心筋梗塞の預防に血府逐瘀湯
血府逐瘀湯:活血化瘀・通絡・理気止痛・補血:生地黄4 桃仁4 紅花3 当帰3 赤芍3 牛膝3 柴胡2 枳穀2 桔梗2 甘草1:瘀血一般に繁用 心筋梗塞の予防:打撲・骨節では血府逐瘀湯合半夏厚朴湯。
牛膝ごしつ:ヒユ科イノコズチモドキ:平:活血袪瘀止痛・活血通経・舒筋利痹・補益肝腎・強筋骨:薬を下行させる引経薬で下半身の痛みに繁用する。
桔梗:宣肺利膈・載薬上行・開肺気により水道を通利する:桔梗で開痹散結して咽喉を利する:桔梗には単独で、また桂枝と協力して配合薬物の薬効を上焦部に導く引経作用(載薬上行)がある。
血府逐瘀湯:瘀血一般に繁用処方(川芎は入っていないが四物湯配合されている)心筋梗塞の予防。
心筋梗塞には、血府逐瘀湯・冠心二号方・折衝飲を通常使用するが、狭心症には胸をひらく作用の栝楼薤白半夏湯を使う。
心筋梗塞に栝楼薤白半夏湯を血府逐瘀湯・冠心二号方に合方する場合もある。共に動悸を伴う。
栝楼薤白半夏湯:気滞血瘀による胸痞に:栝楼実3 薤白4 半夏6 三味に濁酒40ccに水400ccを加え煮て200ccに煮詰め3回に分服する。
栝楼・栝楼仁・栝楼実:楼仁:楼実:ウリ科シナカラスウリ・キカラスウリの成熟種子:苦寒:肺胃大腸経:清熱化痰・潤肺化痰・利気通便・理気寛中:栝楼薤白半夏湯は気滞血瘀で生じた胸痞(狭心症)に適応。
薤白がいはく:ユリ科チョウセンノビル・ラッキョウの地下鱗茎:苦辛温:肺・胃・大腸経:温中通陽・行気止痛:お腹を温め陽気をめぐらし、気の流れを促して止痛する。
半夏:痰飲を除き、心下痞満を消失させる:辛温:燥湿化痰・降逆止嘔・消痞散結:袪痰飲し、吐き気を止め、心下痞硬を和らげる。
栝楼薤白白酒湯:理気袪痰・通陽散結:栝楼仁2 薤白6 白酒30ml:湿痰による胸痺に使用。
冠心二号方:かんしんにごうほう:活血化瘀・止痛:丹参たんじん 赤芍 川芎 紅花 降香こうこう 木香 香附子:すべて行気薬と活血薬で組成されているので、血虚のない実証には血府逐瘀湯より効果は高い。
痛みを伴う足の静脈瘤には血府逐瘀湯や補陽還五湯がよく効く。
補陽還五湯:気虚・血虚・瘀血の脳卒中後遺症・心筋梗塞・高次脳機能障害:代用処方は十全大補湯合血府逐瘀湯:益気活血・和営通絡:黄耆40 当帰3 赤芍3 川芎3 桃仁2 紅花3 地竜3:気虚が必ず必要:気虚ではない脳出血後では出血を助長する畏れがある。
瘀血内結の潮熱・・血府逐瘀湯加製大黄・牡丹皮:打撲・外傷・寒凝気滞・血熱妄行で血流が停滞して、血瘀が生じ、内欝した瘀血が化熱して潮熱となる・・午後又は夜間の発熱が化熱して潮熱が発生する。
夜中に生じる腹痛や胃痛の原因は瘀血であり、加味逍遙散加田七・柴胡桂枝湯加田七や折衝飲・血府逐瘀湯・補陽還五湯を使う。
加味逍遙散加田七は、肝炎にも使う。
田七:田三七:三七:ウコギ科人参三七の根:甘微苦温:肝・胃経:止血・袪瘀・消腫・止痛:粉末も傷口の止血・止痛に使う瘀血の薬である:胃痛の刺痛には:加味逍遙散加田七・柴胡桂枝湯加田七。
夜中に突然心臓が痛くなるのも心臓の瘀血で心筋梗塞である。瘀血の症状は夜中に悪化し、心筋梗塞には桂枝茯苓丸は効かないので、折衝飲せっしょういん、血府逐瘀湯、補陽還五湯を使う:これらは足の静脈瘤にもよい。
