補中益気湯の解説の改訂

2025/3/12~13、10/17

補中益気湯の口訣集

補中益気湯:補気健脾・昇陽虚寒・甘温除熱(疲労時発熱):
黄耆4、甘草1.5 人参4 当帰3 陳皮2 升麻0.5 乾姜0.5 柴胡1 白朮4 大棗2:中気下陥を昇陽挙陥するので、怠さの強い肝炎に使う。使用にはだるさや食欲不振が目標。

脾肺気虚証は、胸中の気が不足しているように感じ、よくためいきをつき、ためいきをつくと楽になる。補中益気湯が適応する。

補中益気湯は体がだるく、疲れやすく、食欲も回復しないので食欲不振に使う(六君子湯も適応)。
気虚なので咳嗽に力がなく、痰も少量である。

補中益気湯の目標:体が怠い・懶言ランゲン(話したがらないで、もの憂い話方)・食少・軟便・自汗。

月経過期(月経が遅れる)に、補中益気湯。

肺気虚証の主症状:気短・短気(呼吸が浅く速い状態・息切れ)・喘急(呼吸困難)・咳嗽無力・清稀痰:補中益気湯・玉屏風散・補肺湯。

玉屏風散;衛表不固:黄耆8 白朮3 防風3g。

肺気陰両虚証:益気養陰・清熱潤肺:生脈散・竹葉石膏湯・清燥救肺湯・
補中益気湯加五味子麦門冬(味麦益気湯)。

生脈散の主治:久咳肺虚、咳嗽少痰、短気自汗、口乾舌燥、脈虚。

竹葉石膏湯:清熱生津・益気和胃:生石膏 淡竹葉 人参 麦門冬 製半夏 炙甘草 粳米:吐後に内生する煩熱を、益気生津しつつ、生石膏と淡竹葉で清熱して煩躁をおさえる。製品無し。

短気:軽度の心不全・喘息状態で、短く浅く早い呼吸。

清燥救肺湯せいそうきゅうはいとう:清肺潤燥・肺気陰両虚:燥熱の邪による乾咳・袪痰・解熱:咽痛・気管支炎・気管支拡張症:

桑葉3 石膏5 人参1 胡麻仁3 阿膠2 麦門冬3 杏仁2 枇杷葉3 炙甘草1g。製品無し。

外感による肺陰虚:清燥救肺湯。

桑葉そうよう・冬桑葉・:クワ科クワの成葉を乾燥:苦甘寒:肺肝経:宣肺・疏散風熱・清肝明目:風熱による肺熱を清し乾咳を潤して止咳::とくに乾咳・燥咳に適用する:2~4g:桑菊飲(温病)。

温病:悪風がなく悪熱おねつで熱に苦しみ、強い咽痛、口渇、舌先の赤みと舌の乾燥が特徴:銀翹散・麻杏甘石湯・桑菊飲・桑杏湯などを使う。

枇杷葉:バラ科ビワの葉:苦平:肺胃経:化痰止咳・降肺気・和胃止嘔・清熱:鎮咳・袪痰・健胃:上焦の熱を冷ます。肺熱を冷まし肺炎に。石膏も肺熱をさます。夏によく飲まれる枇杷葉茶:3~5g。

夏バテには枇杷の葉茶が有効で小便が出て、浮腫がとれ夏バテ食あたりを防ぐことができる。江戸時代は薬屋の前に枇杷葉を煎じた大釜があり、通行人が夏バテ防止で自由に飲んでいた。

