2025/3/19
精神不安・精神異常のまとめ
肝はすべての臓腑の気の流れ(疏泄)に影響を与え、
精神異常は、直接は心の働きで生ずるが、
二次的には肝も肝鬱によって大きな影響を心に与える。
肝の疏泄が失われると、きわめてイライラがでてくるので、
神経症では、肝の疏泄の働きが関係することになる。
精神病の原因は、イライラによって肝の疏泄の失調が生じ精神的な抑鬱が起こる。
また二次的な産物として瘀血が生ずることがあり、瘀血によって精神異常・狂症がでることがある。
瘀血:全身的な循環不全・局所的な血流停滞・内出血などを指す。
瘀血は臓腑・組織・器官の脈絡の血行を阻害し停滞させ局所に疼痛・腫瘤・内出血、
全身的には顔がどす黒い・口唇や舌辺の瘀斑・脈細や脈渋。
瘀血の患者の顔色は多くは紫暗色で或は紅糸のクモ状血管腫があり、瞳は青黒く、怒りやすく、健忘症がある。
内傷七情によって、(七情鬱結:喜・怒・憂・思・悲・驚・恐が過ぎて瘀血が生じる)
精神に異常を起こす。
たとえば思慮過度・悩みすぎ・過緊張・仕事のスピードが速い・休息や睡眠の不足・こだわりが強い場合は、必ず脾胃に影響し不安感や精神異常を生ずる。
頭を空にして毎日歩いたりスロージョギングやスイミングが治療には有効である。薬だけにたよると快復が遅くなるが、思慮過度や肝鬱のために心の栄養失調があり気力がわかない、本人は歩きたくない(回復したくない?)と逃避する。
思慮過度・過緊張・几帳面・完璧主義・不安感・焦燥感・自分の方法にこだわることは、肝の疏泄作用に影響をあたえる。
脾(胃腸)の異常や失血や火傷でも精神異常がでてくる。
(肝鬱・肝気欝・肝気鬱結の症状:両脇の脹満・放散痛・胸悶・咽中炙臠・胃脘痛・嘔逆・ゲップ・シャックリ・吐酸水・肝鬱脾虚で食欲不振・腹痛・腹瀉・胸部の固定的刺痛・癥瘕積聚・月経不順・神経症・慢性肝臓胆嚢疾患・肝臓脾臓腫大・消化不良は常に肝鬱と関係する)
(肝鬱:肝は疏泄の機能があり、昇発してのびやかを好む。もし精神的にのびやかでなく、怒が肝を傷ったり、その他の原因によって気機の昇発と疏泄に影響すれば肝鬱を発症する)
感情の異常(思慮過度・過緊張・易怒)では胃腸がおかしくなるので、
胃腸の薬の半夏瀉心湯も、不安感や焦燥感などの精神病に使う。
半夏瀉心湯の黄芩・黄連は、胆胃熱をさまし、(胃火・心火をさます・酒熱もさます胃腸を調えると「脾は思を主る」ため心が安定する。
(半夏瀉心湯:和胃降逆・消痞・止瀉・清熱・調和腸胃:心窩部のつかえ。便秘体質の便秘は半夏瀉心湯で悪化するので注意。半夏5 黄芩3 黄連1 乾姜3 人参3 炙甘草3 大棗3)
甘草瀉心湯は半夏瀉心湯に甘草のエキス(クラシエ甘草湯:甘草一味)を加えるか、芍薬甘草湯を合方してもよい。不眠症や狐とかにとりつかれた場合に使うがこれは夢遊病や精神疾患が重篤など特殊な場合である。
(半夏瀉心湯:和胃降逆・消痞・止瀉・清熱・調和腸胃:心窩部のつかえ。便秘は悪化する。上腹部のつかえ・二日酔・酔い止め・食欲不振・軟便下痢・嘔気・胃部不快感を軽減すると理由の無い不安感も解消する。
半夏5 黄芩3 黄連1 乾姜3 人参3 炙甘草3 大棗3)
