2026/9/3~4
六味丸の口訣集
六味丸:滋補肝腎・清虚熱・利湿:三補三瀉:
八味丸から六味丸が出来た:八味丸の桂枝・附子を除いたものである:
地黄 山茱萸 山薬 沢瀉 茯苓 牡丹皮。
六味丸:滋陰補腎・瀉火:腎陰虚・火旺:腎精不足・虚熱の病態:熟地黄24 山茱萸12 山薬12 沢瀉9 茯苓9 牡丹皮9gの粉末を蜜丸にて1日3回1~3gを服用。水煎服用も可。
腎陰虚:めまい・耳鳴(腎は耳に開竅している)・咽乾や口乾・体の熱感・腰重・遺精・寝汗・脈細数・舌質偏亢:六味丸の加減。
「腎は先天の本」「腎は骨を主り髄を生ず」「腎は髄を生じ脳は髄の海(髄海)」「腰は腎の府」「腎気は耳に通ず」「腎の竅(穴)は耳たり」「歯は骨の余たり」「腎は水液を主る」。
腎精不足:腎精不足で骨弱・腰弱になると腰や膝がだるく無力で痛み、かかとも痛む。「踵部の痛み」には発赤・腫脹・熱感などは無い。
脳髄(髄海)が空虚:頭のふらつき・めまい感・健忘がみられる。
「尿の貯留と排泄」は腎気の統制下にあり、腎精不足では腎気の失調で尿後余瀝や失禁する。
加藤謙斎は、小便余瀝の者に清心蓮子飲を用いる。(小便余瀝:排尿後もたらたらと漏れる症状:清心蓮子飲や補中益気湯を用いる)「漢方診療三十年」大塚敬節。
清心蓮子飲:和剤局方:益気滋陰・清心火・利水:陰虚火旺:尿後余瀝:蓮子4 人参3 黄耆2 茯苓4 炙甘草2 麦門冬4 黄芩3 地骨皮2 車前子3g。
蓮肉レンニク・蓮子:清心益腎・健脾止瀉・益腎固渋と収斂(清心蓮子飲)・鎮静・軽度の滋養・清心火(不安感に)・清熱・心腎不交(黄連阿膠湯)。
心腎不交:天王補心丹(心腎陰虚)・黄連阿膠湯(心腎不交)・生脈散合黄連阿膠湯・桂枝加竜骨牡蠣湯・柴胡加竜骨牡蠣湯・桑螵蛸散。
心腎不交の症状:煩躁・睡眠時不安・不眠・多夢・動悸・煩熱・口乾・尿が濃い・夢精(黄連阿膠湯・生脈散合黄連阿膠湯・天王補心丹・
桂枝加竜骨牡蠣湯・柴胡加竜骨牡蠣湯・桑螵蛸散)。
黄連阿膠湯:黄連3 黄芩2 白芍3 阿膠3 鶏子黄1個。
水液の気化と蒸謄は腎気が行っている:腎の精虚で気化・蒸謄が衰えると、水液を津液に化したり、口へ上承できないため「口渇」が現れる。
ひどくなると飲んでも癒されないはげしい口渇となる「消渇」(糖尿病の口渇など)が引き起こされるが、糖尿病の口渇に六味丸が効果がある場合があるが「陰虚のため痩せる糖尿病」が適用である。。
激しい口渇には白虎加人参湯(清熱瀉火・生津止渇・補気:気分熱盛:「陽明経証」)も効果があるが、食欲があり「痩せない糖尿病」に適用する。
白虎加人参湯:清熱瀉火・生津止渇・補気:気分熱盛:陽明経証に用いる:生石膏15 知母5 生甘草2 粳米8こうべい 人参3:消渇病の多飲・大汗・多尿で体重減少が少ない人の糖尿病(つまり陰虚ではない人)
腎精不足で陰液が陽気を制約できないと:陽気の相対的有余となり「虚熱や陽亢」となる。
虚熱により内熱が盛んになると:身体の熱感・手の平や足の裏のほてり(手足心熱)や「五心煩熱」となる。心は中心で真ん中という意味。
五心煩熱;五心:掌心・足の裏の足心・胸の五カ所に煩熱のある症状。
肝陽が亢進し疏泄が過度になると:腎の封蔵に勝り、遺精や夢精などの腎精不固が生じる。
心陽がたかぶると、不眠・咽乾・舌痛などが生ずる。
生脈散合天王補心丹(心腎陰虚・心気陰両虚による舌痛症・不安感)
陰虚では、「衛気が裏に入る夜間の睡眠中」には内熱が強くなって津液を外迫するので「盗汗(寝汗)」があらわれる。
