頻尿の口訣集 改訂

2025/9/27~30

頻尿の口訣集

当帰芍薬散(冷え症・足冷・頻尿・脾虚湿滞・肝血虚・過敏性大腸炎)

当帰芍薬散加附子(足冷・頻尿・強い冷え症・腎陽虚)

当帰芍薬散合真武湯(冷え症・足冷・頻尿・腹痛・下利・足冷・腎陽虚)

当帰芍薬散合苓姜朮甘湯(冷え症・足冷・頻尿・下半身に冷えや浮腫が強い)

当帰芍薬散合補中益気湯(冷え症・足冷・頻尿・怠い・食欲不振・中気下陥)

真武湯(冷え症・足冷・頻尿・腹痛・下利・過敏性大腸炎・寒帯肝脈)

人参湯(冷え症・足冷・頻尿・帯下・胸痞・寒帯肝脈)

補中益気湯合真武湯(だるさ強い・食欲不振・足冷・下利・腹痛・頻尿)

補中益気湯合八味丸(だるい・食欲不振・頻尿・陰陽両虚)

独活寄生湯合補中益気湯(だる・食欲不振・頻尿・痹証もある)

当帰四逆加呉茱萸生姜湯(冷え症・頭痛・疝痛・眩暈・食少・寒帯肝脈)

補骨脂(破故紙)(補腎温脾・固精縮尿)

巴戟天(温腎補陽・強筋骨・袪寒)

蓮鬚レンシュ(遺精・白色帯下・頻尿:腎虚)

金鎖固精丸(遺精・白色帯下・頻尿:腎虚)

巴戟天(温腎補陽・強筋骨・袪寒湿:淫羊藿・腎陽虚による失禁・頻尿)

補骨脂・破故紙(補腎温脾・固精縮尿:脾腎陽虚:五更瀉ごこうしゃ・頻尿・夜間多尿)

桂枝加龍骨牡蠣湯(神経疲れ・不安感・陽萎)

柴胡加竜骨牡蠣湯(だるい・不安感・不眠・イライラ)

龍骨・牡蠣(固渋作用・補腎)

小建中湯(冷え症・頻尿・疲れ易い)

半夏厚朴湯(気滞・不安感・過緊張で頻尿・赤面症)

大承気湯(便秘・頻尿)

当帰芍薬散:小便頻数(冷え性:脾虚湿滞の為:

腎虚を兼ねるなら当帰芍薬散加附子・当帰芍薬散合真武湯)。

当帰芍薬散:肝血虚・脾虚湿滞:

当帰3 白芍4 白朮4 茯苓4 沢瀉4 川芎3:

過敏性大腸炎は真武湯も適用:川芎・当帰がもたれる脾虚の人もいる。

足冷と頻尿には当帰芍薬散だが、強い冷えには当帰芍薬散加附子。

当帰芍薬散は、ストレスがやや強く小便が近く、足が冷え食欲がやや低下していて、冷えると腹痛(白芍+白朮)の時に使う。

男性の膀胱炎や神経性の下痢、過敏性大腸炎にも使える。

登校時腹痛・下痢の子供は小建中湯ではなく、当帰芍薬散でよくなる

当帰3、白芍4、白朮4、茯苓4、沢瀉4 川芎3g:
ストレスによる腹痛下痢(白芍+白朮)。製品あり。

真武湯:回陽救逆・温陽利水:附子1 茯苓5 白朮3 白芍3 生姜3g。

頻尿でバス旅行が出来ない人には

当帰芍薬散合真武湯(足冷・頻尿・腎陽虚)

当帰芍薬散加附子(足冷・頻尿・腎陽虚・強い冷え)

当帰芍薬散合補中益気湯(足冷・頻尿・強いだるさ・食欲不振・中気下陥)

補中益気湯合真武湯も適応。(強いだるさ・食欲不振・中気下陥・足冷・頻尿)

独活寄生湯合補中益気湯:痹証(リウマチや神経痛)で疲労倦怠・手足の怠さ・心悸・息切れのある時。

気血両虚の腰痛は十全大補湯だが、食欲不振では補中益気湯。

気血両虚の症状:筋の萎縮・四肢の無力・頭暈・目花(かすみ目)・倦怠無力感・動悸・不安感・不眠・疲れ易い・食欲不振・息切れ・自汗・盗汗・舌淡・苔少・脈微細:

十全大補湯・帰脾湯(脾虚が顕著・不安感)・補中益気湯(食欲不振)。

中気が不足すると、大小便などを維持できず、不定に漏れることとなる症状(中気下陥+腎陽虚)に補中益気湯合真武湯・補中益気湯合八味丸。

補中益気湯:補気健脾・昇陽虚寒・甘温除熱:
黄耆4 人参4 当帰3 陳皮2 柴胡1 升麻0.5 白朮4 大棗2、乾姜0.5、甘草1.5:
疲労発熱に適用、中気下陥・久病の脱肛に補腎薬の真武湯を合方する。

足冷と頻尿には当帰芍薬散・当帰芍薬散合真武湯。

腎精不足の治療薬の巴戟天はげきてん:アカネ科巴戟天の根:辛甘微温:腎経:温腎補陽・強筋骨・袪寒湿:淫羊藿インヨウカクと同じ:腰や膝の寒湿による障害に適す:腎陽虚による失禁・頻尿に用いる。

人参湯:184.多尿・口渇・浮腫と下痢の4歳の幼児。「漢方診療三十年」大塚敬節

人参湯を胸痞に用いる。胸痞は胸がふさがったように胸が痛む病気で人参湯を一回のんだだけで嘔吐が止み、胸痛が緩解した。「漢方診療三十年」大塚敬節

「頻尿」の人の「カサカサの切れ痔」には当帰芍薬散を使う。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯:温経散寒・養血通脈:当帰3 桂枝3 白芍3 木通3 細辛2 呉茱萸2 大棗5 生姜4 甘草2:頭痛・腹痛・疝痛・眩暈・嘔吐強・食少・頻尿、月経後期、しもやけ、レイノー、寒帯肝脈。製品あり。

寒帯肝脈に使う処方:当帰四逆湯・当帰四逆加呉茱萸生姜湯・苓姜朮甘湯・人参湯・真武湯・大建中湯・温経湯・加味逍遥散合五苓散。

寒滞肝脈の人の特徴3:手より下半身の方が冷え、全身の倦怠感で、小便は量多。面色萎黄で、温めても温まらないで、冷え易く体が怠い:苓姜朮甘湯を使い、食少では人参湯、下利は真武湯を使う。

寒滞肝脈の人の特徴2:冷えるとお腹の激痛が起こり内臓が下に引っ張られる痛み(当帰四逆加呉茱萸生姜湯)で腰痛(苓姜朮甘湯)の場合もある。顔は青味を帯び面色不華だが冷え症ではないという

寒滞肝脈の人の特徴1:風邪はあまりひかないし肝の昂ぶりがあるので疲労感も言わないがガリガリに痩せていてミイラの様な手足である。ひどい冷え症でいくら食べても太れないと言う。生理痛はひどい。

温経湯の証は、衝任虚寒で瘀血阻滞により血虚から陰虚火旺となる病理である:金匱要略:月経不調・生理痛・閉経(瘀血血虚)・小腹冷痛(呉茱萸・桂枝)・唇口乾燥(陰虚火旺)・手心煩熱(陰虚火旺:阿膠麦門冬)・久しく不孕フヨウ(不妊:瘀血血虚)。

温経湯:金匱要略:温経補虚、活血行瘀法:呉茱萸3 桂枝3 当帰4 白芍6 川芎3 丹皮2 人参3 甘草2 阿膠珠4 麦門冬3 半夏4 生姜3g:温補の作用は和剤局方の温経湯より強い:下焦虚寒・血行不利

頭痛・めまい・食少・頻尿気味・手足冷、月経後期(当帰四逆加呉茱萸生姜湯)

補骨脂ほこつし・破故紙はこし:マメ科オランダヒユの果実:辛苦大温:脾腎経:補腎温脾・固精縮尿:脾腎陽虚:五更瀉ごこうしゃ・頻尿・夜間多尿に用いる:冠動脈拡張・外用は白癜風のメラニン新生促進:1~2g。

264.大承気湯証の患者は、頻尿と多尿を訴えるものがあり、また、膝関節や足関節の疼痛を訴えるものがある。「漢方診療三十年」大塚敬節

大承気湯:峻下熱結:大黄2 芒硝3 厚朴5 枳実3g:強い下剤。

189。冷え症で頻尿で帯下の多い37歳の婦人。冷え症で困り、冷えると小便が近くなり、帯下も非常に多くなる。その帯下は水のようにサラサラしていて冷たい(人参湯)「漢方診療三十年」大塚敬節

