2026/5/25~26
出血の処方の口訣集
出血に使う処方:芎帰膠艾湯・帰脾湯・黄連阿膠湯・三黄瀉心湯・黄連解毒湯・鹿角膠・阿膠・独参湯・生地黄。
手術前に出血予防のために、食欲がなければ十全大補湯でもよいが、
補中益気湯ではのぼせて鼻血や頭部の出血が一気にひどくなるので、
帰脾湯・独参湯がよい。
脳出血・鼻血(衄血ジッケツ)の時には補中益気湯は飲ませてはいけない。
鹿角膠ろっかくきょう:鹿角を煎じつめたにかわ:甘鹹:
滋養・止血・止痛:陽虚の再生不良性貧血・不正性器出血・吐血。
帰脾湯:脾不統血・不安感のある気血両虚:機能性子宮出血、痔出血、血小板減少性紫斑病、過敏性紫斑症、血友病・白血病などの症状の者に用いる。また薬剤使用による白血球減少や全血成分の低下に用いることができる。
帰脾湯:補脾・養心安神・摂血し出血防止:心脾両虚・心血虚:不安感・動悸・不眠・不安感のある気血両虚に:黄耆2 人参3 白朮3 当帰2 茯苓3 竜眼肉3 酸棗仁3 遠志2 炙甘草1 木香1 大棗2 生姜1g:赤字は不安感の生薬。
脾は「統血」機能があるので、「脾不統血ひふとうけつ」では血便・血尿・衄血じっけつ(鼻血)・不正性器出血・皮下出血・脳出血などは、脾気虚のため摂血できず、出血傾向となる:帰脾湯(心脾両虚・気血両虚)を使う。
気鬱のあざ:気鬱では、ぶつけた憶えが無いのに腕・足にあざができるのはすべて気鬱のあざであり半夏厚朴湯・逍遥散・当帰芍薬散を使う。
帰脾湯のあざは、心脾両虚が原因で気鬱ではない。疎経活血湯(瘀血と血虚)も適用。
半夏厚朴湯:理気化痰・肝鬱・痰飲・赤面症(痰が原因):緊張で手や体や声が震えるのは肝鬱気滞によるので半夏厚朴湯:半夏6 厚朴3 茯苓5 生姜4 紫蘇葉2。
逍遙散:肝気鬱結・血虚・脾虚・湿邪:衝任不調:人参と大棗・黄芩は無い。柴胡3 白芍3 当帰2 白朮3 茯苓3 生姜3 炙甘草2 薄荷1g。
当帰芍薬散:肝血虚・脾虚湿滞:当帰3 白芍4 白朮4 茯苓4 沢瀉4 川芎3:過敏性大腸炎:過敏性大腸炎は真武湯も適用:当帰がもたれる脾虚の人もいる。
「白朮+白芍」の組合せは、お腹の痛みを止める薬であるので、過敏性大腸炎に使える:真武湯・当帰芍薬散・逍遙散。
気虚の月経の出血には帰脾湯を使う。
疎経活血湯:袪風湿・補血・活血化瘀:四物湯 + 蒼朮 茯苓 桃仁 牛膝 防已 威霊仙 羗活 防風 白芷 竜胆草 陳皮 生姜 甘草:疎経活血湯は、天気が悪くなると、夜とても痛む固定痛の刺痛。
黄連阿膠湯の「黄連+黄芩」:上焦の熱証を治し、
これから生ずる精神症状や各種出血の血症に有効。
黄連阿膠湯:心腎不交:黄連3 黄芩2 白芍3 阿膠3 鶏子黄1個:動悸・胸悶し煩躁・熱感やのぼせで不眠・各種出血:鼻衄・不眠症・かさかさ皮膚炎・皮膚の痒み:胸悶し居ても立ってもいられない状態。
三黄瀉心湯は、顔面紅潮、のぼせ、めまい、イライラ、不眠などの患者で、便秘の傾向で、みぞおちにつかえのあるものに用いる。
諸種の出血、高血圧症、神経症、常習便秘、胃炎、胃潰瘍、脳出血などに用る。
清熱涼血の法:三黄瀉心湯(心火旺・血熱妄行で出血傾向・肝胆湿熱・脾胃湿熱・熱盛)。
脾に影響がおよぶと種々な精神異常が出てくるので
治療には脾の薬を使う。帰脾湯、逍遙散、柴胡桂枝湯。
胃熱からの精神異常には大柴胡湯・三黄瀉心湯などである。
三黄瀉心湯:大黄3 黄連3 黄芩3g:
清熱瀉火・解毒・化湿(乾かす)・瀉下・止血には冷服する。
三黄瀉心湯は、のぼせ、不安感などがあって出血する者にもちいるが、出血しているときは、冷服がきまりである。温服すると悪化する。
配合されている大黄は瀉下よりも、炎症や充血を冷ます目的である。
