2024/8/28
耳鳴・耳聾
耳鳴は耳聾を伴うことがあり、耳鳴が悪化して耳聾になることがある。病因や病理は類似点が多く、耳鳴も耳聾も、腎と密接に関係している。
耳鳴・耳聾の主な病因はいくつかある。
1,「霊枢・口問篇」に、「気虚で、上気不足すれば、脳は満たず、耳は鳴に苦しみ、頭は傾に苦しみ、眼は眩す」
2,「霊枢・決気篇」に、「腎精が脱する者は耳聾す」
3,「霊枢・海論篇」に、「髄海不足する者 耳聾す」(脳は髄の海:髄海)
4,「素問・至真要大論」に、
「厥陰、邪が勝れば耳鳴掉眩す」
「少陰、邪が勝れば耳聾す」
「少陽、邪が勝れば耳聾す」
「素問・気交変大論」に、「炎暑流行し、金肺邪を受け、耳聾す」「燥気流行し、肝木邪を受け、耳の聞くところなし」などである。
5,各経気の厥による耳鳴・耳聾で、「少陽の厥、則ち暴聾す」「手の太陽経の厥逆すれば耳聾泣き出す」
「内経」の時代にすでに、耳鳴・耳聾の病因が、外感と内傷に区別され、さらに虚実の違いが弁証されている。
漢の張仲景「傷寒論・弁少陽病脉証併治」の中で「少陽中風、両耳聞くところなし」は、少陽病・柴胡証の七症:往来寒熱・胸脇苦満・口苦・咽乾・目眩・黙黙不欲飲食・心煩喜嘔のどれか一症あれば、柴胡剤の使用可となるが、あれば、傷寒の耳鳴・耳聾に、柴胡剤を使うことを示唆している。
「諸病源候論・耳病諸侯」
「耳鳴・耳聾には、外感と内傷の区別があり、さらに虚実の区別があるが、いずれも腎虚と関係がある。」
「腎気は耳に通ず。耳は宗脈の聚る所」
宗脈:宗は総合の意味。1.多くの経脈の総合する場所「霊枢・口問篇:目は宗脈の聚る所なり」五臓六腑の精気は宗脈を通じて目に注ぎ、目はその機能を発揮する。2.肺に集中する経脈をさす。
「精気調和すれば、腎臓は強盛して、耳は五音を聞く」
「労して血気を傷り、さらに風邪を受ければ、腎臓を損して腎精は脱し、精脱すれば耳聾す」
「五臓六腑、十二経脈の病変のすべてが、耳鳴・耳聾を起こし得るのは、いずれの臓腑経絡も耳を絡っているためである」
「「外台秘要」では、腎虚し風邪が絡に入るものを風聾と称する。
「千金要方・耳」は、耳聾を分類して、労聾、風聾、虚聾、毒聾、久聾。
「済生方・耳論治」は、疲労過度、精気の内虚に乗じて、風寒暑湿の邪が虚に乗じて侵入し、あるいは喜怒憂思の七情が鬱結して内傷となり、耳鳴・耳聾を引き起こすことを論じている。
朱丹渓の「丹渓心法・耳聾」では、「耳聾は皆 熱に属す」とし、少陽病、厥陰の病で耳聾するものは熱が多い。また、陰虚火動の耳聾や外邪の化火による耳聾の多くは、大病の後にみられ、降火すべきである。
明代の「明医雑著みんいざつちょ・巻三」では、「世人は多くは耳鳴・耳聾を腎虚となして治すも効かず。殊に、痰火上昇し、耳中に鬱して耳鳴をなし、鬱甚だしければ壅閉するを知らず。もし耳鳴・耳聾に遇えば、飲食厚味、上焦にもともと痰火のあるを審らかにし、清痰降火により之れを治す」。
「古今医統」は、気虚からも耳鳴・耳聾が起こることに重点をおいている。
「景岳全書」は、「閉」として分析し、耳聾を、火閉、気閉、邪閉、竅閉、虚閉の五種にわけ、さらにそれぞれの虚実を弁じている。
「寓意草」では、耳鳴・耳聾は痰より治し、「医林改錯」は、瘀より治すなど独自の内容をもっていた。
病因と病理
