抑肝散加陳皮半夏の解説の改訂

2025/3/14~15 2026/1/23改訂

抑肝散・抑肝散加陳皮半夏の口訣集

抑肝散加陳皮半夏は、平肝熄風作用でイライラや筋の拘縮やそれによる痛みを治し、血虚や瘀血に対応して血流を促し、湿邪や痰飲を去り、気を巡らす作用などいわゆるストレスによる何らかの体の不調に対しての効果が期待できる処方となっている。効果の高い処方である。

抑肝散加陳皮半夏:平肝熄風・補血活血・燥湿化痰・理気:

釣藤鈎3 柴胡2 川芎3 当帰3 白朮3 茯苓4 甘草1.5 半夏3 陳皮3:

肝風による筋惕肉瞤や痰飲による癭瘤エイリュウ・どもり・チック・抽搐にもちいる・こもるタイプの不眠。

抑肝散加陳皮半夏:平肝熄風・補血活血・燥湿化痰・理気:

癭瘤に適応する。半夏厚朴湯を合方してもよい:

抑肝散加陳皮半夏合半夏厚朴湯・加味逍遙散合半夏厚朴湯。

平肝熄風の症状:頭部の牽引痛・頭暈目眩・口眼喎斜・肢体の麻痺や震顫・舌頭の硬化・舌体の変形ふるえ・苔薄・舌紅・脈弦:育陰潜陽:抑肝散加陳皮半夏・柴胡加竜骨牡蠣湯・羚羊角湯・大定風珠。

釣藤鈎ちょうとうこう・鈎藤こうとう・鈎鈎・双鈎藤:アカネ科カギカズラの鈎棘のある茎枝:甘微寒::熄風定驚・平肝清熱・軽清透熱:

のぼせを取り熄風する:平肝止痙・鎮静、てんかん発作の抑制。

軽清:体内の軽清昇発の気を指し体内の軽くて上昇する清気の作用を意味する。これは「濁陰」という重くて下降する物質と対になる概念。

「痰飲によって抽搐」が生じる時の処方:抑肝散加陳皮半夏・半夏厚朴湯・苓桂朮甘湯・当帰芍薬散。抑肝散加陳皮半夏にはイライラをともなう抽搐という条件がある。

抽搐:「抽ちゅう」とは収縮。「搐ちく」とは連動して収縮して動くこと。

抑肝散加陳皮半夏は、ストレスが生じた時に「浮腫・眩暈・動悸・癲癇」が生じ時に使う。この時の癲癇は瞬間的に意識不明になる程度の軽い癲癇にしか効かない。

防已茯苓湯ぼういぶくりょうとう:金匱要略:皮水(痰飲による浮腫)で筋肉がピクピク痙攣する時(筋惕肉瞤)に用いる:漢防已(防已)5 黄耆5 桂枝2 茯苓4 甘草1g:肝風内動の痙攣では抑肝散が適用される。

筋惕肉瞤(筋肉がピクピク痙攣する)で痰飲が原因の場合:苓桂朮甘湯・平胃散合五苓散(胃苓湯):肝風によるものは抑肝散加陳皮半夏。

筋惕肉瞤で痰飲が原因の場合:苓桂朮甘湯・平胃散合五苓散(胃苓湯)・半夏厚朴湯・当帰芍薬散:肝風によるものは抑肝散加陳皮半夏。

160:一年中鼻炎を起こす人:抑肝散加陳皮半夏を使う。普段からイライラするが発散できず、顔を洗う際こめかみがズンズンし、青筋もたち、神経質で、些細なことが気になる性格で易怒で多痰である。

半夏:急性緑内障の頭痛・眼痛・悪心に眼圧低下作用に抑肝散加陳皮半夏合平胃散。

緊張するとどもる人(吃音きつおん):痰気鬱結の処方の抑肝散加陳皮半夏を使うが、半夏厚朴湯では治らない。

どもりに抑肝散加陳皮半夏。

半夏厚朴湯:理気化痰:化痰の半夏が主薬:半夏6 厚朴3 茯苓5 生姜4 紫蘇葉2:肝鬱痰飲・気滞の薬:竄痛ざんつう、浮腫があるときの薬。

肺は呼吸を正常に調える作用があるが、息切れは、肺の直接の作用ではなくで、肝の具合が悪くなると息切れがひどくなる。つまりイライラで喘息発作は起きやすいので、肝鬱に脾虚の薬を必ず併用する。

