2025/4/25~26
杞菊地黄丸の口訣集
杞菊地黄丸(肝腎陰虚):滋補肝腎・清肝火・明目:疲労により生じる腎虚症状に適応する:運動会や遠足後のかかと痛(腫痛):枸杞子・菊花・地黄・山茱萸・山薬・沢瀉・茯苓・牡丹皮
(六味丸+枸杞子と菊花)。
杞菊地黄丸:肝腎陰虚:滋補肝腎・清肝火・明目:高血圧症・自律神経失調症:月経異常・頭痛・めまい・目糊ぼやける・目花かすみ目・視力減退・不妊。
杞菊地黄丸:陰虚陽亢の眩暈・耳鳴では頭痛・頭脹し腰膝酸軟、健忘遺精、落ち着かず口が乾き、不眠・多夢、面紅昇火で顔が赤く、舌質紅で少苔、脈弦細数。(口乾はシェーグレン症状)。
肝腎陰虚から陰虚陽亢となる・杞菊地黄丸:盗汗・五心煩熱・口乾・目の異物感・苔少無苔・舌紅・めまい・耳鳴り・ふらつき・焦躁感・不眠・多夢・脈細数・細弦:平肝定眩の杞菊地黄丸・菊花芍薬湯。
枸杞子クコシ:ナス科クコの成熟果実:甘平:肝腎経:滋補肝腎・生精血・清肝火(肝鬱化火を冷ます)・明目:肝庇護作用・腎虚・眼科に杞菊地黄丸:2~6g。
菊花:甘微苦:肺肝経:疏散風熱、明目、平肝陽。
「杞菊六味丸 肝肺を良くし、耳目を明らかにす。」:肝熱と肺熱により起こる、耳鳴・難聴・視力減退などを治す。
更年期の目の下のシミ・顴紅では、当帰芍薬散では治らない。
腎陰虚なので六味丸・杞菊地黄丸が適応するが、
喘息の腎陰虚は緩解期は八仙丸(喘息は緩解期でないと効かない)。
小建中湯が八仙丸の腎陰虚薬の代用となる。
八仙丸:医級:肺腎陰虚:地黄・山茱萸・山薬・沢瀉・茯苓・牡丹皮・五味子・麦門冬(六味丸+ 五味子・麦門冬):小建中湯で代用できる。又は六味丸合生脈散(六味丸+人参五味子麦門冬)。
斂肺斂汗滋腎の五味子:酸温:肺腎経:モクレン科チョウセンゴミシの成熟果実:斂肺滋腎・生津斂汗しょうしんれんかん・渋精止瀉:咳・鼻水・汗止め薬。
麦門冬・麦冬ばくどう:ユリ科ジャノヒゲの塊状根:甘微苦微寒:潤燥生津・化痰止咳・養胃生津・清心除煩・潤腸通便:性質が滋潤で、肺を滋補するが痰を生じ易いので解表には不利(カゼの初期高熱時には不利)。
陰虚の処方:六味丸・八味丸・知柏地黄丸・杞菊地黄丸・小建中湯。
小建中湯:桂枝4 芍薬6 大棗4 生姜4 甘草2 膠飴20g:老人や子供に多い便秘で、「疲れて(陰虚になる)・咽渇(水気不足の陰虚)・足の筋が痛くて(肝血虚)・お腹が痛い(脾虚肝乗)の便秘に用いる。
膠飴は補脾胃虚作用:餅米もちごめ・粳米コウベイうるちまい・小麦粉の三種類の穀物を麦芽バクガで加工したアメ:小麦粉だけが原料の膠飴アメもある。
明目には、杞菊地黄丸に巴戟天・肉ジュ蓉などの補腎薬を配合する。
巴戟天はげきてん:アカネ科巴戟天の根:辛甘微温:腎経:温腎補陽・強筋骨・袪寒湿:淫羊藿(仙霊脾)と同じ:下焦の腰や膝の寒湿による障害に適す:腎陽虚によるED・失禁・頻尿に用いる。
腎精不足の薬の肉ジュ蓉にくじゅよう:ハマウツボ科ホンオニクの肉質茎:甘鹹温:腎大腸経:滋腎益精・補陽潤腸:強壮・通便:肉ジュ蓉は穏やかで補陽でも燥でなく滋してしつこくないので従容という:2~6g。
肝陽上亢の処方:加味逍遙散・逍遥散・抑肝散加陳皮半夏・柴胡加竜骨牡蠣湯・知柏地黄丸・杞菊地黄丸・釣藤散・牛黄清心丸。
柴胡加竜骨牡蠣湯:この処方の帯下は腎虚の症状:龍骨・牡蠣には、固渋作用がある。汗・小便・大便・精液・帯下などの流出を止める。
肝陽上亢の症状:イライラ・易怒・頭痛・めまい・面紅・目赤・口乾・脈弦・舌質紅+不眠・動悸・腰重・下肢無力感・脈細数・陰虚症状:滋陰平肝:加味逍遙散・抑肝散加陳皮半夏・杞菊地黄丸・天麻鈎藤飲。
天麻鈎藤飲:平肝熄風・柔筋活絡:天麻 釣藤鈎 石決明 山梔子 黄芩 杜仲 牛膝 益母草 桑寄生 夜交藤 茯神。
天麻・明天麻:ラン科オニノヤガラの塊茎:甘微温:肝経:袪風鎮痙(天麻鈎藤飲)・通絡止痛:抗痙攣・鎮静:めまい(半夏白朮天麻湯)・頭痛(陰天時の湿邪による頭痛の半夏白朮天麻湯)の主薬。
