加減栝楼薤白湯かげんかろがいはくとう:狭心症や心不全に用いる
加減栝楼薤白湯:通陽宣痹・化瘀通絡法:栝楼殻8 薤白5 桂枝3 郁金3(鬱金) 制香附4(香附子) 紅花3 桃仁3gに白酒を適量加え水煎服用:胸陽痺阻で胸悶・刺痛の胸痛・動悸・顔色青く・唇や爪甲の青紫色・手足の冷え。
加減栝楼薤白湯:胸陽が通じず、心臓前や胸骨後に刺痛があり、悶痛し、動悸が収まらず、ひどければ顔色が青く、唇や口や爪が青紫色になり、手足が冷え、舌質は紫暗色で、脈細である。
加減栝楼薤白湯は、「金匱要略」の栝楼薤白白酒湯の加味方である。
栝楼薤白白酒湯:理気袪痰・通陽散結:栝楼仁2 薤白6 白酒30ml:
湿痰による胸痺に使用。
栝楼と薤白(ラッキョウ・エシャレット)は滌痰泄濁と開胸散結の効果があり主薬である。
居酒屋では、焼酎(白酒)とエシャレットを楽しむと良い。
桂枝と白酒(蒸留酒)の配合は、心陽を振奮する(ふるいたたせる)作用があり、
桃仁と紅花は活血行瘀し宣通経絡する。
郁金と香附(香附子)は、気機を調暢チョウチョウし、上記の薬物とともに通陽宣痹し、活血通絡の効能がある。
暢チョウ:のびる、長くなる、のびのびする、やわらぐ、ゆきわたる、とおる:流暢りゅうちょう。
気機が通暢すれば瘀血は行を得て、痰濁は除かれ、経絡は通じて痛みは止む。
加減栝楼薤白湯の証は胸痹疼痛のすべてに見られるわけではないことを、この処方の構造を学ぶ者に提示する。胸痹疼痛の病理は単純に瘀血阻絡だけでなく、気滞や痰濁痹阻などの原因もある。
「金匱要略」の胸痹に対する認識を継承し、学ぶ者に思惟を啓発することは価値がある。
加減栝楼薤白湯を心絞痛に用いる事が出来るが、寒熱虚実に基づき加減する。
加減法
栝楼薤白白酒湯:理気袪痰・通陽散結:栝楼実8 薤白10 白酒適量に水を加えて煎服する。治療は胸痹、喘息咳唾、胸背痛、短気などに用いる。短気:軽度の喘息状態で、短く浅く早い呼吸。
栝楼薤白半夏湯:気滞血瘀による胸痞(狭心症など)に:栝楼実8 薤白6.5 半夏5g 白酒を適量加え、水煎温服する。滌痰泄濁、通陽宣痹の効果がある。
栝楼薤白桂枝湯:枳実4 厚朴4 薤白10 桂枝3.5 栝楼8gを水煎温服する。白酒は無い。治療は胸痹。この処方は行気活血と袪痰泄濁の効果があり、加減栝楼薤白湯はこの処方の意味をくんで構成した。