小柴胡湯の口訣集

2025/4/4~8

小柴胡湯の口訣集

小柴胡湯:半表半裏証・肝鬱胆熱・肝鬱化火・脾虚・痰湿の嘔気・往来寒熱・胸脇苦満:「少陽証の七症」を示す:
柴胡7、黄芩3、半夏5、生姜4、人参3、大棗3、甘草2。

柴胡証の七症(少陽病の七症):往来寒熱・胸脇苦満・口苦・咽乾・目眩・黙黙不欲飲食・心煩喜嘔。一症でもあれば、柴胡剤(小柴胡湯・柴胡桂枝湯・大柴胡湯・柴胡加竜骨牡蠣湯・柴朴湯・柴陥湯・柴胡桂枝乾姜湯など)が使える。

半表半裏証(少陽病):発熱・往来寒熱・胸脇苦満・胸脇部痛・口苦・悪心・嘔吐・咳嗽・咽乾・食少・目眩・舌紅・舌苔薄白・脈弦やや数。

半表半裏証は、表証ではないので発汗法は適用せず、裏証でないので瀉下法も用いられず、半表半裏の邪を和解によって除く和解剤(柴胡剤)を用いる:往来寒熱や悪心・嘔吐などは、表証・裏証とは異なる。

三禁湯:汗・吐・下を禁ずる少陽病の処方として小柴胡湯(柴胡剤)の別名。

半表半裏証には表証が無い:表証:悪風・悪寒・頭痛・鼻閉・鼻汁・身体痛。

半表半裏証には裏証が無い:裏証:口渇(咽乾ではない)・高熱・熱感のみで悪寒がない・大汗・便秘など裏熱の症状。

肝鬱化火:憂鬱感・イライラ・易怒・口苦・胸脇苦満・寝付きが悪い。

脾虚:元気がない・食欲不振・疲れ易い:参苓白朮散・六君子湯・補中益気湯・人参湯・半夏白朮天麻湯・帰脾湯・小建中湯・逍遥散・柴胡加竜骨牡蠣湯・四君子湯・異功散。

脾虚の症状:面蒼白・顔色が悪い、下利、顔がむくむ、脾の運化が弱いので味がしない(六君子湯など)・四肢無力・中気不足で倦怠無力感(補中益気湯など)・息切れ・懶言ランゲン・語声低微・舌質淡で歯痕・舌苔白・脈細軟。

痰湿:悪心・嘔吐・咳嗽・多痰・眩暈・身重・嗜眠。

あらゆる外感病で、何病であれ、柴胡証の七症の一つでも呈したならば、小柴胡湯の適応となる:無汗でも自汗でも可。

小柴胡湯証では三焦水道が阻滞されるので、水湿が定積し、水湿が心を上擾すると動悸が生じ、肺を上犯すると咳が生じる。

小柴胡湯の大棗・生姜・甘草は中焦を振奮しんふんし(ふるいたたせ)衛気を宣発せんぱつ(全身に散布)し、邪が裏に侵入するのを防止する。(カゼをひきにくく体質改善する:補中益気湯も体質改善する)。

