2025/4/21~23
天王補心丹の口訣集
天王補心丹:心腎陰虚(心腎不交):酸棗仁10 生地黄20 柏子仁10 麦門冬10 五味子10 当帰6 遠志5 丹参5 玄参5 桔梗5g 粉末を蜜丸とし朱砂をまぶし、1回2gずつ服用。
心腎不交の症状:心陰虚の一種:焦躁感・不安感・睡眠時不安・不眠・動悸・手足の火照り・口乾・顔面紅潮・のぼせ・夢精・鬼交・逍遙上逆、頭暈、神経疲労・耳鳴・難聴・目花・小便黄赤で量少・排尿時に熱感。
更年期障害:五十歳前後で腎虚のため、月経が閉止するが、閉止前後に腎虚によって不安感が出る人が多いが、この不安感は「心腎不交」という症状の一つである。心腎不交で手足や顔が火照る人には天王補心丹をつかう。
朱砂シュサ・辰砂シンシャ:心に入って清心安神し、磁石じせきと共同して重鎮安神して浮陽を摂納し、腎陰を補い、心腎を相交させて心陽が下通し腎精が上承できるようにして心腎不交を治す。
酸棗仁さんそうにん:クロウメモドキ科サネブトナツメの成熟種子の乾燥:養肝・寧心・安神・斂汗:帰脾湯・酸棗仁湯。
柏子仁は心血虚の不眠。酸棗仁は肝陽上亢の不眠。
麦門冬には脈を生じる作用がある。
五味子:酸温:肺心腎経:斂肺止咳・生津・斂汗・滋腎渋精・渋腸止瀉。肺気を収斂し咳嗽を止め津液を生じ多汗を収斂する。肺気陰両虚を治す。滋腎渋精は遺精・遺尿・頻尿を治し、渋腸止瀉は久瀉を治す。
遠志:ヒメハギ科イトヒメハギの根:安神・袪痰・消癰しょうよう。
丹参:シソ科タンジンの根:苦微寒:心・心包経:活血袪瘀・涼血・養血安神:冠血管拡張・鎮静・精神安定・鎮痛・肝不全の疼痛・神経衰弱・動悸・不眠・煩躁・不安など心血虚:天王補心丹:2~5g~10~20g
玄参4gげんじん:肺胃腎経:ゴマノハグサ科玄参の根:涼血解毒・降火滋陰・滋陰清熱・瀉火解毒(滋腎陰薬の薬):涼血・滋陰・解毒作用の要薬。皮膚・頭頸部に働く。冷やし潤す:3~4g、6~10g、10~30g。
天麻・川芎・桔梗は、薬全体を首から上にもっていく引経作用がある。
心腎陰虚の天王補心丹では 逍遙上逆はのぼせでほてるだけので、陰虚(水気不足)のため、冷や汗をかかないが、加味逍遙散や逍遙散は往来寒熱(発熱と悪寒が交互に出る)のため発汗後は、冷や汗で冷える。
更年期症状で逍遙上逆には、加味逍遙散や天王補心丹である。
加味逍遙散では、カーッとのぼせた後に冷や汗でゾクゾクする往来寒熱の症状がある。
天王補心丹は手足の火照りや顔のぼせだけでゾクゾクの悪寒は無い。
心腎不交は、心陽偏亢・心腎陰虚の一種。
心腎不交は、心陽偏亢・心腎陰虚の一種:心気が不足して小腸の伝送が度を失い尿が自然に出る(遺尿):心腎不交(桑螵蛸散・天王補心丹・黄連阿膠湯・桂枝加竜骨牡蠣湯・柴胡加竜骨牡蠣湯)。
朝から何回ものぼせて熱くなる人は、心の症状か虚熱か肝鬱である。
心の症状の心腎陰虚なら天王補心丹であり、
虚熱(腎陰虚)なら六味丸加減方か知柏地黄丸(心の症状が無い)。
肝鬱で冷や汗がでるなら加味逍遙散。
六味丸加減方:杞菊地黄丸・知柏地黄丸・味麦地黄丸・都気丸ときがん(既製品は無い:六地黄丸+五味子:滋補肝腎・斂肺平喘など)。