しかし、現代の睡眠薬ハルシオンや2mgセルシンを寝る前に服用して、夜中に夢遊病となり、禁煙中なのにコンビニに行って煙草を買って吸った(70代)、また、ある高齢者女性(78歳)は、前日寝る前にハルシオンを飲み、朝起きて午後3時迄仲間とカラオケをしたことを全く覚えていないという記憶障害・狐惑の病にも効くだろう。
肝気鬱結では、まず精神的な抑鬱があり、イライラして落ち着かない
(急躁易怒)が基本症状で逍遙散を使う。
それ以外の肝気鬱結の症状は、急躁易怒の他に、ため息をよくつく、
臭いのないゲップ(噯気あいき)、臭いの無いオナラ(矢気しき)が多く、また、あとからあとからゲップが出る。たとえば会議中や人と話している時にゲップが頻繁にでるなどが肝気鬱結の症状である。
(肝鬱というストレスの症状:両脇の脹満・放散痛・胸悶・咽中炙臠・胃脘痛・嘔逆・吐酸水・肝鬱脾虚で食欲不振・腹痛・腹瀉・胸部の固定的刺痛・癥瘕積聚セキジュ・月経不順・神経症・慢性肝臓胆嚢疾患・肝臓脾臓腫大・消化不良は常に肝鬱と関係する)
柴胡桂枝湯は、(柴胡+芍薬)で痛みやイライラをとる組合せで、
この二味は肝鬱の基本構成。
イライラが強い場合は小柴胡湯より、柴胡桂枝湯を使う。
当帰芍薬散を使う場合は、あまりイライラしていない。
肝鬱の基本は逍遙散である。
肝鬱イライラの胃痛には柴胡桂枝湯。
柴胡桂枝湯は「肝気鼠かんきざん」に効果がある。気が胸脇脘腹にあることを自覚する。各種の検査でも、器質的な病変はない。肝気鬱結・気血不和の証である。これ、俗に「肝気鼠」という。
精神抑鬱の肝鬱で、
顔が赤く(逍遙上逆・面紅)・
目が充血し(肝陽上亢)、
理由なく何かの加減でパッと顔が赤くなり(肝火上炎)、
手足がほてる(手足の冷えがなく冷え症が強くない人の場合)
生理時にイライラがとても強い人は、加味逍遙散である。
急躁易怒で、何かを少し誰かが言っただけでカーッとなる人で、胃のあたりがすごく脹ってくる場合(胃熱による心下痞硬)は、鷹揚にみえても、大柴胡湯である。加味逍遙散には心下痞硬は無い。大柴胡湯は胃熱を冷ます
(心下痞硬ヒコウ:胃脘部に胃熱のため痞満硬痛の感じがある人には大柴胡湯を使う)
(大柴胡湯:和解半表半裏・瀉下熱結・疏肝解鬱・理気止嘔・清熱瀉下:
柴胡6、黄芩3、白芍3、半夏4、生姜4、枳実2、大黄1~2、大棗3:
大柴胡湯証は、態度は鷹揚であるが、実は肝鬱の程度はすこぶる強い)
肝気鬱結ではまず精神的な抑鬱があり、イライラして落ち着かない
(急躁易怒)が基本症状。それ以外には、
ため息をよくつく、
臭いのないゲップ(噯気)、
臭いの無いオナラ(矢気シキ)が多いなどの
肝気鬱結の症状以外に、下記の症状がある場合・・・
体が重だるい、
不安感がある、
動悸がある人には、柴胡加竜骨牡蠣湯を使う。
(柴胡加竜骨牡蠣湯:頭が重く、足が軽く、歩いてもふわふわと雲の上を歩くように体がゆれる症状に適応)
痰気鬱結:発病が比較的緩慢で精神抑鬱し、表情が乏しく、独り言、突然笑い突然泣き、行動が異常で、清潔と汚れが分からず、昼夜の区別がなく、飲食を欲しない、統合失調症などを含む。
よく咳払いをし、毎朝 痰を吐こうとしてゲーゲーする人
つまり、痰気鬱結の人は精神的な抑鬱があり、咽によく痰が溜まり、