小柴胡湯の二味(柴胡と黄芩)の協力により、半表半裏つまり少陽と胆にある邪熱を除去する(足の外側の正側面に足の少陽胆経が走る)。

肝熱による(柴胡と黄芩):眩暈・嘔吐・耳鳴り・メニエル病を治す:小柴胡湯合二陳湯・小柴胡湯合苓桂朮甘湯。

婦人科疾患に血虚をかねる場合には、小柴胡湯や逍遙散や柴胡桂枝湯に血虚を補う四物湯を合方する。
小柴胡湯合四物湯
逍遥散合四物湯
柴胡桂枝湯合四物湯。

拒食症:精神的な抑鬱によって食欲のないもの、神経性不食症・拒食症:半夏瀉心湯・逍遥散・抑肝扶脾散フヒサン・半夏厚朴湯・小柴胡湯・柴朴湯。

拒食症:小柴胡湯:イライラしたり、怒ったりすると、食欲が低下し、悪心嘔吐が起こる。酸水を吐することもある神経性不食証(拒食症)など。

拒食症:胃気消乏し精神憔悴ショウスイし、飲食減少して痩せ、五心常に余熱を有するは、これ虚証に属し、逍遥散、小柴胡湯の加減に宜し。

拒食症:小柴胡湯:食欲不振(人参+大棗+生姜+甘草)拒食症に適応。

喘息に、脾虚を考慮せず半夏厚朴湯などを使うと喘息は悪化しやすいので、小柴胡湯などと合方して使用する:喘息は根底に脾虚がある:柴朴湯(小柴胡湯合半夏厚朴湯)。

咽喉痛:咽喉痛は清熱の銀翹散が適応するが、柴胡証の七大症の往来寒熱 胸脇苦満 口苦 咽乾 目眩黙黙不欲飲食 心煩喜嘔の七症があれば咽喉痛は小柴胡湯または小柴胡湯合桔梗石膏とする。

風熱犯肺証の主症状:咳嗽の頻発、喘急、少量黄痰が喀出困難、鼻塞、発熱、口渇:桑菊飲・銀翹散・麻杏甘石湯。

銀翹散ぎんぎょうさん:辛涼透表・清熱解毒:連翹 金銀花 桔梗 薄荷 竹葉 生甘草 荊芥穂 淡豆鼓 牛蒡子:麻疹に辛涼透疹作用:咽痛が目標・口渇・舌尖紅・高熱。咽喉痛:咽喉痛は清熱の銀翹散が適応するが七症があれば柴胡剤とする。

牛蒡子:ゴボウの種:辛苦寒:疏散風熱・袪痰止咳・清熱解毒。

腹中急痛には、先に小建中湯で肝脾を調理し、虚(腎虚・肝血虚・脾虚)を治す。
もし効果がなければ、小柴胡湯で胆胃を調和して実の症状を治す。

傷寒論にいわく「傷寒にて陽脈渋ようみゃくじゅう、陰脈弦いんみゃくげん、法ほう まさに腹中急痛には、まず小建中湯を与え、癒い えざる者は、小柴胡湯これを主どる。

腹中急痛には、まず小建中湯を与え、癒えざる者は小柴胡湯これを主どる:傷寒論。

小建中湯:胃の陰虚(麦門冬湯も)による「脾虚肝乗の胃痛」の薬:緩急止痛。

脾虚なら、陰虚でも陽虚でも小建中湯を使う。

中耳炎(耳は肝経が通るため)・咽頭炎等:熱状、化膿:小柴胡湯加桔梗石膏。

小柴胡湯:肝胆経腫脹である中耳炎、陰部のしこり(竜胆瀉肝湯も)、バルトリン腺炎、慢性陰嚢湿疹、鼠径部湿疹やしこり、耳下腺炎:おたふくかぜに小柴胡湯。

小児の体質改善には、小建中湯・六君子湯・参苓白朮散・小柴胡湯・真武湯を使うことが多い。

芍薬、膠飴は栄養物質で、舌苔の厚い状態の者の食滞や痰飲にさらなる有余をもたらすため芍薬、膠飴を含む小建中湯を用いることを避ける。

小建中湯:桂枝4 芍薬6 大棗4 生姜4 甘草2 膠飴20g。

頭部の湿疹:小柴胡湯合黄連解毒湯。

黄連解毒湯:黄連1.5・黄芩3・黄柏1.5・山梔子2、はすべて消炎・鎮静・燥湿作用(乾かす作用)がある。炎症や出血・脳の興奮性増大、自律神経興奮、代謝亢進状態(バセドー氏病薬に加える)を治す。

柴胡枳桔湯さいこききつとう:小柴胡湯加桔梗石膏合小陥胸湯:清熱化痰:胸部の熱痰を治すには瓜楼仁3、半夏6、黄連2:小柴胡湯合小陥胸湯合排膿散及湯(枳実3 芍薬3 甘草3 桔梗3 生姜3 大棗6)

