2025/4/14~15
半夏瀉心湯の口訣集
半夏瀉心湯:和胃降逆・消痞・安寧・心火や胃熱・胆熱を冷ます安定剤:半夏5 乾姜3 黄芩3 黄連1 人参3 炙甘草3 大棗3:
「舌は心の支配」なので舌炎は心火を冷ます半夏瀉心湯や半夏瀉心湯合帰脾湯が適応する。
舌炎に
半夏瀉心湯
半夏瀉心湯合帰脾湯
加味逍遙散合帰脾湯。
半夏瀉心湯:胃もたれ・精神不安や、落ち着きがなく(煩躁)空腹感がなく、胃がスッキリせず、下痢し易く、顔がのぼせ易く赤い(面紅)、腸鳴、臭いのあるゲップ、二日酔の嘔気や食べ過ぎ・飲み過ぎの下痢に効く。
半夏:和胃止嘔・燥湿袪痰・散結消腫:食べ過ぎ・食欲不振・酔い止め・つわり・飲み過ぎや二日酔の予防に半夏瀉心湯。
帰脾湯:気血双補・補脾・養心安神・摂血:黄耆2 人参3 白朮3 当帰2 茯苓3 竜眼肉3 酸棗仁3 遠志2 炙甘草1 木香1 大棗2 生姜1g:不安感のある気血両虚。
舌は心の症状なので、心火による舌炎には加味逍遙散合帰脾湯も考慮する。
また、舌炎には「黄連+黄芩」を含みこの組合せは「心火・胃火を冷ます半夏瀉心湯」の適用でもある。
口内炎は、胃熱に由る者が多いので、三黄瀉心湯・黄連解毒湯・半夏瀉心湯などを使用する。
三黄瀉心湯:大黄3g 黄連3g+黄芩3g:心火・胃火を冷ます。
黄連解毒湯:黄連1.5g+黄芩3g 黄柏1.5g 山梔子2g:心火・胃火を冷ます。
半夏瀉心湯:黄連1g+黄芩3gで心火・胃火を冷ます。
半夏瀉心湯は、半夏+乾姜で胃気上逆をしずめる、黄連+黄芩で、心火(不安感・落ち着かない)や胃火や胆熱を冷やす肝鬱薬、乾姜(大熱性)で、腸を温める、人参・甘草・大棗は胃腸や心を補い安定させ食欲を増す。
平胃散:胃部がつかえ脹り、スッキリせず、食欲がない場合。
(半夏瀉心湯は心下痞硬・心胃の不安感・食欲不振・飲み過ぎ・食べ過ぎの下利に良く効く)。
半夏瀉心湯は、登校時や通勤時の腹痛下利の予防や下利止め・つわり・二日酔い・胃部不快の不安感・食欲不振や食べ過ぎに効果は顕著だが体質改善にはならないので、逍遥散・抑肝散加陳皮半夏などと合方する。
過敏性大腸炎はよく半夏瀉心湯が使われるが、それは胃強脾弱の場合であって、寒湿の下利の真武湯とは異なる。
真武湯:腎陽虚・寒湿に適応:ストレスがあり、下半身の冷えが目標・寒湿の下利や痔・地面に吸い込まれるような倦怠感:脾虚は補わない:温陽利水:附子1 茯苓5 白朮3 白芍3 生姜3g。
「黄連+黄芩」で心火・胃火を冷ます半夏瀉心湯。
胃熱を冷ます処方:大柴胡湯・黄連解毒湯・三黄瀉心湯・半夏瀉心湯・調胃承気湯・大承気湯・小承気湯・温胆湯・涼膈散・竹筎・大黄・センブリ。
涼膈散りょうかくさん:清熱解毒・瀉下:
連翹2 黄芩2 薄荷2(後下) 淡竹葉1 生甘草1 大黄2(後下) 芒硝2(沖服):熱盛を治す。
拒食症:精神的な抑鬱によって食欲のないもの、神経性不食症・拒食症:半夏瀉心湯・抑肝扶脾散・半夏厚朴湯・小柴胡湯・柴朴湯。
半夏瀉心湯は、精神不安・食欲不振・食べ過ぎ・二日酔い・下利に効く:半夏瀉心湯の病理の心火・胃熱腸冷の煩躁状態は不安感を生ずる。
102:胃火の胃中不和とは?:精神不安があり、煩躁して落ち着きがなく、胃もたれ(納呆のうほう)があり、その他、悪心・下利しやすい・面紅・腸鳴・食臭のゲップ(噯気)がある時、半夏瀉心湯・甘草瀉心湯を使う。
(憑依症)狐惑病に甘草瀉心湯:半夏瀉心湯に甘草一味の甘草湯を加えるか、芍薬甘草湯を合方してもよいが、狐とかにとりつかれた狐惑病に使うがこれは特殊な場合で通常は消化不良・心火による不眠に使用する。
真武湯:冷え症の陽虚の、目まい・下痢・足冷には、真武湯がよい。
食欲不振の脾陽虚には人参湯。
