帰耆建中湯の口訣集

2026/9/25

帰耆建中湯の口訣集

気血両虚の足痛に帰耆建中湯:気血双補・生肌・緩急止痛・温中補虚:

桂枝4 白芍6 炙甘草2 生姜4 大棗4 膠飴20 黄耆4 当帰4

耆帰建中湯:桂枝加黄耆湯に当帰を加え芍薬を倍したもので、あるいは黄耆建中湯加当帰である。痘瘡・諸瘡瘍の内托剤とす。華岡青洲が好んで使用した。

内托(托法):内服薬で瘡瘍を治療する三大治法の一つ。気血を補益する薬物を用いて、正気を扶け托毒外出させて毒邪の内陥を防ぐ方法。

托毒:毒を押し出すこと。

帰耆建中湯:腰や背中の痛み。疲れると、すぐに腰や背中が痛くなり、居動作に困難を覚える:のばせばのびる腰まがりの処方の治療薬(独活寄生湯合小建中湯も適用する)。

清湿化痰湯は痰湿邪が経絡に停滞して筋骨の疼痛を起こしている状態で、疼痛部位は全身であるが、独活寄生湯は、肝腎両虚なので疼痛部位は腰や下肢という下焦に集中している。

帰耆建中湯:小児の虚弱体質。疲れ易く元気がない。すぐにカゼをひいてしまう(補中益気湯・小柴胡湯・参苓白朮散・真武湯・・風邪をひきやすい体質を改善する)。

帰耆建中湯:小児の虚弱体質:小児のヘルニア:脱腸だっちょう。

帰耆建中湯:小建中湯に当帰・黄耆を加えたもので、

十二指腸潰瘍の空腹時の腹痛や

婦人の産後腹痛や小腹拘急しょうふくこうきゅう、

痛みが腰背におよぶなどの虚寒の者の症状に用いる。

四歳で血便が1カ年続いている(帰耆建中湯)「漢方診療三十年」大塚敬節

中耳炎

黄耆は皮膚の締まりをよくし、強壮の効果があり、桂枝加黄耆湯や黄耆建中湯(帰耆建中湯)で、中耳炎で長い間、膿のとまらないものをとめたことがある。

黄耆建中湯の使用目標:慢性の腹痛・皮膚炎・疲労倦怠感・アレルギー性鼻炎・慢性中耳炎・皮膚潰瘍・床ずれ。自汗・息切れ・冷え・疲労倦怠感など気虚の症状が小建中湯より強い。

帰耆建中湯:慢性中耳炎。長期化して、薄い膿が止まらないも。

黄耆建中湯は、小建中湯に黄耆を加え、皮膚・中耳炎などの潰瘍病や慢性腹膜炎、神経衰弱などに用いることができる。

華岡青洲は帰耆建中湯を化膿性の腫れ物、潰瘍、癰、癤、痔漏などに用いた。

慢性関節リウマチで数カ年寝たきりの42歳の婦人に帰耆建中湯をあたえて、七ヶ月で歩行が出来るようになった。「漢方診療三十年」大塚敬節

結核性の股関節炎に帰耆建中湯をあたえて、疼痛を軽減することに成功した。「漢方診療三十年」大塚敬節

帰耆建中湯:常習性便秘。いわゆる兎糞状とふんじょう とよばれる、コロコロした便のものに適応する(陰虚の高齢者によく使う)。(小建中湯も適応する)。

八仙丸:喘息の腎陰虚の場合(肺腎陰虚)は、緩解期であれば八仙丸であり、普段から飲ませる。八仙丸の代用には小建中湯を使う。

但し、帰耆建中湯では、薬効がすべて上の方に行き、肺に行くが腎には行かない。

帰耆建中湯:二週間で血便に効果あり一ヶ月後には正常便となり血色もよくなった。

帰耆建中湯:強壮、止血、鎮痛、貧血をなおす効果もある。

貧血や出血がひどいときは当帰建中湯に地黄・阿膠を加える。

帰耆建中湯は、脾胃の陰陽両虚、とくに陽虚を補いながら、全身的な気血不足を滋補する。

帰耆建中湯:時として鼻血(衄血じっけつ:鼻衄びじく)を出す。

陰虚すると熱が独行し鼻衄となるため(小建中湯も同じ)。

286.この患者に八味丸を与えたが、一ヶ月ほどで一人で立つことができ、五ヶ月目には自転車にのれるようになった。(註:別の例では、帰耆建中湯で歩けない青年を回復させた大塚の症例がある)「漢方診療三十年」大塚敬節

「金匱要略」に、「虚労裏急 諸の不足、黄耆建中湯之を主る」「内補 当帰建中湯、婦人産後、虚羸不足、腹中刺痛止まず、吸吸少気 或は少腹拘急に苦しみ、痛み腰背に引き、食飲すること能わざるを治す」とあるによって、帰耆建中湯もまた虚労 或は虚羸の状があって、腹直筋の拘攣 甚だしく痛みが腰背に引くものに用いられる。

大塚敬節ケイセツ よしのり 医案

昭和九年十一月のこと、茨城県の山間にある知人の別荘に出かけて、逝く秋の風物に詩情を肥やさんと一泊したことがある。

その時、村の者が数人して戸板に乗せた青年を運んできた。聞けば隣村からわざわざ診察を受けに来たのだという。

診れば痩せた血色のよくない青年で、一人で寝返りさえ出来ない。聞くところによれば病気になってからもうかれこで十年にもなるから、元の身体になることは望まないが、大、小便が人手を借りずに出来るようになれば満足だという。

医者からは脊髄が悪いといわれたそうであるが、私にはその病名が何であるか分からない。

脈は弦でしかも弱である。腹直筋は弓の弦を張ったようになって脊柱はひどく後彎しているので、仰臥することが出来ない。無理に力を入れて進展しようとすれば痛む。大、小便と食欲は普通である。

私はこれに帰耆建中湯を与えたところ、一ヶ月位すると一人で座れるようになり、三ヶ月目には杖をついて歩くようになり、翌年の夏には健康人と同じく、起居動作が出来るようになった。

その後のこの患者の紹介で、慢性の関節リウマチで数カ年床についたきりの四十二歳の婦人にこの湯を与え、七ヶ月の服用で歩行し得るようになった例がある。

これも虚羸という点と、腹直筋の拘攣に目を着けたのである。

また一昨年の四月、結核性の股関節炎の患者にこの湯を用いて、疼痛を軽減することに成功した。

目のつけどころはやはり前の患者と同じである。

「漢方診療三十年」大塚敬節