胡麻仁ごまにん・胡麻・黒芝麻・黒脂麻・巨勝子:甘平:肺・脾・肝・腎経:潤燥滑腸・滋養肝腎。

灼痛:焼けるように痛むのは熱症状で実証で、胃や咽によく生じる。

咽痛の灼熱感には駆風解毒湯や清燥救肺湯を使う。

胃がジリジリ焼ける胸焼けは加味逍遙散。安中散はシクシク痛む。

160:腎陽虚の鼻炎:腎虚で体が冷えているときは真武湯だが、
真武湯合六君子湯・真武湯合補中益気湯とすることも多い。

アトピー性皮膚炎:当帰飲子合小建中湯・当帰飲子合参苓白朮散・当帰飲子合補中益気湯。

当帰飲子:補血潤燥・止痒:血虚生風:当帰5 芍薬3 川芎3 地黄4 白蒺蔾3びゃくしつり 防風3 何首烏2かしゅう 荊芥1.5 黄耆1.5 甘草1:四物湯があるので炎症・浮腫・湿潤の皮膚炎には適さない。

蒺蔾子しつりし・白蒺蔾・刺蒺蔾:ハマビシ科ハマビシの果実:辛苦微温:肝経:疏肝熄風・行瘀袪滞・解鬱・明目・止痒:降圧・鎮静・眼科の常用薬。

防風:セリ科防風の根:辛甘微温:膀胱肝脾経:袪風解表・袪湿解痙・止瀉止血:発汗・解熱・鎮痛:「袪風の主薬」:

和食のつまに使用し食中毒を防ぐ:カゼ薬・湿邪を去る・下利を治す。

養血薬:当帰・川芎・白芍・赤芍・熟地黄・何首烏・阿膠。

荊芥けいがい・荊芥穂:シソ科荊芥の花穂のついた枝や花穂:辛微温:
袪風解表・止血・消炎・咽痛には古人は必須とした:

風病・血病・産後の主要薬:辛温でも燥ではない:カゼ薬・消炎・止血。

黄耆:補気升陽・固表止汗・利水消腫・托毒排膿(元気を補い汗や鼻水を止め、皮膚病を治す):玉屏風散(黄耆8 白朮3 防風3g)

托・託:タク:手に物をのせる・物をのせる台・ひらく(拓同じ)。

独活寄生湯合補中益気湯:痹証で疲労倦怠・怠さ・心悸・息切れのある時。

眼精疲労が強い:滋腎明目湯合補中益気湯(益気聡明湯)。

益気聡明湯:東垣試効方・眼門:金の時代李杲りこう(李東垣)1266年:黄耆、甘草、人参、升麻、葛根、蔓荊子、芍薬、黄柏:

白内障で気虚による者、脾胃不足、内障、耳鳴、昏暗、視物不能。

万荊子(蔓荊子):辛苦微寒:膀胱肝胃経:疏散風熱、清頭目・止痛、袪風除湿:
頭痛・眼痛・風湿による肢体のしびれやだるさ運動障害や眼薬に配合。

黄柏・黄檗おうばく:キハダのこと:清熱燥湿・瀉火解毒・清虚熱:ベルベリン。

滋腎明目湯の気虚一等重き者を医王湯(補中益気湯)加防風・蔓荊子・白豆蔲ビャクズクとす。

白豆蔲びゃくずく1.5~3g:・白豆仁びゃくずにん・白叩仁びゃくこうにん・蔲仁くにん:ショウガ科白豆蔲の果実中の種子:辛温:肺脾胃経:化湿和胃・行気寛中:草豆蔲そうずく・草果そうか と似ている:胃薬。

気虚の処方:一般には、補中益気湯や六君子湯を使う:婦人科疾患の気虚には補血が必要なので、十全大補湯(四物湯合六君子湯を含む)や補中益気湯(当帰の補血薬が入っているので)を使う。

補中益気湯:疲れ易い人、特に手足は脾の支配なので手足をなげだして横になりたくなる人。痩せて汗かきの人、肥って色白で汗かきの人、結核や気管支拡張症の既往者は脾肺が弱いので補中益気湯である。

補中益気湯:感冒で「食欲不振、だるく嗜眠、発汗、寒熱往来」が最初から出る人は補中益気湯である。感冒時に、最初からこの症状があれば、慢性腎炎でも慢性肝炎でも、どんな病であれ補中益気湯である。

