アレルギー性鼻炎

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アレルギー性鼻炎

漢方では花粉症は、花粉が原因だとは考えない。体の中の不足である冷え性である陽虚や栄養不足である血虚や元気がおとろえた気虚、外からの侵入によって生ずる外邪を袪邪する必要のある邪の存在の風邪などの影響と考える。

花粉症は、いわば毎朝 風邪にかかるような症状である。

漢方では、感冒は外邪である風邪フウジャが体内に侵入してくると考えるが、花粉症もフウジャの侵入だとしていて花粉が目で見えない花粉が原因だとはしていない。あくまで風邪としてとらえている。

外邪である風が体内に入り易い状況があるのは、第一に、体に何か不足するものがあり防衛力の低下によって、邪が侵入しやすい状態になっていると考える。

体の中の虚という弱っていてあやうい状態を補うこととを補虚といい、外邪を除去する袪邪という風邪を取り除くことを漢方治療では同時に行う必要がある。

虚にはどのようなものがあるか?

先ず冷え症である陽気の不足(陽虚)がある。冷え症の人は、風にあたっただけで冷え、それが外邪の侵入を許し風邪の症状を引き起こす。

たとえば、陽虚の人は床屋に行くと、その後必ず、鼻水・クシャミがでて、その後、風邪症状で、喉が痛くなって、ひどくはならず、やがて治っていくことを繰り返す人がいる。

陽虚の人は、このようにちょっとした冷えでカゼを頻繁に繰り返す。

二番目には防衛力である気の生成の元となる栄養の不足(血虚)である。

血虚の特徴は、肌のカサカサや髪の毛のパサつきが特徴で下記の症状を呈する。。

血虚の症状:顔色が白っぽく赤味がなくつやがない、顔色はくすんだ薄い黄色である、あたまがくらくらしやすく、目のかすみ、舌質淡、脈細、間歇的な動悸(心悸)、持続性の動悸(怔忡せいちゅう:重症)、不眠、血の栄養不足で流れも悪く手足のしびれやすい。

虚という弱り不足には、栄養がよく消化吸収できない血虚の他に元気不足や気力が涌かず体のだるい気虚もあり、気虚が最も多く、外邪に対する防衛力いいかえれば免疫力の低下である。元気を増して体表面の抵抗力を増す益気固表する必要があり、黄耆や補中益気湯・玉屏風散ぎょくへいふうさん・ぎょくびょうぶさんは益気固表するために用いる。

表を固める衛表不固に玉屏風散(黄耆8 白朮3 防風3):

表衛不固ひょうえふこ:毛穴が開いており、自汗があり、鼻閉を起こしたりカゼをひきやすい:花粉症の鼻炎に玉屏風散と他剤を併用してまたは単独で使う。

元気が不足し機能の低下した気虚には、「体表の抵抗力をである衛気エキの不足」と、「内臓機能の低下である臓器の気の不足」がある。

「冷え症で体内エネルギーの産生不足である陽気の不足(陽虚)」も「胃腸の力の低下による栄養吸収力の低下による血の不足(血虚)」も抵抗力の低下をもたらし、気の体を守る働きがなくなると容易に風邪をひくようになり花粉症となる。

衛気えき・・元気の元になる陽気の一部で脈外をめぐり迅速にして滑らかに臓腑や肌表腠理キヒョウソウリのいたるところを温養し温潤し、肌表を衛り汗腺を開閉し、外邪に抵抗するので衛気エキ(守る気)という。桂枝は衛気を調整・産生する。

桂枝湯:辛温解肌しんおんげき・調和営衛:冷え症表寒や防衛力の表虚を補う: 
桂枝4 芍薬4 大棗4 生姜4 甘草2:
体表面の防衛力のもとである肌表キヒョウの邪を外解ガイゲし、営衛エイエを調和する。
適用にはうっすらと汗ばむ自汗であることが必要。

体表面の防衛力の元気の元の不足する気虚の人はすぐ風邪をひくが、ひどくならない。

体表面の症状はクシャミ・鼻水・頭痛・喉の軽い痛み程度で、食少や悪心、吐き下しなどの胃腸症状を示す裏証リショウにならず、いわゆる鼻炎症状だけになる。鼻炎でも最初から裏証を示す重症者もいる。

冷え症でエネルギー不足の陽気不足や血虚や気虚が原因で、毎朝花粉症にかかり続けることになる。

防衛力の低下である衛気の不足には黄耆や玉屏風散が適応し、臓腑の気の不足である内臓機能の低下症状には補中益気湯などを使う。

補中益気湯:補気健脾・昇陽虚寒・甘温除熱(疲労時に発熱するを治す):
黄耆4、甘草1.5 人参4 当帰3 陳皮2 升麻0.5 乾姜0.5 柴胡1 白朮4 大棗2:内臓下垂などを引き起こす中気下陥を上に持ち上げる昇陽挙陥ショウヨウョカンするので、怠さの強い肝炎に用いて治療することができる。