不安感をともなう。よく咳払いをする。たとえば電話の受話器をとると咳払いをする人、しゃべる前になると咳払いする人には半夏厚朴湯を使う。いつもは痰多が特徴。
(半夏厚朴湯:理気降逆・化痰散結:半夏6 厚朴3 茯苓5 生姜4 紫蘇葉2:湿痰による肺気逆・胸部が脹って苦しい・痰飲による胃気上逆・上腹部膨満感・梅核気・浮腫を伴う時は半夏厚朴湯を合方する)
半夏厚朴湯の適応は痰が多いのが特徴であるが、痰が多くなかったら、
起床時に顔や手などどこかに浮腫がある人にも適応する。
重い症状の痰気鬱結の人は、手足が震える、声が出なくなる、などの症状が出てくる。贈収賄で国会喚問された社長やメルケル首相が答弁の時に手足や体が震える映像が報道された・・太った人に痰気鬱結は多い。
つまり精神不安があると手や足や体が震えてしまう重症の人にも半夏厚朴湯を使う。
但し、痰気鬱結の重症の人には少量から半夏厚朴湯を使わないと、小便の出が悪くなって浮腫がおきてしまう。
痰の症状は、重い症状では、手足・体が震える、壇上に立つと不安感で手足が震える膝がガクガクするなどや、物を持っても見えない(認知症と同じ)などが緊張してなる人に半夏厚朴湯をつかう。
(抑肝散加陳皮半夏:元来は乳児のひきつけ、むずかり、夜泣き、歯ぎしりに対して用いられ原著には「子母同服」とあることから母親の影響が大きいことがわかる。「歯ぎしり」には駆瘀血薬を抑肝散加陳皮半夏に合方する)
苓桂朮甘湯あるいは苓桂朮甘湯合半夏厚朴湯を使う場合
緊張すると顔がのぼせる(痰濁上擾)
目が充血する(痰濁上擾)
緊張で、なんとなく軽いめまいを覚える人は(痰濁上擾・痰濁中阻)、
苓桂朮甘湯を使う。
あるいは苓桂朮甘湯合半夏厚朴湯を使う(痰濁上擾・痰気鬱結)。
どちらも痰をとる薬である。
(肝鬱でも同じような症状となるが、肝鬱では痰の症状はあまり無い)
神経症で痰が多ければ、
留守番処方として苓桂朮甘湯合半夏厚朴湯を使う。
特徴は、
顔が赤い
不安感がある
痰がでる。
もともと苓桂朮甘湯は心臓の薬であり、心の陽虚を補う温通心陽の作用があり心臓の不安感に使う。
茯苓は不眠・心悸亢進を鎮め、桂枝も心悸亢進を鎮めるので桂枝+茯苓は心悸亢進によく配合される(苓桂朮甘湯・苓桂甘棗湯)
茯苓桂枝甘草大棗湯(傷寒論):苓桂甘棗湯に同じ:
茯苓6 桂枝4 大棗4 甘草2g。
苓桂朮甘湯:茯苓6 桂枝5 白朮5 甘草2g。
心細そうな動作で「胸に手を当てる」心の不安には苓桂朮甘湯を使う。
言い換えると、あたかも狭心症が起こりそうな前兆で、胸に手をあてたいような胸部の不安感に苓桂朮甘湯をつかう。狭心症が起きやすい体質の発作予防に使う。不安になると手を胸に当てるタイプに使う。
半夏厚朴湯は、肝鬱という肝からでてくる不安感である。
イライラから落ち着かず(煩躁)歩き回り、軽い不安感を伴う時は半夏厚朴湯である。
痰濁中阻たんだくちゅうそ:痰が胃腸を阻む:めまいがして倒れそうになる。物が回転して見える。頭重し包裹頭痛ほうかずつうがあり・悪心嘔吐・耳鳴り難聴・舌苔薄白・脈滑となる。
痰気鬱結:発病が比較的緩慢で精神が抑鬱し、表情が乏しく、独り言、突然笑い突然泣き、行動が異常で、清潔と汚れが分からず、昼夜の区別がなく、飲食を欲しない:統合失調症などにあらわれる。