味覚障害の口淡無味の人に補中益気湯を使う。まるで砂をかんでいるようで味をまったく感じない人に補中益気湯を使う。味覚障害に使う亜鉛では治らない。

補中益気湯:筋肉の弛緩があり二の腕の肉が垂れる、加齢で乳房が下がる、腹の肉が垂れる、目の下の垂れやほうれい線に沿って顔の筋肉が下がる。

脱肛・子宮脱・内臓下垂は長期なので補腎薬(真武湯・八味丸・海馬補腎丸など)を併用する。補中益気湯合真武湯・補中益気湯合海馬補腎丸。

海馬補腎丸:八ツ目製薬:人参 黄耆 地黄 竜骨 山茱萸 桃仁 茯苓 丁字 枸杞子 海馬(タツノオトシゴ) ごうかい(おおやもり) たいか 鹿茸 海狗腎かいくじん 当帰 鹿腎ろくじん 鹿筋ろくきん 補骨脂 驢腎ろじん。

補中益気湯:三食とも食後嗜眠になる人に使う。お昼だけ食後嗜眠という人も、よく聞くと朝食後も夕食後も眠くなる体質である。

補中益気湯:使い方は、疲れ易い人、手足のだるい人、長く立っていると胃腸が弱いので猫背・腰まがりになる人、極端に「発汗する人」、トイレで頑張ったり動くと「汗が吹き出て」食事でも一気に「全身に発汗」して疲れる人に使う。

腰まがり:帰耆建中湯:腰まがりを伸ばせるが腰の曲がった高齢者に適用する。腰もまがりは、骨格の弱さだけでなく腹筋の筋肉の弱りもあるので、

腰曲がりには独活寄生湯に腎虚・肝血虚・脾虚の小建中湯を合方する。

腰まがり:帰耆建中湯・独活寄生湯合小建中湯。

独活寄生湯:千金方:袪風湿・散寒・補気血・益肝腎・活血止痛:
独活2 防風2 桑寄生4 秦艽3 杜仲3 熟地黄5 白芍4 当帰3 牛膝3 川芎2 茯苓3 党参3 細辛1 肉桂0.5(沖服)炙甘草1g。

独活どっかつ:セリ科のシシウド・ウコギ科のウド:袪風湿・通経絡:特に項背部の筋肉や下半身の関節の風湿を去る・臀部の痛み・両足のしびれ:独活寄生湯。独活葛根湯は寒湿邪の寝違え・肩こりに特効。

桑寄生そうきせい:ヤドリギ:補肝腎・強筋骨・袪風湿・安胎(滑胎に寿胎丸):梅の木の梅寄生もある::桑寄生・杜仲・牛膝は補肝腎・強筋骨。

秦艽じんぎょう:リンドウ科秦艽の根:胃肝胆経:苦辛平:
袪風湿・通絡舒筋・退黄疸・除虚熱:陰虚内熱・骨蒸潮熱:三痺必用の薬:秦艽鼈甲湯・秦艽防風湯:痔瘻月光等。

独活葛根湯:葛根5 桂枝3 麻黄2 白芍3 大棗1 生姜1 甘草1 独活2 地黄4g:落枕らくちん(寝違え)・肩こり。

葛根湯:葛根8 桂枝3 麻黄4 白芍3 大棗4 生姜4 甘草2:首から上の初期の炎症症状を緩和する。

真武湯:冷え症の陽虚の目まいや下痢には真武湯がよい。

食少で脾陽虚には人参湯。

食少と下痢体質には真武湯合補中益気湯・真武湯合人参湯がよく、

食欲があり下痢体質には半夏瀉心湯合補中益気湯・半夏瀉心湯合真武湯。

補中益気湯の副作用は、気を上に引き上げる効果があるので、面紅の人に使うとのぼせたり、吐いてしまうので半量を使う。普通量は、頰の肉が垂れている、目の下やお腹が垂れていたり、内臓下垂の人(補腎薬と一緒に:真武湯などと)に使う。