小陥胸湯:清熱化痰:胸部の熱痰を治す:瓜楼仁3、半夏6、黄連2g。

小柴胡湯合小陥胸湯は、柴陥湯である。

柴陥湯:和解半表半裏・清熱化痰:胸痛・胸内苦悶・黄痰・舌苔は黄色く厚い:栝楼仁3 半夏5 黄連1.5 柴胡5 黄芩3 人参2 大棗3 生姜3 甘草1.5(肺炎による胸痛や長引いた咳や痰に適す)。

栝楼・栝楼仁:楼仁:楼実:ウリ科シナカラスウリ・キカラスウリの成熟種子:苦寒:肺胃大腸経:清熱化痰・潤肺化痰・利気通便・理気寛中:栝楼薤白半夏湯は気滞血瘀で生じた胸痞に適応:栝楼仁2~6g。

栝楼薤白半夏湯:気滞血瘀による胸痞に:栝楼実3 薤白4 半夏6g 
三味に濁酒40ccに水400ccを加え煮て200ccに煮詰め3回に分服。

腎盂炎で高熱:小柴胡湯合知柏地黄丸。

排膿散及湯:枳実3 芍薬3 甘草3 桔梗3 生姜3 大棗6g。

枳実キジツ:ミカン科:苦辛微寒:破気消積・化痰散痞・理気寛胸:2~3g。

桔梗:宣肺袪痰、排膿消腫、引経上浮:痰を除き、他薬を上部に導く作用がある:蘇葉・白芷・桔梗は寒を散じ、膈塞カクソク(上下不通)して、通じないものを利し、表邪を発散する。

小柴胡湯は往来寒熱、胸脇脹痛、嘔吐不食などの少陽証に設けられ。

174.肋膜炎には、通常、小柴胡湯や柴陥湯を用いる。

柴陥湯さいかんとう:栝楼仁3 半夏5 黄連1.5 柴胡5 黄芩3 人参2g 大棗3 生姜3 甘草1.5。

胸部の熱痰を治すには(小陥胸湯)瓜楼仁3、半夏6、黄連2g。

119、腎出血とフルンケルを十味敗毒湯で完治(癤・癰の初期には葛根湯や十味敗毒湯を使用する。少陽病の七症がでてきたら小柴胡湯):フルンケルと腎出血。十味敗毒湯は経絡のめぐりを促進する。「漢方診療三十年」大塚敬節。

十味敗毒湯:風湿熱:袪風化湿・清熱解毒:防風2.5 荊芥1.5 独活1.5 柴胡2.5 桜皮2.5 桔梗2.5 川芎2.5 茯苓2.5 乾生姜1 甘草1.5 +(連翹):華岡青洲が作ったおできの薬。

桜皮おうひ:バラ科のヤマザクラなどの樹皮:排膿、解毒などの効能があり、湿疹や蕁麻疹・腫れ物などの皮膚病、解熱、魚の中毒、止咳、収斂薬:咳止めに桜皮シロップ。

フルンケル(癤せつ):細菌感染が毛のう周囲から深部に広がると「癤せつ:フルンケル」と呼ばれ、毛のう炎より発赤・痛みが強くなり、約1cm程度の紅斑が認められる:初期は葛根湯や十味敗毒湯、七症が出てきたら小柴胡湯とする。

カルブンケル(癰よう):2つ以上の毛のうに同時に細菌が侵入したものを「癰よう(カルブンケル)」といい、フルンケルより症状が強く、病変が深部に及び、数cm程度に広がる紅色の腫脹が見られます。

小柴胡湯:生理と同時に発熱した時に使う・生理が二日目で止まったり生理中の発熱時に使う(熱入血室)。妊娠していない人の閉経状態には小柴胡湯を服用後2~3日で生理が始まる。

小柴胡湯は妊娠時に服用すると調子が良くなる。

熱入血室:往来寒熱・胸脇苦満・小腹拘急・夜間言語錯乱・意識異常・月経中断或は来経・身重・頭汗。

熱入血室は半表半裏の症状であるので小柴胡湯を使う。

小柴胡湯で、少陽経の邪を除去。

下腹の両側(少腹)の痛みには桂枝茯苓丸、下腹真ん中(小腹)の痛みは小柴胡湯。

小青竜湯は、気管支炎、気管支喘息、喘息性気管支炎ばかりでなく、湿性肋膜炎にも用いる。肋膜炎は小柴胡湯が適用する場合がおおいが、肋膜の水が多くてとれない場合に、小青竜湯でとれることがある。

