悪心が続く治療法

2025/4/18〜19

悪心が続く

 悪心とは嘔気ともいう。

胃寒の悪心(寒湿症状・胃陽虚)・・附子理中湯・呉茱萸湯。
悪心とともに時に胃痛があり、またよだれや唾液がでて、暖めると軽減し、冷やすと悪化する。食欲不振・泥状便・疲労感・舌淡・脈弱。
原因:冷え症で胃が冷えているか、冷たい物を急激に摂取して胃が冷えて生ずる。

附子人参湯・附子理中湯:回陽救逆・温中散寒・補気健脾:附子1 人参3 白朮3 乾姜2〜3 甘草3):四逆湯に近い処方で心不全や虚脱のショックにつかえる。

呉茱萸湯:散寒止嘔・温胃止痛・健脾益気:頭痛・胃痛に:呉茱萸3、人参2、生姜4、大棗4g。胃虚寒の胃痛・嘔吐・吃逆(胃気上逆)、寒飲上逆の巓頂部の頭痛。

胃熱の悪心・・大柴胡湯・承気湯(裏熱内盛)・竹葉石膏湯(暑熱入裏)。
悪心・胸焼け・逆流性食道炎・口臭・尿黄・便秘・舌苔黄・脈弦または滑。
原因:味の濃い物脂っこい物を多食して胃熱が生じたり、暑熱を感受して胃熱を生じて胃気が上逆して悪心となる。

大柴胡湯:肝火上炎・肝気鬱結・胃実熱・心下痞硬(上腹部の脹り・苦満):柴胡6 黄芩3 白芍3 半夏4 生姜4 大棗3 枳実2 大黄1g。


胃陰虚の悪心・・麦門冬湯・益胃湯合橘皮竹筎湯・沙参麦門冬湯。悪心・時に強い嘔吐・口渇があり、水分を欲する。飲むとすぐ吐く。食べられない。息切れ・倦怠感・舌紅・苔少・脈細数。
原因:激しい嘔吐の後、熱病後、大手術後など胃の栄養不足で悪心が発生する。

麦門冬湯:滋陰益気・補益肺胃(胃陰虚・肺陰虚に適応)・降気:麦門冬10 人参2 製半夏5 炙甘草2 粳米こうべい5 大棗3:口乾の吃逆に一服で効く:消渇病で多食善飢だが体重減少がある陰虚につかう。

肝胃不和(内傷七情)の悪心・・柴平湯(肝気鬱滞)・柴胡疏肝散合二陳湯。
悪心・嘔吐・胸苦しい・脇痛・口苦・咽乾・食欲不振・月経不順・舌苔薄黄・脈弦細。
原因:ストレスで肝気が鬱滞し肝胃横逆で悪心が生ずる。

柴平湯さいへいとう:小柴胡湯合平胃散:発熱・体痛・腰痛・体沈重・食不振・下利・嘔気:湿邪は粘じで、症状が再発しやすいため一日4回、3〜4日続けて服用する:怠いカゼで体痛・腰痛が生じ、食少に適応。

傷食の悪心・・加味平胃散(消食導滞)・枳実導滞丸
悪心・吐き気・腐臭のあるゲップ・逆流性食道炎・食臭を嫌う・上腹部の膨満感・食欲不振・舌や脈は正常。
原因:暴飲暴食で胃の機能が失調して胃気が下らず上逆して悪心を生ずる。

加味平胃散:蒼朮3.2 厚朴2.4 陳皮2.4 甘草0.8 生姜0.8 大棗1.6 神曲1.6 麦芽1.6 山楂子1.6g。

「丹渓心法」朱丹渓 明 1481年
悪心には痰あり熱あり虚あり。

妊娠嘔吐:生姜瀉心湯・小半夏加茯苓湯・香砂六君子湯。
理中湯加半夏厚朴湯、二陳湯加生姜汁・黄連・黄芩。

生姜瀉心湯:傷寒論:半夏瀉心湯に乾姜1gを減じ生姜2gを加える:
半夏5 黄芩2.5 人参2.5 甘草2.5 大棗2.5 黄連1 乾姜1.5 生姜2。

小半夏加茯苓湯:和胃降逆・化痰利水:半夏6 生姜6 茯苓5g:痰飲の胃気上逆に適し、陰虚には燥性が強く不適なため、妊娠嘔吐には頓服で使い傷陰を防ぐ。

理中湯(人参湯):人参3 乾姜3 白朮3 甘草3。

半夏厚朴湯:理気化痰:化痰の半夏が主薬:半夏6 厚朴3 茯苓5 生姜4 紫蘇葉2:肝鬱痰飲の薬:竄痛ざんつう の薬。