脾陽虚の顔のむくみ:健脾益気・昇陽袪寒:補中益気湯加附子乾姜・

補中益気湯合真武湯・補中益気湯合人参湯。

人参湯(理中湯):金匱要略:温中散寒・補気健脾:脾陽虚・胸痞:
人参3 乾姜3 白朮3 甘草3。

胸痞:胸がつかえ塞がること。湿濁の邪が胸中に壅フサがり、清陽が舒暢ジョチョウしないでおこる:人参湯。

胸痹:胸部のふさがりや疼痛する病証をさす。心臓病・肺気腫・胸膜炎・胃病などにみられる。陽気が正常に運行できなくなり、水飲や痰濁が胸中に閉塞して起こる。喘息咳唾ガイダ・胸背痛・短気・心痛背に徹す。

補中益気湯:補気健脾・昇陽虚寒・甘温除熱:黄耆4、甘草1.5 人参4 当帰3 陳皮2 升麻0.5 乾姜0.5 柴胡1 白朮4 大棗2:中気下陥・脱肛に腎虚薬の真武湯を合方・疲れると発熱に適用(小建中湯も疲労発熱に適用する)。

飲食不節・後天失調などにより脾胃虚弱となり、気血生化の源が欠乏して水穀の精微が四肢の肌肉を濡養ジュヨウできなくなり筋肉の萎縮が発生する:

補益中気湯:補中益気湯の加減。

275.補中益気湯は別名を医王湯とも言い、手足のだるさ、眼に力がない、言葉がよわよわしい、熱いものを好む、口に白い泡沫のつばがたまる、食味がない、臍部で動悸がする、脈が大きくしまりがない。

275.疲労感を訴える肺結核患者の42歳の婦人(補中益気湯・真武湯)

274,ひどく痩せた小児結核の12歳の少女(補中益気湯)

160.夏になると胃弱となり倦怠感でやせる17歳の少年(真武湯・補中益気湯も適応)。

夏や熱い職場での汗かき後の怠さは生脈散が特効薬:普段からの汗かきには防已黄耆湯・補中益気湯が適応する。すべて脾虚である。

生脈散:脈弱・脈結代の動悸・息切れ・夏バテ・倦怠感・不安感・恐怖感・虚煩、不眠、多夢、多汗、汗をかきやすい、寝汗、四肢のほてり、口乾、面白・顴紅、舌紅や舌尖紅、舌苔少苔光剥、脈細数(人参五味子麦門冬)。

湿邪をとる薬(逍遥散・麻杏薏甘湯・平胃散・半夏厚朴湯・苓桂朮甘湯・真武湯・桂枝加朮附湯・防已黄耆湯など)。

273,肺結核の10歳の少年(補中益気湯)

気虚の四肢麻木(しびれ):補中益気湯。

気虚の全身症状:倦怠無力感(鬱的)・元気不足・息切れ・物を言うのがおっくう・動きたがらない・声に力がない・自汗・舌質が淡色あるいは胖大でフニャフニャ・脈は細数で無力:補中益気湯・六君子湯。

食欲がなく、食べ物の味がしない:味覚障害のような感冒に、葛根湯などの発汗剤を使用すると悪化するので、注意が必要である(補中益気湯をつかう)。

六君子湯の適応:倦怠・懶言ランゲン・食欲不振(食少)・軟便:

これに自汗があれば補中益気湯。

補中益気湯は慢性や急性の咳嗽に応用する。感冒や流感などが治癒した後、咳嗽だけが残るもの(六君子湯もカゼ後の咳嗽に適用)。

帯下:補中益気湯、生理時の帯下に六君子湯・当帰芍薬散・柴胡加竜骨牡蠣湯など。温清飲は元々帯下の薬。

柴胡加竜骨牡蠣湯:この処方の「帯下は腎虚の症状」:「龍骨・牡蠣」には、固渋作用がある。汗・小便・大便・精液・帯下などの流出を止める。

補中益気湯は慢性的に微熱や潮熱を反復するものに適応する。

午前中に熱が高く、午後に軽減する傾向がある:

一方、毎日、午後に発熱する潮熱の子供に浣腸や大柴胡湯が適応。

若い女性の原因不明の潮熱:加味逍遙散・柴胡桂枝湯が適応する。

気虚発熱には補中益気湯

疲労発熱には小建中湯・補中益気湯

脾虚の慢性低熱に柴芍六君子湯・小柴胡湯。

柴芍六君子湯:日常のストレスに弱く腹痛・腹満・腹筋拘急痛などをすぐ訴える。胃弱の神経症・胃弱の更年期障害・自律神経失調症で主体は胃腸よりも、イライラなど肝鬱である。

歯科治療後、慢性の歯痛で悩む高齢者は多い。これも補中益気湯の適応。

胃熱による口内炎は、患部が赤く痛みが強い(半夏瀉心湯・大柴胡湯など)。これに反して、補中益気湯の適応する口内炎は、反復して発症し、患部が赤くならず、腫れもひどくはない。

中気の不足は、また、清陽不昇の症状を生ずる。上半身、とくに頭部に陽気が昇らず、頭痛・眩暈などの症状が現れ、さらには、五官の機能が減退・耳鳴・耳聾・味覚障害する。疲労で加重するのは補中益気湯。

飲食不節・後天失調などにより脾胃虚弱となり、気血の生化の源が欠乏して水穀の精微が四肢の肌肉を濡養できなくなり、筋肉の萎縮が発生する:

フレイルに、補益中気湯:補中益気湯合独活寄生湯・補中益気湯合六君子湯。

妊娠中には、気も血も不足するので、貧血を生じ、疲れやすく、眩暈がしたり、栄養状態が悪くなる。補中益気湯に、適宜四物湯・当帰芍薬散・十全大補湯を合方する。

補中益気湯合四物湯

補中益気湯合当帰芍薬散

補中益気湯合十全大補湯

帯下に補中益気湯・柴胡加竜骨牡蠣湯:生理時の帯下に六君子湯・当帰芍薬散。

疲れると、膀胱炎・尿道炎を発症するもの。

これを労淋とよぶものに補中益気湯・五淋散。

五淋散:清熱利水・活血止痛:茯苓6 沢瀉3 車前子3 滑石3 山梔子2 黄芩3 木通3 赤芍2 当帰3 甘草3 地黄3g。

五淋:排尿異常の総称。気淋・石淋・膏淋・労淋・血淋をいう。

排尿後、たらたらと尿が出るものを尿後余瀝にょうごよれき というものに補中益気湯・清心蓮子飲。腎虚証にも現れる。

清心蓮子飲:和剤局方:益気滋陰・清心火・利水:陰虚火旺:
蓮子4 人参3 黄耆2 茯苓4 炙甘草2 麦門冬4黄芩3地骨皮2車前子3。

蓮肉・蓮子れんし:スイレン科ハスの種子の仁:甘淡平:
清心益腎・健脾止瀉・益腎固渋・収斂・鎮静・清心火・清熱・心腎不交:

中国人は不安感に民間薬として蓮子を煎じて服用。

地骨皮ぢこっぴ:ナス科クコの根皮:甘淡寒:肺腎経:
清熱涼血・退虚熱:虚熱・労熱に用いる:血熱を冷ますが発散しない。

少量で、間歇的に持続する下血。色は薄い。

 子宮出血・便血・痔出血などに補中益気湯(鼻血は上に引き上げる作用なので悪化する)。

産後に限らず、脱肛や痔核の脱出に適応する。咳やくしゃみ、あるいは歩いても脱出しやすく、手で環納できる脱肛。弛緩性の肛門脱出に補中益気湯・補中益気湯合真武湯。

中気が不足すると、大小便などを維持できず、不定に漏れることとなる症状に補中益気湯合真武湯・補中益気湯合八味丸。

汗をよくかき、冷たいものをよく飲み、しかも体がだるくならないのは、裏熱によるので、補中益気湯の適応ではない。

防風通聖散:疏風解表・瀉熱通便:体を冷まし乾かす作用があり(やせている陰虚には使えない)脾に関係する処方なので糖尿病に使われる:
対象は:汗っかき・食欲旺盛のカゼ・蓄膿症・食欲旺盛で痩せない糖尿病。