小青竜湯:寒がりで背中がゾクゾクし・四肢冷・小便不利・溢飲イツインの浮腫・四肢や顔のむくみ・下腹部の腹満・くしゃみ・呼吸困難・泡沫状の白色痰・喘鳴・下痢・嘔気・顔色蒼白。

溢飲:水液が体表に留まり、顔面や四肢などに浮腫の見られる病証。

小青竜湯:無汗・辛温解表・温肺化痰・平喘止咳・利水:
麻黄 乾姜 細辛 五味子 桂枝 白芍 甘草 各3g 半夏6:

「乾姜・細辛・五味子の三薬」の配合は、肺の水飲を温散し止咳平喘の効果がある。

75.乳をのまなくなった乳児(四君子湯・小柴胡湯)「漢方診療三十年」大塚敬節。

76.虚弱児童10歳の少女(小柴胡湯)「漢方診療三十年」大塚敬節。

77.遺伝性梅毒の幼児(小柴胡湯)「漢方診療三十年」大塚敬節。

脇下に痞硬(肝臓が触れる)がある時には、邪気が結集していることを示唆しているので、小柴胡湯中の甘緩カンカンの性質をもった大棗を除き、性質が鹹寒カンカンで軟堅消痞の作用をもつ牡蛎を加える。

牡蛎ぼれい:牡蠣カキの貝殻:鉱物など重い生薬:鹹渋・微寒:肝胆腎経:重鎮安神薬。重鎮安神・平肝潜陽・収斂固渋・軟堅散結(軟堅消痞)・制酸止痛:粉剤1~2g、湯剤5~10g。

小柴胡湯の長期使用には四物湯や六味丸を少量合方する理由は、
共に潤す作用があるため間質性肺炎等を予防する。

三物黄芩湯:金匱要略:「千金(要方)の三物黄芩湯は、婦人草褥ソウジョクに在りて、自ずから発露して風を得、四肢煩熱に苦しむを治す。頭痛するものは小柴胡湯を与う。頭痛まず但煩する者はこの湯を主どる」。

三物黄芩湯:金匱要略:黄芩3 苦参3 干地黄6g:陰虚火旺:手掌・足心の四肢煩熱に苦しむ・アトピーの乾燥・掻痒・紅潮、乾癬、白癬、トリコモナス陰部の掻痒、心煩、不眠、頭痛、ほてり、寝汗。

耳は、肝とも腎とも関係があるので、耳の症状には小柴胡湯を使う。
小柴胡湯合八味丸合六神丸
小柴胡湯合六味丸合六神丸
小柴胡湯合杞菊地黄丸合六神丸
小柴胡湯合滋腎通耳湯合六神丸:
肝腎陰虚なら杞菊地黄丸合六神丸。

六神丸:阿仙薬アセンヤク・麝香ジャコウ・蟾酥センソ・牛黄ゴオウ・竜脳リュウノウ・人参・熊胆ユウタン(以上七味):開竅剤。

肝腎陰虚:肝腎虧損キソン:陰虚内熱の症状を呈し眩暈・頭脹・はっきり物が見えない(目花)、耳鳴・咽乾口燥・五心煩熱・遺精・不眠・腰膝酸疼・舌絳ゼツコウ乾燥・脈弦細無力。

小児の虚弱体質きょじゃくたいしつ。疲れ易く元気がない。

帰耆建中湯:すぐにカゼをひいてしまう(補中益気湯や小柴胡湯・参苓白朮散・真武湯も風邪をひきやすい体質改善し予防する)。

腰まがり:帰耆建中湯・独活寄生湯合小建中湯。

小柴胡湯:よく扁桃腺を腫らすアデノイド増殖症・慢性扁桃炎で喉頭癌ノイローゼでドクターショッピングをするノイローゼ・慢性中耳炎など久病は腎虚薬と共に使う。小柴胡湯合真武湯・小柴胡湯合六味丸。

