痹証の実痹の「頑痹がんひ」の治法と方剤
頑痹の治法:「活血化瘀・化痰通絡」を主とし、補腎、養肝、扶正を兼用。
頑痹の方剤:身痛逐瘀湯、大活絡丹、小活絡丹、益腎蠲痺丸。
瘀血薬の身痛逐瘀湯:医林改錯:活血化瘀・通絡止痛・袪風湿:
桃仁3 当帰2 川芎2 五霊脂2 没薬2 牛膝3 秦艽3 羗活3
香附子3 地竜2 甘草1g 黄耆(日本に製品は無く折衝飲合防已黄耆湯加地竜で代用する)。
身痛逐瘀湯:代用処方は、折衝飲合防已黄耆湯加地竜。
折衝飲:活血化瘀・理気止痛:寒帯肝脈:
当帰5 赤芍3 桃仁5 紅花2 牡丹皮3 川芎3 桂枝3 牛膝3 延胡索3(すべて袪瘀作用の生薬)。
五霊脂:オオコウモリ科オオコウモリの糞便乾燥物:鹹温:肝経:
袪瘀止痛、生では活血、炒用では止血:婦人科で多用。失笑散。
秦艽じんぎょう:リンドウ科秦艽の根:袪風湿・退黄疸・除虚熱。
羗活きょうかつ:セリ科羗活の根や根茎:辛苦温:
散寒燥湿・解表・袪風湿・止痛;羗活は風邪薬によく配合される:
荊防敗毒散・蠲痺湯・大防風湯に配合。
湿に偏する場合は防已・蒼朮・生米仁(薏苡仁)・蚕砂さんしゃを加える。
防已黄耆湯は、風邪と湿を同時にとる処方。風邪は風が吹くと症状が悪化し、風邪の性質として痛む部位が移動するし、湿邪は体が重だるいし、黄耆が入っているので汗をかなりかく人に使える。
身痛逐瘀湯:医林改錯:活血化瘀・通絡止痛・袪風湿:
桃仁3 紅花3 当帰3 川芎2 五霊脂2 没薬2 牛膝3 秦艽3
羗活3 香附子3 地竜2 甘草1g+黄耆10~20。
身痛逐瘀湯:活血化瘀・化痰通絡・袪風湿:打撲・リウマチ・関節炎・肩関節周囲炎・座骨神経痛・腰痛症など。
身痛逐瘀湯は、痹痛が長引いて「痰瘀互結」し、疼痛の続くものに良い。
身痛逐瘀湯の配合薬の、
桃仁・紅花・当帰で活血化瘀。
五霊脂・地竜で袪痰通絡。
川芎・没薬・香附子で理気、活血、止痛する。
羗活、秦艽で袪風湿
牛膝で強筋骨する。
小活絡丹:風寒を温散し痰瘀を去る。袪風、活血、散寒、清熱および扶正などの薬味が多い:痛みを長く病んで絡に入った患者に用いる。
小活絡丹:聖済総録せいさいそうろく:活血通絡・除湿袪痰法:
制川烏 制草烏 地竜 製南星 各180g 乳香 没薬 各60gを細末とし煉蜜で丸を作り1gとし毎時1丸、毎日1~2回服用。
益腎蠲痺丸は、標と本を兼顧する処方である。
益腎蠲痺丸えきじんけんぴがん:生地黄・熟地黄・当帰・仙霊脾(淫羊藿)・鶏血藤・鹿銜草・尋骨風、虎杖・全蝎・蜈蚣・烏稍蛇(白花蛇)・露蜂房・地鱉虫(䗪虫)・蟷螂・白僵蚕。
益腎蠲痺丸の、生地黄・熟地黄・当帰・仙霊脾(淫羊藿)・鶏血藤は、養血・活血する。
益腎蠲痺丸の、鹿銜草ろくがんそう、尋骨風、虎杖は、袪風湿。
益腎蠲痺丸の、全蝎・蜈蚣・烏稍蛇(白花蛇)・露蜂房・地鱉虫・蟷螂・白僵蚕などの七味の虫類で活血化瘀して袪邪し絡を通じている。
銜:呉音ガン、漢音カン:くつわ、ふくむ、口にくわえる。
鹿銜草ろくがんそう・かかんそう:六、七月頃、白梅に似た白い花をつける:風湿を除き、筋骨を強壮し、風湿による痺痛や関節痛、腎虚による腰痛、腰や膝の力の弱さ月経過多、長引く咳や労咳の治療に用いられる。2
尋骨風:全草を用いる。性平、味苦,袪風湿,通経絡、止痛,胃痛、筋骨痛等に用いる。
虎杖・虎杖根こじょうこん:イタドリ:緩下薬、利尿薬、通経薬、じんま疹。
益腎蠲痺丸は、頑固な痹痛で、長く病み、一般の袪風、散寒、燥湿、通絡薬では効果が無く、すでに瘀血が絡に入り、血虚、腎虧に陥ったものに比較的著しい効果を発揮する。
大活絡丹:「蘭台軌範」:扶正袪風・活血止痛・化痰通絡:白花蛇・烏稍蛇・威霊仙・両頭尖・草烏頭・天麻・全蝎・何首烏・亀板・麻黄・貫衆・炙甘草・羗活・肉桂・藿香・烏薬・黄連・熟地黄・大黄・木香・沈香・細辛・赤芍・没薬・丁香・乳香・白僵蚕・安息香・黒附子・黄芩・茯苓・香附子・玄参・白朮・防風・葛根・虎骨・当帰・血竭・地竜・犀角・麝香・松香(松脂)・牛黄・竜脳・人参 以上49味の粉末を蜜丸1gとして1回1丸を服用する。
大活絡丹の処方構成
大活絡丹:補気:人参・白朮・茯苓・炙甘草
大活絡丹:補血滋陰:熟地黄・当帰・何首烏・亀板
大活絡丹:温陽:附子・肉桂
大活絡丹:袪風散寒:麻黄・羗活・細辛・防風・草豆蔲
大活絡丹:袪風解痙止痛:白花蛇・烏稍蛇・白僵蚕・全蝎・虎骨・葛根
大活絡丹:袪風湿・止痛:威霊仙・両頭尖・骨砕補
大活絡丹:活血通絡:地竜・血竭けっけつ・乳香・沈香・烏薬・赤芍
大活絡丹:芳香透絡:麝香・竜脳・松脂・安息香
大活絡丹:袪痰熄風:天南星・天麻
大活絡丹::清熱解毒:黄芩・黄連・牛黄・犀角・貫衆・大黄
大活絡丹:気機を通暢:藿香・木香・香附子・青皮・丁香・白豆蔲・
大活絡丹:「頑痰熄風、熱毒瘀血、経絡に入れば、この方にあらざれば透達することあたわず、およそ肢体の大証を治するに、必ず備うるの薬なり」といわれている。