耳鳴・耳聾は、歴代の論述から、虚、風、火、痰、瘀の五つに分けることができる。
1,体虚腎虧たいきょじんき
2,外邪侵襲
3,肝火上擾かんかじょうじょう
4,痰濁が清竅を阻む
5,宗脈の瘀阻そうみゃくのおそ
1,,体虚腎虧
身体虚弱、病後の清血の衰え、情欲のままに腎精を傷耗して、耳鳴・耳聾を起す。
「耳は腎の外竅」であり、「耳は十二経や宗脈の灌注するところで、脳に内通している」。
「腎は精を蔵して骨髄を主り、脳は髄海である」ので、腎精が充実すれば髄海は濡じゅ(潤沢な様態)を得て、聴覚は正常に働く。腎精が虚すれば髄海は空虚となり耳鳴・耳聾を起す。
耳鳴・耳聾は、脾虚により気血生化の源が不足し、陽気が振るわず、清気が昇らないことによるものである:補中益気湯や六君子湯が適用である。
「古今医統大全・耳聾」は、「大病の後にして耳聾する者は、多くは気虚なり。もし老人の耳聾、漸漸重きは、また気虚である」と強調している。補中益気湯や六君子湯が適用である。
2,外邪侵襲
風邪や風熱を感受し、清竅を壅閉すると耳鳴・耳聾となる。耳だれが塞ぎさらに風熱を感じても発病する。
外邪の侵襲は、腎虚によるのが普通である。
腎と膀胱は表裏をなし、外邪が太陽膀胱経を侵襲すると腎に裏伝し、腎の竅に影響すると耳鳴・耳聾となる。
「雑病源流犀燭・耳病源流」は、「腎虚があり、風邪が経絡を伝い、耳に入ることにより卒聾、暴聾となる」。また、正気不足、気血虧損によって邪を感受した際、外へ駆邪できず、邪が耳に停滞して耳鳴・耳聾となるものもある。
「聖済総録・耳門」に、「久聾は、腎虚し血気不足して、風邪停滞するためである」。
2,肝火上炎
ストレスとなる七気:喜・怒・憂・思・悲・驚・恐の過多により、情志が抑鬱し、肝気が疏泄を失い、肝気が鬱して火と化し、清竅が蒙閉されると往々にして耳鳴・耳聾を起す。
少陽胆経は、上って耳に入り、下って肝を絡い、胆に属するので、肝胆の火(イライラして生ずる熱)が循経して耳に上壅すれば、耳鳴・耳聾を生じる。
「雑病源流犀燭・耳病源流」に、「肝胆の火が盛んとなり、耳内に蝉鳴そ。徐々に耳聾に至る者あり」とある。
肝火の上擾は、普通は腎虚によるもので、腎水の不足により水(腎)が木(肝)を涵さなくなり、肝火が偏亢し、肝胆経を循って上擾する。
また、腎水不足は、火の偏亢を起こし、上に妄動して耳鳴・耳聾となる。
4,痰濁が上に、耳の清竅を阻む
もともと肥満体で、厚味を多食し、痰濁が内盛して、上の清竅を阻塞すると耳鳴・耳聾になる。
あるいは、素より湿熱が内盛しており、蘊聚ウンジュして痰となり、久鬱して火を生じ、痰火が上昇して清竅を阻み耳鳴・耳聾となる。
ほかには、痰火が胃熱と関係し、膏梁の食物摂取の過多により、胃熱が上昇して痰火となり上に清竅を阻み耳鳴・耳聾となる場合である。
5,宗脈の瘀阻
「耳は宗脈の聚る所」で、十二経脈が瘀阻して絡気ラクキが耳に通じないと、耳は経気の滋養を失って耳鳴・耳聾を起す。または血が耳道を瘀阻しても生じる。
以上の1~5を総合すると、耳鳴・耳聾は、腎虚、風邪、肝火、痰火、瘀阻を原因とする。発病病理は、腎虚が本であり、風火痰瘀は標である。
腎が本であるが、肝脾とも密接な関係がある。
耳鳴の症状は、常時あるいは間歇的に蝉が鳴くような、あるいは潮が押し寄せるような、雷のような音がして耐えがたいものである。