六君子湯合抑肝散、

六君子湯合小柴胡湯・

柴朴湯。

甲状腺機能亢進症・咽の癭瘤:加味逍遙散合半夏厚朴湯。

あるいは癭瘤に抑肝散加陳皮半夏合半夏厚朴湯を用いる。

125.腹部動悸が胸に衝き上げてくる(苓桂甘棗湯)、易怒、大便秘結、倦怠感、食欲不振、呑酸嘈雑、不眠31歳の婦人、月経正常。

抑肝散加陳皮半夏10日分で安眠。1カ年で完治。「肝木が虚して痰火の甚だしい証」。「漢方診療三十年」大塚敬節

苓桂甘棗湯りょうけいかんそうとう:不安感・腹部からヒステリー球が胸や咽につき上がる奔豚気の薬。苓桂朮甘湯の白朮の代わりに大棗が入っている。苓桂朮甘湯では代用できない処方:傷寒論:

茯苓6 桂枝4 大棗4 甘草2。

苓桂朮甘湯:傷寒論:温陽化気・培中滲湿法:茯苓6 桂枝5 白朮5 甘草2:中焦陽虚、水飲内停、胸脇支満、目眩、のぼせの者を治す。また心悸、気短、吐痰清稀などの証を治す。

滲湿しんしつ:滲とは濾過するの意味。滲利、滲泄、滲透などはすべて滲出濾過させ、湿気等が停まらないようにすること。

生姜+大棗・桂枝+大棗:辛甘化陽。

桂枝加桂湯:桂枝湯の桂枝は倍量。寒による奔豚(動悸・不安感・腹痛)を生じ、奔豚気は少腹より昇り心に至り腹痛する(陽虚が原因で寒が昇ってくる、裏寒の水逆もある):調和肝脾。桂枝は温中降逆の作用。

桂枝、衝逆(上逆)を治するを主どるなり」吉益東洞「薬徴やくちょう」。

抑肝散加半夏陳皮:肝陽化風(のぼせ・目渋)に平肝熄風・補気血:釣藤鈎3(後煎して煮過ぎない)、柴胡2、当帰3、川芎3、白朮4、茯苓4、甘草2、半夏、陳皮。

筋惕肉瞤キンテキニクジュンで

痰飲が原因の場合:苓桂朮甘湯・胃苓湯・半夏厚朴湯・当帰芍薬散。

肝風と痰飲によるものは抑肝散加陳皮半夏。

124.脳出血後後遺症。左半身が不自由になった。易怒、手の振戦、足もつっぱりうまく歩けない。抑肝散(大柴胡湯)で、安眠、ひとりで歩けるようになった。「漢方診療三十年」大塚敬節

大柴胡湯:肝胆の火が上攻した頭痛、肩こり、耳鳴、耳聾、眼目の雲翳ウンエイ・赤眼疼痛、発狂、脳卒中後の肝火上炎、動悸・肩こり・易怒、及び胆胃不和による嘔吐不止、心下急痛、胸脇痞硬痛などの証で、口苦、舌紅、舌苔黄:柴胡6 黄芩3 白芍3 半夏4 生姜4 大棗3 枳実2 大黄1g(上腹部の脹り・苦満)。。

