寒邪直中とは・・・
当薬局の患者の症例で、体が疲れている時に、寿司や赤ワインで、お腹を冷やし、強い腹痛が生じて、嘔吐した後、下血(虚血性腸炎)した症例報告が、辛坊治郎氏の症例(腹痛と脳の虚血)と同じだったので、ご紹介します。
寒邪直中かんじゃじきちゅう・・・「寿司の生魚や赤ワイン」と同じく、辛坊治郎氏の腹痛の症例「冷えをもたらす大根おろし」を多量に食べて、冷えがお腹に直接入って、激烈な腹痛を生じ、さらに脳の虚血を招いた。
脾胃虚寒の場合では経過が長く、虚証と寒証がみられ気虚が主であるが、
寒邪暴中は発症が急激で、寒証が強く気虚は明らかではない。
以下、
キャスター辛坊治郎氏(67)が6/13日、パーソナリティーを務めるニッポン放送「辛坊治郎ズーム そこまで言うか!」(月~木曜後3・30)より、
キャスター辛坊治郎氏(67)が人生で初めて失神したことを明かした。
東京の自宅で過ごした辛坊氏は、葉付きの大根を購入した。
大根おろしにして食べたいなと」。残してはいけないと、大量の葉を口に突っ込んだそうで、「最後の方は無理やり口から大根を押し込んで、うーってなったんだけど、ふっとおなかがだんだん痛くなってきて」と、食べ切った後に、腹痛で冷や汗出てきたことを明かした。
その後も痛みは激しくなるばかり。「それからもうみるみる冷や汗は出てくる。おなかがよじれるように痛くなってきた」。とにかく耐えがたい痛みなんですよ」と、
うーって言ってて。次の瞬間に魔法にかかったように痛みが抜けたんです。痛みが取れたと思って、時計をふっと見たら、空白、約50分。その激痛ぶりから、寝落ちすることは考えられず、「え?もしかしたら俺、失神したか?」と思ったという。
その後、あらためて大根について調べてみると、迷走神経反射という症状があることに行き当たった。「空きっ腹で大根おろしを大量に食べたりすると、迷走神経反射というのが起きて、急激に心拍数と血圧が下がって、脳(や胃腸)が貧血状態になって、意識を失うことがあるらしいって」。
(この時、心不全になり食事中に亡くなる高齢者の例が多々ある。通常、食事をすると迷走神経が興奮し、迷走神経は心臓の働きを抑制するため心臓に負担がかかる)
「皆さん、生の大根を1本、食ったらダメですよ?葉っぱごと1本とか食べちゃダメですよ?」、リスナーに注意を呼びかけていた。
漢方の理論では、体が疲れて冷えていて空腹で、多量の大根おろしで、お腹に寒邪が直接侵入して(寒邪直中)、胃腸も虚血状態になり、腹痛・嘔吐が起き下血したり、脳の虚血で失神や頭痛をもたらします。
赤ワインでなく、焼酎のお湯割りだったら、辛坊治郎氏も、空腹ではなく、焼酎のお湯割りを一緒にとっていれば寒邪直中は防げて、激烈な腹痛は起きなかった。
大根やキュウリは、体を非常に冷やす作用があるので、多量に食べると寒邪直中して、腹痛や嘔吐や頭痛を生ずると漢方は教えている。
治療には、呉茱萸湯(胃虚寒の嘔吐・吃逆、寒飲上逆の頭頂部の頭痛)などを処方する。
呉茱萸湯:散寒止嘔・温胃止痛・健脾益気:頭痛・胃痛に:呉茱萸3、人参2、生姜4、大棗4。胃虚寒の嘔吐・吃逆(胃気上逆)、寒飲上逆の巓頂部の頭痛。
呉茱萸:辛・苦:大熱・小毒:温中散寒・散寒止痛(胃痛・頭痛)・下気止痛・止嘔:寒が中焦に凝集した状態に適応。