疎経活血湯の口訣

2024/11/5

疎経活血湯の口訣

疎経活血湯:袪風湿・補血・活血化瘀:四物湯 + 蒼朮 茯苓 桃仁 牛膝 防已 威霊仙 羗活 防風 白芷 竜胆草 陳皮 生姜 甘草。

疎経活血湯の出典は(龔信キョウシンの書いた明の時代の「古今医鑑」1576年)や(明の龔廷賢キョウテイケンが書いた「万病回春」1587年)、龔廷賢は龔信の息子です。痛風という巻に掲載されている

腰痛とともに下肢の冷えがある時は、疎経活血湯合苓姜朮甘湯とする。

疎経活血湯の適応:全身の関節痛・屈伸痛・関節水腫・全身の筋肉痛・腕や脚のしびれ・夜間悪化・坐骨神経痛・腰痛・痛風・産後四肢疼痛・静脈瘤・脳卒中後遺症(補陽還五湯も適用)・交通事故後遺症:痛み・しびれ・浮腫がポイント。

疼痛部位に、熱感や皮膚の紅潮、飲酒後の悪化がある場合は湿熱の病理なので疎経活血湯に竜胆瀉肝湯(肝経湿熱の薬)を合方する:疎経活血湯合竜胆瀉肝湯。

「漢方診療三十年」大塚敬節、352.65歳の婦人の関節リウマチ(疎経活血湯)。

疎経活血湯の蒼朮そうじゅつ:苦辛温:袪風除湿・燥湿健脾・散寒解表(カゼ薬):風湿の筋肉痛の鎮痛薬である。

痛風の初期の痛み:疎経活血湯を使うが、灼熱感が強い場合は二妙散や白虎加蒼朮湯を使わないと治らない。瘀血と熱がひどい場合は、まず熱をとってから瘀血を取る必要がある。

灼熱痛の二妙散:丹渓心法:清熱化湿・活血:黄柏 蒼朮の等分粉末。

黄柏・黄檗おうばく:キハダのこと:清熱燥湿・瀉火解毒・清虚熱:ベルベリン。

白虎加蒼朮湯:清熱袪湿・止痙:熱痺に:

石膏10(先煎) 知母5 蒼朮3 粳米5 生甘草1:白虎湯+蒼朮3g。

白虎湯:陽明裏熱:生石膏 知母 生甘草 粳米:大熱、大汗、大煩渇、脈洪大、悪熱おねつ、面紅、煩躁、熱厥・舌質紅乾、舌苔黄。

地竜じりゅう:経絡を疏通する作用があるので神経痛に地竜を疎経活血湯に加えるとよい。疎経活血湯加地竜。

夜中に痛む瘀血の刺痛には疎経活血湯を使う。

瘀血の症状:癥瘕・腹部の腫塊・蓄血し発狂・面色暗・皮膚青紫色で鱗状に乾枯・おろし金状の鮫肌・夜間悪化・固定痛・刺痛・拒按・実証・紫色の血塊・小腹硬満・少腹痛で夜間悪化・胸脇痛・閉経・大便黒色・舌紫暗瘀点。実証なので温めても冷やしても悪化する。

疎経活血湯の牛膝ごしつ:ヒユ科イノコズチモドキの根:活血袪瘀止痛・活血通経・舒筋利痹じょきんりひ・補益肝腎・強筋骨・薬を下行させる引経薬:牛車腎気丸に配合されている。

痛風や腰痛・膝痛の刺痛には疎経活血湯を使う。刺痛は瘀血であるので、夜中になると非常に痛む症状に使う:神経痛には補陽還五湯合疎経活血湯も使う。

神経痛:補陽還五湯(地竜配合)合疎経活血湯。

痛風や腰痛で刺痛がでたら、疎経活血湯を使い、神経痛にきわめてよく使う。

補陽還五湯:益気活血・和営通絡:気虚・血虚・瘀血の 脳卒中後遺症・心筋梗塞・高次脳機能障害:代用処方は十全大補湯合血府逐瘀湯:黄耆40 当帰3 赤芍3 川芎3 桃仁2 紅花3 地竜3:気虚であることが必ず必要。

疎経活血湯の羗活きょうかつ:散寒燥湿・解表(風邪薬である)・袪風湿・止痛(湿邪による包裹痛ホウカツウ・帽子をかぶったような頭痛の頭冒感ズボウカンや頭重は、湿邪・湿滞・痰飲の症状に羗活が適応する)。

瘀血の方剤:桃紅四物湯・血府逐瘀湯・桃核承気湯・桂枝茯苓丸・折衝飲・補陽還五湯・疎経活血湯・大黄䗪虫丸・大黄牡丹皮湯・失笑散・膈下逐瘀湯・身痛逐瘀湯・少腹逐瘀湯。

疎経活血湯:遍身走痛刺すようで、左足は最も痛む。左は血に属す。多くは酒色で損傷し、筋脈虚空キンミャクコクウとなり、風寒湿熱の外邪を被コオムり、熱 寒によれば痛み筋絡を傷る。痛みは昼軽く夜重い。血瘀と外邪が混在している。