風邪にかかりにくくなる処方は、補中益気湯・小建中湯・黄耆建中湯・玉屏風散・補中益気湯合玉屏風散・桂枝加黄耆湯。

小建中湯証:生命力の低下である腎虚・肝血虚(胃腸が弱いために自律神経が乱れる脾虚肝乗)・胃腸機能の低下である脾虚の三点セットに適応する。

小建中湯:胃の潤い不足である陰虚による脾虚肝乗の胃痛の薬:急におこる胃痛を止める緩急止痛(疲労で腹痛)・胃腸を温めて不足を補う温中補虚・疲労による発熱を解熱させる除熱:疲労発熱(少し遠くに出かけると疲労で発熱し風邪をひく子供など)。

小建中湯の有名な説明文:外出したりして疲れるとお腹が痛いと言い、動悸・鼻衄ビジク(鼻血)などもあり、手足がだるく痛んでほてり、喉が乾いたと言う子供によく生じる発熱・腹痛・鼻血・だるくて不機嫌になる症状には小建中湯を与える。

一年中鼻炎が起きている人は、「エネルギー産生の低下の冷え症陽虚」「胃腸の力不足による血虚」「内臓の元気の低下・機能の低下による臓腑の気の不足」のどれかが原因である。

一方、春になると鼻炎になる人は、「外邪の防衛力の低下による体表面の気が不足(表虚)」だけが原因である。

体表面の外邪への防衛力の低下である表虚に対しては、衛表不固エヒョウフコする(玉屏風散など)。

冷え症が原因である陽虚の場合:両足の浮腫・泥状~水様便、尿がうすく量多、手足の冷えなどをもたらす。

陽虚で発汗するショック状態などの危急の場合には、附子でなければ汗は止められない(四逆湯:附子1、乾姜2、炙甘草3。参附湯:人参10g、加工附子4g)。

陽虚の四肢強直:冷え症やエネルギー産生不足による陽虚では。四肢の筋肉や関節の強直が生じやすく、それは慢性病の消耗により陽気が異常に外へ漏れ出し、筋脈が温められないために生じる。

冷え症の陽虚では、顔色が悪い面色不華で顔面色蒼白、或は黒っぽい顔色ですすけた顔色である。舌質は血色がなくやや白っぽく(舌淡)、舌の上の苔が白い(苔白)。これは疑いもなく陽虚のあらわれである。

陽虚の症状は、冷え症で寒がり(畏寒)、手足冷、夜間排尿(牛車腎気丸)、起床時に冷え症の人は顔がむくむ(酒の飲み過ぎや食べ過ぎが原因の痰飲タンイン顔がむくむ:平陳湯)、小便は無色透明、胸を縮こませた格好で寒さを嫌う。

陽虚は体を温める力が不足した状態で(人参湯(胃腸の冷えである脾陽虚)・八味丸(慢性疲労で冷えて疲れてのぼせる腎陰陽両虚)・真武湯(冷え症で足冷の腎陽虚)・小建中湯(胃腸の冷えの脾陽虚)・大建中湯(胃腸が大いにひえる脾陽虚)・四逆湯(陽虚を急ぎ救うべく温める回陽救逆する)・参附湯(陽虚を急ぎ救うべく温める回陽救逆する・当帰四逆加呉茱萸生姜湯(腹痛や下腹部痛の疝痛:肝臓の経絡に冷えの入った寒帯肝脈)・呉茱萸湯(中焦実寒)・安中散(胃実寒)・温経湯(経絡実寒)。

疝痛せんつう:瘀血(血の停滞状態)や肝の昂ぶり(ストレス)や肝の経絡上の冷え(寒滞肝脈)で疝が生じ腹痛して排便できず、腹痛に苦しむ;当帰四逆加呉茱萸生姜湯合半夏白朮天麻湯・当帰四逆湯。

温経湯:肝の経絡を温める温経散寒・血虚を補い月経を調整する補血調経・血の滞りを解消して瘀血を去る活血化瘀・胃腸の元気を回復し胃の不快感を解消する益気和胃:虚寒・血瘀・血虚: 半夏4 麦門冬4 呉茱萸1 乾姜1 当帰3 桂枝2 白芍2 川芎2 人参2 甘草2 阿膠2 牡丹皮2:太陽少陰が同時に病む両感証。

陽虚の症状:手足がこわばる四肢強直・顔色が悪い面白・手足冷・陽虚がひどいショックで低体温症(四逆湯)では、意識混濁・寡黙・意識が低下して人を識別できない・ときに四肢がピクピクひきつる・冷えの重症では大小便の失禁する・舌質淡・舌苔薄白で潤・脈沈細で渋結。

少陰病は、概括して言うと、ほてりと冷え症が生ずる陰陽偏衰の病変に属しているが、冷え症の陽虚の証候が主となっている。

小建中湯:慢性疲労による腎虚の腰痛で、食欲がなければ、ほてりやのぼせの生ずる陰虚でも冷え症でも陽虚でも小建中湯が適用できる。

熱エネルギー産生の低下である陽虚では体が冷えている人に小建中湯を使える。

潤い不足でほてるようになる陰虚では、咽が乾き、手の平、足の平の、いわゆる体の内側である陰の部分がほてる状態に小建中湯は適応する。

陰虚では、五心煩熱が生ずるが五心(体の陰の部分の中心を指す):両方の掌心・両足心の裏・胸の五カ所が熱苦しく火照る。

小建中湯:桂枝4 芍薬6 大棗4 生姜4 甘草2 膠飴20:老人や子供に多い便秘で、「疲れて(陰虚)・咽が渇いて(陰虚)・お腹が痛い(脾虚肝乗」の便秘や発熱に用いる。

