動悸の解説

2024/5/22。25、27日 動悸の解説

加味逍遙散や逍遙散は興奮すると生ずる動悸で不安感が原因の動悸ではない・茯神は心の症状に使う・心肝火旺の動悸には加味逍遙散や黄連解毒湯・心腎不交の動悸は天王補心丹や黄連阿膠湯や桑螵蛸散・気血不足の動悸は疲れで悪化する時は帰脾湯(面色不華・不安感・疲れていても不眠・疲れ易い・食欲不振・浮腫む)・帰脾湯は高齢者や女性の不安感の動悸でイライラが原因の動悸ではない・動悸がなく疲れ易く貧血なら十全大補湯・痰飲が原因の動悸は痰濁上擾で半夏白朮天麻湯・痰飲の火傷の動悸には火傷の薬の桂枝加桂湯・痰飲の不安感の動悸は苓桂甘棗湯・痰飲の動悸に苓桂朮甘湯と半夏厚朴湯・寒痰による動悸や赤面症に苓桂朮甘湯・心陽虚による動悸は真武湯や炙甘草湯・発汗過多後の動悸は真武湯・瘀血の動悸に血府逐瘀湯や冠心二号方や折衝飲・心気虚の動悸は炙甘草湯や磁朱丸や補中益気湯・心陰虚や心腎陰虚による動悸は天王補心丹や疲労で動悸悪化の桂枝加龍骨牡蠣湯・不安感や思慮過度での動悸は帰脾湯。

更年期障害:五十歳前後で腎虚のため、月経が閉止するが、閉止前後に不安感が出る人が多いが、この不安感は「心腎不交」という症状の一つである。心腎不交で手足が火照る人には天王補心丹をつかう:加味逍遙散の更年期症状の逍遙上逆は肝鬱血虚によりイライラから動悸が生じる。

心腎不交:心が興奮し不安感が強く腎は腰痛・下半身の怠さなどがある。心が興奮しすぎて消耗し(心陽偏亢から心陰虚となり)腎の助けを受けられなくなった心腎不交の状態でさらに心陽偏亢が悪化して、頭暈、めまい・動悸・神経疲労・不安感・悪夢(心陰虚)・夢精・尿後余瀝・失禁・遺尿・尿閉・小便黄色・量少で熱感あり(腎陰虚):天王補心丹・黄連阿膠湯・桑螵蛸散

天王補心丹:心腎陰虚(心腎不交):酸棗仁10 生地黄20 柏子仁10 麦門冬10 五味子10 当帰6 遠志5 丹参5 玄参5 桔梗5 の細粉を蜜丸とし朱砂をまぶし、1回2gずつ服用。

心腎不交(心陽偏亢・心腎陰虚の一種:天王補心丹・黄連阿膠湯・磁朱丸):五志過極等で興奮し、心陽が上亢じょうこうし、心陰虚となり陰血を灼傷して腎陰不足をとなり、「心陽は腎に下通しないため腎精の上承の助けがならず、心陽がさらに上浮する(心陽偏亢)」:動悸し胸悶し煩躁不眠・熱感やのぼせで不眠・かゆみ・各種出血:鼻衄・不眠症・かさかさした湿疹・皮膚炎・皮膚の痒み・胸悶し居ても立ったもいられない状態。

「心腎不交」の更年期症状などの処方は、天王補心丹・黄連阿膠湯を使い、「手足が火照る人」で、「手足が冷える人」には桂枝加龍骨牡蠣湯を使うが、桂枝加龍骨牡蠣湯はあまりいない。

天王補心丹:心腎陰虚(心腎不交):酸棗仁10 生地黄20 柏子仁10 麦門冬10 五味子10 当帰6 遠志5 丹参5 玄参5 桔梗5 粉末を蜜丸とし朱砂をまぶし、1回2gずつ服用。

黄連阿膠湯:傷寒論::心腎不交:動悸・胸悶し煩躁不眠・熱感やのぼせで不眠・かゆみ・各種出血(帰脾湯):鼻衄・不眠症・かさかさした湿疹・皮膚炎・皮膚の痒み:胸悶し居ても立ったもいられない状態:黄連3 黄芩2 白芍3 阿膠3 鶏子黄1個。