蓮鬚レンシュ:ハスの花芯:甘平渋:遺精・白色帯下・頻尿:腎虚の生薬:金鎖固精丸。

金鎖固精丸(医方集解):蓮鬢3 潼蒺蔾3トウシツリ 芡実4ケンジツ 竜骨6 牡蠣5 蓮子3g。製品無し。

潼蒺蔾トウシツリ:マメ科の扁茎黄芪の成熟種子:甘温:肝・腎経:

補腎固精・養肝明目:菟糸子とほぼ同じ:遺精・早漏・神経衰弱・肝腎不足による視力障害:白内障初期に補腎明目散。

桑螵蛸散:本草衍義:桑螵蛸 遠志 菖蒲 竜骨 人参 茯神 当帰 醋炙亀板 各等分を粉末にして1日3回2gを人参湯で服用する。2gを水煎服用してもよい:調補心腎・固精止遺・縮尿:ぼんやりする・健忘。
製品無し。

年配で、バス旅行に行けない「頻尿」に:

桂枝加龍骨牡蠣湯(神経疲れの頻尿)

当帰芍薬散合真武湯(冷え症と腎陽虚)

当帰芍薬散合苓姜朮甘湯(下半身に強い冷えの頻尿)

当帰芍薬散合補中益気湯(だるさが強い頻尿)

当帰芍薬散加附子(冷えが強い頻尿・腎虚)

当帰芍薬散合半夏厚朴湯(不安感・緊張感が強い冷え症)

柴胡加龍骨牡蠣湯(イライラや怠さ・不安感が強い頻尿・腎虚)

桂枝加龍骨牡蠣湯は、「神経的にすごく疲れる人」一生懸命に仕事で神経を遣って疲れる人、「冷え症・頻尿」で「精神不安で疲れる人」によい:陰陽双補・補腎安神:桂枝湯+竜骨3・牡蠣3g:
桂枝4・芍薬4・大棗4・生姜4・甘草2+竜骨3・牡蠣3:
精力減退・疲労・夜尿症・遺精・神経症・自慰過多・多夢・不眠・過労で悪化・動悸・面紅・顴紅・手は火照り足は冷える。

桂枝加龍骨牡蠣湯:全身疲労にともない眼がしぶりチカチカして疲れるもの。適応証は眼精疲労になっているが、足が冷える人でないと効かない。

鼻炎が何年も続いている内傷病の場合で、久病は「腎虚」か「瘀血」だが、鼻炎の場合に限っては腎虚(真武湯・八味丸・六味丸類・桂枝加龍骨牡蠣湯・柴胡加竜骨牡蠣湯)をまず疑う。

苓姜朮甘湯や真武湯は寒湿の腹痛・腰痛に使う。

「寒湿阻絡」は湿熱の逆で冷たい湿邪が体に特に下半身にたまる状態。
主症状は腰、膝、足が冷えて重だるく痛む、膝や下肢の水腫となる。
苓姜朮甘湯が適応する

「龍骨+牡蠣」には、固渋作用・補腎作用がある。汗・小便(頻尿)・大便・精液(遺精)・帯下などの流出を止める:桂枝加龍骨牡蠣湯・柴胡加竜骨牡蠣湯。

冷え症で小便が近く「頻尿」、量が多く(夜尿症)、疲れ易いものに小建中湯がよい。

小建中湯証は中焦虚寒(剣状突起から臍まで)がして、脾虚による血虚は、肝に及び肝血虚となって肝を弱めている病理である。

(小建中湯証:腎虚・脾虚・肝血虚の3点セットの場合)。

半夏厚朴湯:不安神経症、発作性の心悸亢進で、不安感強く多尿のもの。緊張する場面・緊張する人との対面では頻尿となる。

半夏厚朴湯:理気化痰・肝鬱・痰飲・赤面症:化痰の半夏が主薬:
半夏6 厚朴3 茯苓5 生姜4 紫蘇葉2:
肝鬱痰飲の薬:竄痛ざんつう、浮腫があるときの薬。

半夏厚朴湯はストレスによって気が停滞して起こる症状を治すので、緊張すると頭痛・声がかすれて咽痛・壇上に立つと膝や手がガタガタ震える人は半夏厚朴湯であり、苓桂朮甘湯や加味逍遙散を使うことはない。

産後に、尿は朝からほとんど出ない。顔は平生の二倍もあろうかと思うほどの腫れ方で、頸部もそれにつれてひどく浮腫している(半夏厚朴湯)「漢方診療三十年」大塚敬節