耳聾の症状は、聴力の減退、ひどいときは聴力が完全に消失する。
このほか、耳道の閉塞感、耳道疼痛、耳道の痒み、耳殻ジカクの疼痛、耳道流膿などがあらわれる。
耳鳴・耳聾の全身症状:面色萎黄、唇爪シンソウの蒼白、両頬の紅潮、頭目眩痛、嘔吐、腰酸腰痛、陽萎早泄、四肢無力、頭痛、半身不随、歩行困難などがみられる。
弁証
1,暴聾と久聾を区別する
「新聾は多くは、多くは外感や痰熱・熱に属し、少陽陽明の火の多きが原因である」。
「久聾キュウロウは、聴覚が次第に減退し、或は耳鳴が転化して起こり、多くは腎虚に属する:耳聾左慈丸・海馬補腎丸などを使う」。
2,症状の虚実を弁別する
一般に、突然に、耳鳴・耳聾が起こるものは実であり、次第に起こるものは虚である。
実証は、風、火、痰、瘀に分けられる。
風:耳の中が痒いもの。
火:心煩易怒でひどくなる。
痰:肥満で耳鳴が重濁で塞がったようで舌苔じ(厚ぼったい舌苔)。
瘀:面色黧黒レイコク、舌暗色。
虚証は、気虚、血虚、肝虚、腎虚に分けられる。
気虚:倦怠無力、顔面淡で白っぽい。
血虚:皮膚甲錯、唇白い。
甲錯コウサクは、皮膚の艶がなくなる甚だしいもので、肌膚甲錯は、皮膚が乾し肉のようになり、触った感覚は、おろし金のようになる。
肝:脇痛をともなう耳鳴・耳聾。
腎虚:腰酸をともなう耳鳴・耳聾。
「耳鳴・耳聾は、痰あり、気虚あり、陰虚あり、肝火あり。
若い者では多くは痰火が原因で、中年は必ず陰虚である」
標本緩急に注意する。
耳鳴・耳聾は、腎が本であり、風火痰瘀が標であるが、臨床上では標本が互いに見られる。
肝腎不足では、肝火が偏亢し、顔面昇火、心煩易怒、腰膝酸軟などがあるが、弁証時には、肝火・痰火を兼有するか標症をよく観察し、同時に、肝虚、腎虚、肝腎両虚を区別する。
一般に、耳鳴・耳聾の暴発は標症が主であり、長く続き癒えないものは本虚が主である。久聾久鳴キュウロウキュウメイし、突然ひどくなるものは、本虚標実に属する。正虚は本を治すが、それは腎を治すことが主である。
症状(実証)
1,風邪外襲
2,肝胆火盛
3,痰火鬱結
4,瘀阻宗脈
症状(虚証)
5,中気不足
6,陰血虧損
7,肝腎虧損
1,風邪外襲
暴鳴・暴聾し、頭痛悪風、発熱、体痛、耳内掻痒、舌苔薄白、耳の奥が腫痛し歯齦も腫痛する、耳中疼痛・突然激痛、出血、流膿。
風邪外襲の治法:袪風解表:清神散:世医得効方:袪風解表:菊花・羗活・僵蚕各五分、木通・川芎・防風・荊芥・木香・甘草・石菖蒲各四分:耳鳴・耳聾。
清神散の防風・荊芥・羗活・菊花は疏風解表する。石菖蒲・木通は通竅開閉する。
風熱上擾するものには、防風通聖散加減。防風通聖散:疏風解表・瀉熱通便:風熱・突然生じる風湿熱の痔や耳鳴・耳聾。
耳鳴・耳聾に、発熱するものには金銀花・連翹・大青葉タイセイヨウ・板藍根バンランコンを加える。項背強急するものには葛根などの解肌薬ゲキヤクを加える。
2,肝胆火盛
暴鳴・暴聾し、頭痛・顔面紅、口苦咽乾、心煩易怒、夜寝不安、大便秘結、舌紅苔黄、脈弦数。暴怒して肝を傷り、肝胆の火が上逆した症。憂鬱気結して耳聾する気聾である。気鬱が火を生じて本症となる。
