桃核承気湯
桃核承気湯:傷寒論:瀉熱逐瘀法:下焦蓄瘀:
桃仁3 大黄5 芒硝3(後下) 甘草3 桂枝3g:
下焦蓄瘀、少腹脹満、大便色黒、小便自利、譫語煩渇、夜に発熱、狂人の如く、血瘀経閉、痛経、歯痛。
少腹:臍から下の両脇腹・足の付け根に近い部分から脇腹までをさす:下腹部の両側は足の厥陰肝経が通る:ここの脈打つ痛みには桂枝茯苓丸・銀甲丸を使う。下腹の中央は小腹。
桂枝茯苓丸の治する癥塊チョウカイは血瘀と痰湿が滞り生ずる癥塊である:
桂枝 茯苓 牡丹皮 桃仁 赤芍等分を末として蜜丸を作り毎回3g服す。
桃核承気湯の証は、瘀熱が互いに結合し、下焦に蓄血した病理である。
瘀血と熱が結合して下焦における流れを阻めば、渋滞して「少腹は脹満」する。
下焦に血蓄するが膀胱にはまだその影響はなく、それゆえ「小便はよく出る」。
血が熱迫して腸間に滲み出るので便に従って下り「大便の色が黒」くなる。
熱が血分(陰)に在り、気分(陽)にはないので、陰が盛んになる夜に至れば発熱し、熱が上って心を乱すので意識は乱れ、譫語して狂状を呈す。
桃核承気湯の瘀熱互結・血蓄下焦の証に対して、桃仁は活血袪瘀の効果があり主薬である。大黄と芒硝は行血袪瘀、瀉熱破結の効果があり、此の二味と甘草を同用するとこれは調胃承気湯となる。
調胃承気湯の作用は、主に胃気を調和させることにあり、瀉下は二次的なものである:熱結腸道の但熱不寒:大黄2 芒硝1 甘草1g。
桃核承気湯は調胃承気湯を基礎として、その瀉熱逐瘀作用だけでなく、
その瀉下作用によって瘀熱を導き排便させる。
桂枝は血脈を通じさせる作用で瘀血を散じ、芒硝と大黄を一緒に用いることで桂枝の温性は去り活血の作用が残るので、桂枝を桃核承気湯に配合して活血袪瘀作用を増強している。
桃核承気湯の用途は比較的広く、たとえば跌打損傷(打撲傷)で、瘀血停留して疼痛のために寝返りできず二便がしぶる者を治す(更に大黄を増量して下利を誘発すると効果が増す)。
桃核承気湯は、火熱が上攻して目赤・歯痛する者を治す。
桃核承気湯は、血熱妄行して吐血が紫色を呈するものを治す。
或は月経不調で月経が早くきて痛み(月経先期)、或は血瘀により月経が止まり、或は産後悪露が完全に下らず、臍腹さいふくが大に痛むなどの証に皆応用できる。
血熱(妄行):血分に熱があり症状は、出血傾向となり、吐血・衄血(鼻血)・喀血・便血・尿血・斑疹・午後の発熱。月経先期(月経が早く来ること)、脈弦数。または出血・貧血に伴う発熱。
血熱妄行の特徴:出血量が多く、鮮紅~紫黒色。他の症状として紅色の斑・発疹の出現、全身症状として焦燥感・口渇・舌質紅絳・脈数などの熱証を呈し、重篤な場合は意識障害がみられる。
血熱妄行の 三黄瀉心湯:清熱涼血:心火旺・血熱妄行・肝胆湿熱・脾胃湿熱・熱盛:大黄3 黄連3 黄芩3g:のぼせ・胃熱があり口内や口唇のびらん腫脹・食欲旺盛の人に用いる。
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