当帰芍薬散の解説

当帰芍薬散

当帰芍薬散:金匱要略:肝血虚・脾虚湿滞:当帰3 白芍4 白朮4 茯苓4 沢瀉4 川芎3:過敏性大腸炎:真武湯も適用:当帰がもたれ胃痛を呈する脾虚の人もいる場合は半量とする(酒にて和せばもたれない)。

当帰芍薬散:金匱要略:補血調肝・運脾除湿法:当帰3 芍薬10 白朮4 茯苓5 沢瀉3 川芎3g、毎回1g酒にて和せばもたれない。一日2回服用。湯剤でも可。 

当帰芍薬散の主治:

1、当帰芍薬散の主治:妊娠時の腹中㽲痛キュウツウおよび腹中の諸疾痛。  

2、当帰芍薬散の主治:妊娠時下利、或は産後下利、小便不利、腹痛、

腰足麻痺無力などの証。

3,当帰芍薬散の主治:肝臓腫大、肝部疼痛。 

当帰芍薬散証は、養血調肝と運脾除湿を併挙する。

つまり

当帰芍薬散は当帰、白芍、川芎で養血調肝し、

当帰芍薬散は白朮、茯苓、沢瀉で補脾滲湿し

当帰芍薬散は茯苓、沢瀉は甘淡滲湿して、湿邪が脾をして困とならず、

当帰芍薬散は当帰、川芎で活血行滞して営血はのびやかに通じ、

これら生薬は共同して養血調肝、補脾除湿の法則を体現する。

当帰芍薬散の中の芍薬を重用するのは、養血だけでなく、主要となる白芍の運用により当帰芍薬散は柔肝止痛じゅうかんしつう作用がある。

1,当帰芍薬散の用途は広く、男女老幼を問わず、肝脾の同病に属するものには均しく応用できる。

「肝は血を蔵し、血は流通を貴ぶ」、

「脾は運化を主どり、須く湿滞を防ぐべし」。

当帰芍薬散の川芎、当帰、白芍は、活血して峻猛ならず、補血して血滞ならず・・、

当帰芍薬散を逍遥散、四逆散、柴芍六君子湯の類と比較しても、当帰芍薬散は最もよくこのように働くので用いるごとに良効をおさめる。

2,当帰芍薬散はまた、肝臓の腫大に有効な方剤である。

「肝は血を蔵し疏泄を主る」。肝腫大の原因は、気滞、血瘀、湿阻である。

当帰芍薬散は活血補血、健脾除湿に長じている、さらに少し行気の木香、枳実、鬱金を加えれば、全面的に方意が考慮され、肝腫大に有効となる。

臨床では、寒熱を根拠として加味し、

偏寒には桂枝・呉茱萸を加え、

偏熱には牡丹皮・山梔子・茵蔯を加え、

血滞が強ければ山楂子・大黄を加える。

連服数十剤すれば腹部の包塊(肝腫大など)にも応用できる。

当帰芍薬散の加減法

1,加味当帰芍薬散:当帰3 白芍2 茯苓4 白朮3 沢瀉3 川芎2 続断3 菟糸子4 一日一剤、連服二剤。胎位異常を治し妊娠7~9月時に服する。この処方は保生無憂散ホセイムユウサンと同様、胎位異常を正す有効な方剤である。

続断ぞくだん:マツムシソウ科川続断の根:苦辛微温:肝・腎経:補肝腎・続筋骨(筋骨を修復する)・活血・安胎(滑胎に):打撲・捻挫・骨折・腰や下肢の疼痛。

菟糸子としし:ヒルガオ科ハマネナシカズラの成熟種子:辛甘平:肝腎経:補腎益精・明目・止瀉・安胎:菟糸子は平補で性質は穏やか:眼科には八味丸加菟糸子:遺精に菟糸子丸:2~6g。

2,保生無憂散:当帰0.7 白芍1.3 川芎1.3 黄耆1 甘草0.7 厚朴0.7 枳殻0.7 菟糸子1.6 荊芥穂0.7 羗活0.7 川貝母1g。胎位異常を正常にする。