腹痛・嘔吐をともなう黄疸:小柴胡湯。

黄疸:茵蔯蒿湯・茵蔯五苓散・小柴胡湯合茵蔯蒿湯・大柴胡湯合茵蔯蒿湯・小建中湯・蒿芩清胆湯・秦艽・梔子柏皮湯と茵蔯蒿湯を交互に使う・炙甘草湯・黄連翹赤小豆湯・小柴胡湯。

茵蔯蒿湯は、茵蔯蒿+山梔子を用いて黄疸を治す:清熱利湿・退黄:
茵蔯蒿4 山梔子3 大黄1g。

小建中湯の証は、「小便自利して発黄するという一般的な湿熱黄疸」ではなく、気血虚損による虚黄であり、これには補脾建中の剤の小建中湯を用いるべきである。

下痢や嘔気に発熱・腰痛・倦怠を伴う場合には、平胃散に小柴胡湯を併用する:小柴胡湯合平胃散(柴平湯さいへいとう)。

小柴胡湯は泄瀉(下利)をともなう場合があり、七症を呈している時は、平胃散を合方する:小柴胡湯合平胃散。

柴平湯さいへいとう:小柴胡湯合平胃散:発熱・体痛・腰痛・体沈重・食不振・下利・嘔気:湿邪は粘じで、症状が再発しやすいため一日4回、3~4日続けて服用する:怠いカゼで体痛・腰痛・食少に適応。

小柴胡湯:熱入血室による夜間の言語錯乱(うわごと)や意識の異常。

慢性肝炎に、加味逍遙散加田七は有用。

本来、慢性肝炎には、
食欲不振なら六君子湯
怠ければ補中益気湯
胸脇苦満で心下痞硬なら大柴胡湯や小柴胡湯(長期使用は陰虚に注意)

田七は駆瘀血薬。

桔梗石膏:清熱解毒・袪痰排膿作用があり、
中耳炎・咽頭炎等で熱状や化膿が生じたら小柴胡湯加桔梗石膏とする:

肝胃熱で心下痞硬の蓄膿症には、大柴胡湯合桔梗石膏とする。

気管支喘息・小児喘息の緩解期には、小柴胡湯に半夏厚朴湯と合方する:七症の少なくも一症状を確認:半夏厚朴湯だけでは脾虚に配慮が足らず悪化することがある:柴朴湯。緩解期でないと悪化する。

柴胡証(少陽病)の七症:往来寒熱・胸脇苦満・口苦・咽乾・目眩・黙黙不欲飲食・心煩喜嘔。一症でもあれば、柴胡剤が使える。

腹痛の強い場合には、小柴胡湯に芍薬甘草湯を合方するか、
柴胡桂枝湯とする:小柴胡湯合芍薬甘草湯。

小柴胡湯:咽喉の発赤・腫脹にも、有効である。(よく咽を腫らす人に)慢性扁桃腺炎、小柴胡湯は、咽の一点が痛み少し赤く喉頭癌ノイローゼの人):ドクターショッピングをするノイローゼの人。

柴胡証の七症+咳嗽・呼吸困難:小柴胡湯合麻杏甘石湯。

小柴胡湯:三焦の水道が阻滞され水湿が定積し動悸・咳・小便不利となる。

邪が少陽三焦にあると、「胆は相火の腑」で化火しやすく、少陽病の七症を生じ易く、七症は往来寒熱・胸脇苦満・口苦・咽乾・目眩めまい・黙黙不欲飲食・心煩喜嘔となる。

三焦は(決瀆ケットクの官、水道出づ)陽気と津液の通路で、全身に分布し広汎であるために、邪によって気機が鬱阻されると、少陽三焦経上の全身に多様な病変があらわれる:柴胡剤を用いる。