寒湿・瘀血による尿量減少・下肢のむくみが顕著な時は、疎経活血湯に牛車腎気丸を合方する。疎経活血湯合牛車腎気丸。

疎経活血湯:一般には慢性疼痛の処方だが、風湿の外邪の影響があり同時に血虚血瘀があるという症状に使う。つまり寒さの邪がある時の打撲・捻挫に特効があり急性病にも使える・スキーで捻挫などに。

腕の使いすぎに(気滞血虚)よる腱鞘炎で、刺すように痛み(血瘀)しかも夜中に激痛(瘀血)が起こる場合も疎経活血湯が良く効く。

夜中の発作痛は瘀血なので、非常に痛む場合に疎経活血湯を使うのが原則だが、気滞血瘀には折衝飲セッショウイン(夜中の心筋梗塞・心痛)を使う。

血虚血瘀で腎虚ならば疎経活血湯に八味丸や海馬補腎丸を合方します。

疎経活血湯合八味丸、疎経活血湯合海馬補腎丸。

下半身の冷え、痛みがひどい場合は疎経活血湯に芍薬甘草湯とともに苓姜朮甘湯を合方すればさらに効くようになります。疎経活血湯合芍薬甘草湯合苓姜朮甘湯。

芍薬甘草湯:芍薬・甘草 各4~8gつかう。

苓姜朮甘湯・腎著湯:袪湿散寒・止腰痛:茯苓6 乾姜3 白朮3 甘草2:寒湿の腰痛・クーラーの冷え症(五積散)や冷えによる膀胱炎:真武湯は寒湿の腹痛に使う。

疎経活血湯は神経痛にきわめてよく使う。夜中の発作痛は瘀血なので、非常に痛む場合に使うのが原則。起床時の腰痛は寒湿・痰飲が多い。

痛風や腰痛や膝痛で刺すように痛む神経痛に疎経活血湯を使うが、膝が刺すように痛むのは瘀血であり、その特徴は夜中になると非常に痛む時に使うのが原則で天気が悪くなると夜とても痛む。

疎経活血湯の効能は、補血、活血、瘀血を去り、外邪である風寒湿邪を追い出し、湿熱を清熱(竜胆草)する作用があります。

疎経活血湯:袪風湿・補血・活血化瘀:四物湯 + 蒼朮 茯苓 桃仁 牛膝 防已 威霊仙 羗活 防風 白芷 竜胆草 陳皮 生姜 甘草:神経痛・腰痛・膝痛・痛風の初期の痛みに。

疲労後に痛みが増悪する場合は、肝腎虚、腎陽虚なので疎経活血湯に八味丸・牛車腎気丸や参茸大補丸錠ジンジョウダイホガンを合方する。

ギックリ腰の場合は急性の、気滞・血瘀ですので、疎経活血湯に治打撲一方や桂枝茯苓丸の合方がよい。疎経活血湯合治打撲一方・疎経活血湯合桂枝茯苓丸・疎経活血湯合血府逐瘀湯・疎経活血湯合折衝飲。

治打撲一方:(香川家):川骨5 樸樕ボクソク3g 川芎3 桂枝2 丁香1チョウコウ 大黄1 甘草2:活血化瘀・消腫・通陽ツウヨウ:打撲・捻挫の腫脹・疼痛。

樸樕ぼくそく:ブナ科のクヌギ・コナラ・ミズナラなどの樹皮:鎮痛・悪瘡あくそうに効果・駆瘀血・解毒・消炎・収斂・止血:痔・下痢・下血:日本の経験則。

疎経活血湯の部位・・腰、膝関節、足関節、足指関節、肩関節、肘関節、手首関節、下肢の筋肉、腰部・背部の筋肉の骨格や筋肉痛の両方に使う。

陰天時悪化で雨の日に痛みが悪化するのは風寒湿邪ですから、疎経活血湯に桂枝加朮附湯を合方します:疎経活血湯合桂枝加朮附湯。

疎経活血湯の痛み方は、刺痛あるいはひきつれる痛み・しびれで、天気が悪いとき(陰天時悪化)、夜間、疲労時、飲酒後に悪化。

腰部から大腿部にかけて、筋肉が引きつるように痛むのは血瘀と血虚の症状なので疎経活血湯に増量の意味で芍薬甘草湯を合方します:疎経活血湯合芍薬甘草湯。

夜間の痛みがひどい場合は重症の血瘀ですので、疎経活血湯に血府逐瘀湯や冠元清血飲(冠心二号方)・折衝飲・補陽還五湯など瘀血の薬をさらに合方する。

血府逐瘀湯加減:行気活血・袪瘀止痛:桃仁3g 紅花2 当帰3 赤芍3 川芎2 柴胡2 枳殻3 丹参7 香附子3 延胡索3 鬱金3g。

冠心二号方:丹参たんじん 赤芍 川芎 紅花こうか 降香こうこう 木香 香附子こうぶし。

補陽還五湯は気虚の血瘀に使うので、脳出血直後は禁忌で、気虚の脳梗塞や気虚の脳卒中後遺症には適応する。普段から汗をかきやすく、疲れ易い体質に使う:益気・活血・通絡:黄耆40g 当帰3 赤芍3 川芎3 桃仁2 紅花3 地竜3(コタロー製薬に製品有り)。

