寒帯肝脈の口訣集

2025/6/28~29

寒帯肝脈の口訣集

冷えが原因で汗が出ない人は「寒滞肝脈」といい、肝臓の経絡に冷えが入っているためで、しもやけなどに使う当帰四逆加呉茱萸生姜湯合逍遥散を使うが、もともと汗をかきにくい人である。

寒滞肝脈には、当帰四逆加呉茱萸生姜湯・苓姜朮甘湯を使い、食少では人参湯、下利は真武湯を使う。いずれも逍遥散を合方する。

人参湯(理中湯):金匱要略:温中散寒・補気健脾:脾陽虚・胸痞:

人参3 乾姜3 白朮3 甘草3。逍遥散を合方する。

白朮:キク科オオバナオケラの根茎:甘微苦:温微香:補脾益気・燥湿利水:健胃・利尿・鎮静:風湿のリウマチなどの関節痛に用いる。蒼朮は辛烈・燥散の作用が強く補益力は弱い。白朮は補益力があり、健脾に適す

真武湯:回陽救逆・温陽利水:附子1 茯苓5 白朮3 白芍3 生姜3g。逍遥散を合方する。

白芍:苦酸・微寒:肝脾経:補血斂陰、柔肝(鎮静)止痛じゅうかんしつう、平肝斂陰:補血養陰・鎮静止痛には白芍を、涼血逐瘀・活血袪瘀には赤芍を使う。

赤芍は血の不足を補い停滞を活血し、白芍は陰の不足を補い急を緩める区別がある:赤芍は芍薬の根の皮を剥がさない品で白芍は剥がしてある。

寒湿の足痛の治法は、温経散寒・袪湿し活血通脈する:

当帰四逆加呉茱萸生姜湯:温経散寒・養血通脈、腹痛・嘔吐の強いもの:呉茱萸2 生姜4 当帰3 桂枝3 白芍3 細辛2 炙甘草2 木通3 大棗1g。逍遥散を合方する。

呉茱萸ごしゅゆ:ミカン科呉茱萸の成熟果実:辛・苦:大熱・小毒:温中散寒・散寒止痛(胃痛・頭痛)・下気止痛・止嘔:寒が中焦に凝集した症状に適応。

肝経の寒証(寒帯肝脈)による疼痛の場合には、

経絡を温める当帰四逆加呉茱萸生姜湯・呉茱萸湯などが適応する。逍遥散を合方する。

呉茱萸湯:散寒止嘔・温胃止痛・健脾益気:頭痛・胃痛に:呉茱萸3、人参2、生姜4、大棗4g。胃虚寒の胃痛・嘔吐・吃逆(胃気上逆)、寒飲上逆の巓頂部の頭痛。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯(温経散寒・養血通脈:寒帯肝脈)は、しもやけにやレイノー症状にもよく使う。証は「寒帯肝脈の冷えのため全体的に引き締まっていて」お腹の筋肉も締まり、カゼもあまりひかない・汗もあまりかかない。

「寒滞肝脈」は肝臓の経絡に冷えが侵入。対策は当帰四逆加呉茱萸生姜湯だが、肝の疏泄を促す逍遥散などの合方が必要。

寒帯肝脈:当帰四逆加呉茱萸生姜湯合逍遙散。

冷えて汗が出ない人は「寒滞肝脈」で肝臓の経絡に冷えが侵入している。対策は当帰四逆加呉茱萸生姜湯だが、肝の疏泄を促す逍遥散などの合方が必要。もともと汗をかきにくい人の処方である。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯合逍遙散。

寒滞肝脈の処方:天台烏薬散:理気・散寒止痛:寒疝・寒滞肝脈:

烏薬4 木香3 青皮2 高良姜3 檳榔子2 川楝子2(巴豆ハズと炒したのち巴豆をのぞく):鼠径ヘルニヤ(脱腸)・陰嚢水腫・副睾丸炎。

烏薬:クスノキ科テンダイウヤクの根:辛温:行気止痛・散寒温腎。

高良姜:辛・熱:ショウガ科良姜の根茎:散寒止痛:上腹部の寒痛:刺激性が強く鎮痛作用が強い、乾姜と似ている。

檳榔子びんろうじ・大腹子だいふくし・尖檳せんびん:シュロ科ビンロウジュの成熟種子:辛苦温:胃・大腸経:殺虫・消積・利気・健胃・行気導滞・利気逐水。

寒滞肝脈の人の特徴1-3:風邪はあまりひかないし肝の昂ぶりがあるので疲労感も言わないがガリガリに痩せていて「ミイラの様な手足」である。ひどい冷え症でいくら食べても太れないと言う。生理痛はひどい。

寒滞肝脈の人の特徴2-3:冷えるとお腹の激痛が起こり内臓が下に引っ張られる疝痛(当帰四逆加呉茱萸生姜湯)で腰痛(苓姜朮甘湯)の場合もある。顔は青味を帯び面色不華だが冷え症ではないという。

寒滞肝脈の人の特徴3-3:手より下半身の方が冷え、全身の倦怠感で、小便は量多。面色萎黄で、温めても温まらないで冷え易く体が怠い:苓姜朮甘湯を使い、食少では人参湯、下利は真武湯を使う。

「寒滞肝脈」には苓姜朮甘湯を使い、食少では人参湯、下利は真武湯、四肢痛や疝痛には当帰四逆加呉茱萸生姜湯:呉茱萸2 生姜4+当帰四逆湯:温経散寒・養血通脈、腹痛(疝痛)・四肢痛・嘔吐の強いもの。

苓姜朮甘湯:袪湿散寒・止痛:寒湿の腰痛:

茯苓6 乾姜3 白朮3 甘草2g。

温経湯の証は、衝任虚寒・下焦虚寒で瘀血阻滞の病理である:金匱要略:月経不調・逾期不至(閉経)・小腹冷痛・唇口乾燥(陰虚火旺)・手心煩熱(陰虚火旺)・久しく不孕フヨウ(不妊)。

温経湯:金匱要略:温経補虚、活血行瘀法:呉茱萸3 桂枝3 当帰4 白芍6 川芎3 丹皮2 人参3 甘草2 阿膠珠4 麦門冬3 半夏4 生姜3g:温補の作用は和剤局方の温経湯より強い:下焦虚寒・血行不利。

寒帯肝脈:顔色はよくないがリンゴ頬になる人もいる。霜焼けの一種である。「赤くめだった毛細血管が頬に凝縮」しているが、これは頬の表面の冷えを当帰四逆加呉茱萸生姜湯でとれば簡単に治る。

寒帯肝脈:温めても温まらない手足冷、ひどくなると四肢末端がレイノー症状で白色に変化し霜焼けとなる。実証であり胸腹が特に痛くなり(胸脇苦満)激痛もあり、子宮や膣の下墜感・腰痛も有り実証で拒按である。

「寒帯肝脈」で肝臓が冷えていると、疏泄の働きが悪くなり、汗がうまく出ないし小便もうまく出ない:当帰四逆加呉茱萸生姜湯に逍遥散を合方する。

実寒の婦人科疾患:寒帯肝脈と同じ原因なので当帰四逆加呉茱萸生姜湯を使う。月経色は暗黒色でべたつき血塊になり下腹部が冷痛するが実証なので拒按である。喜暖であり月経停止か、子宮筋腫ができやすい。

疝痛:瘀血や肝の昂ぶり(ストレス)や肝経の冷え(寒滞肝脈)で疝が生じ腹痛して排便できず、腹痛に苦しむ。

寒滞肝脈:寒邪が肝脈に滞り、寒が極まれば熱を生じ炎症となり、睾丸炎・副睾丸炎や疝気センキがみられる)。

疝気せんき:疝せん:水気や瘀血による痛み:腹の痛む病気:発病は肝経と密接な関係があり「諸疝 皆肝に属す」と言われる。瘀血の刺痛なら桂枝茯苓丸、肝鬱脹痛なら加味逍遙散。

「寒滞肝脈」では外が暑いにもかかわらず汗をかかない人で、肝臓が冷えており、肝の疏泄の働きが悪く(逍遥散などを合方)、汗や小便がうまく出ていかないので、昼間の小水が1~2回の女性が多い。