決瀆けっとくの官:溝を開いて水を通す役人。水利を通ずるの意味。

小柴胡湯証では三焦水道が阻滞され、水津すいしんの膀胱への下輸げゆ(下部の膀胱へ輸送)が阻害されると小便不利(尿量減少)がみられる。

急性に発症する耳鳴り・耳聾は、肝火上炎によるものが多く、大柴胡湯・竜胆瀉肝湯・大柴胡湯合竜胆瀉肝湯・胃弱の人は小柴胡湯合竜胆瀉肝湯、女性は加味逍遙散が多い。

短期間だけ黄連解毒湯で胃火を清する:酒飲みの胃熱の吃逆シャックリに黄連解毒湯。肝胃横逆による吃逆キツギャクに小柴胡湯。

小柴胡湯の一服で脇下痞硬・急性膵炎に劇的に効いた経験がある。服用後嘔吐してたちまち脇下痛で苦しんでいた脇下痞硬がおさまり・急性膵炎のアミラーゼ高値の症状がなくなった。

小柴胡湯合六君子湯(七症があり、脾虚や湿邪が強い時や月経中の帯下:月経中の帯下は六君子湯単独も可)。

急性肝炎・胆嚢炎・急性腎炎に、小柴胡湯。

急性腎炎:越婢加朮湯・小柴胡湯・防風通聖散。

慢性腎炎:参苓白朮散合真武湯・五苓散合参苓白朮散・五苓散合六君子湯・五苓散合真武湯・黄耆・防已黄耆湯・柴朴湯・牛車腎気丸・真武湯・当帰補血湯・六君子湯合十全大補湯・参苓白朮散合十全大補湯・柴苓湯。

腎臓は、漢方では脾に属し、腎臓病は脾虚・脾陽虚・脾腎陽虚を治す:参苓白朮散合真武湯。

脾腎陽虚では、気が血を統摂できずに、大便が固まらず滑脱して膿血便となるのは、高齢者などの虚血性大腸炎として発症することが多い:附子理中湯:脾腎陽虚:疲れていて寿司や刺身・生野菜・ワインを多飲して胃腸を冷やすと腹痛・嘔吐・膿血便を生じる。

補益脾腎・温陽止痛:脾腎陽虚に、附子理中湯・理陰煎加肉桂・白芍。

脾腎陽虚の四肢抽搐:嘔吐・下痢・慢性病などによる消耗で、脾胃の陽気が虚したために、経脈が温煦を受けれなくなって、四肢のけいれんが生ずる。

204.浮腫と呼吸困難の腎炎の5歳の女児(五苓散):「漢方診療三十年」大塚敬節。

五苓散:腎炎、ネフローゼ、膀胱炎、腎盂炎、偏頭痛、急性胃腸炎、糖尿病などに用いるが、脾虚には参苓白朮散・六君子湯、腎虚には真武湯などを合方する。

慢性腎炎の主訴はほとんどが食欲不振・食物の匂いを嫌うで、六君子湯を使う。

急性腎炎:越婢加朮湯・小柴胡湯。

越婢加朮湯は、急性腎炎の浮腫、脚気、リウマチ性紫斑病などに用いる、無汗の風水:麻黄6 石膏8 白朮4 生甘草2 生姜3 大棗3:越婢加朮湯は虚弱者には禁忌で、虚弱者・自汗の浮腫には防已黄耆湯を使う。

小柴胡湯合六君子湯(七症で脾虚や湿邪が強い時・月経中の帯下)。

柴胡桂枝湯:柴胡5 黄芩1 半夏4 生姜1 人参1 大棗2 甘草1.5 桂枝2.5 白芍1(柴胡+黄芩)(柴胡+白芍)で肝胆鬱熱と肝鬱を解消するが黄芩1g・柴胡5gで清熱作用が小柴胡湯より弱いが肝鬱には(柴胡+白芍)で強い。

