2025/1/24
膈下逐瘀湯かくかちくおとう 313
膈下逐瘀湯:医林改錯:活血行瘀・調気疏肝:血瘀気滞・経閉腹痛:癥瘕堅積して作痛するものを治す:紅花2 桃仁3 五霊脂3 玄胡3 牡丹皮2 赤芍3 当帰3 川芎3 烏薬3 香附4 枳殻3 甘草1g。
五霊脂ごれいし・霊脂:オオコウモリの糞便乾燥物:鹹温:肝経:袪瘀止痛・通経、生では活血、炒用では止血・鎮痛・瘀血による疼痛で婦人科で失笑散として多用・胃を障害しやすい:2~3g。
延胡索・玄胡ゲンコ・元胡:ケシ科エゾエンゴサクの塊茎:辛苦温:活血・理気・止痛「一身上下の諸痛を治す」気滞血瘀の鈍痛に適応。
烏薬うやく:クスノキ科テンダイウヤクの根:辛温:行気止痛・散寒温腎。
月経は一月に一回めぐるが、それは肝の疏泄が正常で気血がなめらかに通じて生ずる。
膈下逐瘀湯:肝鬱して気が結すると血瘀気滞となり、経閉してめぐらず、瘀血が停滞して腹痛となり、ひどければ瘀血が癥瘕(腹中塊)を生じて疼痛などの症状をもたらす:治法は活血袪瘀・調気疏肝する。
膈下逐瘀湯の紅花、桃仁、霊脂(五霊脂)、玄胡(延胡索)、丹皮(牡丹皮)、赤芍、当帰、川芎は活血通経し行瘀止痛する。香附子、烏薬、枳殻は調気疏肝し、甘草は諸薬を調和する。ともに用いれば活血袪瘀し調気疏肝の効果がある。
膈下逐瘀湯:心痛、脇痛、月経不調、腹痛、固定痛に応用される。
膈下逐瘀湯加減法として千金蕩胞湯:朴硝(芒硝)、丹皮、当帰、大黄、桃仁各3g、厚朴、桔梗、人参、赤芍、茯苓、桂心、甘草、牛膝、橘皮各2g、附子6g、虻虫(あぶ)、水蛭スイテツ(ウマビル)各10枚、水と酒で合わせて煎じる。
千金蕩胞湯せんきんとうほうとう:一剤を分4にして昼間三回夜一回服用、六時間間隔で服用し、服用後被いて微汗をとる。婦人の無子の原因が、子宮(胞宮)に瘀血があるものを治す。
肉桂(桂皮)・官桂(旧名)・桂心:甘辛大熱:クスノキ科肉桂(桂皮)の枝皮・幹皮:甘辛大熱:肝腎脾経:温中補陽・散寒止痛・温補腎陽:循環促進・健胃:桂枝は温経通絡・肉桂は温腎袪寒:粉末0.2~0.8g
蕩トウ:とりのける、みだす、やぶる、のびのびしている、うごめく、すっかりなくなる、しまりがない。