外邪の防衛拠点である体表部が不足していると、春に鼻炎がでてくるタイプとなるが、これに対応する処方の選択が難しい。最初は鼻炎によく効いた処方が、少し経つと全く効かないことがある。これは鼻炎の原因が体表面の不足だけでなく、色々なかくれていた原因が現れるためである。

それに対して、さまざまな処方を用いなければならないのは、今までの体質と鼻炎になった時点での体質が人によって違うからである。

体表面の症状(表証)は、時期によって分かれる。鼻炎を感冒と考えれば、感冒の初期と後期の違いがある。

初期はクシャミ・鼻水・鼻閉などの表証であるが、花粉症のように一ヶ月も続くとしたら、初期には効いた処方がずっと同じであるはずがない。

感冒とアレルギー性鼻炎の初期症状は、同じで、ただ涙が出ないとか、目や鼻が痒いとか程度の違いである。つまり、鼻炎は感冒の初期とほとんど同じである。そこがアレルギー性鼻炎の対処が難しい理由であるが、その鼻炎症状以外に現れた症状をどのように認識するかが鼻炎の治療には重要となる。

鼻炎の症状を区別する点として、自汗か無汗か、咽乾か不渇か、むくみは?、胃腸の不調や下利は?などを確認する。

アレルギー性鼻炎になったばかりなら、的確な処方なら三日で治るが、その後一週間くらいして、また同じような症状がでる場合が多いが、その時点では最初の処方では効かなくなっている。

カゼの初期なら、悪寒・発熱・頭痛・体痛が主な症状でうっすら汗ばむ自汗ならば桂枝湯を使う。しかし、この症状に何となく胃不和があり、胃のあたりが重苦しい、もたれるとなれば、柴胡桂枝湯の適用となる。このようにたった一つの症状の違いで、病理も処方も違ってくる。

桂枝湯:生薬は辛味があり温める作用でカゼを追い出す辛温解肌しんおんげきの作用がある・体内の防衛力を整える調和営衛それによてt表寒や表虚を補う:
桂枝4 芍薬4 大棗4 生姜4 甘草2:
体表面である肌表きひょうの邪を外解がいげ し、営衛を調和する。桂枝湯を用いるに適用条件には自汗であることが必要。

柴胡桂枝湯は、小柴胡湯の証に似て(柴胡証の七症)悪寒、発熱、関節痛、頭痛、腹痛に用いる。そのため、柴胡桂枝湯は風邪のこじれたものや胃炎、胃潰瘍、胆嚢炎・胆石痛、虫垂炎、肝炎に用いる。

柴胡証の七症:往来寒熱・胸脇苦満・口苦・咽乾・目眩・黙黙不欲飲食・心煩喜嘔どれか、一つあれば柴胡剤を使える。

アレルギー性鼻炎の症状には、三つの分類に分かれる。

一つ目は、外感病の初期のカゼの症状が早ければ11月から翌年5月初めまで同じように続く場合である。

二つ目は初期症状からすぐに裏証(胃腸症状である内傷病:食欲亢進・食欲不振・下利・腹痛・便秘)となる人である。

三つ目はひどいアレルギー性鼻炎の方で、最初から内傷病(裏証:臓腑の不調症状:食欲亢進・食欲不振・下利・腹痛・便秘)がでる人になる。

内傷とは、たとえば感情の過剰で内臓を虚損する七情内傷・飲食不摂生・労働過多・セックス過多である房事不節などで、臓腑機能を内損する現象を指す。内傷病とは、内傷によって生ずる病のことを指す。

鼻炎をまず外感病か内傷病かを区別する。アレルギー性鼻炎の症状は、感冒の初期と同じで外邪を感受した外感病である。内傷病は、体内の不足(陽虚・血虚・気虚・腎虚)や異常(痰飲・湿熱)によって生じるもので、慢性病はほとんどが内傷病である。

痰飲の基本症状は、眩暈、多痰、浮腫、嗜眠、小便不利、しこり、朝の起床時の顔のむくみ、疲労時の顔のむくみや手足のむくみ、軽い咳払いで簡単に痰がでる体質、閑な時すぐ眠くなる:痰飲を取る基本処方は、二陳湯。

外感病の分類:悪寒・発熱の状態。

一つ目は、悪寒と発熱が同時に発生し、ゾクゾクして顔がボーッとする(桂枝湯加減・荊防敗毒散・小青竜湯等)。

二つ目は、ソクゾクと悪寒が強く熱感が少なく顔が蒼白い(麻黄湯・荊防敗毒散など)。

三つ目は、発熱が強く、喉が渇き、悪寒が少ない(風溫ふうおん:温病うんびょう・桑菊飲ソウギクインなど)。

155:鼻炎のほとんどはフウジャが侵入してザワザワしている悪風(桂枝湯加減方)であるので、冷えの侵入はない(風寒・悪寒ではない)。

小児科の使い方は危険である。

この時点では、自汗か無汗かが重要な鑑別点となる。悪風でザワザワして自汗なら桂枝湯で、冷えの侵入でゾクゾク(悪寒)して無汗なら麻黄湯・荊防敗毒散である。麻黄湯は小児には気やすく使ってはいけない。