衛気えき・・陽気の一部で脈外をめぐり迅速にして滑らかに臓腑や肌表腠理のいたるところを温養し温潤し肌表を衛り汗腺を開閉し外邪に抵抗するので衛気という。桂枝は衛気を調整する
陰津不足のため、舌苔は少なく、脈は細である。
なお、「先天不足の小児(発達障害)」では、精虚のため骨・髄・脳の正常な発育ができないので、歯遅・行遅・智遅・語遅・泉門閉鎖遅延などの「五遅」が生ずる:六味丸や小建中湯の適用。
腎虚の腰痛で陰虚には六味丸を使うが、食欲がなければ小建中湯である。陽虚でも食欲がなければ八味丸ではなく小建中湯である:食欲がないのに八味丸を使うといずれの症状も悪化するので食欲の無い陽虚には真武湯を使う。
六味丸は、腎・肝・脾を倂補しつつ、腎陰を補うことが主体である。
六味丸は、陰虚火旺に対しては通常は知柏地黄丸を適用するが、六味丸も滋陰して清熱を補助とした「水の主を壮んにし、もって陽光を制す」配合でもあり陰虚火旺に使う。
肺癌の肺腎陰虚:六味丸・生脈散・百合固金湯・八仙丸。
肺癌の肺腎陰虚:肺陰虧損で乾咳無痰・痰少・喀出困難、陰虚火旺で喀血、胸悶気短、腎陰・陰液不足で心煩口渇、陰虚内熱で潮熱盗汗、午後頬紅、嗄声、舌紅舌乾、苔薄か光剥、脈細数:六味丸・生脈散・百合固金湯・八仙丸。
生脈散:心肺気陰両虚による息切れ・動悸・脈虚弱・不整脈・胸痛・心臓痛・顔面蒼白。人事不省・冷汗・呼吸しづらい・全身倦怠・言語低微・不安感・恐怖感・不眠・多夢・寝汗・舌質淡・舌尖紅・苔少。
生脈散:益気止汗・滋陰生津・益気生津:人参6・五味子3・麦門冬6。
麦門冬:甘微苦寒:肺胃心経:養陰潤肺・止咳・清心除煩・益胃生津・潤腸通便。肺を潤し津液不足の乾咳・咽乾口燥を治す。心肺の気陰両虚による息切れ・動悸を治す。大腸乾燥による便秘を治す。
肺腎陰虚の薬の百合固金湯:滋陰清肺・化痰止咳:肺陰虚に使用:
生地黄4 熟地黄3 麦門冬5 玄参3 当帰3 白芍3 百合5(冷やし潤し止咳) 川貝母3(潤し冷やす) 桔梗2 生甘草3:八仙丸。
八仙丸:医級:肺腎陰虚:地黄・山茱萸・山薬・沢瀉・茯苓・牡丹皮・五味子・麦門冬(六味丸+ 五味子・麦門冬):小建中湯で代用できる。又は六味丸合生脈散(六味丸+人参五味子麦門冬)。
2026/9/4
六味丸の口訣集の続き
心腎陰虚により心火旺が生じている「健忘」に:天王補心丹・六味丸:
健忘・不眠・動悸・焦躁感・腰膝酸軟無力・寝汗・遺精・舌紅無苔・脈細数。
六味丸類(陰虚は「手足のほてり」「口乾」「顔がのぼせる」・・
の三つの症状が同時にある陰虚の鼻炎)。
更年期の目の下のシミ・顴紅のシミでは、当帰芍薬散では治らない。
腎陰虚なので六味丸・杞菊地黄丸が更年期のシミに適応する。
喘息の腎陰虚は緩解期は八仙丸。小建中湯が腎陰虚薬の代用となる。
当帰芍薬散:こむらがえりなど(芍薬甘草湯も適応)。
こむらがえりに、四物湯合六味丸、四物湯合八味丸。
当帰芍薬散:朝の顔のむくみ、夕方の足のむくみ。
当帰芍薬散の病態は、肝血虚・肝気鬱結・脾虚湿滞などからなり、
意外に複雑である。したがって、本証の患者の訴えも一様でない。
多食善飢で体重減少する陰虚の糖尿病の人は六味丸類+十全大補湯:
食欲が有り、よく食べるが「痩せる糖尿病」に使う:
十全大補湯だけでは陰虚を補っていないので糖尿は悪化する。
小建中湯:六味丸や八仙丸が無い場合は、小建中湯を使う。
小建中湯は「腎虚・肝血虚・脾虚」・脾虚なら陰虚・陽虚に適応する
7,その他、鶴膝:補腎壮火:六味丸加鹿茸・牛膝(六味丸合牛車腎気丸・六味丸加参茸大補丸じんじょうだいほがん)
小児の膝腫痛「鶴膝かくしつ」・・補腎壮火:六味丸加鹿茸・牛膝。
