2025/5/19
葛根湯の口訣集
葛根湯:太陽傷寒・表実:無汗・辛温解表・生津・舒筋(太陽膀胱経上の筋肉を緩める):葛根8 桂枝3 麻黄4 白芍3 甘草2 生姜4 大棗4:首から上の初期の炎症症状を緩和する。
葛根湯の適用:鼻風邪、鼻づまり、鼻水、クシャミ:無汗であり、胃腸症状など裏証がないことを確認する。
葛根湯:太陽病位(背中側)で、項背部がこわばり、汗はでていないが悪風する者には、葛根湯が適用される。
葛根湯:麻黄湯去杏仁+葛根8・白芍3・生姜4・大棗4g。
葛根湯で、十分に発汗したが、まだ若干じゃっかんの症状が残っている場合には、桂枝湯か、その類方の柴胡桂枝湯に転方する。
(カゼ薬使用後の残存症状には柴胡桂枝湯を使う)。
桂枝湯:桂枝4 芍薬4 大棗4 生姜4 甘草2gの芍薬6gが5割増しの桂枝加芍薬湯になると腹痛に効くようになる。
柴胡桂枝湯:柴胡5 黄芩1 半夏4 生姜1 人参1 大棗2 甘草1.5 桂枝2.5 芍薬1g。
食欲がなく、食べ物の味がしない:味覚障害のような感冒に、葛根湯などの発汗剤を使用すると悪化するので、注意が必要である(補中益気湯をつかう)。
五積散:寒いと小便頻数になる人の神経痛・腰痛・手の痛みには桂枝加朮附湯や五積散をつかうがほとんどは五積散である。五積散は患部に熱感が無い神経痛に使うがリウマチには無効。上腕の痛みに葛根湯。
葛根湯の適応:乳腺炎(発赤・腫脹・悪寒発熱)。
葛根湯:痒み、赤み、熱感のある湿疹・皮膚炎の初期:
表証の方剤なので慢性病や裏証の皮膚炎には不適)。
慢性化した皮膚炎は裏証(臓腑の異常)が多く葛根湯は不適(裏証:食欲不振や嘔気・下痢・腹痛には不適)。
葛根湯の適応:項背が強ばり前額部痛の副鼻腔炎(ちくのうしょう)で、肩こりの有る者で額の痛みのあることが特徴。
葛根湯:赤く腫脹したフルンケル(癤)・カルブンケル(癰)・面疔の初期(悪寒・発熱)(初期で症状が強い時は、葛根湯加桔梗石膏)。
フルンケル(癤せつ):細菌感染が毛のう周囲から深部に広がると「癤せつ:フルンケル」と呼ばれ、毛のう炎より発赤・痛みが強くなり、約1cm程度の紅斑が認められる:初期は葛根湯や十味敗毒湯、七症があれば小柴胡湯。
カルブンケル(癰よう):2つ以上の毛のうに同時に細菌が侵入したものを「癰よう(カルブンケル)」といい、フルンケルより症状が強く、病変が深部に及び、数cm程度に広がる紅色の腫脹が見られる。
葛根湯の適応:麦粒腫(ものもらい)の初期で発赤・腫脹。
中耳炎の初期には、葛根湯。
葛根湯:寒冷性蕁麻疹でも赤い膨疹(冷えで発症する風寒化熱型):(葛根は冷やす作用もある)。
葛根湯の適用:風寒の表証でも、やや化熱した病態(咽痛・咽喉や顔に赤み、粘鼻水、舌尖の赤味:温病の症状)葛根が辛涼発表薬であることから温病にもやや使える。
葛根湯の適応:上半身の緊張・項背の拘急・肩こり:バイオリン奏者は練習だけでは体幹ジストニアで背骨がゆがんでくるので(音楽家ジストニア)水泳などで補正している・バイオリン奏者や歯科医師の職業寿命を延ばす。
葛根湯の適用:痺証(上焦・陽部:筋肉攣急、疼痛:肩や二の腕の痛み)。
葛根湯の適応:三叉神経痛・ちくのうなど、顔面部の痛み。
出産後、乳汁分泌不足に適応:葛根湯(項背拘急・乳房が脹って痛む:表証の薬)。
荊防敗毒散:風寒の風邪一般の葛根湯より守備範囲が広くて繁用されるべき風寒湿の処方だが余り使われていない。
荊防敗毒散:辛温解表・袪風邪・袪湿邪・止咳化痰・止痛:荊芥3 防風3 羗活2 独活2 柴胡3 前胡2 川芎2 桔梗1 枳穀2 茯苓3 炙甘草1 生姜1 薄荷1:無汗で疲れ易い体力の無い人の風邪。
荊芥けいがい・荊芥穂:シソ科荊芥の花穂のついた枝や花穂:辛微温:袪風解表・止血・消炎・咽痛には古人は必須とした:風病・血病・産後の主要薬:辛温でも燥ではない。
