習慣性流産の原因と治療
流産の原因:腎虚・脾虚・陰虚火旺・寒証・外傷
腎虚:腰や膝がだるく無力・めまい・耳鳴り・頻尿・尿失禁:千金保孕丸合寿胎丸(滑胎):杜仲茶・海馬補腎丸を少量
千金保孕丸せんきんほようがん:景岳全書:補腎・安胎:杜仲 続断 山薬。
補肝腎安胎薬の続断:マツムシソウ科川続断の根:苦辛微温:肝・腎経:補肝腎・続筋骨(筋骨を修復する)・活血・安胎(滑胎に):打撲・捻挫・骨折・腰や下肢の疼痛。
寿胎丸:菟糸子 桑寄生 続断 阿膠::外傷の滑胎に聖癒湯合寿胎丸。
脾虚:食欲不振・泥状便~水様便・顔が黄色くむくむ:補中益気湯(滑胎):脾胃気虚の体質・労役損傷で気血を生ずることができない。
補中益気湯:補気健脾・昇陽虚寒・甘温除熱:黄耆4、甘草1.5 人参4 当帰3 陳皮2 升麻0.5 乾姜0.5 柴胡1 白朮4 大棗2:中気下陥・安胎(脾虚の滑胎に)・脱肛に真武湯を合方・疲れると発熱。
陰虚火旺:内傷七情で肝鬱化火したり、房室不節で腎陰が消耗し陰虚火旺となる:五心煩熱・顴紅・口渇・冷飲を好む・舌質紅・脈数など熱証を呈する:保陰煎:滋陰降火・固胎。知柏地黄丸(陰虚火旺)・杞菊地黄丸(肝腎陰虚)
保陰煎:景岳全書:滋陰降火・固胎(滑胎):生地黄 熟地黄 白芍 山薬 続断 黄芩 黄柏 甘草
続断:マツムシソウ科川続断の根:苦辛微温:肝・腎経:補肝腎・続筋骨(筋骨を修復する)・活血・安胎(滑胎に):打撲・捻挫・骨折・腰や下肢の疼痛
寒証:下腹部の冷えや痛み・寒がる畏寒・温暖を好む・舌苔は滑・脈遅:安胎白朮散:補気温経・固胎(滑胎に):白朮 川芎 呉茱萸 甘草。当帰芍薬散・当帰芍薬散加附子(強い冷え)
(参考)月経時の絞痛:冷えて下腹部がギュッと痛み時は、当帰四逆湯・当帰四逆加呉茱萸生姜湯・軽い痛みには当帰芍薬散を使う。
(参考)当帰四逆加呉茱萸生姜湯:温経散寒・養血通脈:腹痛・疝痛・嘔吐の強いもの:当帰3、桂枝3、白芍3、甘草2、木通3、大棗1、呉茱萸2、生姜4:妊娠には使わない。
木通モクツウ:アケビなどの木質茎:苦寒:降火利水・通乳(通草も催乳):苦寒性が強いので古人は「心腎の気をひどく消耗するのでみだりにもちいてはならない」。妊婦には用いないほうがよい。
(参考)当帰四逆加呉茱萸生姜湯:下肢が冷えやすい体質で、下腹部の冷痛や腰や大腿内側などが冷えと痛みを生じ、腹痛と腿の内側の冷えと痛みをさすって温めようとする人が見られる。
聖癒湯合寿胎丸:扶気養血・補腎安胎(外傷の滑胎に)
聖癒湯:人参 黄耆 熟地黄 当帰 川芎 白芍(四物湯+人参・黄耆):外傷の滑胎に聖癒湯合寿胎丸・四物湯合補中益気湯
寿胎丸:菟糸子 桑寄生 続断 阿膠::外傷の滑胎に聖癒湯合寿胎丸。
菟糸子:ヒルガオ科ハマネナシカズラの成熟種子:辛甘平:肝腎経:補腎益精・明目・止瀉・安胎(滑胎に寿胎丸)
桑寄生そうきせい:ヤドリギ:補肝腎・袪風湿・強筋骨・安胎(滑胎に寿胎丸):梅寄生もある。
流産の予防:病因は複雑で一概に扱ってはならない。大事なことは性交を慎むこと。古人は「欲火」が妊娠中もっとも避けるべきと指摘している。そのほか、怒ったり過労になることも避ける。
女科経綸・胎前証下:薛立斉せつりっさい いわく。小産は大産より症状は重い。大産は栗の熟して自ずから脱するがごとく、小産は熟する前に生採するがごとく、その皮殻を破り、その根蔕を断つなり。治法は補形気・生新血・去瘀血すべし。
もしいまだ月足らずして、痛みて産せんと欲すは、芎帰補中湯に知母を倍加してこれを止む。
もし産して血止まらざれば、人参黄耆湯にてこれを補す。
もし産して心腹痛めば、芎帰湯(芎帰膠艾湯)これを主どる。
胎気弱くして小産するは、八珍湯(気血両虚に:四物湯+四君子湯)にてこれを固む。
薛セツ:よもぎ・蓬・はますげ
参考:温経湯:下焦虚寒のため血行不良となり血瘀が発生し、虚寒と血瘀から血虚が生じ、甚だしければ陰虚火旺が生じて上部に熱証があらわれる病態:月経不順・不妊・主婦湿疹・更年期障害・不正性器出血。
血虚の症状:皮膚につやがない・口唇の乾燥・目が疲れる・頭がふらつく・手足のしびれ(肝血虚)
陰虚火旺の症状:手の平のほてり・夕方に微熱が出る:五心煩熱・顴紅・口渇・冷飲を好む・舌質紅・脈数など熱証を呈する。
月経後期(遅延:血瘀・血虚・虚寒。
月経先期(過早)・月経先後無定期:肝鬱。
月経量過少:血瘀・血虚・腎虚。
月経過多:気虚・血熱(鮮紅)。
無月経・不妊:血虚・血瘀・虚寒・腎虚。