体重減少の陰虚・口渇・口臭・便秘の糖尿病:大柴胡湯合六味丸(陰虚+胃熱)。
大柴胡湯:胃熱からの精神異常。驚き易く動悸する:パニック障害。
パニック障碍:天王補心丹・抑肝散加陳皮半夏・柴胡加竜骨牡蠣湯:加味帰脾湯・大柴胡湯。
加味帰脾湯:不眠症・健忘症・自律神経失調・不正性器出血・心臓神経症・パニック障害。
583:八味丸は陰陽両虚に使う:冷え症(陽虚)だが疲れると火照る(陰虚)という時、陰陽両虚の八味丸を使うがまったく効かない場合は、冷えには八味丸、疲労で火照る時は六味丸か少量の八味丸を使う。
295.遺尿症(尿漏れ)の4歳の少女(六味丸)。「漢方診療三十年」大塚敬節
「小柴胡湯や柴胡剤の長期使用」には四物湯や六味丸を少量合方して間質性肺炎などを招く陰虚や血虚を予防する。
先天的虚弱や出生後の栄養補給が悪いため、腎精が不足し髄海が空虚になって四肢の筋肉萎縮が発生する:補腎填精:加味六味地黄丸。
夜に身体微熱を発し、飲食常のごとし、別証なし、ただこれ血虚し、陰は陽を救わず、朝に加味逍遙散を用い、暮れに六味丸を用い応ぜざれば当帰補血湯、加減八味丸を用いる。
当帰補血湯:気血両虚を峻補・補気生血の基本:黄耆15 当帰3:
重度の貧血・再生不良性貧血・慢性腎炎・褥創(黄耆は肉芽再生に効果):成薬は無い。
陰虚の 潮熱・・知柏地黄丸・六味丸・杞菊地黄丸・清骨散加当帰・白芍:陰虚体質又は発汗・嘔吐・下痢・出血・脱水などによる傷陰で、虚火上炎したり慢性疾患や急性熱性疾患の後期に発生し「骨蒸潮熱」を招く。
骨蒸潮熱の症状は、潮熱・盗汗・心煩・浅眠・手の平が常に熱い・腰痛・喘息して無力・小便黄赤・歯が黒くなる・二十三蒸の一つ:発熱の状態が骨髄から発するように感じる:午後あるいは夜間の発熱:
骨蒸潮熱は陰虚の症状である。
「気虚の便秘」で軟便だけなら四君子湯・六君子湯がよい:
六君子湯:補気健脾・理気化痰:人参4 白朮4 茯苓4 甘草1 乾姜0.5 大棗2 半夏4 陳皮1:病後の衰弱・むくみのある眩暈・下利。
大柴胡湯(柴胡剤)は冷やして乾かす作用がある。乾かしすぎると傷陰し陰虚になるので四物湯・六味丸を、少量合方して傷陰を予防する。
朝から何回ものぼせて熱くなる人は、「心の症状」か「虚熱」か「肝鬱」である。
心腎陰虚の「無汗ののぼせ」なら天王補心丹であり、
肝鬱で虚熱の「のぼせ後に冷汗」なら加味逍遙散。
年寄りに虚熱症状が明らかでなければ六味丸は注意して使う。
六味丸は、冷やしすぎて症状が悪化する。年寄りは概して陽虚である。
中耳炎など耳の症状は、肝の経絡なので小柴胡湯加桔梗石膏といっても、腎虚によって長年耳だれが出る人は、八味丸や六味丸でないと治らない。
耳の症状には小柴胡湯を使うが、長期の症状には肝と腎虚の薬を併用する必要がある。肝腎陰虚なら杞菊地黄丸。小柴胡湯合八味丸・小柴胡湯合六味丸・小柴胡湯合杞菊地黄丸。
腎虚の耳鳴・耳聾の人は、耳聾左慈丸(耳鳴丸)・八味丸・六味丸。
耳聾左慈丸は腎虚の難聴(耳鳴り)にしか使わない。
滋腎通耳湯:万病回春:龔廷賢きょうていけん:当帰、川芎、白芍、生地黄、知母酒炒、黄柏酒炒、黄芩酒炒、柴胡、白芷、香附子各等分。
胸膈快ろしからざる(気滞による胸部不快感)には青皮、枳殻少し加える。耳鳴・難聴:滋腎明目湯合滋腎通耳湯。
「老人の慢性病の陰陽両虚」は六味丸類だけでは症状が悪化しやすい。
足の一点だけ痛む時は、
踵痛しゅつう(腎虚)には六味丸・杞菊地黄丸、
ふくらはぎ全体・大腿部の筋肉痛(脾虚)には六君子湯、
すねの横が痛む時(筋は肝血虚)は四物湯。