荊芥連翹湯:万病回春:荊芥2 連翹2 黄芩2 山梔子2 防風2 当帰2 川芎2 白芍2 柴胡2 枳穀2 白芷2 桔梗2 甘草1.5。
(荊芥・連翹・山梔子・黄芩は、強い消炎・抗菌・解熱作用。
防風:セリ科防風の根:辛甘微温:膀胱肝脾経:袪風解表・袪湿解痙・止瀉止血:発汗・解熱・鎮痛:袪風の主薬:和食のつまに使用し食中毒を防ぐ。
羗活きょうかつ:セリ科羗活の根や根茎:辛苦温:散寒燥湿・解表・袪風湿・止痛;羗活は風邪薬によく配合される:荊防敗毒散・蠲痺湯・大防風湯。
独活:袪風湿・通経絡・散寒止痛:特に項背部の筋肉や下半身の関節の風湿を去る・臀部の痛み・両足のしびれ:独活寄生湯。
寒薬の前胡ぜんこ;苦辛微寒:セリ科白花前胡の根:苦辛微寒:下気化痰・疏散風熱:風熱が原因の咳・痰を冷やして止める:咳止め痰切り薬。
七症の一症を伴う癤・癰:小柴胡湯加桔梗石膏、初期の場合は葛根湯・癤・癰などの化膿:葛根湯加桔梗石膏または十味敗毒湯加桔梗石膏。
太陽膀胱経の流注不利で項背強ばること「几几シュシュ」の葛根湯証(麻黄湯加減証)。
癤・癰の初期には、葛根湯・十味敗毒湯を使用する。少陽病の七症がでてきたら小柴胡湯・小柴胡湯加桔梗石膏などの柴胡剤を使う。
十味敗毒湯:風湿熱:袪風化湿・清熱解毒:防風2.5 荊芥1.5 独活1.5 柴胡2.5 桜皮2.5 桔梗2.5 川芎2.5 茯苓2.5 乾生姜1 甘草1.5 +(連翹):華岡青洲が作ったおできの薬。
葛根湯:五十肩の初期(肩背部の緊張、裏に異常の無いもの):
独活葛根湯・湿痺の五十肩には二朮湯が適応)。
独活寄生湯:千金方:袪風湿・散寒・補気血・益肝腎・活血止痛: 独活2 防風2 桑寄生4 秦艽3 杜仲3 熟地黄5 白芍4 当帰3 牛膝3 川芎2 茯苓3 党参3 細辛1 肉桂0.5(沖服) 炙甘草1。
二朮湯:万病回春:袪風湿・化痰:半夏2 陳皮1.5 天南星1.5 甘草1.5 茯苓1.5 蒼朮1.5 白朮 茯苓1.5 香附子1.5 黄芩1.5 威霊仙1.5 羗活1.5 生姜3g: 経験・漢方処方分量集。
破傷風の初期:葛根湯:破傷風の初期で顔面筋肉が拘攣し口が開かないものに使用された:(葛根湯は本来、口の開かないものに使った)。
五虎追風湯を破傷風に使う。
「口噤して語るを得ず、剛痙をなさんと欲す、葛根湯之を主る」
葛根湯を古人は破傷風のような症状にも用いている。
咳嗽のある場合に麻黄湯や葛根湯(二者とも無汗に適応)で発汗すると、皮毛と肺は表裏関係にあり発汗によって肺が乾いて、かえって咳嗽を増悪させることがある。喘息には適応する。
葛根湯の芍薬は、葛根を助けて筋脈を潤し緩め血流を促進する。
上焦部の痛みである寝違え(落枕)は急性病で、風寒邪+血瘀です。 疎経活血湯に桂枝加朮附湯あるいは桂枝湯、激痛の場合は葛根湯や独活葛根湯(風寒湿邪)を合方する。
寝違え(風寒邪+血瘀)
疎経活血湯合桂枝加朮附湯
疎経活血湯合桂枝湯
疎経活血湯合葛根湯
疎経活血湯合独活葛根湯
手足のつり
疎経活血湯合芍薬甘草湯
葛根湯の葛は生津作用しょうしんさようで、咽の渇きを止める作用があり、葛根湯で糖尿病を治した人がいる。葛根の量を増やせばそれだけで糖尿病が治るという人がいる。
葛根湯の麻黄、桂枝、生姜は辛温で散寒し、発汗解表する。
葛根湯の適応:下痢する急性大腸炎などの発熱性疾患:悪寒・発熱・しぶり腹の下痢:太陽陽明合病:腹痛は無いかあっても軽度に使う。
中耳炎の急性期の初期には葛根湯の応ずるものが多い。柴胡剤や苓桂五味甘草湯や桂枝加黄耆湯で中耳炎によいものがある。
「漢方診療三十年」大塚敬節:十日前突然顔面神経麻痺にかかり左眼を閉じることができなくなり、口がゆがみ、気分が重いという。脈浮大で首がこる。葛根湯を5日分服用で九分通り治りあと五日分で全治。
急性多発性関節リウマチも、軽症のものは葛根湯でよくなることがある。18歳の男子、二週間前から、朝起きた時、背中が痛み、手足の関節が痛むが仕事を始めると痛みは軽くなるという。「漢方診療三十年」大塚敬節。