食少と下痢体質には真武湯合補中益気湯・真武湯合人参湯がよく、
食欲があり下痢体質には半夏瀉心湯や半夏瀉心湯合真武湯。
半夏瀉心湯は、やや便秘気味の人には、乾姜の大熱が腸を温めて便を固め、半夏+乾姜が降逆作用で嘔吐や蠕動運動を抑制するので排便したくてもできずに苦しむ:下利・軟便気味に適応する。
半夏瀉心湯:和胃降逆の鎮吐・止瀉作用・心下痞硬を消痞・心火を冷まして安寧・胃熱・胆熱を冷ます肝鬱の薬:半夏5 乾姜3 黄芩3 黄連1 人参3 炙甘草3 大棗3g。
半夏瀉心湯は、精神不安・食欲不振・食べ過ぎ・下利に効く:心火と胃熱腸冷は煩躁から不安感を生ずる。
胃強脾弱(胃火による胃の陽気亢進して脾陰は衰える)の時には、もう承気湯を用いて瀉下することはできないので半夏瀉心湯を使う。
小承気湯:大黄2 厚朴3 枳実2(瀉下作用が強い芒硝1~3gが無い)。
調胃承気湯:熱結腸道の但熱して不寒:大黄2 芒硝1 甘草1g。
大承気湯:峻下熱結:大黄2 芒硝3 厚朴5 枳実3。
芒硝1~3g・元明粉、玄明粉:硫酸ナトリウム:鹹苦寒:瀉熱通便。
厚朴には理気作用があり、陳皮とともに脾胃の気滞を改善する。
枳実キジツ:苦辛微寒:破気消積・化痰散痞・理気寛胸:2~3g。
陽明腑証:邪熱と糞便などの燥実内結し壮熱・日晡潮熱・手足に汗出で・大便秘結・心煩・尿黄・脈沈滑で、治療は攻下燥結で、三種の承気湯類を用い肝鬱を兼ねれば陽明腑証に大柴胡湯を用いる。
半夏瀉心湯:急迫する腹痛に効く「白朮+白芍」が無いが、
心火を冷まし不安感に効く(不安感・緊張による登校時下利)。
胃火による胃痛(胃熱・二日酔い)や
腸冷による下痢(食べ過ぎ・冷飲の下利)にも効果があり、
心下痞(胃のつかえ)に適応する。
132.胃潰瘍手術後の50歳の男子、おくびがひっきりなしに出る。げっぷげっぷしている。心下痞硬、大便は1日一行。半夏瀉心湯で噯気が減じ、胸もすき、食欲涌いた。「漢方診療三十年」大塚敬節
噯気あいきは噫気あいきに同じ:げっぷ、おくび。
130.胃弱、食少、不眠の24歳の男子(半夏瀉心湯)。心下痞硬、大便1日一行。半夏瀉心湯で胃がすいて気持ちが良い。安眠できるようになった。「漢方診療三十年」大塚敬節
椒梅瀉心湯しょうばいしゃしんとう:本朝経験方:半夏瀉心湯に烏梅2.5 蜀椒1.5を加える:半夏5 黄芩2.5 乾姜2.5 人参2.5 甘草2.5 大棗2.5 黄連1 烏梅2.5 蜀椒1.5g:蛔虫の悪心や下利に用いる:半夏瀉心湯合大建中湯。
大建中湯:温中散寒・解痙止痛・補気健脾・殺回虫・結石痛:
蜀椒2 乾姜4 人参3 膠飴20:
寒実証(実寒証)で、冷えが体に侵入した状態になると腸がモコモコ動いたりブチブチと音をたてて動く。
蜀椒しょくしょう・花椒・山椒さんしょう:ミカン科カホクサンショウの果実:脾胃肺腎経:辛大熱有毒(多いと鼻血が出る):温中・止痛・袪湿・駆回虫・明目:0.8~2g。
膠飴は「補脾し胃虚を補う」の作用がある。裏りの気を補う作用がある:小建中湯・大建中湯。
133.幽門癌と診断された57歳のやせた男子(半夏瀉心湯)。みぞおちの痛みで心下痞硬があり、みそおちが硬くて抵抗がある。半夏瀉心湯を10日後に胸のつかえが楽になった。「漢方診療三十年」大塚敬節
夜に蕁麻疹の40歳婦人。加味逍遙散加荊芥・地骨皮・山梔子で大便快通、頭が軽くなった。その後心下痞硬鈍痛、おくび・頭痛、軟便に半夏瀉心湯で改善。今度は便秘し蕁麻疹再発で前方を7日間で完治。「漢方診療三十年」大塚敬節
128.心下痞硬で鈍痛、おくび・頭痛、軟便に半夏瀉心湯で改善。「漢方診療三十年」大塚敬節
159.慢性下痢の15歳の男子(真武湯合半夏瀉心湯)「漢方診療三十年」大塚敬節