麻黄湯服用し三日間で、そのまま治った花粉症が、翌年には効果が無かった症例がある。

自汗の判定は、自汗は、汗をかきやすく首筋や脇の下の肌に手で触れるとしっとりしている中風の表虚症:桂枝湯類・五苓散・防已黄耆湯・玉屏風散を使う。

他方、無汗は、脇の下はサラサラ・スベスベしている状態で、発汗剤である荊防敗毒散・葛根湯や麻黄湯・小青竜湯・大青竜湯を使う。症例によって選定する。それぞれの処方の特性を理解して選定する。

荊防敗毒散:辛温解表・袪風邪・袪湿邪・止咳化痰・止痛:荊芥3 防風3 羗活2 独活2 柴胡3 前胡2 川芎2 桔梗1 枳穀2 茯苓3 炙甘草1 生姜1 薄荷1:無汗で疲れ易い体力の無い人(麻黄が無い処方は弱者に適用できる)の風邪。

鼻炎でうっすら汗ばむ自汗の処方は、桂枝湯・桂枝湯合玉屏風散(黄耆・防風・白朮)・代用処方に桂枝湯合防已黄耆湯(防風の代わりに防已が入っている)を使うが、内傷が現われれば効果は数日しか効かない。

汗が出る自汗の鼻炎には、桂枝湯の加減法を使う。

通常は、桂枝湯に、黄耆が加わった桂枝加黄耆湯を使う。

桂枝加黄耆湯:桂枝湯に黄耆3gを加える。黄色い汗を治す。腰以上或は脇の下の発汗(自汗)で、衣類を濡らし色が黄柏汁(黄色)のようで、両脛が冷え、体が重痛する者を治す:桂枝加黄耆湯:金匱要略:桂枝湯+黄耆3g。

黄耆は痹証ヒショウ(筋肉・関節の痛む病気)に用いる:末梢神経麻痺・脳卒中後の半身不随・リウマチ・肩関節周囲炎:これらは気血両虚(十全大補湯・帰脾湯)のため循環障害で疼痛やしびれである。疼痛には黄耆桂枝五物湯を用いる。運動麻痺には桃仁・紅花・川芎・地竜ジリュウを黄耆桂枝五物湯や十全大補湯に配合。

十全大補湯:元気も血の不足も伴う気血双補・生命力の冷えを伴う補腎陽・冷えを温める袪寒:四君子湯+四物湯+黄耆・桂枝(肉桂):気血両虚の症状:筋の萎縮・四肢の無力・頭暈・目花・倦怠無力感・動悸・息切れ・自汗・盗汗・舌淡・苔少・脈微細。

黄耆桂枝五物湯:営衛気血不足し、邪が血分に入り渋滞を生じ、血痺し肌肉が頑麻ガンマ、痺痛などの証を治す。(しびれに適応):原典は金匱要略:黄耆3 桂枝3 白芍3 大棗3 生姜6g(甘草2gは無い)。

桂枝湯:桂枝4 白芍4 大棗4 生姜4 甘草2g。

黄耆が多い補陽還五湯は、脳卒中の半身不随に使うが、意識が澄明で体温正常時だけ適用。脳出血が止まり、脈軟弱(気血両虚)を確認して使い、脈浮は禁忌。発病後3ヶ月以内は効果があるが、過ぎると余り効果はない。

浮脉(脈浮)は陽気が盛んであることを意味するので補陽還五湯は脳卒中を悪化させる。

脳卒中に大柴胡湯:脳卒中後に肝胆の火が上攻した顔を真っ赤にした頭痛、肩こり、耳鳴、耳聾、眼目の雲翳ウンエイ・赤眼疼痛、発狂、脳卒中の肝火上炎、動悸、及び胆胃不和による嘔吐不止、心下急痛、胸脇痞硬痛などの証で、口苦、舌紅、舌苔黄。

鼻炎には自汗なら桂枝加黄耆湯であるが、黄耆の入っている黄耆建中湯は、芍薬が倍量と膠飴コウイが入っているので、効果の方向性は体の中の方ばかりに効き外感病の鼻炎は治らない(内傷病の鼻炎には使う)。当帰建中湯も当帰が入っているので体の中の方しか効かない。

鼻炎で、汗がダラダラでるものには、生脈散(人参・五味子・麦門冬)が使える。体の気が一過性に不足した気虚で、汗が止まらない状態が、風が吹いた途端に出てクシャミも出る人には劇的に効くが多くはない。

それ以外の鼻炎で自汗にはほとんど桂枝湯加減を使うがザワザワする悪風が目標である。ゾクゾクは悪寒では無汗の荊防敗毒散を使う。

一般に、悪寒・悪風と発熱が同時にでて自汗ならすべて桂枝湯加減をつかう。

無汗で悪寒でゾクゾクして発熱し体力のある人は、麻黄湯を使うが、無汗で疲れ易い体力の無い人の風邪には荊防敗毒散を使う。麻黄湯や葛根湯は倶に麻黄を含み、発汗し過ぎるので使い方は難しい。