痰厥:厥症の一つ・痰盛気閉しておきる四肢厥冷で、重い場合は、痰涎たんせんが壅盛ようせいして気閉し、意識がうすれ昏厥こんけつをきたす。
治法は化痰降気法:抽薪飲・六君子湯・金水六君煎などを用いる。癲癇など。
金水六君煎:景岳全書:滋陰補血・除湿化痰:当帰2 熟地黄2~5 陳皮1.5 半夏2 茯苓2 炙甘草1を生姜と水煎服用:肺腎両虚で痰濁内盛し咳嗽多痰の証に用いる。六君子湯は脾虚で痰濁壅盛で嘔逆腹泄。
足の太陰の痰厥の頭痛は、半夏にあらざれば療することあたわずと言われている。
感情の異常(思慮過度・過緊張・易怒)では、必ず胃腸がおかしくなるので、食事が不規則となる。胃腸の薬の半夏瀉心湯は、不安感や焦燥感などの精神病に使う。「脾は思を主る」ことによる:試験や登校時・通勤時の腹痛下痢嘔吐症の標治法であるので、疏肝薬(逍遥散)と一緒に使う。
半夏瀉心湯合逍遥散。
黄連・黄芩は、互いに協働して心火・胃火を冷ますので、胃のチリチリした不快感を治し、心火をさまし精神を安定させる(半夏瀉心湯)
半夏瀉心湯:和胃降逆・消痞・安寧・心火や胃火・胆熱を冷ます安定剤:半夏5 乾姜3 黄芩3 黄連1 人参3 炙甘草3 大棗3:「舌は心の支配」なので舌炎は心火を冷ます半夏瀉心湯や半夏瀉心湯合帰脾湯・加味逍遙散が適応する。
黄連解毒湯は半夏瀉心湯の精神不安や胃がスッキリせず、食欲不振、下痢し易く、顔がのぼせやすく赤い(面紅)、腸鳴、臭いのあるゲップなどの症状(甘草瀉心湯証)に加え、体全体が熱く、小便の出が悪ければ、黄連解毒湯を使う。
さらに、精神症状に口臭・口渇・便秘の胃熱の症状があれば三黄瀉心湯:からだ全体は熱くなく胃部だけの熱証:
心火旺・血熱妄行・肝胆湿熱・脾胃湿熱・胃熱:大黄3 黄連3 黄芩3g)を使う。
心脾両虚・気血両虚の精神不安・動悸には帰脾湯きひとうを使う・・・
精神不安・動悸(心悸・驚悸・怔忡)・不眠などが主証であるが、脾虚で、食欲不振・胃もたれ・食後嗜眠・面色蒼白・萎黄となるが、薬局に来る精神不安の多くがこの心脾両虚である:帰脾湯を使う。
心脾両虚は精神不安よりも貧血の症状に似ている。
つまり、動悸・不安感・不眠・疲れ易い・食欲がないなどであり、これには二つ処方があれば足りる。十全大補湯や帰脾湯を使う。貧血にも使う。
(天王補心丹てんのうほしんたん:心腎陰虚:酸棗仁 生地黄 柏子仁 麦門冬 五味子 当帰 遠志 丹参 玄参 桔梗 朱砂:のぼせ・パニック障害・不安感・焦燥感・動悸・不眠:冷や汗は無い)
心気耗傷
心気耗傷もうしょう という感情異常があり、感情が高ぶるとすぐに泣くようになる状態である。
たとえば、長く歩き続ける旅番組で、参加者の疲れがひどくなると涙もろくなり、泣いたり、騒いだり、泣きながら叫ぶというような場面があるが、そんな心気耗傷の時は、
甘麦大棗湯合逍遙散や甘麦大棗湯合帰脾湯をつかい、あるいは、甘麦大棗湯単独を使う。
(甘麦大棗湯:蔵燥に養心安神・健脾緩中:炙甘草5 浮小麦30 大棗6)
甘麦大棗湯の浮小麦:甘淡涼:止汗・養心安神(汗は心の液:汗をかきすぎると不安感が生じる。長風呂やサウナに入ると夜煩躁して寝られない・理由の無い不安感に襲われるようになる)