腎陰虚の症状は、腎虚の症状で虚熱症状を呈す:足が火照る・面紅・口乾・頭暈・眩暈・耳鳴り・難聴・腰膝酸軟無力(腰重)・盗汗・尿後余瀝・失禁・遺尿・尿閉・性機能亢進・踵痛・舌紅無苔:知柏地黄丸。

桂枝加龍骨牡蠣湯:陰陽双補・補腎安神:桂枝4・芍薬4・大棗4・生姜4・甘草2+竜骨3・牡蠣3:精力減退・疲労・夜尿症・遺精・神経症・自慰過多・多夢・不眠・過労で悪化する動悸・面紅・顴紅・手はほてり足冷。

桑螵蛸散そうひょうしょうさん:本草衍義えんぎ:桑螵蛸 遠志 菖蒲 竜骨 人参 茯神 当帰 醋炙亀板 各等分を粉末にし1日3回2gを人参湯で服用。2gを水煎服用も可:心腎不交・調補心腎・固精止遺・縮尿(尿漏れ):ぼんやりする・健忘:日本の東洋薬行には無いが、台湾の東洋薬行に製品あり。

桑螵蛸そうひょうしょう:カマキリ科ハラビロカマキリの巣を炙る:甘鹹平:肝・腎経:補腎・固精・縮尿:桑螵蛸散は夜尿症・頻尿・遺尿・尿失禁・遺精・滑精・頭昏・健忘を治す。

帰脾湯:心血虚・脾気虚の心脾両虚に使う:心臓を治す動悸の薬。疲れると動悸するのは心血虚の症状。心脾両虚では食欲があまりない。失恋した時の症状:心血虚だけの動悸にも使う。気血両虚を補う。

帰脾湯:気血双補・健脾益気・養心安神:脾不統血:白朮3 茯神3 黄耆2 竜眼肉3 酸棗仁3 人参3 木香1 炙甘草1 当帰2 遠志1.5 乾生姜1 大棗1.5:出血傾向・青あざ・動悸・不安感・食少・不眠・多夢に。

安神薬の茯神:茯苓が松の根の周りを包む部分で鎮静作用が茯苓よりやや強い。茯苓は松の根などに寄生する菌核。

痰濁上擾じょうじょう:眩暈し頭重し頭冒感があり、悪心胸悶・動悸を伴い、少食多寝でひどければ嘔吐し目が回る。舌苔白じ、脈濡滑じゅかつ:半夏白朮天麻湯:化痰熄風・補気健脾・利水消食:脾虚の痰濁上擾。

痰濁上擾では、「奔豚気」が生ずる:不安感や火傷の時に動悸が生じる。この動悸には桂枝加桂湯を使う。

奔豚気ほんとんき:痰濁があると、不安感や火傷によって、発作性、反復性に気が下腹部から心や喉に衝き上げてきて喉がつまり動悸が生じ失神したりする病証。桂枝加桂湯は桂枝湯の桂枝を増やした奔豚気の火傷の薬である。火傷でない奔豚気には苓桂甘棗湯を使う。

苓桂甘棗湯りょうけいかんそうとう:不安感による奔豚気の薬。苓桂朮甘湯の白朮の代わりに大棗が入っているて、苓桂朮甘湯では代用できない処方:
傷寒論:茯苓6 桂枝4 大棗4 甘草2。

苓桂朮甘湯:温化寒飲・通陽化痰・健脾利水:
傷寒論:茯苓6 桂枝4 白朮3 甘草2。

苓桂朮甘湯は、心陽虚に用い:眩暈・頭痛(包裹痛)・頭重感・のぼせ・肩こり(桂枝は気逆を降逆する)・足冷:もともと心臓の薬で痰気鬱血薬。

寒痰による動悸は、不安感、眩暈、多痰、眼の周りのむくみ、小便不爽、足冷、下利:苓桂朮甘湯を使う:「顔がのぼせてくると動悸がする」(気逆)、めまいがする。「精神的な緊張からの動悸」も苓桂朮甘湯。

