桂枝茯苓丸:「類聚方広義」

「類聚方広義」吉益東洞原著、尾台榕堂校註

185,桂枝茯苓丸

・妊婦の分娩時(臨盆)に桂枝茯苓丸を用いれば催生に最も効果がある。

・月経不調で、時々、頭痛、腹中拘攣し、或は手足麻痺する者を治す。

・月経毎に頭重、眩暈、腹中や腰脚の㽲痛する者を治す。

(㽲痛きゅうつう:急にしめつけられるように痛むこと。)

・産後すでに数十日すぎ、他に異常なく但、時々臍をまとい刺痛し、或はその痛みが腰脚に及ぶ者を治す。

・閉経して、上衝し、頭痛し、眼中に翳を生じ赤脈縦横に生じ、疼痛して羞明し、腹中拘攣する者を治す。

・妊娠して顛倒し、胎児が腹中にて死し、下血止まず、小腹攣痛する者に桂枝茯苓丸を用いて死胎を下す。

・血淋し(膿血ある淋証)、腸風(血便)下血に皆効果がある。

腸風ちょうふう:下血。とくに新鮮な出血をいう。「腸風」に属するものは、臨床上は多くは口渇冷飲がみられ、歯肉腫痛、口苦口臭、大便燥結、舌苔黄、脈数などの症となる。

・以上の諸症に大黄を加えて服用すれば佳と為す。

桂枝茯苓丸加大黄。

・桂枝茯苓丸に大黄を倍加して散剤とし、兼用方と為し、或は単用と為せば、その効果は丸剤に勝る。