2025/4/30
桂枝湯の口訣集
桂枝湯:辛温解肌しんおんげき・調和営衛:表寒や表虚の悪風を補う:桂枝4 芍薬4 大棗4 生姜4 甘草2:肌表キヒョウの邪を外解がいげ し、営衛を調和する。適用には自汗であることが必要。
葛根湯で、十分に発汗したが、まだ若干じゃっかんの症状が残っている場合には、桂枝湯かその類方の柴胡桂枝湯に転方する。(カゼ薬使用後の残存症状には柴胡桂枝湯を使う)。
桂枝湯(桂枝4 芍薬4 大棗4 生姜4 甘草2)は、もともと風・寒という病症につかう。
桂枝湯は、毎日発熱する者に使う。柴胡桂枝湯・加味逍遙散・小建中湯・補中益気湯の場合もある。
漢代の張仲景は桂枝湯で妊娠嘔吐を治した。
鼻炎で自汗の処方は、桂枝湯・桂枝湯合玉屏風散(黄耆8・防風3・白朮3)・代用処方に桂枝湯合防已黄耆湯(防風の代わりに防已が入っている。
黄耆:補気升陽・固表止汗・利水消腫・托毒排膿(元気を補い汗・鼻水を止め、皮膚病を治す)。
桂枝湯:営衛不和、陰陽失調、頭痛項強、発熱して汗出で、悪風、鼻鳴、乾嘔からえずき 脈緩の者。
「解肌ゲキ」とは桂枝湯が肌表キヒョウの「邪を営衛を調和して解除」する作用があることを指し、麻黄湯の発汗して「解表ゲヒョウ」する作用と対比して解肌といっているのである。
桂枝湯は邪気を発散するだけでなく、正気を補助しており、組成の甘酸辛の薬味を合わせ用いて陰陽を調和する妙味をもつ。
上焦部の痛みである寝違え(落枕)は急性病で、風寒邪+血瘀です。
疎経活血湯に桂枝加朮附湯あるいは桂枝湯、激痛の場合は疎経活血湯に葛根湯や独活葛根湯(風寒湿邪)を合方する。
疎経活血湯合桂枝加朮附湯
疎経活血湯合桂枝湯
疎経活血湯合葛根湯
疎経活血湯合独活葛根湯。
独活葛根湯:葛根5 桂枝3 芍薬3 麻黄2 独活2 地黄4 大棗1 生姜1 甘草1:落枕らくちん(寝違え)・肩こり。
葛根湯:太陽傷寒・表実:無汗・辛温解表・生津・舒筋(太陽膀胱経上の筋肉を緩める):葛根8 桂枝3 麻黄4 白芍3 甘草2 生姜4 大棗4:首から上の初期の炎症症状(耳・鼻・目・歯痛の炎症)を緩和する。
桂枝湯は、「辛甘化陽」と「酸甘化陰」によって「営衛を調和する。
もし太陽傷寒証(麻黄湯証)に桂枝湯を用いれば、病が解除しないばかりか、桂枝湯中の芍薬の酸寒収斂の作用によって、表寒の邪気が更に閉ざされ、裏熱煩躁の「汗出でずして煩躁」の大青竜湯証となる。
大青竜湯:麻黄湯(麻黄5 桂枝4 杏仁5 炙甘草1.5)+生石膏10・生姜2・大棗3:無汗煩躁・辛温解表・表寒裏熱:清熱除煩・利水・止咳平喘(生石膏は裏熱を冷まし清熱除煩す)。
「傷寒論」では、「桂枝(湯)本 解肌と為す。若し人 脈浮緊(太陽傷寒:麻黄湯証)に、発熱し、汗出でざる者(無汗)は、之(桂枝湯)を与う可べ からざる也」としている。
桂枝湯は肌表に働き、人参、黄耆は裏に働く。
頭痛、発熱、悪寒、悪風、鼻鳴、乾嘔などのただ一証でもあれば桂枝湯をもちいてよい。だた「脈弱自汗が主要な証」である。柯琴(清初期)
桂枝湯の酸甘(芍薬+甘草、芍薬+大棗)の酸甘化陰は、陰を生じて営気(陰血・血液と関係する)を生ずる。
桂枝湯の辛甘(生姜+大棗、生姜+甘草、桂枝+甘草)の辛甘化陽(化陽:陽気を生ずる)で衛気(陽気の一種)を助ける。
桂枝湯は、辛甘化陽と酸甘化陰によって営衛を調和する。