出血で動悸・不眠など「心神不寧しんしんふねい」には:遠志・酸棗仁・丹参タンジン・竜眼肉・茯神・朱砂・磁石ジセキ・夜交藤ヤコウトウなどの養血安神薬(帰脾湯・酸棗仁湯・天王補心丹・人参養栄湯・独参湯)などを配合する。
夜交藤(タデ科何首烏かしゅうツルドクダミの蔓茎:安神・養血活絡)。
出血がつづき血虚には:生地黄・阿膠(芎帰膠艾湯など)・帰脾湯を配合することが多い。
血府逐瘀湯:医林改錯:活血袪瘀:瘀血内阻:頭痛・胸痛・心前部胸悶、失眠多夢・心悸怔忡・急躁易怒・脇肋疼痛、月経不調、血灌瞳神、暴盲、血瘀久しき者:瘀血があると新血が生ぜず出血が止まらない。
熱毒入血:出血、瘀斑、口渇不欲飲、舌絳無苔ぜつこうむたい。
348.痔が痛んで出血する43歳の男子(芎帰膠艾湯)。
芎帰膠艾湯:補血止血・調経安胎:(阿膠3・艾葉3+四物湯)
阿膠3・艾葉3・炙甘草3+当帰4・芍薬4・川芎3・干地黄6。
漏下(子宮出血)、腹中痛、及び吐血・下血する者を芎帰膠艾湯は治す。
漏下ろうげ:不正性器出血。月経でもないのに出血し、淋瀝して止まないことをいう。とくに余り出血量の多くないものを指す。
血便が止まないが、腹満熱実症はなく、ただ腹中攣痛して唇舌乾燥する者に、芎帰膠艾湯は時に効果がある。
肝陽は昇動しやすいので、のぼせ・めまいを生じ易く、脇痛・胸脇苦満(少陽病の七症)・黄疸(肝胆湿熱)・出血傾向(血を蔵す機能の失調:鼻衄・脳出血)・けいれん(肝風内動)。
出血が長期・慢性に続き瘀血を呈する時:適宜に活血薬を加える:
四物湯・血府逐瘀湯・桂枝茯苓丸・折衝飲・補陽還五湯・冠心二号方・通導散。
肝火上炎で蔵血機能が失調すると、喀血・吐血・鼻出血や月経過多などが生ずる。怒りや悲しみのあまり喀血・吐血・衄血するなどという現象がみられる。
肝火上炎の繁用処方は、竜胆瀉肝湯・大柴胡湯・加味逍遙散である。
瘀血が経脈の血の循行を阻塞しているため出血がとまらない時は、
活血化瘀薬の田三七・蒲黄・小薊しょうけい・茜草根せいそうこんが活血と止血に作用する。
血熱の生薬の小薊:キク科アレチアザミの全草または根:甘涼:肝経:涼血・止血:(大薊たいけい:ノアザミの全草・根:涼血・止血・破瘀:熱証の出血・鼻出血・歯齦出血・喀血・血便)。
血瘀の出血:瘀血が脈絡を阻塞し血液の循行を阻滞するので出血が生じやすく、反復して発生する出血が瘀血でよくあらわれ、女性の月経不順や産後によく生じ、出血は紫暗色や凝血塊が多い。
出血には黄連・蒲黄ほおう・側柏葉そくはくようなどを治打撲一方に加える。
蒲黄ほおう:ガマ科のガマの穂の成熟花粉:甘平:肝心包経:収斂止血・活血袪瘀:血淋の常用薬:失笑散:五霊脂 生蒲黄:妊婦には禁忌:因幡の白ウサギの止血に使用:1.5~3g衝服がよい。
側柏葉・側柏:ヒノキ科コノテガシワの若い枝葉:苦渋微寒:肺肝大腸経:涼血止血:熱証の内出血(鮮紅色の出血、口乾、咽燥、脈弦数)に広く用いる。
喀血が止まらない者には鮮茅根せんぼうこん、仙鶴草せんかくそう、鮮側柏葉せんそくはくよう、藕節炭ぐうせつたん を加える。
茅根ぼうこん・白茅根・茅花(花稿):イネ科白茅びゃくぼうの根茎:甘寒:肺胃経:清熱生津・涼血止血:熱証の喀血・鼻出血・血尿に生地黄・山梔子炭・藕節ぐうせつ(レンコンの節)を配合。
仙鶴草:バラ科キンミズヒキの全草:苦涼:肺肝脾経:収斂止血だが効果は弱いので側柏葉・白芨びゃっきゅう・藕節などを配合し、鶴柏湯などで用いる:5~10g。
藕節ぐうせつ(レンコンの節):止血作用で痔の止血など。
白芨:ラン科シランの地下塊茎:苦甘淡微寒:収斂止血・消腫生肌:肺・胃の出血:肺結核の喀血に白芨枇杷丸。