寒帯肝脈:特徴は、手より下半身が冷えて重だるく全身の倦怠感がある。小便は量が多い。ストレスによる冷えは温めて余り温まらない、少し温まってもすぐ冷えて怠くなる:苓姜朮甘湯を使う。

寒帯肝脈:温めてもまったく温まらない手足冷、ひどくなると四肢末端が白色に変化し霜焼けとなる。実証であり胸腹が特に痛くなり激痛もあり、子宮や膣の下墜感がある・腰痛の人もいて拒按である。

人参湯:温中散寒・補気健脾:脾陽虚:人参3 白朮3 乾姜3 甘草3:寒滞肝脈の症状で食欲不振に使う。

真武湯:回陽救逆・温陽利水:寒湿の腹痛・登校時腹痛や下痢の子供:附子1 茯苓5 白朮3 白芍3 生姜3:寒滞肝脈の症状の人で冷え症で下利を訴える人。

実寒証の婦人科疾患:寒帯肝脈と同じ原因なので当帰四逆加呉茱萸生姜湯・大建中湯を使う。月経色は暗黒色でべたつき血塊になり下腹部が冷痛するが実証で拒按である。喜暖で月経停止か子宮筋腫ができやすい。

大建中湯:温中散寒・解痙止痛・補気健脾・殺虫・結石痛:蜀椒2 乾姜4 人参3 膠飴20:寒実証(実寒証)で、冷えが体に侵入した状態になると腸がモコモコ動いたりブチブチと音をたてて動く。小建中湯。

小建中湯:桂枝4 芍薬6 大棗4 生姜4 甘草2 膠飴20:老人や子供に多い便秘で、「疲れて(腎陰虚)・咽が渇いて(陰虚)・お腹が痛い(脾虚肝乗)・足の筋が痛い(肝鬱血虚)」の便秘に用いる。

小建中湯は脾胃の陰陽両虚「腎虚・肝血虚・脾虚」に使う。

つまり脾と胃の陰陽がどちらも不足した状態に使われる。

3.胃陰虚の悪心・・麦門冬湯・益胃湯合橘皮竹筎湯・沙参麦冬湯。悪心・時に強い嘔吐・口渇があり、水分を欲する。飲むとすぐ吐く。食べられない。息切れ・倦怠感・舌紅・苔少・脈細数。

苓姜朮甘湯:別名は腎著湯じんちゃくとう:袪湿散寒・止痛:寒湿の腰痛:茯苓6 乾姜3 白朮3 甘草2:冷えは下半身にある:人参は無く、茯苓は小便を出して腰や下半身を温める。

瘀血やストレスや冷えによる腹痛は疝痛という。

疝痛:瘀血や肝の昂ぶり(ストレス)や肝経の冷え(寒滞肝脈)で疝が生じ腹痛して排便できず、腹痛・睾丸腫痛に苦しむ;

当帰四逆加呉茱萸生姜湯合半夏白朮天麻湯・当帰四逆加呉茱萸生姜湯合加味逍遥散。

半夏白朮天麻湯:化痰熄風・補気健脾・利水消食:製半夏3 天麻2 白朮3 人参2 黄耆2 茯苓3 沢瀉2 蒼朮3 陳皮3 神麹2 麦芽2 黄柏1 乾姜1:脾気虚の痰濁上擾。

痰濁上擾:眩暈し頭重し頭冒感があり、悪心胸悶・動悸を伴い、少食多寝でひどければ嘔吐し目が回る(めまい・陰天時頭痛)。舌苔白じ、脈濡滑じゅかつ:半夏白朮天麻湯:化痰熄風・補気健脾・利水消食。

寒滞肝脈:寒邪が肝脈に滞り経脉は外陰部を纏い両脇に分布。寒邪が肝経脉に滞ると経脉を痙攣させ、下腹部が脹痛し睾丸に牽引墜痛し、肢冷し畏寒し、苔白滑、脈沈弦又は遅となる。睾丸炎・副睾丸炎や疝気にみられる。