出産後や婦人の更年期の下肢痛に。出産後はすべての骨髄が空虚になり易く気・血・精が虧損する。婦人は血虚・血瘀が多く血瘀と気血両虚なら疎経活血湯に十全大補湯を合方・疎経活血湯合十全大補湯。

出産後や婦人の更年期の下肢痛、出産後の疼痛などには、気血両虚を補いながら瘀血をとる薬の芎帰調血飲第一加減を疎経活血湯に合方してもよい:疎経活血湯合芎帰調血飲第一加減。

風寒湿と血虚血瘀の病理で、上肢の関節の肩・肘・手首・指の痛みや上肢関節の屈伸困難・上肢麻木・上肢沈重感がある時は、疎経活血湯に桂枝加朮附湯や苓桂朮甘湯を合方します:疎経活血湯合桂枝加朮附湯・疎経活血湯合苓桂朮甘湯・疎経活血湯合葛根加朮附湯。

慢性の腰痛・腰膝酸軟・脚弱冷え:疎経活血湯合八味丸、疎経活血湯合独活寄生湯。

八味丸:温補腎陽・補陰陽:熟地黄・山薬・山茱萸・沢瀉・茯苓・牡丹皮・桂枝・炮附子:八味丸は陰陽両虚に使うので陰虚の糖尿病の口渇や小便頻数も治す。下半身だけの浮腫の糖尿病は八味丸。

独活寄生湯:千金方:袪風湿・散寒・補気血・益肝腎・活血止痛:

独活2 防風2 桑寄生4 秦艽3 杜仲3 熟地黄5 白芍4 当帰3 牛膝3 川芎2 茯苓3 党参3 細辛1 肉桂0.5(沖服) 炙甘草1g。

独活どっかつ:袪風湿・通経絡:特に項背部の筋肉や下半身の関節の風湿を去る・臀部の痛み・両足のしびれ:独活寄生湯。

桑寄生そうきせい:ヤドリギ:補肝腎・袪風湿・強筋骨・安胎(滑胎に寿胎丸):梅の木に寄生するヤドリギの梅寄生もある。

秦艽じんぎょう:リンドウ科秦艽の根:袪風湿・退黄疸・除虚熱:陰虚内熱・骨蒸潮熱:三痺必用の薬:苦辛平:胃・肝・胆経:秦艽鼈甲湯・秦艽防風湯。

杜仲:トチュウ科杜仲の幹皮:甘微辛温:補肝腎・強筋骨・安胎:杜仲茶が販売されている:幹皮を割るとグッタペルカの糸を引く。

上焦部の痛みである寝違え(落枕)は急性病で、風寒邪+血瘀です。疎経活血湯に桂枝加朮附湯あるいは桂枝湯、激痛の場合は葛根湯や独活葛根湯(風寒湿邪)を合方する。

寝違え:

疎経活血湯合桂枝加朮附湯(風寒湿邪)・

疎経活血湯合桂枝湯(風寒)・

疎経活血湯合葛根湯(風寒)・

疎経活血湯合独活葛根湯(風寒湿邪)

疎経活血湯は、腰から大腿部に痛みが走る症状に適応するが坐骨神経痛にもっともよく使う。

内傷の血瘀証の主症状は、関節痛、刺痛、チクチク刺されるように痛む、少腹痛、しびれ、クモ状血管腫、夜間悪化、舌紫あるいは舌黒紫、舌青紫色で代表方剤は桂枝茯苓丸・疎経活血湯・血府逐瘀湯。

桂枝茯苓丸:金匱要略:活血化瘀・緩消癥塊:桂枝 茯苓 牡丹皮 桃仁 赤芍各3g:下腹部の腫瘤・圧痛・腹のひきつり・不正性器出血・月経痛・無月経・胎盤残留・死胎の残留・悪露停滞。

腰痛とともに下肢の冷えがある場合は、苓姜朮甘湯は疎経活血湯に内包されていますが、さらに苓姜朮甘湯を合方する:疎経活血湯合苓姜朮甘湯。

苓姜朮甘湯:「金匱要略」「その人身体重く腰中冷え水中に坐するが如く」といい、「小便自利し飲食故の如し」といい、「腰以下冷痛し、腰重きこと五千銭を帯ぶるが如し」と、これらが苓姜朮甘湯の目標となっている。

疎経活血湯には芍薬甘草湯が入っていて筋肉の引き攣れるような痛みをとりますが、その痛みが強い場合はさらに芍薬甘草湯を合方してもよい:疎経活血湯合芍薬甘草湯。