肝陽化風の半身不遂:天麻鈎藤飲加減・杞菊地黄丸。
杞菊地黄丸の肝腎陰虚などでは、足の少陰腎経は喉嚨をめぐり舌本を挟むので、腎陰虚では言葉がうまくしゃべれない・嚥下困難をしめす:杞菊地黄丸。
「肝は血を臓し、筋を主り、腎は精を蔵し、骨を主る」:肝腎陰虚では筋骨痿弱となり四肢の筋肉萎縮となる:杞菊地黄丸。
陰虚 の潮熱・・知柏地黄丸・六味丸・杞菊地黄丸・清骨散加当帰・白芍:陰虚体質又は発汗・嘔吐・下痢・出血・脱水などによる傷陰で、虚火上炎したり慢性疾患や急性熱性疾患の後期に発生し「骨蒸潮熱」となる。
骨蒸潮熱:発熱の状態が骨髄から発するようにおぼえ、陰虚内熱が原因で潮熱が裏の奥深いところからでる状態:午後あるいは夜間の発熱:陰虚の症状。
潮熱とは、潮が満ちるように一定の時間に生じる発熱をさす。傷寒論では日晡潮熱:午後4~8時の発熱が毎日反復する状態:承気湯・大柴胡湯・加味逍遙散などの適用、後世方では午後潮熱という。
足の一点だけ痛む時は、踵痛しゅつう(腎虚)には六味丸・杞菊地黄丸、ふくらはぎ全体・大腿部の筋肉痛(脾虚)には六君子湯、すねの横が痛む時(筋は肝血虚)は四物湯。三つの症状は小建中湯。足の裏の痛みは血虚が原因。
小建中湯:桂枝4 芍薬6 大棗4 生姜4 甘草2 膠飴20:老人や子供に多い便秘で、「疲れて(陰虚)・咽が渇いて(陰虚)・お腹が痛い(脾虚肝乗」の便秘に用いる。
六君子湯:健脾益気・和胃化濁:党参4 茯苓4 炒白朮3 炙甘草1 製半夏4 陳皮3 乾姜0.1 大棗2.。
耳は肝とも腎と関係があるので、耳の症状には小柴胡湯を使う。
肝腎陰虚なら杞菊地黄丸。小柴胡湯合八味丸・小柴胡湯合六味丸・小柴胡湯合杞菊地黄丸。
肝腎陰虚:高血圧症・自律神経失調症:月経異常・頭痛・目糊・目花・視力減退・不妊:杞菊地黄丸・二至丸。
二至丸:女貞子5・旱蓮草5 各等分:肝腎陰虚。
肝血虚:めまい・目花・月経量少・無月経・不眠・多夢・四肢麻木・筋肉の運動障害:養肝血・滋腎陰:補肝湯・四物湯・杞菊地黄丸・黒逍遥散:逍遙散加生地黄4gまたは熟地黄4gを加える。
血虚の頭痛に補肝湯:医宗金鑑:養血:四物湯 + 酸棗仁 木瓜 麦門冬 甘草。
黒逍遥散:逍遙散加生地黄4または熟地黄4gを加える。または四物湯を合方する:疏肝解鬱・補血健脾・調経:熱証が見られる時は生地黄しょうじおうを使い、それ以外では熟地黄(補血)を使う。
網膜炎方:杞菊地黄丸+女貞子でもよい:中心性網膜炎・老人性白内障の初期・視力減退・目がかすむなど肝腎陰虚の症状があるときに。
網膜炎方:女貞子3 枸杞子4 熟地黄5 茯苓5 沢瀉3 牡丹皮2 山茱萸3 山薬4。
小児の手顫・・補腎養肝:六味丸合青娥丸加枸杞子・菊花・麦門冬・五味子(杞菊地黄丸合生脈散)
青娥丸せいががん(和剤局方:胡桃肉30クルミ 補骨脂12 杜仲24 蒜12gを砕いて1回1g服用:腎陽虚の慢性腰痛)。
疲労によるめまいには杞菊地黄丸:昼夜逆転の慢性疲労で面紅の新聞配達人のめまいによく効いた。
疲れた時には通常は一時的な陰虚になるので杞菊地黄丸・肝腎陰虚などを考慮する。
足跟痛・かかと痛:アキレス腱は体で最も大きな筋であるため肝の症状だが、肝腎陰虚の腎虚が元の原因なので杞菊地黄丸を使う。
腎陰虚で生じたのめまいでは、杞菊地黄丸。
腎陰虚の頭痛に腎の陰陽両虚の八味丸を使うと、熱で悪化するので八味丸ではなく、知柏地黄丸や杞菊地黄丸を使う。
肝陽上亢が慢性化し腎陰虚となると・・滋養肝腎:杞菊地黄丸。
肝陽化風は、肝陽上亢が基礎にあり、脳卒中などの予防に、抑肝散・加味逍遙散・柴胡加竜骨牡蠣湯・知柏地黄丸・杞菊地黄丸・釣藤散・釣藤散合平胃散・安宮牛黄丸・牛黄清心丸・羚羊鈎藤湯などで予防する。
杞菊妙見丸(杞菊地黄丸)720丸¥7700 360丸¥4150くらい