123.クル病、三歳でも座れない。癇が強く機嫌が悪く、風邪をひきやすい。抑肝散で半年で歩くようになった。「漢方診療三十年」大塚敬節

122.8歳のチックの少女。大声で夜わめく(トゥレット症)。ストレスで不眠。抑肝散加厚朴芍薬、二週間でやや良い、三ヶ月、七ヶ月で完治。「漢方診療三十年」大塚敬節

トゥレット症:1年以上にわたって運動チックと音声チックの両方がみられる。

121.脳腫瘍の疑いの頭痛、気が短い10歳の少女。抑肝散で頭痛・膝痛が二週間、三週間、二ヶ月で完治。「漢方診療三十年」大塚敬節

精神的な緊張によって起こる動悸はすべて苓桂朮甘湯の適応である。

苓桂朮甘湯は、あがらないための薬でもある。吃音きつおん(どもり)(本来は抑肝散)や赤面症(のぼせ)にも苓桂朮甘湯を使う。

どもりになど、緊張するとどもる人は半夏厚朴湯では治らず、

抑肝散加陳皮半夏・苓桂朮甘湯を使うが、これも痰気鬱結の薬である。

肝気鬱結による「ため息」は柴胡桂枝湯・逍遥散・加味逍遙散・抑肝散・半夏厚朴湯・柴胡加竜骨牡蠣湯の適応である。

肝火や肝陽上亢の人は、肝風内動や脳卒中に注意すべきである。

肝陽上亢:天麻鈎藤飲・加味逍遙散・柴胡加竜骨牡蠣湯・抑肝散。

肝火:竜胆瀉肝湯・大柴胡湯。

肝風内動(脳卒中の症状に似る):頚項部の強直・眼瞼や口唇や舌・手指のふるえ・言葉がつかえる・四肢麻木・手足の痙攣・意識障害など:平肝熄風・育陰潜陽:柴胡加竜骨牡蠣湯・羚羊角湯・大定風珠。

イライラの状態では加味逍遙散や抑肝散が適応するが、長引くと心血の栄養不足や心陰虚になり、その症状には帰脾湯(心脾両虚・気血両虚)や天王補心丹(心腎陰虚)・酸棗仁湯(養心安神・清熱除煩)を使う。

心脾両虚の精神不安:帰脾湯:精神不安・動悸・不眠・食べ過ぎなくても胃もたれ・食後嗜眠・面蒼白あるいは萎黄。

日本は湿気が多いので、抑肝散や四君子湯に半夏陳皮を加える方がよく、

抑肝散加陳皮半夏・六君子湯とする。

半夏・陳皮は行気・化痰作用で痰飲を去る。

物音やつまらないことで驚きやすく、汗が出て、神経が過敏になるを呈する場合もあり、その際のチック病は桂枝加龍骨牡蠣湯の適応である(肝風によるチック病は抑肝散加陳皮半夏)。

心腎不交は、心陽偏亢・心腎陰虚の一種:心気が不足して小腸の伝送が度を失い尿が自然に出る(遺尿):心腎不交(桑螵蛸散・天王補心丹・黄連阿膠湯・桂枝加竜骨牡蠣湯・柴胡加竜骨牡蠣湯)。

抑肝散加陳皮半夏:お皿同志がぶつかるカチャカチャした高い音が耳障りな時に、一服で耳障りな感覚が治まる。

肝陽上亢のめまいは抑肝散加陳皮半夏・加味逍遙散・天麻鈎藤飲加減。

数学の試験問題を緊張して臨むと頭痛・眼痛になったり、緊張する会議で頭痛・眼痛が生じる状態が肝鬱で、緑内障になる場合もある。頭痛・眼痛が脹って痛む時半夏厚朴湯や症状が強い時は抑肝散加陳皮半夏・抑肝散加陳皮半夏合平胃散を使う。

半夏厚朴湯:痰が重症になると、手足が震え、声がでなくなり、足がガクガク震え、物を持っていてもそれが見えない(認知症にもつかえる)。

半夏厚朴湯は「どもり」には効かない(抑肝散加陳皮半夏をどもりに使う)。

580:腎陽虚の神経痛:冷えた患部に八味丸を使う場合、冷えると悪化し、疲れると痛くなる虚証に使う。八味丸は、附子が足らないので増量するが丸剤でないと効かない。八味丸や当帰芍薬散は、おちょこ一杯の焼酎・日本酒を水で割って服用。。

五積散:寒いと小便頻数になる人の神経痛・腰痛・手の痛み(葛根湯)には桂枝加朮附湯や五積散をつかうがほとんどは五積散である。五積散は患部に熱感が無い神経痛に使う。

563:神経痛の原因:

1,外からの外邪である風邪・寒邪・湿邪が同時に侵入して生ずる。

2,外から熱邪が侵入、或は体内に生じた熱が停滞する。

3,もともと痰飲がある人の体が冷えて神経痛や腫れが生ずる。

563:神経痛の原因:痛みの生ずる「その場所の正気が不足」しているために、外邪の侵入や邪の停滞が生じる。神経痛やリウマチの処方には少しだけ正気を補う薬物が入っているが、多いと悪化する場合がある。

「湿邪による神経痛」に桂枝加朮附湯はあまり効かないが平胃散を加えるとだるさ痛みがすぐ取れる:桂枝加朮附湯合平胃散。

夜間悪化は瘀血の特徴。切り傷や刺し傷、帯状疱疹の痛みが夜中に悪化する。腹痛や胃痛が夜中の悪化も、夜中の胸の痛みは桂枝茯苓丸ではなく

折衝飲・血府逐瘀湯・補陽還五湯を使う。

補陽還五湯:気虚・血虚・瘀血の脳卒中後遺症・心筋梗塞・高次脳機能障害:代用処方は十全大補湯合血府逐瘀湯:益気活血・和営通絡:黄耆40 当帰3 赤芍3 川芎3 桃仁2 紅花3 地竜3:脳卒中を悪化させるので適用には気虚が必ず必要。