小柴胡湯:肝鬱胆熱・脾虚・嘔気:柴胡7、黄芩3、半夏5、生姜4、人参3、大棗3、甘草2。

小柴胡湯は頚項のこわばり(胸鎖乳突筋痛)・肩こり・側頭部の頭痛(胆経頭痛)・脇腹の痛み(胸脇苦満・心下痞硬)などに応用する。

小柴胡湯は、肝胆の熱を清し、肝気鬱結を疏泄そせつし柴胡・黄芩は疏泄によって各種の結石を排出し、イライラを軽減する。胆石・泌尿器結石・唾石を治す。

小柴胡湯は婦人科疾患にも応用される。月経不順、月経前症候群などである:血虚は四物湯を合方する(逍遥散・逍遥散合四物湯も適合)。

大柴胡湯:頸部の腫脹:下顎拍動部前の大迎だいげい~人迎~欠盆:こぶとりじいさんのコブ:小柴胡湯も下顎部・腋下・鼠径部などのリンパ腺の腫れに適応。

中耳炎・耳下腺炎おたふくかぜ:小柴胡湯・小柴胡湯合桔梗石膏・柴胡桂枝湯・柴胡桂枝湯合桔梗石膏。

小柴胡湯より柴胡桂枝湯の方が、(桂枝+芍薬)が入っているので営衛を調和し和解する作用が強く小柴胡湯よりストレスに強く効く。

小柴胡湯は月経が遅れる生理不順に効く:小柴胡湯合四物湯。

感冒・インフルエンザ・急性気管支炎(小柴胡湯)。

慢性腎炎:小柴胡湯合五苓散、つまり柴苓湯。

柴胡桂枝湯:少陽病では、胆経にそった部位に、発赤・腫脹・疼痛などが生じることがある。小柴胡湯と同様だが、柴胡桂枝湯は胃虚が強い。

小柴胡湯:肝経は陰部をまとっているので外陰部の腫脹などに適応する。肝経湿熱の陰部の腫脹には竜胆瀉肝湯。

小柴胡湯の肝気鬱結が強い場合には香蘇散を合方:月経困難症で気鬱が強い時:
小柴胡湯合香蘇散:柴蘇飲さいそいん:柴蘇飲はカゼ後の耳鳴りにも適応。

慢性中耳炎など久病は腎虚薬と共に:小柴胡湯合六味丸・小柴胡湯合八味丸・小柴胡湯合真武湯とする。

小柴胡湯:清熱透表:麻疹はしかなどで発疹が出ない時、透表し解熱に使う。

升麻葛根湯:透表解肌とうひょうげき:透表解肌とは軽度の発汗作用をもたらして透疹する:初期の麻疹・風疹):解肌透疹:

升麻1 葛根5 白芍3 生甘草2:透疹が十分でなく鮮紅色を呈するものに適応(ツムラ升麻葛根湯エキス顆粒)。

少陽病(小柴胡湯)は、軽い興奮状態であまり寝られなくてウトウトする程度だが、少陰病(真武湯)では地面に吸い込まれるような脱力感でただひたすら眠い。

小柴胡湯は柴胡で三焦の邪を散じ、黄芩で清することにより袪邪きょじゃする。

しょっちゅう風邪をひいて熱を出したり、中耳炎などの発赤・腫脹を繰り返すものの、体質改善に柴胡桂枝湯を使用する。(小柴胡湯も適応する)。

小柴胡湯の生姜・大棗は、営衛を調和する。

営衛:営気と衛気のこと。両者は同一起原で水穀の精微から生ずる。
営は脈中をめぐり全身を栄養し、衛は脈外をめぐり身体を防衛し、
営衛は機能面を表し、気血は物質の基礎面を表す。

(小柴胡湯)肝胆熱証では、熱が陰気を損傷し、肝血・肝陰の不足を招きやすいので肝炎に柴胡剤を長期に使うと間質性肺炎になる。

耳の症状には小柴胡湯を使うが、長期の症状には肝と腎虚の薬を併用する必要がある。肝腎陰虚なら杞菊地黄丸。小柴胡湯合八味丸・小柴胡湯合六味丸・小柴胡湯合杞菊地黄丸・小柴胡湯合滋腎通耳湯合杞菊地黄丸。