荊防敗毒散:辛温解表・袪風邪・袪湿邪・止咳化痰・止痛:荊芥3 防風3 羗活2 独活2 柴胡3 前胡2 川芎2 桔梗1 枳穀2 茯苓3 炙甘草1 生姜1 薄荷1:無汗で疲れ易い体力の無い人の風邪(麻黄が無いため)。

小青竜湯の鼻炎の症状:普段の症状(内傷病)ではなく、外邪によって鼻炎になった時に初めて生ずる症状を確認することが大切。無汗で、悪寒と発熱が同時に出て、痰が多く、小便不利、或は浮腫があるという特殊な症例に使う。痰が多いというのが重要。「乾姜・細辛・五味子の三薬」がある。

鼻炎が何年も続いている場合は、外邪ではなく、普段からのすべての症状(内傷病)を聞く。

小青竜湯:無汗・辛温解表・温肺化痰・平喘止咳・利水:
麻黄 乾姜 細辛 五味子 桂枝 白芍 甘草 各3g 半夏6g。

「乾姜・細辛・五味子の三薬」の配合は肺の水飲を温散し止咳平喘の効果。

苓甘姜味辛夏仁湯:温肺化痰し薄い鼻水を止める・平喘止咳・浮腫を利水:茯苓4 製半夏4 杏仁4 乾姜2 細辛2 五味子3 炙甘草2。

麻黄附子細辛湯:温経散寒法(温経湯も)で表裏双解する:麻黄4 附子1 細辛1:肩や肘の屈曲・関節痛に使う:風寒+陽虚に適応。冷えて活動エネルギーがない状態で手足の冷えと倦怠感があるカゼの初期に使いる。

寒湿の股陰痛:大腿内側に腫瘤・しびれ・疼痛・長引くと足甲部の浮腫や両下肢の脱力:胃苓湯加桂枝・附子・地竜。

風溫の鼻炎は温かい冬に少し出る:風溫の無汗(鼻炎)には桑菊飲・銀翹散を使い、自汗には桂枝湯加減を使う。

桑菊飲そうぎくいん:疏散風熱・宣肺止咳:杏仁3 連翹4 薄荷2.5 桑葉3 菊花3 桔梗2 生甘草1.2 芦根6ロコン:秋風の温燥の邪による咳のカゼに用いる温病の薬:製品無し。

杏蘇散きょうそさん:涼燥の邪(秋の冷えた乾燥した風で生ずる)・風寒を温めて解表・宣肺化痰:蘇葉1ソヨウ 半夏1.5 茯苓2 炙甘草0.5 前胡2ゼンコ 桔梗1 枳殻1.5 生姜1.5 橘皮1キッピ 大棗2個 杏仁2g:製品無し。

蘇葉・白芷びゃくし・桔梗:寒を散じ、膈塞かくそく(上下不通)して通じないものを利し、表邪を発散する。

内傷病の鼻炎:風邪の初期の症状を伴う鼻炎症状がすぎると、

二番目として内傷症状が出てきて、浮腫や体のだるさや胃腸の不調を訴える人がいる。

三番目として、脾虚だが、胃熱の食欲亢進ではなく食欲が落ちる人がいる。

四番目として、鼻炎が何年も続いている内傷病の場合で、久病は腎虚か瘀血だが、鼻炎の場合に限っては腎虚(真武湯・八味丸・六味丸類)をまず疑う。

五番目として、陰虚の鼻炎の症状は、鼻炎になってからの症状として

「手足のほてり」「口乾」「顔がのぼせる」の三つの症状が同時にある場合は陰虚(六味丸類・小建中湯)である。

鼻炎の初期症状では、浮腫がなかったがしばらくして浮腫が出た場合、

(1)体の怠さを伴う人と、(2)食欲不振になる人・・に分けられる。

鼻炎になってから、体が怠くなった人は湿邪や痰飲なので二陳湯や平胃散や平陳湯である。

平胃散:理気化湿・和胃:蒼朮4 厚朴3 陳皮3 大棗2 生姜1 甘草1:蒼朮が主薬の平胃散は理気し湿気を去る鎮痛剤でもある。

二陳湯:燥湿化痰:半夏5、陳皮4、茯苓5、生姜1、甘草1:痰飲の基本処方。

鼻炎になってから、食欲が落ちた人は脾虚なので、六君子湯・小建中湯・人参湯・補中益気湯。

鼻炎になってから、顔色が悪く、食欲不振なら、香砂六君子湯や六君子湯。

浮腫があり、体が怠く、いつも眠い人は、苓甘姜味辛夏仁黄湯(支飲の胃熱上衝)を使うが、これは風邪が裏に侵入して胃腸症状に胃熱が生じて空腹感で食欲亢進する場合である。