風寒の邪気が陽明経に侵入して、顔面紅潮、前額部痛、発熱悪寒、無汗、目の痛み、鼻が乾く、安眠できない、脈浮長あるいは脈浮大、舌苔薄白などの時は、葛根湯を用いて、少し発汗させる。
「横なで」:江戸時代の人が「横なで」の症という小児が舌をペラペラと出して、口のまわりをなめまわすような状態があれば葛根湯がよく効くと村井琴山は言っている。(口の周囲の「横なで」はアトピー性皮膚炎の症状)。
葛根湯は首から肩にかけてのこわばり、こり、痛みをとる方剤として有名。首、肩、背中の上部、上腕痛(臑痛ジュツウ)、肘のあたりの痛み、関節の痛みをとる解表剤。
葛根湯の適応:上腕神経痛など上肢の痛み(筋肉拘急性疼痛に適応)。
葛根湯の適応:悪寒・発熱から発赤・腫脹が体表部や身体上部の陽部(太陽膀胱経)にある化熱現象のフルンケル等に適用する:慢性の発赤腫脹には不適用:慢性では臓腑に病変があるため葛根湯は不適。
葛根湯は太陽陽明合病に用いる:悪寒、発熱、頭痛、無汗、軽度の腹痛、下痢、裏急后重、脈浮数、舌苔薄白微黄(風寒化熱した状態):カゼの下痢に用いる。
陽明病の症状:「身熱、発汗、不悪寒、反って悪熱、脈洪大」。
傷寒論では「太陽病」の脈証表現として「脈浮、頭項強痛して、悪寒す」と概括し、これは太陽病を弁証するための重要な根拠である。
(重要)葛根湯は、無汗で首から背中~腰にかけてコルのが、用いる目標である。風邪でも首・背中のこりがなければ葛根湯は用いない。
119、腎出血とフルンケル(癤・癰の初期には、葛根湯・十味敗毒湯を使用する。少陽病の七症がでてきたら小柴胡湯)十味敗毒湯で完治:フルンケルと腎出血。十味敗毒湯は経絡のめぐりを促進する。「漢方診療三十年」大塚敬節
十味敗毒湯:風湿熱:袪風化湿・清熱解毒:防風2.5 荊芥1.5 独活1.5 柴胡2.5 桜皮2.5 桔梗2.5 川芎2.5 茯苓2.5 乾生姜1 甘草1.5 +(連翹):華岡青洲が作ったおできの薬。
桜皮おうひ:バラ科のヤマザクラなどの樹皮:排膿、解毒などの効能があり、湿疹や蕁麻疹・腫れ物などの皮膚病、解熱、魚の中毒、止咳、収斂薬:咳止めに桜皮シロップ。
葛根湯は、発汗解表だけでなく、津液を上昇させて太陽膀胱経の項背の筋脈を滋養して拘緊を緩和する作用がある。
歯痛の処方:葛根湯(風寒証)、葛根湯加桔梗石膏(風寒化熱証)、立効散(軽い風熱証):これらは歯齦の痛みは少ない、熱による歯齦や口内の熱感に適用。歯齦の化膿・出血はみられない場合に適用。
咳嗽のある場合に麻黄湯や葛根湯を使用すると、麻黄まおうが配合されていることからかえって(発汗によって皮毛と肺は表裏関係で肺が乾いて)咳嗽を増悪させることがある。
葛根湯加桔梗石膏の適用:辛涼発表剤(温病の表熱証に適応:
本来は銀翹散)葛根湯加(桔梗)石膏、銀翹散。
葛根湯の適応:悪寒・発熱から発赤・腫脹が体表部・身体上部・陽部に(化熱現象):慢性の発赤腫脹には不適用:慢性では臓腑に病変があるため。
透疹:疹毒を透泄し、すみやかに発疹させて解する治法。葛根湯は麻疹はしかの初期などに用いられる。
升麻葛根湯:透表解肌とうひょうげき:透表解肌とは軽度の発汗作用をもたらして透疹する:初期の麻疹・風疹):解肌透疹:升麻1 葛根5 白芍3 生甘草2:透疹が十分でなく鮮紅色を呈するものに適応。
葛根湯の適用:癰腫ようしゅ:上半身のできもの(初期のもの・太陽病なので上焦にできるもの:発赤腫脹・悪寒発熱、頭痛、舌苔薄白)。
葛根湯:風寒の邪による経絡の閉塞で津液不足となり硬直した太陽膀胱経を緩解(葛根湯中の葛根。芍薬+甘草も拘攣の緩和を助ける)。
葛根湯:太陽傷寒・表実:無汗・辛温解表・生津・舒筋太陽膀胱経上の筋肉を緩める葛根8 桂枝3 麻黄4 白芍3 甘草2 生姜4 大棗4:首から上の初期の炎症症状を緩和する。