(臓躁ぞうそう:発作性精神病。先ず精神の抑鬱・・・・幻覚感情の不安定な知覚過敏・知覚鈍麻の前駆症状後、煩悶・騒々しく理由なく嘆いたり悲しみ泣き抽搐するが、蒼白にならず意識も消失しない点は癲癇と異なる:甘麦大棗湯が適応)
(臓躁:金匱要略の「婦人、臓躁、しばしば悲傷して哭こくせんと欲し、象かたち神霊の作す所の如く、しばしば欠伸あくびす。甘草小麦大棗湯(甘麦大棗湯)之を主る」。あくびが特徴的)
(臓躁:心肝の血虚に情志の抑鬱を兼ね、血躁肝急するによるものである:五臓がさわぎたてるのが臓躁:甘麦大棗湯)
瘀血で発狂する人がいる:
瘀血で精神異常がでる人は、ほとんど狂状という、さわがしい狂った状態が出てくる。
これは不安症状ではなく躁鬱の躁の方の躁病である。外部に発散するので騒々しい激しい形になる。
(躁:さわがしい・あわただしい・うごきまわる・はやい)
発狂という躁病の形で突然起こる。発作は時々起こる。しばしば起こるのではなく何かの引き金、精神的な抑鬱があると異常なほど発狂し、泣くというより騒ぐ方が圧倒的に多い。対象が全くない状態で騒ぐのを狂という表現で表す。
瘀血で狂症が起きる人は、小便が近く、よく小水が出ることが時々あり、舌を診ると青紫色の斑点があることが原則である。この場合、桃核承気湯を使うが、便秘が目標ではない。
ただし、桃核承気湯は少量でよく、少量を使うと安定する。
閉経期前後の症状・・
心腎両虚(天王補心丹)の症状には、不安感や怒り易い、一日の内で周期的に顔が赤くなり、発汗するという症状があるが、これが閉経前後の症状である。(心腎陰虚には天王補心丹)
健忘について
衝任の脈に異常が出てくると、腎気不足になり、衝任は心とも関係があるため、心腎の不足という異常がでてくる(心腎陰虚:天王補心丹)。
腎気不足のため月経を止めようとするので心など五臓のバランスが崩れ、月経断前後諸症(心腎陰虚)である健忘がでてくる。
これを心腎両虚(心腎陰虚)というが、女性にあって男性にはあまりない。男性に生ずる場合は、房事過多や過労で生ずる。
健忘症は男より女の方が多く、月経が終わった途端に物忘れが多くなる。しかし、しばらくすると回復するが、このとき腎虚を天王補心丹などで補えば早く回復することになる。
月経が終わると腎気を全身に送る力も減るので、女性は身長が5~10cmくらい低くなるが、これは腎気の状態が一気に崩れるからである。これが進まない人は長生きする。「腎は骨を主る」ため。
さきの心腎両虚という腎虚によって、不安感が出てくる人には、天王補心丹てんのうほしんたん(心腎陰虚の薬)を使う。
神経症は春に多い。夏は少ない。秋は少しでてくる。
神経症は肝と関係があり、五行色体表では肝は春と関係があるので春に神経症は発症しやすい。
リウマチや鬱病は肝の昂ぶりが長期間続くと発症するが、発症は春多い。木の芽時には腠理そうり(皮膚の汗腺・立毛筋など体表部の組織)が開きだし、外邪や季節の変わり目の影響でストレス・肝の昂ぶりが生じ、それは胃腸にも影響を与えるのでアレルギーも多発する。
寒さが酷い冬が続いてそれに耐えホッとした春先や、酷暑でヘトヘトになりやっとお盆休みに入ったところで、リウマチを発症する人が多発する。頑張って頑張ってホッとした時にリウマチは発症している。