赤面症:苓桂朮甘湯(痰飲・気逆が 原因)・苓桂味甘湯・半夏厚朴湯(肝鬱・痰飲が原因)・知柏地黄丸(陰虚火旺が原因)。

赤面症は、本来は苓桂味甘湯:傷寒論:茯苓6 桂枝4 五味子3 甘草2。

日本は、よくお茶を飲んだり、日本酒の性質は、痰を多く生ずる生活である。そこで苓桂朮甘湯や当帰芍薬散が使われるが、小便不利の原因は、体に熱がある湿熱や胃腸が弱いことであるが、胃腸虚弱の小便不利がとても多く六君子湯・参苓白朮散・補中益気湯を使う。湿熱の場合は茵蔯蒿湯などを使う。

小便不利:六君子湯・参苓白朮散・補中益気湯・・以上脾虚薬。五苓散。

五苓散の使用目標は、口渇・小便不利・水逆・自汗が条件で、痰飲の薬ではあるが、痰飲には余り使わない:利水滲湿・通陽・解表:茯苓5 猪苓5 沢瀉6 白朮5 桂枝3。

五苓散の、口渇・小便不利・水逆・自汗は、すべて痰飲が原因である。解表剤なので風邪薬でもある。

当帰芍薬散:肝血虚・脾虚湿滞:当帰3、白芍4、白朮4、茯苓4、沢瀉4 川芎3:湿邪とストレスを去る処方である。

茵蔯蒿湯:肝胆湿熱:黄疸・肝炎・急性膵炎・胆石・胆嚢炎:
山梔子3 茵蔯蒿4 大黄1:小便不利・無汗・口渇・多飲・心煩懊憹おうのう・軽い腹満・黄疸。

懊憹・懊悩:胸膈に、ある種の灼熱・嘈雑感のある状態。心中懊憹・心煩懊憹ともいう。病因は、不適切な発汗や誤って瀉下し、そのため外邪が裏に入り胃腑に及んだもの。急性熱病・胃腸炎などに見られる。

痰飲を取る:基本処方は、半夏5、陳皮4、茯苓5、生姜1:二陳湯、
桂枝+茯苓+白朮(苓桂朮甘湯)、天南星、白僵蚕びゃっきょうさん。

白僵蚕:白僵菌ムスカルジンに自然感染して死んだ蚕カイコ:袪風熱・熄風鎮痙・化痰散結:解熱・抗痙攣・袪痰:てんかんなど、眩暈がつよい場合には熄風化痰の白僵蚕・胆南星を加える。

熄風そくふう:体内に生じた内風を消え去ること:熄ソク:きえる・うずみび・やむ・おわる・きえてなくなる。

内風とは、肝の昂ぶりや疲労などにより、肝陽が昇動して化風して内風が生じ、めまい・震顫・痙攣が生じたり、高熱から熱極生風で、意識障害・ひきつけ・四肢の痙攣などが生じる、体内から生じた風の症候を指す:肝陽化風。

肝陽化風:めまい・ふらつき・のぼせ・頭痛・顔面紅潮・手足のふるえ抽搐・四肢の運動障害やしびれ感・耳鳴。

痰飲による動悸:苓桂朮甘湯は、人前で喋るとボーッと「のぼせ」カーッとなって頭が真っ白になる人に使う。緊張して手や足がガタガタ震える人は半夏厚朴湯を使う。両方ある人は両方を合方する:
苓桂朮甘湯合半夏厚朴湯。

奔豚気ほんとんき:痰濁があると、不安感や火傷によって、下腹部からヒステリー球が上がってきて動悸が激しくなる。桂枝加桂湯は桂枝湯の桂枝を増やした奔豚気の火傷の薬である。火傷でない奔豚気には苓桂甘棗湯を使う。

心陽虚による動悸:寒冷時や発汗時・疲労時の動悸。面色不華・面色晦暗・畏寒・手足冷:真武湯・苓桂朮甘湯・炙甘草湯を使う。

真武湯:回陽救逆・温陽利水:附子1 茯苓5 白朮3 白芍3 生姜3:冷えとストレスをとるが、脾虚は補わないので、腎炎の浮腫への留守番処方は脾虚を補う処方を合方し、真武湯合参苓白朮散とする:足冷の心陽虚の動悸・腹痛下利に適用。

苓桂朮甘湯:温化寒飲・通陽化痰・健脾利水:茯苓6 桂枝4 白朮3 甘草2:心陽虚に用いる:めまい・頭痛(包裹痛)・不安感のあがり性・頭重感・のぼせ・肩こり(気逆):もともと心臓の薬:体の水気を除く袪痰の薬。「茯苓6+桂枝4+白朮3は、痰飲の薬」。

