竜胆瀉肝湯

2023/11/28

竜胆瀉肝湯 

(医宗金鑑と日本の処方や漢方一貫堂 の処方は生薬が異なる)                                                                                                                                                                                                                                                                    

竜胆瀉肝湯:医宗金鑑:疏肝解鬱・瀉火・利湿・補血:竜胆草3 柴胡3 黄芩4 山梔子3 生地黄5 当帰3 木通4 沢瀉3 車前子4(車前仁しゃぜんじん) 甘草1(日本では柴胡を除いた処方である)。

竜胆瀉肝湯:疏肝解鬱・瀉火・利湿・補血:竜胆草1.5 黄芩3 山梔子1.5 木通5 車前子3 沢瀉3 当帰5 地黄5 甘草1.5:経験・漢方処方分量集・肝火上炎の耳鳴りや難聴・鼻衄。

竜胆瀉肝湯:肝火の症状:目の充血や腫脹疼痛・口苦・咽乾・頭脹痛・顔面紅潮・煩躁・とても怒りっぽい:疏肝解鬱・瀉火・利湿・補血。

竜胆瀉肝湯は、水気を取り除く処方であり、水虫でイライラが強く、治らないと薬を頻繁に替えるような人に使う。

竜胆瀉肝湯は、下半身の湿熱を去る肝経湿熱の処方で、陰部の湿熱・しこり・悪臭・陰癬いんせん 陰部掻痒症を去る。

肝胆経に湿熱(肝経湿熱)があると、陰部に湿潤・糜爛びらん・発赤・熱感、しこり、が生じる。そこで、竜胆瀉肝湯・加味逍遙散は陰部掻痒症(乙字湯:大腸湿熱の薬も適応)に使用される。

竜胆瀉肝湯の水虫は、靴を履いているとすぐに蒸れて足が臭くなる人の水虫に適用。体に湿気があると湿疹や水虫がジュクジュクする。

竜胆瀉肝湯:肝と胆は表裏をなし、胆は少陽に属し、少陽の経脈は耳中に入り、脇肋をめぐり、イライラで肝胆熱盛が生じ清竅が閉塞すれば耳鳴・耳聾・耳腫が生じ、熱が経脈を塞げば脇肋は痛む。

竜胆瀉肝湯:肝は目に開竅し、「諸風掉眩トウゲンは、みな肝木に属す」、肝火上炎すれば、目赤腫痛し、眩暈、頭痛する。

疼痛部位に、熱感や皮膚の紅潮、飲酒後の悪化がある場合は、湿熱の病理なので疎経活血湯合竜胆瀉肝湯(肝経湿熱の薬)を合方する。

痛風や腰痛・膝痛の刺痛に疎経活血湯:袪風湿・補血・活血化瘀:四物湯+蒼朮 茯苓 桃仁 牛膝 防已 威霊仙 羗活 防風 白芷 竜胆草 陳皮 生姜 甘草:痛風の初期の痛み。

掌蹠膿疱症が消風散や竜胆瀉肝湯で治ることもある。あとは、脾虚に対する治療で掌蹠膿疱症を治す必要がある。

消風散:外科正宗:疏風養血・清熱化湿・止痒・養血潤燥:荊芥1 防風2 当帰3 生地黄3 苦参1 蒼朮2 蝉退1 胡麻仁1 牛蒡子2 知母1 石膏3 生地黄1 木通2:風湿熱毒の邪が血に入り掌蹠膿疱症となる。

竜胆瀉肝湯:肝経の脈は陰器に絡するので、肝経に湿熱が下注すれば小便は淋渋して痛み、陰部は痒くなり、陰部にしこりができ、帯下は粘稠で臭穢しゅうえ となる。

参苓白朮散は、婦人の脾虚して湿の甚しく、帯下の色白く、面色皓白こうはく、身体肥満で大便溏薄し、あるいは両足の浮腫し、あるいは月経時に下痢する者(六君子湯も)にも また宜し。

加味六君子湯:四君子湯に蒼朮、陳皮、半夏、升麻、柴胡、生姜を加え、胃虚して痰の有る者で、食欲減少や時に帯下のある者を治す。

帯下:補中益気湯(脾気虚)、生理時の帯下に(痰飲)六君子湯や当帰芍薬散、腎虚の帯下に柴胡加竜骨牡蠣湯(肝鬱・脾虚:竜骨・牡蠣の固渋作用)、温清飲(血虚と全身・心身の化熱)

竜骨・牡蠣があれば、多汗・小便頻数・失禁・軟便下利・帯下の人に適応。桂枝加龍骨牡蠣湯・柴胡加竜骨牡蠣湯。

年配女性で、バス旅行に行けないという頻尿には桂枝加龍骨牡蠣湯・当帰芍薬散合真武湯・当帰芍薬散合苓姜朮甘湯・当帰芍薬散合補中益気湯・当帰芍薬散加附子・当帰芍薬散合半夏厚朴湯が適用。

蓮鬚レンシュ:ハスの花芯:甘平渋:遺精・白色帯下・頻尿:腎虚の生薬:金鎖固精丸(製品無し)。

金鎖固精丸(医方集解いほうしっかい:いほうしゅうかい・・ではない):蓮鬢3れんしゅ 潼蒺蔾3とうしつり 芡実4けんじつ 竜骨6 牡蠣5 蓮子3れんし。

潼蒺蔾トウシツリ:マメ科の扁茎黄芪の成熟種子:甘温:肝・腎経:補腎固精・養肝明目:菟糸子とほぼ同じ:遺精・早漏・神経衰弱・肝腎不足による視力障害:白内障初期に補腎明目散