肝胆火盛の治法:清肝泄熱:竜胆瀉肝湯・帰竜薈丸:木通・車前子・沢瀉で、導熱下行し肝胆の火を鎮静する。柴胡+黄芩は、肝胆湿熱・肝胆の邪熱冷まし乾かし、疏肝する組合せ。竜胆草・山梔子・黄連・大黄・芦根などの苦寒で瀉火する。
3,痰火鬱結:痰火鬱結と肝胆火盛は相互に転化し、相互に兼挟する。
蝉鳴センメイし、時に閉塞し聾となり、胸悶、痰多、口苦、大便小便不爽、舌苔黄薄で厚ぼったい苔、脈滑数。
痰火鬱結の症状:舌苔黄薄で厚ぼったい苔、脈滑数。
痰火鬱結の治法:化痰清火・和胃降逆:もう石滾痰丸:
あるいは二陳湯加黄芩・黄連・柴胡・枳殻・石菖蒲・竹瀝・姜汁など。
もう石滾痰丸の、大黄・黄芩・沈香は清火下気セイカゲキし、もう石(もう は、石偏に蒙)は、重墜下痰ゲタンし、体が丈夫で邪実に適用される。
化痰作用の二陳湯に、黄芩・竹瀝・黄連・枳殻・石菖蒲などを加えて、瀉火行気しゃかぎょうき・化痰開閉し、痰火の症に用いる。
4,瘀阻宗脈おそそうみゃく
顔は黒ずみ、耳から陳血が流れ、膠結する。舌質は紫暗・瘀斑があり舌苔薄。
十二経脈はみな耳に上絡し、耳は宗脈のかかわる所である。痰瘀が互結したものも臨床上よくみられる。
瘀阻宗脈の治法:通竅活血:通竅活血湯。方中の、赤芍・桃仁、紅花・当帰・丹参で活血袪瘀し、老葱ろうそう・麝香で通竅している。臨床上は、瘀痰互結がみられるので、活血化瘀通竅の処方に、浙貝母せつばいも・海藻・昆布などの化痰軟堅薬を加える必要がある。
貝母ばいも:浙貝母(象貝母ショウバイモ)と川貝母の区別があり、浙貝母を実証に、後者を虚証に用います。また、価格的にも川貝母の方がかなり高価。
象しょう:漢音はショウ、呉音はゾウ:漢方では漢音を使い、仏教では呉音を使う。
5,虚証:中気不足
中気不足の症状:面色萎黄、倦怠乏力、精神疲労して食少、大便溏、脈細弱あるいは大で無力、舌苔薄、舌淡で歯痕あり。脾虚で中気不足により気血生化の源が虧損し経脈は空虚となり、耳に上奉できなくなり耳鳴・耳聾。あるいは脾虚で陽気不振で清気が上昇できず耳鳴・耳聾する。
中気不足の治法:益気聡明湯・補中益気湯。処方中の黄耆・人参・升麻は、益気昇提し、葛根・蔓荊子は薬を引いて耳部に到達させる。腎気不足を兼ねている者には、熟地黄・山薬・菟糸子・杜仲などを加える。
心気不足には、五味子・遠志おんじ・酸棗仁・柏子仁などを加える。
肝胆の火を兼有するものは、山梔子・牡丹皮・車前子などを加える。
6,陰血虧損
陰血虧損の症状:顔色につやがない、唇爪は蒼白い、脈細無力、舌苔薄、舌質淡は、皆 陰血虧損の症状である。
陰血虧損の治法:気血の補益:八珍湯・人参養栄湯。処方中の
健脾益気の人参・黄耆・白朮・茯苓・甘草。
養血補血の当帰・熟地黄。芍薬・川芎。
あるいは血肉を充養する鹿角・亀板などの補陽益陰・血液滋生の薬を加える。
心血不足には、竜眼肉りゅうがんにく・益智仁やくちにん・酸棗仁・麦門冬などを加える。
肝血不足には、木瓜・女貞子・旱蓮草を加える。
血虚有熱のものには、柴胡・山梔子などを加える。
7,肝腎虧損
肝腎虧損の症状:耳鳴・耳聾に頭暈目眩、腰酸遺精、脈弦細か細弱、舌質偏紅。あるいは、肢軟腰冷、陽萎早泄、脈沈細、舌苔薄偏淡。肝腎不足で清血が虚衰、あるいは情欲過多で腎精を傷耗して清竅を滋養できない。
肝腎虧損の治法:肝腎の補益:耳聾左慈丸・補腎丸。補腎の六味丸、疏肝鎮肝の柴胡・磁石じせき。