心気虚による動悸:補中益気湯・磁朱丸(心腎不交):少し動いただけで動悸がする。

心気虚の症状:面色不華・元気が無い・息切れ・めまい・自汗・発作性や持続性の動悸・血行不利では胸内苦悶感・脈遅細弱・結代(不整脈)・心不全・狭心痛・精神萎靡いび を示す、舌質淡胖:補中益気湯・磁朱丸じしゅがん。

炙甘草湯:心陽虚・心血虚に適用:益気通陽・滋陰補血:
炙甘草3 人参3 桂枝3 麦門冬6 麻子仁3 生地黄6 大棗3:
心気陰両虚の胸痛・狭心症:生脈散や炙甘草湯の加減を使う:不整脈・動悸・息切れ・心不全。

297.心臓弁膜症で息切れ・動悸・浮腫・耳鳴・めまいの49歳の男性(炙甘草湯合八味丸)。

「傷寒解して後、脈結代、心動悸、炙甘草湯之を主る」。

磁朱丸(神麹丸しんきくがん):備急千金要方:
磁石60g 朱砂30g 神麹120gを蜜丸にして1日2回2g:

摂納浮陽・鎮心明目:心陽偏亢・心腎不交(黄連阿膠湯・柴胡加竜骨牡蠣湯・天王補心丹・磁朱丸)「心火不済」を治す:

磁朱丸は、重鎮潜陽により肝風を平熄するので、肝風内動によるてんかん発作にも有効で、化痰薬・心腎不交:(半夏・陳皮・茯苓・乾姜・天南星・白きょう蚕・釣藤鈎・生姜・菖蒲根 など)を配合すると効果がたかまる。

黄連阿膠湯:動悸・胸悶し煩躁不眠・熱感やのぼせで不眠・かゆみ・各種出血:鼻衄びじく・不眠症・かさかさした湿疹・皮膚炎・皮膚の痒み:傷寒論:心腎不交(陰虚火旺・心陰虚の一種):胸悶し居ても立ったもいられない状態。:黄連3 黄芩2 白芍3 阿膠3 鶏子黄1個:

黄連+黄芩で、心火(不安感)・胃火・胆熱を冷ます。

朱砂(辰砂):心に入って清心安神し、磁石じせきと共同して、

重鎮安神して浮陽を摂納し、腎陰を補い、心腎を相交させて心陽が下通し腎精が上承できるようにして心腎不交を治す:磁朱丸。

心腎不交(柴胡加竜骨牡蠣湯・黄連阿膠湯・磁朱丸・黄連阿膠湯・天王補心丹)の者は、夢精、頭暈、動悸・神経疲労・不安感・悪夢(心陰虚)・小便黄色・小便量少で熱感(腎陰虚)がある。

瘀血による動悸:瘀血の特徴は夜中に動悸が悪化。心臓部の刺痛・面色晦暗か青味・心痛徹背に、血府逐瘀湯・冠心二号方・折衝飲で、気虚の人は補陽還五湯を使う。

夜中に症状が悪化する原因は二つある。瘀血と腎虚である。

瘀血:癥瘕(桂枝茯苓丸)・腹部の腫塊(桂枝茯苓丸)・蓄血し発狂(桃核承気湯・抵当丸)・面色暗・皮膚青紫色で鱗状に乾枯・おろし金状の鮫肌・夜間悪化・固定痛・刺痛・拒按・実証・紫色の血塊・小腹硬満・少腹痛(桂枝茯苓丸)で夜間悪化・胸脇痛・閉経・大便黒色・舌紫暗瘀点:一般には、血府逐瘀湯を使う。

血府逐瘀湯:活血化瘀・通絡・理気止痛・補血:生地黄4 桃仁4 紅花3 当帰3 赤芍3 牛膝3 柴胡2 枳穀2 桔梗2 甘草1:瘀血一般に繁用処方(川芎は入っていないが四物湯がある)心筋梗塞の予防:足の静脈瘤に特効。

冠心二号方:かんしんにごうほう:活血化瘀・止痛:丹参たんじん 赤芍 川芎 紅花 降香こうこう 木香 香附子:すべて行気薬と活血薬で組成されているので、血虚のない実証には血府逐瘀湯より効果は高い。