また五行色体表では心と夏は関係があるので、夏に汗をかき眠れないのは心の症状である。
その他の症状の、暑さで食欲不振や怠くなり、口渇や顔が赤くなる、動悸や息切れ・不安感も夏に多い。
神経症では動悸・不眠・不安感は心と関係する夏の方が強くなる傾向がある。「汗は心の液」であり、多汗では不安感が生ずる。
冬はわりあい気持ちが落ち着いているのは万物が閉蔵する季節であり、行動を起こすと病気になりやすいと言われている。
秋は肺と関係し、なぜか悲しくなりやすい季節である。喘息は秋風の乾燥とともに悪化しやすくなり秋は肺を病み易い季節である。肺は乾燥を嫌う臓器であるので喘息は秋に悪化しやすい。
肺陰虚では肺は病むので肺を潤す生脈散や八仙丸が適応する。
神経症の基本は心と関係がある。
「心は神を主る」というのは神は精神という意味で、精神とは意識や思考を表している。
神(精神状態や意識)は望診で判断できる。
目を見て話さない患者は神が失われている状態である。患者は外界を映画をみているような実体験のないように感じている。目がキョロキョロ動いている、あるいはそわそわしているのは心の神が失われている状態である。
望診では姿勢や歩き方、風体、動作からも病気を予想できる。
精神・情緒は五臓とすべて関係がある。
肺は悲しみに関係し、脾は思い・思考に関係し、腎虚は恐れに関係するが、精神は主に心と肝に関係する。
「心は神を主る」ので精神と直接かかわり、肝の「肝は疏泄を主る」の疏泄とは、全身の機能(臓腑の気の昇降出入運動:気・血・津液の流れ)をスムーズにする働きであり、肝はのびやかさ(条達)をコントロールしている。
気の流れは精神状態に影響し、血の流れはすべて肝で調節している。従って肝の薬である四物湯は瘀血を去る処方によく配合される。
肝の疏泄はすべての臓腑に影響するので、精神異常も心の働きで生じるが、肝の影響も大きいのである。
肝の疏泄がみだれると、イライラがでてくる。さらに長期間イライラが続くと不安感がでてくるので、神経症の根本原因は肝とイライラであり、肝の疏泄が乱れるためである。
精神病は先ずイライラが長期間生じて(肝の疏泄がうしなわれて)病因となる。
うるさく騒ぐ人はそれで発散しているのでストレスをあまり受けていないが、それを聞く人はストレスを強く感じる。
血圧が高い人はイライラで気のながれが阻滞されて瘀血ができると、瘀血によって精神異常が起きることがある。
怒りが何らかの原因で異常にでたり、急激に笑いが止まらなくなる人も精神異常が起こる。
怒りは公憤も私憤もあるが、正義感にかられて、あるいは自己防衛や自尊心・理想に燃えて怒ると、怒りはエネルギーを生み出し推進力が増すが制御がきかなくなりがちである。
さらに怒りは普段の何倍もエネルギーを消費するので、心の栄養素を消耗し、肝の疏泄が失われると精神の異常が生じやすい。
感情には「喜・怒・憂・思・悲・驚・恐」という七情があるが、これが異常を起こすと精神異常になる。
たとえば思慮過度で脾胃に影響を与えると精神異常を起す。
脾に影響がおよぶと種々な精神異常が出てくるので治療には脾の薬を使う。
帰脾湯や逍遙散、柴胡桂枝湯などである。
脾の異常や失血や火傷でも精神異常がでてくる。