「脾は思を主る」ので半夏瀉心湯は心火を瀉し心下痞を鎮めるので心が落ちつく。つまり半夏瀉心湯は、胃不和で落ち着かない煩躁時の精神安定剤でもある。
半夏瀉心湯:胃熱腸冷:胃熱があるので食欲があるため食べ過ぎ飲み過ぎして胃腸に負担をかけやすく、腸冷のため下利・軟便になり易い人に適用する。半夏瀉心湯で食欲が増し食べすぎて胃腸を壊すので注意。
冷飲過多・胃腸が疲れている人・食べ過ぎの人の乗り物酔い:半夏瀉心湯:つわり・二日酔の吐き気にも適応。
半夏瀉心湯:腹痛の組合せの白朮+白芍がないので急迫する腹痛には効かないが急迫する下利の予防・治療には効く。
半夏瀉心湯の寒熱錯雑の症状は、ゴロゴロブチブチと腸鳴・嘔気・臭いのあるゲップ・食臭の噯気・胃火心火による面紅・心火と胃不和による不安感・食欲不振・消化不良・下利・軟便・精神不安。
痰濁たんだく(胃気上逆)の症状:悪心・嘔吐・噯気・吃逆・嘔吐の反復発作・胸脇苦満が強い:化痰辟濁:小半夏加茯苓湯・玉枢丹・柴平湯・(半夏瀉心湯は軽い胸脇苦満)。
小半夏加茯苓湯:和胃降逆・化痰利水:半夏6 生姜6 茯苓5g:痰飲の胃気上逆に適し、陰虚には燥性が強く不適なため、妊娠嘔吐には頓服で使い傷陰を防ぐ。
玉枢丹(紫金錠):陳実功:外科正宗:山慈姑さんじこ 紅芽大戟 五倍子 麝香じゃこう 千金子:胃気上逆の症状で穢濁によるときは、暑い日に突然発作がおき、腹痛・吐きたくても吐けない・お腹が脹って非常に苦しい急性膵臓炎の症状に、玉枢丹を使う。
千金子:続髄子ぞくずいし:トウダイグサ科続髄子ホルトソウの成熟種子:辛温・有毒:肝・腎経:瀉下逐水・破血散瘀:利尿と激しい瀉下作用:肝硬変の腹水・住血吸虫病の末期:体力のある裏実証で大小便が出ない時。
「半夏+生姜」は辛温で和胃降逆・散結消痞:上腹部のつかえを消し、黄芩とともに辛開苦降しんかいくこう して吐き気を抑えるように働く(半夏瀉心湯や大柴胡湯の胃のつかえ・嘔気に適応)。
大柴胡湯:肝火上炎・肝気鬱結・胃実熱・心下痞硬(上腹部の脹り・苦満):柴胡6 黄芩3 白芍3 半夏4 生姜4 大棗3 枳実2 大黄1g。
緊張などが原因であとからあとからゲップが出る・胃炎・胃潰瘍・逆流性食道炎・通勤時下痢症・登校時腹痛下痢症には半夏瀉心湯や加味逍遙散・柴胡桂枝湯・当帰芍薬散を使う。
肝鬱の症状の特徴は、脹っている症状を解放するため、ためいき・ゲップ・矢気(ガス)が多い。
半夏瀉心湯:胃がスッキリせずそのため不安感や食欲不振で下痢し易く(過敏性大腸炎)顔がのぼせやすく赤く(面紅)、腸鳴(寒熱錯雑) 食臭いのあるゲップ(食傷)などの症状(甘草瀉心湯証)。
半夏瀉心湯:酒の酔い止め・食べ過ぎ・食欲不振・胃不和で煩躁・不安感・つわり・車酔い・下利に有効:便秘体質では便秘は悪化する。
過敏性大腸症候群には半夏瀉心湯や当帰芍薬散が適応だが、
痙攣性便秘には半夏瀉心湯では便秘が悪化し排便に苦しむ。
当帰芍薬散:肝血虚・脾虚湿滞:当帰3 白芍4 白朮4 茯苓4 沢瀉4 川芎3:過敏性大腸炎。
黄連解毒湯は、口内炎・舌炎など、赤く腫れて痛み冷やすと気持ちがよいものに適応するが痩せる陰虚には不適(半夏瀉心湯も食べすぎや胃腸の不調による口内炎に使用する)。
胃もたれをともなう精神不安には・・半夏瀉心湯。
半夏瀉心湯は、心下痞・胃不和で落ち着かない時の自然な安定剤でもある。
半夏瀉心湯の人参・炙甘草・大棗は脾虚を補い下痢・軟便・食少改善。
感情の異常(思慮過度・過緊張・易怒)で胃腸がおかしくなるので、胃腸の薬の半夏瀉心湯も不安感や焦燥感などの感情の異常の精神病に使える。その理由は「脾は思を主る」ため。
半夏瀉心湯:胃もたれ・精神不安や、落ち着きがなく(煩躁)空腹感がなく、胃がスッキリせず、下痢し易く、顔がのぼせやすく赤い(面紅)、腸鳴、臭いのあるゲップ。