大柴胡湯や竜胆瀉肝湯:イライラして落ち着きが無く(急躁易怒)、肝火のある者の胃痛などに使う。大柴胡湯の心下痞硬は胃熱のため生ずる。易怒や肝鬱が続くと不安感が生じてくるので天王補心丹となる。
体全体を潤す作用の生脈散(普段は発汗過多は無い)が効かないタイプは、普段から汗っかきの人で、そのような人には防已黄耆湯や天王補心丹を使う。
生脈散:脈弱・脈結代(不整脈)の動悸・息切れ、倦怠感、言語低微、不安感・恐怖感・虚煩、不眠、多夢、多汗、汗をかきやすい、寝汗、四肢のほてり、口乾、面白・顴紅、舌紅や舌尖紅、舌苔少・光剥、脈細数
防已黄耆湯:金匱要略:木防巳4 黄耆4 白朮2 生姜3 大棗2g。
防已黄耆湯は、ちまたの解説本には「色白で汗っかき」と書かれているが体形パターンで使い分けをしないことが大切:防已黄耆湯は動くと発汗する場合で、生脈散は、動かなくても発汗過多。
進行性でない痴呆症であれば予防や治療に天王補心丹がつかえる:健忘・見当識障碍・幻影・幻覚・恐怖感・物盗られ妄想・パニック障碍。
抑肝散加陳皮半夏:電車の中で心悸亢進(パニック障碍)や脳貧血を起すことが恐ろしく、同伴者がなければ外出できない。「漢方診療三十年」大塚敬節
柴胡加竜骨牡蠣湯:自律神経失調症・神経症・心臓神経症・パニック障碍・発作性頻脈・高血圧症・甲状腺機能亢進症・不眠症で心肝火旺・脾気虚・痰湿を呈するものに適応。
パニック障碍:天王補心丹・抑肝散加陳皮半夏・柴胡加竜骨牡蠣湯。
心腎陰虚の天王補心丹は心身の疲労状態に使える: 疲れると落ち着かなくなる状態を改善する。
のぼせ(虚熱)だけで冷や汗がない時(陰虚)には天王補心丹(心腎陰虚)を使う。
心腎陰虚(天王補心丹)は、疲労や慢性病などが原因の水気不足による虚熱発生の状態。心を遣いすぎて生じた心陰虚は心腎陰虚(天王補心丹)になりやすい:仕事や勉強に集中して疲れると易驚となりやすい。
天王補心丹:心腎両虚という腎虚によって不安感が出てくる人にを使う:年寄りの物とられ妄想・怖がりとなる・泥棒妄想による心配や不眠などに効果がある。
天王補心丹(心腎陰虚)と同じくらいの頻度で不安感に帰脾湯(心脾両虚・気血不足)をよく使うが帰脾湯は脾虚が顕著である。
心陰虚の症状とは、陰虚の虚熱による興奮症状から不眠・動悸・頻脈・多夢・甲状腺機能亢進症・自律神経失調症となり、消耗状態から健忘(緩やかな認知症に天王補心丹)・見当識障害が生じる。
月経に関係する衝任の脈に異常が出てくると腎気不足になり、衝任は心とも関係があるため、心腎の異常がでてくる(天王補心丹:心腎陰虚)。
月経時のイライラ:逍遥散合当帰芍薬散・柴胡桂枝湯合当帰芍薬散。
天王補心丹:心陰虚(心腎不交も心陰虚も心腎陰虚の一種)では、動悸・のぼせて面紅、疲れると症状悪化し、疲れやすく、顴紅、手足の火照り・・が適用に絶対に必要な症状(肝腎陰虚に似た症状)。
肝腎陰虚:肝腎虧損:陰虚内熱の症状を呈し、眩暈・頭脹・はっきり物が見えない、耳鳴・咽乾口燥・五心煩熱・遺精・不眠・腰膝酸疼・舌絳乾燥・脈弦細無力:杞菊地黄丸。
補血の方剤:四物湯・天王補心丹・不安感がある時は帰脾湯・十全大補湯・人参養栄湯。。