支飲:水液が胸部から心下部にかけて停滞し、咳嗽や呼吸困難を生じる病証:木防巳湯:肺水腫・胸水による咳嗽・呼吸困難・うすい泡状の血痰・うすい多量の鼻水。

苓甘姜味辛夏仁湯:温肺化痰で薄いサラサラした鼻水を止める・平喘止咳・利水で浮腫や怠さを軽減する:茯苓4 製半夏4 杏仁4 乾姜2 細辛2 五味子3 炙甘草2g。

乾姜・細辛・五味子の三薬の配合は、肺の水飲を温散しサラサラの痰や薄い鼻水を止め、アレルギー性鼻炎や止咳平喘の効果があり、張仲景がよく用いる、咳喘や薄い鼻水治療の薬物配合の一つである。

杏仁は苦温で肺を利す温肺薬で、麻黄の宣肺平喘作用を助ける。

鼻炎になってから、浮腫があり(痰飲・陽虚・湿邪)、ムカムカ(胃気上逆)して痰(痰飲)があり、軟便(脾虚)になる人は、平陳湯や茯苓飲を使う。

茯苓飲:理気化痰・ムカムカを和胃降逆・健脾益気:茯苓5 白朮4 枳実2 陳皮3 人参3 生姜3:溜飲症状で食後ゲップや胸焼けが多くて、みぞおちあたりが常に気持ち悪い症状に適応:胃の機能性ディスペプシア(旋覆花代赭石湯)など。

旋覆花代赭石湯・旋覆代赭湯:傷寒論:降逆化痰・益気和胃:
旋覆花2 代赭石3 法半夏5 生姜4 炙甘草2 大棗3:
痰飲による胃気上逆の症状:上腹部のつかえと苦悶感・胃の機能性ディスペプシア。痰湿による肺気逆。

旋覆花センプクカ:上逆した肝気を正常にめぐらす:キク科旋覆花の頭状花序を包煎(全草は金沸草きんふつそう):苦辛微温:肺脾胃大腸経:止嘔逆・軟堅痰:制吐・袪痰作用。

鼻炎で、手足が冷えて、食後にお腹が痛くなれば、五積散。

五積散:「風寒湿に使う」:
1.腰冷痛、2.腰腹攣急(ぎっくり腰・腹痛)、3.上熱下冷、4.食後に小腹痛の四症が目標となる:寒いと小便頻数となる人・のぼせる人の神経痛・腰痛・手の痛みに効果がある。

五積散合平胃散:風寒湿・理気化湿・和胃。

寒湿に平胃散:理気化湿・和胃:
蒼朮4 厚朴3 陳皮3 大棗2 生姜1 甘草1:

蒼朮が主薬の平胃散は、理気し湿気を去る鎮痛剤でもある:

五積散にさらに平胃散を合方すると半夏+陳皮となり袪痰する。

半夏厚朴湯:痰気鬱結に理気化痰する:化痰の半夏が主薬:
半夏6 厚朴3 茯苓5 生姜4 紫蘇葉2:
肝鬱痰飲の薬:竄痛ざんつう の薬。

五積散合平胃散:理気袪痰となり痰飲除去作用が強まる。

額が重く(陽明胃経が通る食べ過ぎ・食毒・痰飲がある)、食欲不振の鼻炎は痰飲が原因で慢性化していることが多く、これには半夏白朮天麻湯を使う。

半夏白朮天麻湯は、痰濁上擾で上部の痰飲症状の蓄膿やアレルギー性鼻炎・(滲出性中耳炎は小柴胡湯合半夏白朮天麻湯)にはなくてはならない。

中耳炎・咽頭炎等:熱状、化膿:小柴胡湯加桔梗石膏。

黄色い鼻水や濁った鼻水は、漢方ではアレルギー性鼻炎ではなく、蓄膿症であり、くしゃみ鼻水がでても、漢方では蓄膿症なので脾虚なら半夏白朮天麻湯、食欲があれば防風通聖散や平胃散・平陳湯などが適応。

鼻炎になってから、浮腫、足冷、腰から下が怠く、腹痛や下利(白朮+白芍の組合せ)、疲れがひどい人には真武湯を使う。

白朮+白芍の組合せは、お腹の痛みを止める薬であるので、過敏性大腸炎に使える。

寒湿の邪には苓姜朮甘湯を使うが、寒湿による腹痛の場合は真武湯を使う。

真武湯は補脾作用が無いので、脾虚のめまいや下痢には、補中益気湯や人参湯・参苓白朮散など補脾薬を併用する:真武湯は附子1 茯苓5 白朮3 白芍3 生姜3で、冷えとストレスをとるが脾虚は補わない。

脾虚の鼻炎は食欲不振が原則(六君子湯)である。例外は、胃強脾弱(半夏瀉心湯の病理)で、胃熱があると脾虚(六君子湯・参苓白朮散・人参湯・補中益気湯)でも沢山食べられるので注意する。

鼻炎になってから、面色蒼白、或は面色萎黄で、脾虚なら六君子湯である。

鼻炎になってから、動悸や息切れがあれば、六君子湯合生脈散。

生脈散や炙甘草湯の加減は、不整脈・動悸・息切れして苦しむ・心不全・心臓の弱りによる下肢の浮腫に用いる。

自汗・悪風・浮腫(風水)・小便不利(小便がスッキリ出ない)には、自汗の防已黄耆湯合六君子湯とする。症状によって、防已黄耆湯合香砂六君子湯・防已黄耆湯合参苓白朮散・防已黄耆湯合半夏白朮天麻湯とする。