瘀血で気虚を兼ねるときは、生脈散合折衝飲。
折衝飲には、大黄・芒硝などの下剤は入っていないが、お腹の中にある瘀血で血液の流れがひどく悪くなって瘀血便秘になるが、折衝飲で血流が回復すると腸の動きもよくなり、下剤を入れなくても便秘が治る。
生脈散:益気止汗・滋陰生津せいしん:人参・五味子・麦門冬:発汗過多による倦怠感・熱中症や熱射病や夜間乾咳(百合固金湯)の特効薬・暑い職場の多汗疲労。陰虚では全身の津液不足や肌のカサカサになるが潤す。
一般的な瘀血の処方は、血府逐瘀湯であるが、無い場合の代用処方は折衝飲せっしょういん である。
当帰が無い冠心二号方の補血作用は弱いが、袪瘀血作用は冠心二号方の方が強い。血虚が強ければ当帰・生地黄の有る血府逐瘀湯を使い、血虚症状が少なければ冠心二号方を使う。
血府逐瘀湯:活血化瘀・通絡・理気止痛・補血:生地黄4 桃仁4 紅花3 当帰3 赤芍3 牛膝3 柴胡2 枳穀2 桔梗2 甘草1:瘀血一般に繁用処方(川芎は入っていないが四物湯がある)心筋梗塞の予防。
折衝飲:活血化瘀・理気止痛:当帰5 桃仁5 牡丹皮3 川芎3 赤芍3 桂枝3 牛膝3 紅花2 延胡索3(すべて袪瘀作用がある生薬):心陽虚・瘀血による鎮痛効果が血府逐瘀湯より高い。
冠心二号方かんしんにごうほう:活血化瘀・止痛:丹参たんじん 赤芍 川芎 紅花こうか 降香こうこう 木香 香附子:すべて行気薬と活血薬で組成されているので、血虚のない実証の瘀血には 血府逐瘀湯より効果は高い。
風痰挟瘀の四肢のけいれん・・てんかん:袪瘀・熄風:鎮肝熄風湯合血府逐瘀湯。
鎮肝熄風湯:医学衷中参西録:牛膝 代赭石 竜骨 牡蛎 亀板 白芍 玄参 天門冬 川楝子 麦芽 茵蔯蒿 甘草:煎じ薬で作らなければ日本には無い。
牛膝ごしつ:ヒユ科イノコズチモドキ:平:活血袪瘀止痛・活血通経・舒筋利痹・補益肝腎・強筋骨・薬を下行させる引経薬で下半身の痛みに繁用する。
重鎮安神剤の代赭石たいしゃせき・赭石:赤鉄鉱:二酸化ケイ素・酸化第二鉄:鎮胃降気・平肝熄風:鎮静・鎮嘔・止血作用:嘔気・吃逆・・上腹部膨満感・おくびなどの胃気虚:旋覆花代赭石湯。
玄参げんじん:苦鹹寒:心肝肺経:ゴマノハグサの玄参の根:涼血解毒・降火滋陰:涼血・滋陰しまた解毒作用を示す要薬。皮膚・頭頸部に働く。冷やし潤す:滋腎陰薬:肺胃腎経:滋陰清熱・瀉火解毒(腎陰虚の薬)。
天門冬てんもんどう:ユリ科クサスギカズラの塊状根:甘・苦・大寒:滋陰潤燥・清熱化痰・肺陰虚の虚熱の咳嗽:清熱滋陰潤燥化痰。
川楝子せんれんし・金鈴子きんれいし・苦楝子くれんし:センダン科トウセンダンの成熟果実:苦寒:理気止痛・殺虫:アニサキスに。
茵蔯蒿いんちんこう:カワラヨモギの幼苗:苦平微寒:清熱利湿・退黄疸:胆汁分泌促進・黄疸の主薬:茵蔯蒿湯:肝胆湿熱:黄疸・肝炎・急性膵炎・胆石・胆嚢炎:山梔子3 茵蔯蒿4 大黄1:小便不利・無汗・口渇・多飲・心煩懊憹でイライラ・軽い腹満・黄疸。
懊憹・懊悩:胸膈に、ある種の灼熱・嘈雑感のある状態。心中懊憹・心煩懊憹ともいう。病因は、不適切な発汗や誤って瀉下し、そのため外邪が裏に入り胃腑に及んだもの。急性熱病・胃腸炎・肝炎などに見られる。
血府逐瘀湯は、毎月3日間服用すると、瘀血による心筋梗塞や脳卒中などを予防すると言われている。