気虚の全身症状:倦怠無力感(鬱的)・元気不足・息切れ・物を言うのがおっくう・動きたがらない・声に力がない・自汗・舌質が淡色あるいは胖大・脈は細数で無力:補中益気湯・六君子湯。

補陽還五湯は気虚の血瘀に使うので、脳出血直後は出血を招くこともあり禁忌で、気虚の脳梗塞や気虚の脳卒中後遺症には適応する。気虚なので普段から汗をかきやすく、疲れ易い体質に使う:足の静脈瘤に特効。

痛みを伴う足の静脈瘤には血府逐瘀湯や補陽還五湯がよく効くが、

桂枝茯苓丸や桃核承気湯では静脈瘤はとれない。

冠心二号方は当帰が無いので、補血作用は血府逐瘀湯より弱いが、

袪瘀血作用は冠心二号方の方が強い。血虚が強ければ血府逐瘀湯を使い、血虚症状が少なければ冠心二号方を使う。

血虚の症状:面色淡白でつやがない、面色萎黄、頭暈、目のかすみ(目花もっか)、舌質淡、脈細、間歇的な動悸(心悸)、持続性の動悸、不眠、手足のしびれ(手足麻木)。

冠心二号方:かんしんにごうほう:活血化瘀・止痛:
丹参たんじん 赤芍 川芎 紅花 降香こうこう 木香 香附子:
すべて行気薬・活血薬で組成されているので、血虚のない実証には血府逐瘀湯より効果は高い。

血府逐瘀湯:活血化瘀・通絡・理気止痛・補血:生地黄4 桃仁4 紅花3 当帰3 赤芍3 牛膝3 柴胡2 枳穀2 桔梗2 甘草1:瘀血一般に繁用処方(川芎は入っていないが四物湯があるので血虚に適応)心筋梗塞の予防:足の静脈瘤。

心筋梗塞には、血府逐瘀湯・冠心二号方・折衝飲だが、狭心症には胸をひらく作用の栝楼薤白半夏湯を使う。心筋梗塞に栝楼薤白半夏湯を血府逐瘀湯・冠心二号方に合方する場合もある。共に動悸を伴う。

栝楼薤白半夏湯かろがいはくはんげとう:気滞血瘀による胸痞・狭心症に:栝楼実3 薤白4 半夏6 この三味に濁酒40ccに水400ccを加え煮て200ccに煮詰め3回に分服:胸のモヤモヤで動悸する胸を開く・広げる作用で狭心症に使う。製品は無い。

栝楼実は、甘寒で潤滑性があり、清熱し痰飲を除き、結実した邪気を開く。

薤白がいはく:ユリ科チョウセンノビル・ラッキョウの地下鱗茎:苦辛温:肺・胃・大腸経:温中通陽・行気止痛。

心陰虚による動悸:心腎不交は心陰虚の一種(心陽偏亢し心陰虚+腎陰虚)であるが、動悸とのぼせて顔が赤くなり(虚熱)、疲労で悪化し疲れ易い。かん紅(腎陰虚)や手足も火照る(陰虚とは、津液や水分や血など栄養成分が不足(陰虚)して虚熱が生ずる状態でほてりカサカサしている。)・更年期症状で逍遙上逆が一日に数回ある時は、天王補心丹である。

更年期症状で逍遙上逆には、加味逍遙散や天王補心丹であるが、加味逍遙散では、カーッとのぼせた後に、冷や汗でゾクゾクする往来寒熱の症状がある(本来は潮熱)。天王補心丹は手足の火照りや顔のぼせだけで寒気のゾクゾクは無い。

天王補心丹:心腎陰虚(心腎不交):酸棗仁10 生地黄20 柏子仁10 麦門冬10 五味子10 当帰6 遠志5 丹参5 玄参5 桔梗5 粉末を蜜丸とし朱砂をまぶし、1回2gずつ服用。

加味逍遙散は、ストレス(肝鬱)によって気滞となると、体内に熱を生じ、熱証が強くその熱によってイライラや頭痛やのぼせ血虚を招き・面紅・目赤などがでてくる:肝鬱化火・脾虚湿性・血虚:柴胡3 芍薬3 薄荷1 当帰3 牡丹皮2 山梔子2 茯苓3 白朮3 乾姜1 甘草2(人参・大棗が、処方中に無いのは化火を増悪させるため)