鼻炎で自汗の処方は、桂枝湯・桂枝湯合玉屏風散(黄耆・防風・白朮)・代用処方に桂枝湯合防已黄耆湯(防風の代わりに防已が入っている。

防已黄耆湯:補気健脾・利水消腫・袪風止痛・虚弱者で自汗の風水:気虚の浮腫・気虚の関節痛:黄耆5~10 木防已5 白朮3 生姜3 炙甘草2 大棗3:動くとすぐに汗がでる人・全身に痛みが動く人。

風水:全身の浮腫をともなう状態:越婢加朮湯(無汗):疏風宣肺・利水・風水に適応:気虚がみられない丈夫な体質の時に使う。気虚の風水で、息切れ・元気不足などの虚弱者には防已黄耆湯(自汗)を使う。

木防已:ウマノスズクサ科広防已の根:利水消腫(肺水腫・胸水の利水)・袪風止痛(風邪薬・鎮痛剤):袪風利湿・清熱。

木防巳湯:支飲(胸部の痰飲・胸水)・肺水腫の呼吸困難・尿量減少・口渇・発熱、利尿・鎮静・消炎・軽度の強心:鬱血性心不全・肺水腫・心臓喘息:利水滲湿・益気・清熱:

木防已4 桂枝3 人参3 石膏10g。

鼻炎になってから、自汗・寝汗(陰虚)・手足がほてり(陰虚)・咽乾(陰虚)なら黄耆建中湯(内傷病)を使うが、無汗なら小建中湯(内傷病)を使う。

黄耆建中湯(金匱要略):桂枝4 白芍6g 大棗4 生姜4(乾姜1) 甘草2 膠飴20 黄耆4。

黄耆建中湯:体力がかなり衰え、すぐ寝込んでしまう人。年中カゼをひいているような怠さがあり、すぐ息切れして汗が皮膚から漏れ出る。寝たきりで衰弱し、床ずれにもよい。

陰陽両虚:冷え症(陽虚)だが疲れると火照る(陰虚)という時、陰陽両虚の八味丸を使うが、冷えには八味丸、疲労で火照る時は六味丸か少量の八味丸を使う。

陰陽両虚(腎虚)で脾虚で、無汗には小建中湯、汗っかき(自汗)は黄耆建中湯。

鼻炎が無汗なら小建中湯(内傷病)で治る例が多い。子供の鼻炎の場合は、六君子湯や真武湯を使うことが多い。一般に、小児には小建中湯・六君子湯・参苓白朮散・小柴胡湯・真武湯を体質改善に使うことが多い。

蓄膿で、脾虚が強い場合は、脾虚の薬を一緒につかわないとなおらないし、慢性病化した時は、瘀血と腎虚をともなう。半夏白朮天麻湯や六君子湯や参苓白朮散と補腎薬と駆瘀血薬。

慢性病化した蓄膿:半夏白朮天麻湯合真武湯合血府逐瘀湯。

慢性病化した蓄膿:六君子湯合真武湯合血府逐瘀湯。

慢性病化した蓄膿:参苓白朮散合真武湯合血府逐瘀湯。

鼻炎で、手足冷・寒がり・唾液が沢山でて枕を濡らす人は人参湯。人参湯は寒くなるとよく涎ヨダレがでて、寒暖差で太陽を見るとクシャミがでる。さらに人参湯合真武湯とする場合もある。

理中湯りちゅうとう(人参湯):温中散寒・補気健脾:脾陽虚:
人参3 乾姜3 白朮3 甘草3g。

煨生姜わいしょうきょう・乾姜:未発芽の煨生姜わいしょうきょう・ひねしょうが:大辛・大熱:心肺脾胃腎経:温中散寒・回陽・温肺化痰・健胃・止嘔:呉茱萸とともに用いて寒が中焦に凝集した状態に適応。

煨生姜わいしょうきょう・ひねしょうが。

煨ワイ:うずみ火。湿らせた和紙に包み、火の灰の中に埋めて長時間じっくり熱したもの(附子の修治法で毒性の低下した炮附子となる)。

人参湯:陽虚の原因として生野菜や生もの・冷たい飲み物で冷えてた人には人参湯。涎で枕を濡らす人や下を向いて作業をしていてサラサラしたよだれが垂れたり、電車で居眠りして涎を垂らす人が人参湯である。

理中湯りちゅうとう(人参湯):温中散寒・補気健脾:脾陽虚:人参3 乾姜3 白朮3 甘草3。

腎陽虚の鼻炎:腎虚で体が冷えているときは真武湯だが、真武湯合六君子湯・真武湯合補中益気湯・真武湯合半夏白朮天麻湯とすることも多い。

真武湯合六君子湯

真武湯合補中益気湯

真武湯合半夏白朮天麻湯

真武湯は、附子1 茯苓5 白朮3 白芍3 生姜3で、冷えとストレスをとるが脾虚は補わないが、白朮+白芍の組合せは、お腹の痛みを止める薬で腹痛・下利をとめるので、過敏性大腸炎に使える。