補腎明目散:潼蒺蔾 石菖蒲 女貞子 生地黄 菟糸子としし 夜明砂を細末とし毎回4gを水煎服用;白内障初期

芡実けんじつ:スイレン科芡の成熟種子の仁:甘渋平:脾・腎経:健脾止瀉・補腎固精・袪湿止瀉:金鎖固精丸。

足冷と頻尿には当帰芍薬散だが、強い冷えには当帰芍薬散加附子・当帰芍薬散合真武湯。

半夏厚朴湯:不安神経症、発作性の心悸亢進で、不安感強く多尿のもの。緊張する場面・緊張する人との対面では頻尿となる。

肝は条達を喜び、故に竜胆瀉肝湯の佐薬として柴胡は肝気を疏達している(竜胆瀉肝湯合柴胡剤)

日本では竜胆瀉肝湯は柴胡を除く処方が一般的である。

竜胆瀉肝湯は、その苦寒によって肝経実熱を直折し、肝火を瀉し、下焦の肝経湿熱を清利する処方である。

木通もくつう『神農本草経」の「通草つうそう」の原名。中品:悪蟲を去り、脾胃の寒熱を除き、九竅、血脈、関節を通利し、人をして忘れざらしめる:竜胆瀉肝湯・当帰四逆加呉茱萸生姜湯に配合。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯:温経散寒・養血通脈:寒帯肝脈・腹痛・疝痛・嘔吐の強いもの(呉茱萸・生姜が効果):当帰3、桂枝3、白芍3、甘草2、木通3、大棗1、呉茱萸2、生姜4。

冷えが原因で汗が出ない人は「寒滞肝脈」といい、肝臓の経絡に冷えが入っているためで、その対策には、しもやけなどに使う当帰四逆湯・当帰四逆加呉茱萸生姜湯があるが、もともと汗をかきにくい人の処方である。

疝痛:瘀血や肝の昂ぶり(ストレス)や肝経の冷え(寒滞肝脈)で疝が生じ、特に夜間に腹痛して排便できず、腹痛に苦しむ。

寒滞肝脈の人の特徴1-2:風邪はあまりひかないし肝の昂ぶりがあるので疲労感も言わないが、ガリガリに痩せていてミイラの様な手足である。ひどい冷え症で、いくら食べても太れないと言う。生理痛はひどい。

寒滞肝脈の人の特徴2-2:冷えるとお腹の激痛が起こり内臓が下に引っ張られる痛み(当帰四逆加呉茱萸生姜湯)で腰痛(苓姜朮甘湯)の場合もある。顔は青味を帯び面色不華だが冷え症ではないという。リンゴ頬になる人もいる。

寒滞肝脈の人の特徴3-3:手より下半身の方が冷え、全身の倦怠感で、小便は量多。面色萎黄で、温めても温まらないで冷え易く体が怠い:苓姜朮甘湯を使い、食少では人参湯、下利は真武湯を使う。

真武湯:回陽救逆・温陽利水:寒湿の腹痛・登校時腹痛・下痢の子供:附子1 茯苓5 白朮3 白芍3 生姜3:寒滞肝脈の症状の人で冷え症で下利を訴える人。

人参湯:温中散寒・補気健脾:脾陽虚:人参3 白朮3 乾姜3 甘草3:寒滞肝脈の症状で食欲不振に使う。

竜胆瀉肝湯:耳聾・耳鳴・肝経湿熱の陰部のしこり:一貫堂医学の解毒症体質:青年期や女性の神経過敏な体質改善(柴胡疏肝湯)や泌尿器疾患・淋疾・頻尿・排便困難に適用。

肝胆風熱の体質:頭目・耳鼻・咽喉・体表などの炎症や皮膚科脳症を繰り返す体質:解毒証体質:皮膚・粘膜や神経が過敏なこどもの体質改善に柴胡清肝湯は漢方一貫堂医学の解毒症体質に使う。

四物湯の入っていない、柴胡疏肝湯:柴胡3 芍薬3 枳実2.25 香附子2.25 川芎2.25 青皮1.5 甘草1.5:皮膚・粘膜や神経が過敏なこどもの体質改善、胸脇苦満、腹痛、神経痛。

柴胡清肝散「一貫堂」:解毒症体質:当帰 芍薬 川芎 地黄 連翹 桔梗 牛蒡子 括婁根 薄荷 甘草 黄連 黄芩 黄柏、以上各1.5 山梔子1。

柴胡清肝散:一貫堂医学の解毒症体質:温清飲+連翹・桔梗・牛蒡子・括婁根・薄荷・甘草。

目内障もくないしょう:目内に翳膜が生じ、これが視線をさえぎり物をはっきりみえなくさせ、ひどい時は失明してしまう。肝腎の虚あるいは肝胆の風熱上攻によりおこる。

竜胆瀉肝湯:長期服用は脾虚の薬が無く、冷や・しもたれるので胃腸障害のおそれがある。

大柴胡湯や竜胆瀉肝湯:イライラして落ち着きが無く(急躁易怒)、肝火のある者の胃痛などに使う。大柴胡湯の心下痞硬は胃熱のため生ずる。易怒が続くと不安感が生じてくるので天王補心丹となる。

竜胆瀉肝湯合滌痰湯加減:清肝瀉火・化痰開竅:竜胆草5~7 黄芩3~4 山梔3 製半夏3 橘紅2~3 陳胆星3~4 菖蒲4

頭痛し痰が多ければ石決明5~10(先煮)、釣藤鈎3~4g(後入れ)、鮮竹瀝5~10,地竜3を竜胆瀉肝湯合滌痰湯じょうたんとうに加えて泄熱熄風、化痰通絡、鎮痙する。