102:胃中不和があって身体の全体が熱く、小便の出が悪ければ黄連解毒湯を使う。さらに口臭・口渇・便秘の三つの症状が加われば、三黄瀉心湯を使うが、三黄瀉心湯は胃に熱が或る時に使う。

三黄瀉心湯:大黄3 黄連3 黄芩3g。

補中益気湯加スイカが使えない夏バテは:汗がダラダラでていない、

寝汗もかかない、下利もあまりひどくない時は五苓散や胃苓湯を使う。

夏バテ:補中益気湯加スイカ(の皮)・五苓散・胃苓湯。

五苓散の使用目標:口渇(喜冷飲)・小便不利・自汗(多汗)。

五苓散:腎炎、ネフローゼ、膀胱炎、腎盂炎、偏頭痛、急性胃腸炎、糖尿病などに用いるが、脾虚には参苓白朮散・六君子湯、腎虚にはさらに真武湯などを合方する。

五苓散合参苓白朮散(合真武湯)

五苓散合六君子湯(合真武湯)

五苓散合真武湯(合参苓白朮散)

中気下陥の治療原則:健脾補中・昇陽益気:

健脾益気薬に「升提薬の柴胡・升麻」を配合する:

補中益気湯・補中益気湯合苓桂朮甘湯・補中益気湯合真武湯。

「柴胡+升麻」を升提の意に用いたれども、やはり湿熱清解の功に取るがよし。

腎不納気:慢性閉塞性肺疾患:ごうかい散(おおやもりが配合)。

味麦地黄丸+補中益気湯、八仙丸合補中益気湯、六君子湯、

真武湯合生脈散合補中益気湯または真武湯合生脈散合六君子湯。

腎不納気:慢性閉塞性肺疾患に、味麦地黄丸+補中益気湯、六君子湯。

気虚の全身症状:倦怠無力感(鬱的)・元気不足・気短懶言・動きたがらない・語声低微・食欲不振・自汗・舌質が淡色あるいは胖大・脈は細数で無力:補中益気湯・補中益気湯合真武湯。

真武湯:冷え症の陽虚の目まいや下痢には、真武湯がよい。

食少で脾陽虚には人参湯。

食少と下痢体質には・・

真武湯合補中益気湯・真武湯合人参湯・真武湯合半夏瀉心湯がよく、

食欲があり下痢体質には半夏瀉心湯・半夏瀉心湯合補中益気湯。

食欲不振:補中益気湯・人参湯・半夏瀉心湯。

慢性的に浮腫が続いている人は真武湯であるが、食欲が無い人は、補中益気湯合真武湯・六君子湯合真武湯である。

膝や足首が冷える人は基本は真武湯をベースとする。真武湯証の陽虚水泛は実腫である。

真武湯と脾虚の六君子湯とはどのように違うかは、真武湯の証である陽虚水泛は「実腫」で、脾虚の六君子湯証の浮腫は「虚腫」であり、おしてへこむとしばらくもどらないが、実腫はすぐにへこみがもどる。

心気虚の動悸に本来は磁朱丸を使うが代用で補中益気湯を使う。

若い女性の原因不明の潮熱:加味逍遙散・柴胡桂枝湯が適応する。

気虚発熱には補中益気湯・疲労発熱には小建中湯・補中益気湯。

肝炎の留守番処方:加味逍遙散加田七・柴胡桂枝湯加田七(怠ければ補中益気湯・食少なら六君子湯・心下痞硬なら大柴胡湯・黄疸で尿黄なら茵蔯蒿湯)。

茵蔯蒿湯は、茵蔯蒿+山梔子を用いて利尿し黄疸を治す:

清熱利湿・退黄:茵蔯蒿4 山梔子3 大黄1g。

怠さがひどければ慢性肝炎に補中益気湯。

乳汁が漏れて困るということもある。これも、疏泄失調で加味逍遙散の適応である。(或は、気虚で乳汁が漏れる時は補中益気湯)。

アトピー性皮膚炎で、脾腎陽虚(脾虚と腎陽虚)が原因の場合は、

患部は白色で、中心部だけときどき淡紅色になるが、原則はが白っぽくなる。

脾腎陽虚:補中益気湯合真武湯

脾腎陽虚:参苓白朮散合真武湯を使う。

アトピー性皮膚炎は脾虚を兼ねているので当帰飲子合小建中湯とする。

小建中湯は脾虚でも食欲がほどほどあり、

食欲が無い場合は:当帰飲子合参苓白朮散、当帰飲子合補中益気湯。

当帰飲子:補血潤燥・止痒:血虚生風:当帰5 芍薬3 川芎3 地黄4 白蒺蔾3びゃくしつり 防風3 何首烏2かしゅう 荊芥1.5 黄耆1.5 甘草1:四物湯があるので炎症・浮腫・湿潤の皮膚炎には適さない。

蒺蔾子しつりし・白蒺蔾・刺蒺蔾:ハマビシ科ハマビシの果実:辛苦微温:肝経:疏肝熄風・行瘀袪滞・解鬱・明目・止痒:降圧・鎮静・眼科の常用薬。疏肝熄風袪瘀薬。

脾気虚には参苓白朮散あるいは香砂六君子湯を使う。

次善の薬は補中益気湯である。

内臓下垂・胃下垂・子宮脱には補中益気湯または補中益気湯合真武湯、胃下垂には香砂六君子湯・補中益気湯を使う。

鼻血に補中益気湯をつかうと昇提作用でのぼせてひどい鼻血になるので注意する。

補中益気湯:心気虚は、少し動くと動悸し、椅子から立ち上がっただけで動悸がする。顔色は白っぽく、汗をかきやすく、疲れやすく、排便時に息むと動悸がする。

内臓下垂には補中益気湯(合真武湯)、胃下垂には香砂六君子湯。

脾虚の人で食事や生活の色々な場面でよく発汗し、下利が止まらないという状態には補中益気湯を使う。これは中気下陥の病証で脾虚とつながりがある。

小便不利の原因は、体に熱があるか、胃腸が弱いか、肝鬱か?であるが、胃腸の弱りが圧倒的に多く、六君子湯や参苓白朮散や補中益気湯・逍遥散で小便がよくでるようになる。

六君子湯と同じく、補中益気湯は、便秘にも下痢にも効く。

気虚の痔核脱出には補中益気湯または補中益気湯合真武湯。

真武湯:冷えとストレスをとるが脾虚は補わないので、

脾虚には真武湯合六君子湯とする。

脱力感だるさがひどければ、真武湯合補中益気湯とする。

小柴胡湯は、カゼをひきにくく特に小児の体質改善する:
補中益気湯も益気して衛気を宣発しカゼをひきにくくさせる。

脱力感・だるさがひどければ、真武湯合補中益気湯とする。

脱肛し、語声低微、内臓下垂の者には柴胡1g、升麻1g、を帰脾湯に加え、或は補中益気湯3gを帰脾湯に加え服用する。

帰脾湯加柴胡升麻・帰脾湯合補中益気湯。

気血虧損によるめまいは帰脾湯合補中益気湯・十全大補湯か腎精不足の薬。

気虚がひどい場合の便秘には補中益気湯を使う。

六君子湯と同じく、補中益気湯は便秘にも下痢にも効く。

六味地黄丸を、補中益気湯と一緒に用いると、

さらに脾胃の昇降関係に配伍した方剤となる:補中益気湯合六味丸。

潮熱:大承気湯・小承気湯・調胃承気湯:補中益気湯・加味逍遙散:清暑益気湯:清骨散加当帰白芍:血府逐瘀湯加製大黄牡丹皮。

脾胃気虚の潮熱・・補中益気湯。