腎陰虚の鼻炎:顔がのぼせ・口が乾き(口乾)・手足がほてる時は、

麦門冬湯・六味丸・八仙丸・温経湯を症状に応じて使い分ける。

麦門冬湯:話をしていて口のまわりに白い泡が溜まる人は胃の陰虚である。陰虚で水気が不足して唾液が少なく泡になる。シェーグレン症候群などで唾液や涙液の少ない人は陰虚である。胃の陰虚は糖尿病に多い。

多食善飢で体重減少する陰虚の糖尿病の人は六味丸類+十全大補湯:
食欲が有り、よく食べるが痩せる糖尿病に使う:十全大補湯だけでは陰虚を補っていないので糖尿は悪化する。

八仙丸:医級:肺腎陰虚:地黄・山茱萸・山薬・沢瀉・茯苓・牡丹皮・五味子・麦門冬(六味丸+ 五味子・麦門冬):小建中湯で代用できる。

又は六味丸合生脈散(六味丸+人参五味子麦門冬)。

肺腎陰虚:肺結核・肺癌:乾咳・血痰・骨蒸潮熱・夜間の咳・声がれ:
八仙丸・百合固金湯・滋陰降火湯・生脈散合六味丸。

温経湯うんけいとう:下焦虚寒のため血行不良となり血瘀が発生し、虚寒と血瘀から血虚が生じ、甚だしければ陰虚火旺が生じて上部に熱証・のぼせが現れそのため唇皸裂・手掌が乾燥(阿膠で潤す)する病態。

温経湯:温経散寒・補血調経・活血化瘀・益気和胃:半夏4 麦門冬4 呉茱萸1 乾姜1 当帰3 桂枝2 白芍2 川芎2 人参2 甘草2 阿膠2 牡丹皮2:足冷(下焦虚寒)・唇皸裂・手掌が乾燥(陰虚火旺)。

温経湯(下焦虚寒・瘀血・血虚・ひどければ陰虚火旺で唇皸裂・手掌のほてり)。

一年中鼻炎を起こす人:抑肝散加陳皮半夏を使う。普段からイライラするが発散できず、顔を洗うとこめかみがズンズンし青筋もたち、神経質で、些細なことが気になる性格で易怒で多痰である。

鼻炎の問診:寒熱や好転要因を確認する。

何年前から起きているか?

経過と再発状況は?一年中か、春や秋の季節の変わり目か?

風寒で悪化するか、風湿や寒冷で悪化するか?

疲れると悪化するか?(気虚・血虚・腎虚)

外感病か内傷病かを決める:
外感病は外邪の風邪の侵入で悪風で自汗、悪寒で無汗など、
内傷病は、気虚・血虚・腎虚・痰飲・湿邪など。

悪風自汗であるか?(桂枝湯加減法)。

悪寒が強く発熱が軽いか?(人参湯・真武湯。麻黄湯はその後発熱する)。

発熱が強く悪寒がないか?(風溫)。

手足が冷えるか?

顔がのぼせるか?(陰虚・五積散・温経湯など)

喉が渇く(熱・虚熱)か渇かない(冷え)か?

冷たい水が飲めるか飲めないか?(熱や口渇の判定)

くしゃみが起こるまえに、ザワザワかゾクゾクするか?(風寒・悪風か悪寒か?)

くしゃみはいつ出るか?ほとんどは起床時で痰飲や冷えと関係する。

くしゃみの好転条件は?休んだ時(気虚・血虚)、汗が出る時(発汗剤)、午後か・無風時か?

鼻炎になってから浮腫があるか?浮腫はどこにあるか?顔か手足か全身か?

鼻水はサラサラかベタベタか、透明か黄色味(蓄膿)がかっているか?

痰が沢山でるか?(痰飲の有無)鼻水だけでなく痰があれば小青竜湯。

鼻水がなければ陰虚の可能性がある(麦門冬湯・六味丸類)

発作の時間は、朝がひどければ痰飲か冷え。

午前中がひどければ痰飲(二陳湯・平陳湯)で、

午後の鼻炎悪化は疲れ(気虚・血虚・腎虚)。

日晡所(夕方)悪化は、胃腸と関係する(脾虚:補中益気湯や六君子湯)

一日中悪化している鼻炎は、邪実で実証である(葛根湯・防風通聖散)

一日中悪化している鼻炎は、痰飲で実証(半夏白朮天麻湯)

夜中に鼻炎が酷いのは、腎陽虚(冷え・真武湯・八味丸)・瘀血である。

鼻炎の好転条件

発汗すると楽になるなら、発汗剤(葛根湯・麻黄湯)を使えば良い。

入浴して温まると楽になるなら、温める方剤を使う(真武湯・人参湯・呉茱萸湯・温経湯)

休んだり寝ると楽になるなら、虚証なので気虚・血虚・腎虚を補えばよい。

食事をすると楽になるのは、胃腸の冷えか、胃腸の不足の脾虚を補う。

運動で汗をかくと楽になるのは実証が多く、鼻炎がストレスで生じているので歩くとよくなる。

顔を温めると楽な人は、冷えを温める処方を使う.

顔を冷やすと楽な人は、熱があることが判る(陰虚や上熱下冷は五積散・温経湯)

以上は、鼻炎になってからの症状を確認することが重要で、一年中の鼻炎は内傷病の症状をすべて確認する。