駆瘀血薬の各処方の解説

活血袪瘀法の各処方の比較

活血袪瘀法の処方は、皆　血滞、血瘀の病理への対処する組合せで成っている。これらは活血袪瘀の法という点は共通している。

瘀血で引き起こされる疾患には各々異なった臨床表現があるので、各処方も袪瘀の点では同じではあるが、異なるところもある。

第一に、活用する証についていうと、血府逐瘀湯や膈下逐瘀湯の二方は応用範囲は比較的広く、およそ一般の痛み、心痛、脇痛、腹痛から月経痛、閉経などの証に、瘀血で引き起こされたものに応用される。

温経湯や少腹逐瘀湯は、婦人の虚寒性月経不調や月経痛に使われる。

生化通経湯は、月経のみだれで、早くなったり遅くなるのに使う。

脱花煎は難産に対して、出産を促す力に勝る。

失笑散や生化湯は、産後の悪露がめぐらず、小腹疼痛に対して優れる。

桂枝茯苓丸・鱉甲煎丸・大黄䗪虫丸は、癥塊を消去する古方の処方。

加減活絡効霊丹は、子宮外妊娠の新しい経験方である。

復元活血湯・桃核承気湯・七厘散・跌打丸・接骨丸は、活血し、酒と舒筋活血湯は跌打損傷の証に用いることができる。

加減栝楼薤白湯は胸痹に用いる。

補陽還五湯・小活絡丹は、脳卒中後の後遺症の半身不遂や手足の不仁：知覚の麻痺に用いる。

通竅活血湯は、瘀血の頭痛に用いる。

第二に、各処方の配伍の特徴について、

血府逐瘀湯・膈下逐瘀湯・少腹逐瘀湯・生化通経湯の四方剤は、袪瘀作用の外に、疏肝理気の柴胡、香附、枳殻、小茴香の類が配合され、「気行ればすなわち血行る」の法と、「肝は疏泄条達を喜ぶ」ことに配慮しているのが特徴で、此の種の方剤は月経不調に多用される。

血府逐瘀湯・温経湯・大黄䗪虫丸はの三方は、活血袪瘀の外に、補気血の人参、山薬、地黄、当帰の類が配伍され、補と瀉が一緒で、袪瘀と補法が同じように用いられる方法をとっている。

失笑散と七厘散は、活血の中に止血の生薬が配伍され、活血と止血の両種の対立的治法が特殊な条件下で統一されている。

温経湯・桂枝茯苓丸・少腹逐瘀湯・脱花煎・生化湯は、温法と袪瘀法が併用された配伍形式である。

加減栝楼薤白湯・補陽還五湯・小活絡丹・通竅活血湯の四方は、袪瘀と通絡薬を併用している配伍形式である。

跌打丸・接骨丸は、活血薬と接骨続筋鎮痛薬の併用の配伍形式である。

鱉甲煎丸は、行気、活血、袪瘀、行水、軟堅散結、寒熱共用で攻補兼施の各方が合併応用されている。

上述の各種の配伍形式は、証に随って立法する際の助けとなるものである。