辛甘は陽に働いて衛気を助け、酸甘は陰に働いて営気を和する。
ゆえに桂枝湯は営衛を調和する効果がある。
桂枝湯は強壮作用がある。気血のめぐりをよくして、陰陽を調和する作用がある。
桂枝湯:辛温解肌しんおんげき・調和営衛:表寒・表虚を補う。
桂枝加附子湯証に、桂枝湯を服用すると、発汗して陽はますます虚して、四肢の末端まで達しなくなり、四肢厥逆となるので附子を用いる。
汗は多くても、脈が遅緩で、潮熱がなく、まだ少し悪風悪寒がある場合は、陽明経の表にある邪気が完全に解していないことを示唆している。この証のように汗がある時は、解肌疏風の作用をもつ桂枝湯を用いる。
妄りに発汗し、妄りに下しても表証の解しない者は、やはり桂枝湯で解肌すべきである。もし、頭痛、発熱、悪寒、悪風、鼻鳴、乾嘔などのただ一証でもあれば桂枝湯をもちいてよい。だた脈弱自汗が主要な証である。
桂枝湯:頭痛・悪寒さむけ・発熱・自汗・脈浮弱の表証(表虚症)に用いる。長くさむけや微熱がとれず他に異常がない時に用いることがある。
桂枝湯は強壮作用がある。気血のめぐりをよくして、陰陽を調和する作用がある。桂枝湯は体力の充実している人より、衰えている人に用いることが多い。
自汗とは:温かくしていると少し汗ばみ、隙風にあたると寒けがする:この症状に桂枝湯などをもちいる。
桂枝湯:桂枝4 芍薬4 大棗4 生姜4 甘草2の芍薬が5割増しの桂枝加芍薬湯になると腹痛に効くようになる。
桂枝加芍薬湯:桂枝湯の芍薬を倍加し(陰を増し)、産後乳腺炎に良い効果がある。また痙攣性疼痛は、どこが痛んでも之を服用すれば効果がある。(芍薬甘草湯の痙攣を治す作用と通脈作用)。
金匱要略の妊娠篇の最初に桂枝湯がでてくる。妊娠初期に桂枝湯を用いる場合がある。桂枝麻黄各半湯は、桂枝湯と麻黄湯を混合した処方で、麻黄湯では脈弱で発汗が強すぎ、桂枝湯では薬力が足らない場合に用いる。じんましんなどにも用いる。
身体痛では、表の衛気営血の不足があるから、人参、黄耆だけを投与しても裏に働くだけで効果は不十分であり、肌表に働く桂枝湯を用いて始めて効果が得られる。
名古屋玄医なごやげんい は、桂枝湯にいろいろ加味して用いた。玄医は、病気は陰陽の不調和から生じるので桂枝湯で調和すればよいと考えていた。
桂枝湯証は風に傷められたか、麻黄湯証の寒に外感したかの差がある。
桂枝湯は強壮作用がある。気血のめぐりをよくして陰陽を調和する作用がある。
桂枝湯は邪気を発散するだけでなく、正気を補助しており、組成の甘酸辛の薬味を合わせ用いて陰陽を調和する妙味をもつ。
汗は多くても脈が遅緩で潮熱がなく、まだ少し悪風悪寒がある場合は、陽明経の表にある邪気が完全に解していないことを示唆している。この証のように汗がある時は、解肌疏風の作用をもつ桂枝湯を用いる。
麻黄湯や葛根湯を用いて汗が出たが、熱も寒気がとれない時に桂枝湯(重要:柴胡桂枝湯が良い)を用いてよいことがあるが、脈は浮弱である。
気血両虚の足痛に十全大補湯:気血双補・補腎陽:人参4、白朮4、茯苓4、甘草1 大棗1 生姜1+当帰4 白芍4 川芎4 熟地黄4+黄耆・桂枝(肉桂):気血双補・袪寒(桂枝湯が入っている)
桂枝湯:桂枝4 芍薬4 大棗4 生姜4 甘草2:
肌表きひょう の邪を外解がいげ し、営衛を調和する。