2024/5/22
冷羊鈎藤湯れいようこうとうとう (通俗傷寒論)
冷羊鈎藤湯の組成
羚羊角粉(衝服)3g 鈎藤4g 桑葉3g 菊花4g 生地黄8g 白芍10~20g 甘草3g 貝母2g 竹筎4g 茯神5g、水煎服用する。
釣藤鈎ちょうとうこう・釣藤鈎・鈎藤・鈎鈎・双鈎藤:アカネ科カギカズラの鈎棘のある茎枝:甘微寒::熄風定驚・平肝清熱・軽清透熱:のぼせを取り熄風する:平肝止痙・鎮静で、てんかん発作の抑制。
清熱化痰の竹筎・貝母は、痰を除き通絡する。
冷羊鈎藤湯の主治
熱盛のため生風し、内風が生じ、風陽は上に旋回し、そのため頭暈目眩が生じ、高い熱のために神昏(意識障害)が生じ、煩悶躁擾し、手足は抽搐し、舌質は乾いて紅絳となり、脈弦数で有力となる。
冷羊鈎藤湯は、熱邪が厥陰に伝入し、熱盛のため動風する病理である。手足は抽搐するが、これは肝風内動の主たる表現である。
高熱で意識障害となり、舌質は乾燥して紅絳色で、脈は弦数で有力な脈証であるので、これは熱盛動風であるという弁証の根拠となる。
冷羊鈎藤湯の治法は、涼肝熄風法である。
冷羊鈎藤湯の方義:熱盛動風の証には涼肝熄風法で治療する。
冷羊鈎藤湯の羚羊角、釣藤、桑葉、菊花は、清熱平肝し、熄風し痙攣を鎮める。
生地黄、白芍、甘草は、涼血養肝して、攣急を緩解する。
さらに貝母、竹筎で痰を去り、通絡せしめれば、茯神の寧神安神作用とともに、涼肝熄風し、滋液舒筋の効果を呈す。
参考
1,熱盛には大青葉、板藍根の類を加えてもよい。清熱解毒作用が増強される。
熱邪にて内閉し、神志昏迷の者には牛黄丸や至宝丹などの清熱開竅剤を併せて用うれば治療効果は更によくなる。
2.妊娠子癇で、抽搐し高熱で神昏(意識障害)の症状や、肝陽上亢による高血圧や頭目眩暈の者には、冷羊鈎藤湯を基礎として加減して治療することができる。
至宝丹:和剤局方:化濁開竅・清熱解毒:犀角30 玳瑁30たいまい 琥珀30 朱砂30 雄黄30 竜脳0.3 麝香0.3 安息香45
金箔50片 銀箔50片。
玳瑁たいまい:ウミガメ科玳瑁の甲羅:甘寒:心肝経:潜陽熄風・清熱解毒:熱性疾患の意識障害や痙攣発作に涼血清熱解毒:犀角・羚羊角に似ている効果がある。
牛黄・西黄・犀黄:ウシ科ウシの胆石:苦涼小毒:心・肝経:開竅化痰・清熱解毒・清心・定驚・解熱・鎮痙・強心・造血:慢性肝炎に牛黄清心丸。
牛黄清心丸:痘疹世医新法:清熱解毒・安神開竅:牛黄30 鬱金30 犀角30 黄芩30 黄連30 山梔子30 牛砂30 竜脳7.5 麝香7.5 真珠15 蜜にて丸剤(1丸3g):高熱・転々反側・意識障害。