独活寄生湯:千金方:袪風湿・散寒・補気血・益肝腎・活血止痛:独活2 防風2 桑寄生4 秦艽3 杜仲3 熟地黄5 白芍4 当帰3 牛膝3 川芎2 茯苓3 党参3 細辛1 肉桂0.5(沖服) 炙甘草1g。

イライラして体がふらつくとか、怒ると何となくふらつくという眩暈も有(肝陽上亢・肝火上炎:加味逍遙散・大柴胡湯・抑肝散加陳皮半夏・竜胆瀉肝湯)。

肝気鬱結で癭瘤がある:抑鬱感・胸脇苦満・脈弦+喉部両側の軟腫瘤が嚥下運動で上下する:理気化痰・消癭:海藻玉壺湯・抑肝散加陳皮半夏・加味逍遙散合半夏厚朴湯。

抑肝散加陳皮半夏:小児 至いたって虚弱なる者は、面色並并ならびに身体色至て白く、少し許ばかり怪我しても血出ぬ者、此 血不足之証也。

抑肝散加陳皮半夏:元来は乳児のひきつけ、むずかり、夜泣き、歯ぎしりに対して用いられ、「子母同服」とあることから母親の影響が大きいことがわかる。

緑内障に抑肝散加陳皮半夏あるいは合平胃散や合真武湯、合四物湯が効く。

緑内障に抑肝散加陳皮半夏合平胃散

緑内障に抑肝散加陳皮半夏合真武湯

緑内障に抑肝散加陳皮半夏合四物湯

肝陽上亢のめまいは抑肝散加陳皮半夏・加味逍遙散・柴胡加竜骨牡蠣湯。

柴胡加竜骨牡蛎湯:頭が痛い・重い、のぼせ、眩暈、耳鳴り、肩こりなどを訴える。頭が重く足が軽く、まるで雲の上をあるいているようだという。常習性頭痛、高血圧症。

柴胡加竜骨牡蛎湯は、本来、傷寒(カゼ)の少陽病の七症に適応する方剤であるが(傷寒論の少陽病)、今日では、肝陽上亢・肝風内動の方剤として広く応用されている。

精神抑鬱の肝鬱で、顔が赤く・目が充血し(肝陽上亢)、何かの加減でパッと顔が赤くなり(肝火上炎)、手足がほてる(手足の冷えがない人・冷え症が強くない人)は、加味逍遙散である。冷え症の肝鬱には逍遙散とする。

抑肝散加陳皮半夏:抑肝加芍薬 本方芍薬なし。甘草分量も亦少し。

按ずるに此薬 専ら肝気を潤し緩むるを以て主とす。

抑肝散加陳皮半夏:イライラをともなうことが適応の条件。

ストレスでむくんだり、めまいや動悸・癲癇が起こる時につかう。

癭瘤に抑肝散加陳皮半夏を用いるが、理気消癭で海藻玉壺湯なども用いる。

海藻:ホンダワラ科馬尾藻などの全草:苦鹹寒:肝胃腎経:消痰結・散癭瘤:甲状腺腫に使用:海藻玉壺湯加減:海藻3 浙貝母3 連翹2 昆布3 法半夏2 青皮1 海浮石3 当帰2 川芎1 海帯3g水煎服。

加味逍遙散と当帰芍薬散と抑肝散加陳皮半夏で、円形脱毛症が治った外国腎の中年女性は夜もよく眠れるようになった。

抑肝散加陳皮半夏を不眠に使う場合は、ストレスがこもるタイプの人の不眠に使い、頭がカッカする不眠(肝火上炎:加味逍遙散・竜胆瀉肝湯)には効果がない。

筋惕肉瞤で痰飲が原因の場合:苓桂朮甘湯・平胃散合五苓散(胃苓湯):

肝風によるものは抑肝散加陳皮半夏。

抑肝散加陳皮半夏;生活環境が変わったり、学校の担任の先生が変ったり、試験の前など、精神的な緊張・興奮から発熱・痙攣することがあるQT延長症候群。