肝陰の虧損が顕著なものには、枸杞子、女貞子、墨旱蓮草を加える。
補腎丸は、肉ジュ蓉・菟糸子・巴戟肉(巴戟天)・羊腎で補腎し、当帰・芍薬で補血し、人参・黄耆で益気し、乾地黄・石斛で益陰し、附子・肉桂で補陽している。
邪実を兼ねるものは袪風の、防風・細辛を加える。
瀉火には黄連・黄柏を加える。
化痰には半夏・陳皮を加える。
化瘀には桃仁・紅花を加える。
通竅には、石菖蒲・木通を加える。
耳鳴・耳聾の予後と予防
耳鳴は進行すると耳聾となる。風熱耳聾は耳内に膿を流す。
暴聾の主要原因は、外邪の侵襲、厥気ケッキの上逆である。
厥気けっき:一般に続発する病因となるもので、陰陽の失調、気血逆乱、痰濁閉阻、食積停滞、暴痛などを指し、これらはさらに四肢厥冷、精神失調、突然の昏倒などを引き起こす。
このため、寒暖に注意し、体質を強化し、風邪の侵襲を予防し、穏やかな心を養い、怒りを少なくして気持ちを和らげ、経気を上逆させないようにすることはいずれも暴聾の予防に役立つ。
痰火がもともと盛んなものは、化痰清火の薬を常服すべきである。半夏瀉心湯・柴芍六君子湯など。
半夏瀉心湯は、半夏・乾姜で胃気上逆をしずめる、黄連・黄芩で、心火を冷ます(不安感・落ち着かない)・胃熱・胆熱を冷やす、乾姜(大熱性)で、腸を温める、人参・甘草・大棗は胃腸・心を補い安定させ、食欲を増す。
黄連+黄芩で、心火(不安感)・胃火・胆熱を冷ます。
柴芍六君子湯:日常のストレスに弱く、腹痛・腹満などをすぐ訴える。胃弱の神経症・胃弱の更年期障害・自律神経失調症で主体は胃腸よりも、イライラなど肝鬱による耳聾である。
肝胆の火が偏盛のものは、いつも清肝明目の薬を服用すべきである。耳聾左慈丸や釣藤散など。
肝気上逆の釣藤散:平肝潜陽・明目・補気健脾・化痰(痰飲):脾胃気虚・痰湿の肝陽化風に:釣藤鈎 菊花 防風 石膏 麦門冬 半夏 陳皮 人参 茯苓 生姜 甘草:釣藤鈎+菊花で肝鬱に適応。
慢性耳聾の原因は、腎虚・気血不足である。このため疲労を避け、セックスを節制することは、耳鳴・耳聾を予防に重要な意味を持つ:杞菊地黄丸・十全大補湯・海馬補腎丸。
耳鳴・耳聾の看護は、耳をほることを禁じ、耳道を清潔にすることである。
まとめ
耳鳴・耳聾は、腎虚が本で、風、火、淡、瘀が標である。病の本質は腎にあるが、肝脾とも密接な関係がある。
治療は、
風邪には疏風解表する:葛根湯・荊防敗毒散・荊芥連翹湯。
肝火が盛んなものは清肝泄熱する:竜胆瀉肝湯・小柴胡湯加桔梗石膏・柴芍六君子湯。
痰火鬱結には化痰清火する:二陳湯加減・半夏瀉心湯・釣藤散。
宗脈を瘀阻したものは活血化瘀する:通竅活血湯・血府逐瘀湯。
陰血虧損には気血を補益する:人参養栄湯・十全大補湯・八珍湯。
肝腎虧損には肝腎補益する:杞菊地黄丸、
原則は、胃腸を丈夫にする処方と上記の処方を組み合わせてる。
めまいがあれば杞菊地黄丸を半量常用し、心血と胃腸を養う処方として人参養栄湯や、肝鬱があり、鬱々として楽しまないなら柴芍六君子湯とする。
柴芍六君子湯:日常のストレスに弱く、腹痛・腹満し便不爽などをすぐ訴える。胃弱の神経症・胃弱の更年期障害・自律神経失調症で主体は胃腸よりも、イライラなど肝鬱である。
胃腸が弱ければそれを第一に考える。胃腸は気血生化の源である。