肝炎の留守番処方:加味逍遙散加田七(怠ければ補中益気湯・食少なら六君子湯・胃熱の心下痞硬なら大柴胡湯)。

虚の眩暈は、ほとんど補中益気湯を使ってなおす。

気血両虚の腰痛は十全大補湯だが、食欲不振では補中益気湯。

補中益気湯:中気下陥・脱肛に真武湯を合方・疲れると発熱する人に。

防已黄耆湯もちょっと動いただけで発汗するが、脾虚では食事をすると発汗し、アイスをたべても発汗する。それで下痢が止まらないという状態には補中益気湯を使う。

手術前に出血予防のために、食欲がなければ十全大補湯でもよいが、補中益気湯ではのぼせて鼻血や頭部の出血が一気にひどくなるので、帰脾湯・独参湯がよい。

帰脾湯:脾不統血:機能性子宮出血、痔出血、血小板減少性紫斑病、過敏性紫斑症、血友病・白血病などの症状の者に用いる。また白血球減少や全血成分の低下に用いることができる。

脱肛も子宮脱も補中益気湯合真武湯とする。

気虚の痔には補中益気湯を使うが、量が多いと下陥したものを一気に引き上げるので、のぼせや肩こり、頭痛が起こり易いので量を加減する。

量を増やすことで悪化することが多い。

膝痛の処方:八味丸・牛車腎気丸・真武湯・六君子湯・補中益気湯・桂芍知母湯・麻杏薏甘湯・防已黄耆湯・苓姜朮甘湯・独活寄生湯・苓姜朮甘湯合十全大補湯・苓姜朮甘湯合平胃散。

補中益気湯:怠い・懶言・食少・軟便・自汗。

六君子湯は、疲倦・懶言・食少・軟便の四つの症状だけで適応できる。

さらに自汗があれば補中益気湯である。

六君子湯:健脾益気・和胃化濁:

党参4 茯苓4 炒白朮3 炙甘草1 製半夏4 陳皮3 乾姜0.1 大棗2.

だるい肝炎に補中益気湯:補気健脾・昇陽虚寒・甘温除熱:「柴胡升麻」は升挙作用。

補中益気湯は衛気虚を改善しカゼを予防する。

真武湯合補中益気湯(腎陽虚かつ脾虚)

升麻しょうま:甘辛微寒:発表透疹・清熱解毒・升挙:
補中益気湯の升麻+柴胡は中気下陥などを持ち上げる作用がある。

升麻葛根湯:透表解肌とうひょうげき:透表解肌とは軽度の発汗作用をもたらして透疹する:初期の麻疹・風疹):解肌透疹:升麻1 葛根5 白芍3 生甘草2:透疹が十分でなく鮮紅色を呈するものに適応。

160.夏になると胃弱となり倦怠感でやせる17歳の少年(真武湯・補中益気湯も適応)。

274,ひどく痩せた小児結核の12歳の少女(補中益気湯)。

275.疲労感を訴える肺結核患者の42歳の婦人(補中益気湯・真武湯)。

夏になると毎年痩せるような人(病名:ケイ夏)は、一般には補中益気湯を服用すると予防し治療できる。

気虚の頭痛では、頭が空虚な感じで痛む・疲れると頭痛が増強する・倦怠無力感・食欲不振・息切れ・泥状便・舌苔薄白・脈は虚で無力:補中益気湯+細辛+蔓荊子。

万荊子:辛苦微寒:膀胱肝胃経:疏散風熱、清頭目・止痛、袪風除湿。

肺気虚や脾肺気虚に使う六君子湯の適用は「疲倦・懶言・食少・軟便」の4症状があれば使えるが、さらに自汗があれば補中益気湯を使う。

補中益気湯の適応する肥満は、体は全体的に弛緩し、ボテッと肉が落ちている人である。たとえば顔の肉がすべて垂れているのは中気下陥であり脱力感がかなり強い状態に使う。

『脾胃論』や『内外傷弁惑論』の著者で補中益気湯の創方で名高い李東垣(李杲)は、金元四大家の一人。

補中益気湯:当帰が入っているので婦人科疾患に使える。