三つの症状は小建中湯(腎虚・肝血虚・脾虚)。
足の裏の痛み血虚に当帰芍薬散。
「痰飲症状」の場合、
上部には苓桂朮甘湯・
中部(胃)には二陳湯や六君子湯・
下半身には八味丸や六味丸を用いる。
山茱萸:山萸肉さんゆにく:萸肉ゆにく:ミズキ科サンシュユの乾燥果実で核を去る:補益肝腎・渋精・斂汗:六味丸・八味丸に用いる。
「腎陰虚の腰痛」では六味丸を使うが必ず丸薬を使う。
腎陰虚の全身症状:易疲労いひろう・踵痛かかと痛、腰膝酸軟無力、めまい、頭暈・頭痛、不眠、老眼、老人性白内障、脳鳴、耳鳴、難聴、遺精、口渇、ほてり・赤ら顔、顴紅・寝汗、皮膚乾燥、白髪・禿頭とくとう、健忘、舌紅、舌苔少、五心煩熱:杞菊地黄丸・六味丸など。
夜ごとに微熱を発し、動作に異常はなく、飲食も普通なら、血虚し陰は陽を済すくわず朝に加味逍遙散を用い、暮れに六味丸を用い、応ぜざれば当帰補血湯・加減八味丸を用いる。
小児の手顫・・補腎養肝:六味丸合青娥丸加枸杞子・菊花・麦門冬・五味子(杞菊地黄丸合生脈散)。
六味地黄丸を、補中益気湯と一緒に用いると、さらに脾胃の昇降関係に配伍した方剤となる。
「陰虚の便秘」には、脾虚なら小建中湯(老人に多い便秘)を使い、
それ以外は六味丸・六味丸加減方を使う。
当帰芍薬散:のぼせの無い人の薄い顔面のシミ。
目の下・顴紅のシミで更年期などの腎陰虚なら六味丸・杞菊地黄丸。
当帰芍薬散:肝血虚・脾虚湿滞:当帰3 白芍4 白朮4 茯苓4 沢瀉4 川芎3:過敏性大腸炎:真武湯も過敏性大腸炎に適用:当帰がもたれる脾虚の人もいる:血虚の足の裏の痛み。
糖尿病患者で、腰や膝が温かく、顴骨がかなり紅色(顴紅)の場合は六味丸や知柏地黄丸を使う。
知柏地黄丸:滋補肝腎・清熱瀉火:陰虚火旺:知母 黄柏 地黄 山薬 山茱萸 沢瀉 茯苓 牡丹皮:陰虚火旺の虚熱証:口渇(虚熱)喜冷飲・多尿(腎虚)で陰虚のため体重減少が顕著な糖尿病、酒熱を冷ます。
「腎虚の蓄膿」:鼻水が塩辛くなる・後鼻漏になる・鼻がつまる人は腎虚の薬で治療するが、脾肺気虚を併発しているので
腰以下が冷える人は六君子湯合真武湯で、
腰以下が温かい人は小建中湯合六味丸。
老人の慢性の喘息に六味丸を使うと悪化する。老人は陽虚が多いため。
慢性病の人・高齢者は陰陽両虚が多く、両方の症状を持っているので注意すること:冷え症でないという高齢者に六味丸を与えて慢性の症状を悪化させる恐れがある。
「陰陽両虚の人」に足は冷えますか?と聞くと「足は火照ります」と答えるので冷え症ではないと六味丸類を出すが八味丸と六味丸類の量を勘案し合方すべきである。過労で火照っているため考慮する。
「陰陽両虚の処方」:八味丸と六味丸を交互に服用。または疲れがひどい時でのぼせる時は八味丸を少量とし、冷えた時は八味丸の量を増やす。食欲にムラがあったり食欲不振には小建中湯で、食少で汗かきは黄耆建中湯とする。
痛みが腰(腎の府)から足に走り、ひどいと歩けなくなる原因は血虚で、ひきつるという状態になる。これは経絡にそってずっとひきつりが延びて行くためで四物湯合八味丸・四物湯合六味丸などを使う。当帰芍薬散も使う。
喘息の腎陰虚は緩解期は八仙長寿丸。小建中湯が代用となるが、脾虚は小建中湯がよい。
ちょっと歩くと踵が痛い(足跟痛そっこんつう)人は、腎虚である。
しかし、これに関しては腎陽虚よりも疲れて生ずるので腎陰虚の可能性が高いので六味丸がよく効く。
六味丸・耳聾左慈丸は手と足の平がほてる人に使う。
特に足がほてる。お風呂に入りすぎても手足がほてってしまい、体が熱くて頭がさえて眠れないのは体の水気不足(陰虚)のせいである。