肝腎陰虚:肝腎虧損:陰虚内熱の症状を呈し眩暈・頭脹・はっきり物が見えない、耳鳴・難聴・咽乾口燥・五心煩熱・遺精・不眠・腰膝酸疼・舌絳乾燥・脈弦細無力。

耳の閉塞感に小柴胡湯合香蘇散。

香蘇散:理気和胃・理気解表 :香附子4、紫蘇葉1、陳皮2、甘草1、生姜3g。

心下支結:胃脘部に自覚的に物がつかえて煩悶して すっきりしないこと。これは少陽病の胸脇苦満の軽症である。小柴胡湯が効果あり:柴朴湯もよい。

冷え症の肝鬱には逍遙散。

胃気虚のため、小柴胡湯では食欲がなく、悪心嘔吐(半夏・生姜で対応)が生じやすく体がだるく疲れ易い(人参・大棗・生姜・甘草で対応)。

胸脇苦満を応用し、小柴胡湯は胸がはる・脇がはる・胸が痛い・脇が痛いなどを主訴とする、さまざまな胸脇苦満・の疾患に適応する。

小柴胡湯の主薬は少陽の専薬である柴胡で、軽清昇散けいせいしょうさんにより少陽の気機を通達し疏邪外透そじゃがいとうする。

小柴胡湯:足の付け根のしこり・鼠径部リンパ腺炎(肝経は陰部をまとっているため)。

小柴胡湯:和胃止嘔:カゼ時嘔吐・イライラの嘔気に小柴胡湯を使う)

少陽枢機が阻滞されるので身体が重く・だるい(小柴胡湯)。

小柴胡湯は慢性的に発熱を反復する疾患に、応用される。小児などでは、風邪をひきやすくしきりに熱を出す者がいるが小柴胡湯が適応となる。

腹痛・嘔吐をともなう黄疸(七症を確認する)に小柴胡湯は適応する。

発熱などの症状が解消し、いったん治癒したかに見えた後に、さらに発熱することがある。このような場合にも、小柴胡湯を使用する。

中耳炎・咽頭炎等:熱状、化膿:小柴胡湯加桔梗石膏:ストレスで肝胆経に鬱滞が生じて熱を生じ、熱状や化膿となる。

月経期間中に、外感病(カゼ)にかかることがある。「熱入血室ねつにゅうけっしつ」とよばれ、往来寒熱等の熱型を現す。小柴胡湯の適応である。

熱入血室の症状に小柴胡湯:往来寒熱・胸脇苦満・小腹拘急痛・夜間言語錯乱・意識異常・月経中断または来潮・身重・頭汗。

子供は遠出や疲れると、お腹が絞られるような痛みが生じ易い。子供は疲れて陰虚になって水気不足で咽が渇き・「咽が渇いてお腹が痛い・足が痛い」となれば小建中湯を使う(腎陰虚・脾虚・肝血虚)。

八味丸は食欲が無い脾虚の人は地黄がもたれ悪心となり使えない。脾虚の薬の六君子湯等を合方するか、小建中湯とする。

柴胡桂枝湯:少陽病をかねているので(七症)心下部がつかえ(軽い胸脇苦満)、悪心嘔吐し、食欲が減退する。口は苦く粘る。少陽病の七症

体のだるさは胃腸の疲れのあらわれである:小柴胡湯の人参・大棗・生姜・甘草で対応する。

慢性腎炎(小柴胡湯合五苓散が効く)は、五苓散だけでは治らない・悪化しやすい。

生理が来ない人で妊娠していない場合は小柴胡湯を服薬後2=3日で生理が始まる。

耳内が発赤腫脹する中耳炎・外耳炎の初期:葛根湯または+桔梗石膏(清熱解毒・袪痰排膿)慢性的な中耳炎、中耳炎を繰り返す場合は、小柴胡湯。

半夏厚朴湯は、慢性気管支炎などの慢性咳嗽にも有効である。とくに、神経性咳嗽には有効である。その際は、やはり半夏厚朴湯に補正がないことから、小柴胡湯・六君子湯・苓桂朮甘湯などの併用が必要。
半夏厚朴湯合小柴胡湯(柴朴湯)
半夏厚朴湯合六君子湯
半夏厚朴湯合苓桂朮甘湯。

カゼ後、耳の閉塞感から耳鳴りが生ずる場合もある。
その場合は、小柴胡湯合香蘇散(柴蘇飲さいそさん)が適応する。

耳は肝と関係があるため小柴胡湯を使う。