯合八味丸:糖尿病(健啖家の食滞型・慢性に移行した耳鳴り・難聴・耳だれ)。
(記憶する)健啖家の食滞の中年の糖尿病に大柴胡湯合六味丸・大柴胡湯合八味丸。
(記憶する)冷え症・夜間多尿・口渇の陰陽両虚の糖尿病:大柴胡湯合八味丸。
(記憶する)体重減少の陰虚・口渇・口臭・便秘の糖尿病:大柴胡湯合六味丸。
(記憶する)糖尿病の虚労病:胃腸の働きが悪い胃の陰虚(麦門冬湯)で体重減少があり(陰虚)、脾気虚には六君子湯・補中益気湯・参苓白朮散を合方する。
(記憶する)糖尿病の虚労病:脾虚で食欲がなくて、小便が近い腎虚で多尿には、脾気虚の薬(六君子湯・補中益気湯・参苓白朮散)に腎虚の薬(真武湯・八味丸・六味丸)を合方する。
消渇病で、多食善飢だが体重減少がある陰虚に適応し、このような糖尿病を麦門冬湯は改善する。
(記憶する)多食善飢・痩せる・陰虚の糖尿病に、麦門冬湯。
胃熱(大柴胡湯の心下痞硬):よくみられる裏熱の一種・熱邪が裏に入ったり・辛辣な物や味の濃い物の多食による胃障害や肝火犯胃などで生じ実熱が多い。胃炎・胃十二指腸潰瘍・糖尿病・歯齦炎:胃陰虚の虚熱とは別。
(記憶する)イライラする糖尿病患者には、疏肝薬の加味逍遙散を程度に応じて少量合方する。防風通聖散合加味逍遙散、白虎加人参湯(口渇)合加味逍遙散など
疏肝薬:イライラの肝鬱は、体内のすべての流れを阻滞させる作用があるため、疏肝薬は減量して合方することが慢性病の処方の基本となる。
白虎加人参湯:清熱瀉火・生津止渇・補気:気分熱盛:陽明経証:大熱・大汗・大煩渇・脈洪大・:
生石膏15 知母5 生甘草2 粳米8 人参3:
消渇病の多飲・大汗・多尿で体重減少ない(陰虚ではない)人の糖尿病。
(記憶する)大熱・大汗・大煩渇(口渇)・多尿で、痩せない糖尿病に白虎加人参湯。
(記憶する)糖尿病で多食善飢で体重減少がない人で、舌が紫色や瘀斑がある人は桃核承気湯をつかう。
胃熱があると、咽が乾き、食欲旺盛となり、口臭が出てくる。甘いものは不適で、苦い物で胃熱を冷ます。のぼせや咽の渇きが治まり、糖尿病の血糖値もさがる。