芎帰膠艾湯:「類聚方広義」尾台榕堂

2025/11/5

「類聚方広義」吉益東洞原著、尾台榕堂校註

芎帰膠艾湯

「漏下、腹中痛、及び吐血下血する者を芎帰膠艾湯は治す」

此の条文は、漏下ろうか・ろうげ、流産後、下血して絶えず(痔の下血も)、妊婦下血、妊婦腹中痛を指している。

・妊婦が転倒し、胎動は心に上衝し、腹中腰股に引き、或は胎児が萎縮する様におぼえ、或は下血のやまない者は芎帰膠艾湯を用いる。

胎児が下らないものは安胎し、落ちたものは流産する。

・痔の下血が続いて止まらず、身体萎黄して立てば眩暈し、手足に力無く少腹刺痛する者を芎帰膠艾湯は治す。

・もし胸中煩悸し、心気鬱塞し、大便秘結する者は、芎帰膠艾湯に黄連解毒湯や三黄瀉心湯を兼用する。

(心気鬱塞する者は芎帰膠艾湯合黄連解毒湯)

(大便秘結する者は芎帰膠艾湯合三黄瀉心湯)。

(黄連解毒湯は、脾も含めて三焦の熱を冷ます)。

(三黄瀉心湯:大黄3 黄連3 黄芩3g)。

(大黄:苦寒:攻積導滞・瀉火涼血・袪瘀通経:駆瘀血薬)

・血便が止まないが、腹満熱実症ではなく、ただ腹中攣痛して唇舌乾燥する者に、芎帰膠艾湯は時には効果がある。

婦人にして妊娠するごとに堕胎する者あり。毎回育たない者あり。このような人は、終始芎帰膠艾湯を服し、五ヶ月以降は、厳に枕席(性交)を慎めば、不育の患いを免れるべし。

若し浮腫し、小便不利となれば当帰芍薬散がよい。