人参養栄湯:和剤局方:気血双補・安神(人参と茯苓と遠志)・袪寒(桂枝)・止咳(人参と五味子と地黄)・腎虚(桂枝・地黄)・脾虚(人参 白朮 茯苓 甘草)・血虚(当帰 芍薬 地黄)。
人参養栄湯:和剤局方:気血双補・安神・袪寒・止咳・腎虚・血虚:黄耆2 桂枝2.5 人参3 白朮4 茯苓4 甘草1 当帰4 芍薬2 地黄4 遠志2 陳皮2 五味子1g。(川芎は無い)。
イライラの状態では加味逍遙散・柴胡桂枝湯や抑肝散が適応するが、長引くと心血の栄養不足になりその症状には帰脾湯(心脾両虚・脾虚の顕著な気血両虚)や天王補心丹(陰虚症状の明らかな心腎陰虚)を使う。
「手足のほてり」「口乾」「顔がのぼせる」の三つの症状が同時にある場合は陰虚である。
585:陰虚と痰:陰虚は不眠の傾向で焦躁感やイライラし易く疲れると陰虚症状が悪化し不眠が強まる。飲酒などで眠れれば陰虚はよくなるが、飲酒や睡眠薬では痰が生じ、痰と陰虚が酷くなると必ず中風になる。
イライラの処方:加味逍遙散・逍遥散・柴胡桂枝湯・小柴胡湯・逍遙散合当帰芍薬散・柴胡桂枝湯合当帰芍薬散:竜胆瀉肝湯・大柴胡湯・三黄瀉心湯・杞菊地黄丸・酸棗仁湯・柴胡加竜骨牡蠣湯・温清飲。
養血安神薬 : 遠志・酸棗仁・丹参・竜眼肉・茯神・朱砂・磁石・夜交藤:帰脾湯・酸棗仁湯・天王補心丹・人参養栄湯。
出血で動悸・不眠など心神不寧には:遠志・酸棗仁・丹参・竜眼肉・茯神・朱砂・磁石・夜交藤などの養血安神薬(帰脾湯・酸棗仁湯・天王補心丹・人参養栄湯・独参湯)などを配合する。
健忘症は男より女の方が多く、月経が終わった途端に物忘れが多くなる。しかし、しばらくすると回復するが、このとき腎虚を天王補心丹などで補えば早く回復することになる。
発熱と冷や汗は、往来寒熱の症状であり、悪寒と発熱が交互に出てくる症状は、心腎陰虚の天王補心丹の症状ではなく、肝胆に関連する症状で加味逍遙散の適応。本来、加味逍遙散の証は潮熱であるが往来寒熱もある。
心腎両虚という腎虚によって、不安感が出てくる人には、天王補心丹(心腎陰虚の薬)を使う。
不安感:帰脾湯・天王補心丹・桂枝加龍骨牡蠣湯・柴胡加竜骨牡蠣湯・苓桂朮甘湯・苓桂甘棗湯・半夏厚朴湯・半夏瀉心湯・温清飲・酸棗仁湯・三黄瀉心湯・黄連阿膠湯・十全大補湯・抑肝散加陳皮半夏・生脈散。
生脈散が効かない人は普段から汗っかきの人で、それには防已黄耆湯や天王補心丹を使う。生脈散は体を動かして汗が出た人に効くのであって、普段からダラダラ汗がでる人には効かない。生脈散は夏バテには効く。
生脈散:脈弱・脈結代の動悸・息切れ・夏バテ・倦怠感・不安感・恐怖感・虚煩、不眠、多夢、多汗、汗をかきやすい、寝汗、四肢のほてり、口乾、面白・顴紅、舌紅や舌尖紅、舌苔少苔光剥、脈細数。
天王補心丸 720丸 ¥7480
心腎不交:桑螵蛸散・天王補心丹・黄連阿膠湯・桂枝加竜骨牡蠣湯・柴胡加竜骨牡蠣湯。
黄連阿膠湯:黄連3 黄芩2 白芍3 阿膠3 鶏子黄1個:動悸・胸悶し煩躁・熱感やのぼせで不眠・各種出血:鼻衄・不眠症・かさかさ皮膚炎・皮膚の痒み:心腎不交:胸悶し居ても立ってもいられない状態。